世界観警察

架空の世界を護るために

文学

辻村七子『僕たちの幕が上がる 決戦のオネーギン』 - レビュー

こんばんは、茅野です。 不思議なもので、春は供給が集中します。冬眠していたのでしょうか。三件くらい一気に来たので、順番に書き起こします。 しかし、マイナー沼の住民が、こんなに供給に恵まれていてよいものか? さて、第一弾は、我らが最愛の『エヴゲ…

自由は心に住みよいか - 特別お題記事

こんばんは、茅野です。 今回は、特に書く予定はなかったのですが、1時間強時間が空きましたので、折角ですし特別お題に乗じて一筆やってみようかと思います。 私がとらわれていた「しなきゃ」 by LIFULL STORIES ↑ 特別お題バナー。 というわけで、今回は久…

映画『パルムの僧院』(1948) - レビュー

こんばんは、茅野です。 個人的には、昨年12月頃から、謂わば「オタ活情勢」が白熱しておりまして、年始からまた蛮勇行動に手を染めております。皆様は素敵な年始を過ごされたでしょうか。そうであることを願います。 さて、今回は映画レビューです。「ジェ…

映画『肉体の悪魔』(1947) - レビュー

こんばんは、茅野です。 レビューを書くのには苦手意識があると日々申しておりますのに、いつの間にやらブログの記事カテゴリーの最上位に位置しております。どうしてこうなった。 今年の春頃から、拝見した舞台芸術については、短くても一筆やろうと心懸け…

柳田邦男『犠牲』を読みながら考えたこと

ひとは自分が生まれた季節を好きになるというが、その根拠とはなんなのだろう。私は真夏の生まれだが、夏を好きになる気配は一向に訪れないまま、二十と余年を生きている。 尤も、この酷暑を好くとあらば、それは相当に肝の据わった人物ではなかろうか。 日…

精神救済図書の勧め

こんにちは、茅野です。 ここ数年、七月後半~八月前半になると運勢が大凶に傾くらしく、宜しくないことが立て続けに起こります。何故。大凶をアニュアルイベントにしないでくれ。 そして、学生の皆様におかれましては既に夏休みでしょうか。コロナも流行し…

戯曲『プリンセス・ダーグマル』 - レビュー

こんばんは、茅野です。 電子辞書を酷使しすぎて、週に一度くらいの頻度で電池を取り替えている気がします。恐ろしい速さで消費されていく単三電池。そのせいで、最近、辞書も充電式の方がいいのでは? なんて考えています。 さて、今回は珍しく書評です。 …

お題記事「本棚の中身」 - 雑記

こんばんは、茅野です。 今週のテーマが面白そうだったので、今回は珍しくお題記事を。 今週のお題は「本棚の中身」。当方は読書家というわけでもありませんが、本を読むのも好きなので、本棚の一部を公開してみようと思います。 単に自分の本棚を晒すだけな…

生と死のオレンジ - 神話と文化雑記

こんにちは、茅野です。 もう大分桜の花は落ちてしまいましたが、花の季節・春はまだまだ続きます。 購入から大分経ってしまいましたが、この間、L'OCCITANE さんで『ネロリ & オーキデ』の限定版の香水を購入しました。 「オレンジの花(ネロリ)」に誘われ…

オネーギン、ウクライナへ行く - 文学・オペラ雑記

こんにちは、茅野です。 ウクライナ情勢のニュースを戦々恐々としながら見守りつつ、週末のシュトゥットガルト・バレエ団の来日公演を心待ちにする日々です。 ロシア国営のテレビチャンネルが日本からも BAN されたり、ロシアの劇場のアカウントを SNS から…

意志を持つエウリュディケ - 現代のオルフェウス神話

こんにちは、茅野です。 わたくしが Nintendo Switch を購入したということを知った友人らがオススメソフトをそれぞれ贈ってくれるのですが(ありがとうございます)、先日はクリスマスプレゼントにと『あつまれ どうぶつの森』を頂きました。もういよいよゲ…

ニエーヴォの「ニコライ2世」 - 『未来世紀の哲学的物語』

こんばんは、茅野です。 先日、イタリア映画を観に行きまして、ついでに積んでたイタリア文学を消費することに。 ↑ レビュー記事。現在公開中なので、今のうちに! その中で、初っぱなから「大正解」を引き当ててしまいまして……。なんと、わたくしが趣味で研…

真っ赤なベレー帽の婦人と話しているのは誰? - 『オネーギン』考証

こんにちは、茅野です。 ひょんなことから19世紀のスペインに関心を持ち、最近は憲法を翻訳したり色々調べたりしています。チック・コリア御大の『スペイン』や、リムスキー=コルサコフの『スペイン奇想曲』、沖仁先生のフラメンコギターなどを垂れ流しなが…

はてなブログ10周年特別お題「私が ≪オネーギン≫ にハマる10の理由」

こんばんは、茅野です。 先日の World Ballet Day (WBD) で、シュトゥットガルト・バレエさんの『オネーギン』を堪能し、やはりこの作品が至高だな……と改めて感じました。 ↑ レビュー記事。相変わらず無駄に細かい。 さて、わたくしがこの「世界観警察」なる…

ヴャーゼムスキー『ベルモン荘』翻訳と解説

こんばんは、茅野です。 9月! ということで、ロシア史のリサーチに再燃中です。何故9月かと申しますと、個人的にはじめてロシア史沼にどっぷり嵌まったのが9月ということもあるのですが、特に興味を抱いてリサーチしているロシア帝国皇太子であったニコライ…

言葉が死ぬとき、めざめる世界がある - 寺山修司『星の王子さま』

こんばんは、茅野です。 『Sky: Children of the Light』というゲームにて、「星の王子さまの季節」というイベントを開催しており、先日クリア致しました。 ↑ レビュー記事。 元々作者サン=テックス(アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)には思い入れがあ…

Les enfants seuls savent ce qu’ils cherchent. -『Sky: Children of the Light』レビュー

こんばんは、茅野です。 先日、『ABZÛ』の検証・考察「ZEN MASTER」シリーズを書き切り、微妙にロス状態に陥ったわたくしは、比較的近しいゲームで遊ぼうと思い立ち、『Sky』を遊んでみることに。 ↑ 『ABZU』記事はこちらから。 ↑ ここ『ABZU』で見た。 『Sk…

青銅のたてがみ - 「青銅の騎士」考察

こんばんは、茅野です。 体感的に、晩春から初夏にかけてが最も時の流れが速いように感じます。しかしながら、今回は季節外れにも11月の物語についてです。 最近『ウマ娘』で遊んでいるので、馬そのものへの興味が湧いてきました。 ↑ オペラオー君はいいぞ。…

雄弁な作者の問題 - ゲーム考察に於ける受容理論

おはようございます、茅野です。 皆様ご承知のように、わたくし普段マイナージャンルを根城にする考察書きですが、珍しく書いた先日のメジャージャンル考察記事がそれは見事にバズりまして、メジャージャンルの底力を実感しております。 尤も、どの記事も同…

自殺論を考える - 哲学雑記

おはようございます、茅野です。 わたしは曲がりなりにも文学を愛好し、専攻する者なので、共感性や感受性は並よりも高い方だと思います。事実、精神性と言われている手掌多汗症で、少しでも感情が動くと手の平がえげつないことになりますし、かなり重度の共…

命名の謎 - Eugene Onegin 考察

こんばんは、茅野です。 大学(コロナ禍の影響でオンライン)が始まり、てフル単(25単位)入れているために物理的に時間がない学生です。 いや、別にそんなに授業入れる必要はないんですが、仲良い先生の授業とか興味ある授業入れてたらパンクしました。そ…

日本語版「エヴゲーニー・オネーギン・チャレンジ」第1章

こんばんは、茅野です! 今回はいよいよ、以前予告していた「エヴゲーニー・オネーギン・チャレンジ」をやっていきたいとおもいます。企画詳細はこちらから↓。 第一章自体が長いので、この記事も長いです(約1万字)。原作と照らし合わせて頂けるとわかりや…

『現代の英雄』初心者向け解説

こんにちは、茅野です! ボリショイ・バレエ ライブビューイングで『現代の英雄』をやるそうですね。わたしも昔に映画館で観ました。是非楽しんで下さい。 ↑ かっこいいですよね……わかる……。 ところで、わたくし、原作の『現代の英雄』の大ファンなのです。…

日本語版「エヴゲーニー・オネーギン・チャレンジ」概略

こんばんは、茅野です! 今回は予告していた「エヴゲーニー・オネーギン・チャレンジ」についてです。取り敢えず概略を説明します。本編は次回から。 The Eugene Onegin Challenge とは わたしは5年前から半日に一度は某ワードで検索するクセがあるのですが(…

『オネーギン』の後日談を考える - オネーギン編

こんばんは、茅野です。 デカブリストの乱について追いリサーチを掛けています。『救済同盟』、ほんとうに素晴らしい機会で……最早映画観る前から割と満足しかけているまである……。ありがとうございます……(?) さて、今回は、当然わたしが書いているのですか…

『シェリ』『シェリの最後』のクロノロジー - 検証・考察

こんばんは、茅野です。 大学の前期成績表が帰ってきました。AAが4つ、Aが3つ、Fが3つ御座いました。どこに行っても極端なのがわたくしであります。「並」とは縁がありません。得意か不得意、いずれかなのであります。ちなみに落としたのは全て必修及び選択…

オネーギンになるための5つの小物 - Eugene Onegin 考察

おはようございます、茅野です。 先日は井内美香さんの講座にお邪魔させて頂いたり、相も変わらず元気に『オネーギン』オタク活動しております。個人的なことなので詳しくは書けませんが、他にも『オネーギン』のご縁でちょっと良いことがあったりなかったり…

タチヤーナ、オネーギンの恋の解釈 - Eugene Onegin 考察

こんばんは、茅野です。 松本オネーギンが幕を下ろしました。とにかく寂しいです。千秋楽お疲れ様で御座いました。感想を拾っている感じ、素晴らしい舞台だったようで1オタクとしても非常に嬉しいです! さて、個人的なことを言えば明日から研究会の全国大会…

N公爵とグレーミン公爵 - Eugene Onegin 考察

こんばんは、茅野です。 松本が迫ってきてますね。感覚的にあと3週間くらいあるもんだとおもってたのでびっくりしております。 早速ですが、今回は謎の多い人物・N公爵とグレーミン公爵について、相変わらず原作・オペラ・バレエ版を比較して考えていきたい…

『オネーギン』に於ける同性愛的解釈 - Eugene Onegin 考察

こんにちは、茅野です。 前期、フランス文学史の講義を受けていたのですが、名前は出しませんが講師の先生が同性愛文学に滅法つよい方で、講義の題は「近代フランス同性愛文学史」だったかな……ってくらい偏っておりました(面白かったのでいいんですが)。 …