世界観警察

架空の世界を護るために

晩秋のデンマーク遠征2023 - 旅日記⑤

 こんばんは、茅野です。

最近、Twitter では「旅の価値」に関するツイートが物議を醸していました。要するに、「旅って、なんだか高尚そうなカオしてるけど、結局ただお散歩してごはん食べてるだけで、特に価値ってないよね。」的な言説です。

 確かに、そういう見方もできるかもしれません。しかし、旅日記を連載するわたしがここで強調しておきたいのは、旅はいつでも行けるものではない、ということです。

行きたい場所がいつ紛争地になるかわかりません。いつ大地震が起きて倒壊するかもわかりません。好きな建物に、自称・環境活動家がラクガキをするかもしれません。

自分自身だって、いつ怪我や病気をして旅に出づらくなるかわかりません。自分一人は問題なくとも、家族はどうでしょうか。

 少しでも関心があるなら、すぐに行くべきです。時間は有限、人体も建物もいつか壊れます。つまり、JUST DO IT.

 

 さて、そんなわけで旅日記です。デンマーク遠征旅日記シリーズをお送りします。

↑ シリーズの概要となる初回はこちらから。

第5回(シリーズとしては8回目)となる今回は、5日目・11月5日編をお送りします。

 

 みんな大好き、オタク発狂編(?)。首都・コペンハーゲンを出て、郊外の町ランペンボーゲントフテへ。本格的な聖地巡礼を行います。

 

 それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!

 

 

朝ごはん

 このお宿での最後の晩餐ならぬ最後の朝食です。ブリヌィ風ダニッシュパンケーキ二回目。 配置上遠く離れたコンフィチュールのコーナーから持ってきたラズベリージャムを添えて。

↑ 甘さめちゃくちゃ控えめのベリーソースが掛かったヨーグルトも美味しい。

 

 お宿の朝食は、幾分簡素ではあるものの、必要充分で満足でした。予約するときに、朝食付きにするか迷いましたが、付けて良かったと思います。

 

 最終日はいつものニシンのマリネが品切れでそこだけ悲しく……。しかしそれを揚げた(!?)ものがあったので、ちょっと頂きました。揚げるのも意外とアリだな……。朝から揚げ物である。

 ちなみに、ニシンのマリネは日本ではそこまでメジャーではありませんが、この間、手軽に購入できるところを見つけちゃったんですよね……。

↑ これだ~~! 渋谷に寄ったついでに購入。

 まあデンマークスウェーデンは隣国ですからね。そりゃあるか。

先日、こちらを使ってロシア料理「毛皮を着たニシン」を作ったら、めちゃめちゃ美味しかったです。是非。お勧め。

 

 

 朝食を食べたら、チェックアウトの準備をします。あの超カッコイイ、レトロなエレベーターともお別れです。

 

 こちらはホテルに飾ってある絵画。題材は明らかにアンデルセンの『野の白鳥(白鳥の王子)』ですよね。

夜見ると割と不気味なんだよな

 デンマークの民は、本当にアンデルセンが好きらしい。

 

 そういえば、最近、Duolingo デンマーク語の例題が童話特集になりました。Duolingo の問題文は、基礎的な部分は複数の言語で共通ですが、その言語特有の例文であることが明白なものもあったりして、面白いですよね。

↑ 左から、『雪の女王』、『裸の王様』、『みにくいアヒルの子』、『人魚姫』。

 無論アンデルセン童話が多いですが、たまにグリム童話などが混ざっていることも(『ヘンゼルとグレーテル』とか『白雪姫』とか)。

 一緒にデンマーク語を学びましょう。いや、デンマーク語じゃなくても良いのですが。語学仲間は多くて困ることはないのでね。

↑ わたしのアカウント。読者さんやフォロワーさんは一言貰えればフォロバしますので。

 

デンマークの車窓から

 さて、チェックアウトを済ませたら、首都から小遠征へ出る準備を開始します。

ドバイで遊びたかったパパ上こと父と合流し、同行して貰います。

 世間では、「一人旅は偉い、カッコイイ」みたいな風潮がありますが、わたしは基本的には、知らない土地には一人で行かない方が良いと思う派閥に属しています。皆様も、土地勘の無いところに行くときは、できれば信頼できる仲良しさんと旅してくださいね。

実際、初日のトラブルとか、この程度で済んだから良かったものの、観る演目が『オネーギン』じゃなかったら心折れてたかもしれんオタクは好きな作品によって絶大な心理的ブーストをかけられるのである

 それから、ここからはガチ聖地巡礼になるので、発狂するオタクを止めるストッパー役が必要です。オタクの自己満足旅にいつも付き合ってくれる、理解ある家族や友人に大感謝です。

 

 小雨が降り、スーツケースを抱えていたので、中央駅からエストーに乗り、揺られること数分。もうエストーはバッチリ攻略しました。

目的地はこちら。

↑ 海外旅行者にはお馴染みの某名前出てるレンタカー屋さん。

 ここからは車での旅になります! この旅では、利用できるほぼ全ての交通手段を駆使できて、それも楽しかったです。

 

 特に予約などはしていないので、カウンターで、長身・金髪・碧眼の素敵お兄さんな店員さんと英会話演習をします。デンマーク語訛りだけれどもきちんとした英語で対応してくれます。流石。

 レンタル日数や希望の車種、オプションなどについてやり取りした後、パパ上に契約書を書いて貰っている間、お兄さんとちょっと雑談(パパ上は英語に堪能なので、彼の前で英会話をやるのはちょっとプレッシャーである)。

 自分たちが東京から来たことや、コペンハーゲン滞在は初めてであること、今まで数日間首都観光をしてきた話などをした後……。

お兄さん「So, where are you driving to today? (それで、今日は車でどこへ行く予定なの?)」

わたし「To Gentofte.(ゲントフテだよ。)」

お兄さん「Oh, Gentofte! Nice. What are you going to do there?(おお、ゲントフテか! いいね。何しに行くの?)」

わたし「For pilgrima... eh, umm, sightseeing, I mean, yeah.(聖地巡r……あー、えっとー、観光ですね、うん。)」

危機一髪である。

 わたしが口を滑らせているうちに、契約書が完成(ありがとうパパ上)。

 

 お兄さんから車内の説明を受けた後、いざ出発です!

二日間お世話になる相棒がこちら。

↑ 初めましての韓国車。

この時、ピカピカのキア・シード君は知る由もなかった……、二日間だけで、信じられないほど車体が汚されることになることは……(フラグ)。

 

 車内での自省。

わたし「お兄さんに『どこ行くの』って訊かれて、正直に『ゲントフテだよ』って答えたけど、ゲントフテって車だと30分くらいで着いちゃう近場だし、(一般の人にとっては)観光するようなものってほぼ無いし、お兄さん的には『何言ってんだコイツ?』だったかもしれん。」

パパ上「大丈夫だって、そこまで深く考えてないっしょ。(ポジティヴ)」

わたし「……そういうことにしておこう!(ポジティヴ)」

 わたしのポジティヴさは遺伝である。

 

 車窓から見るコペンハーゲンもまた素敵なんですよ。見てください、これが「童話の街」と言われる所以です。

↑ 町並みめっちゃ可愛い~。

 

 わたしは国際免許どころか、車の運転免許すら持っていないので、運転はパパ上にお任せで、ナビゲートしたり写真を撮る係です。大感謝祭。

こういう時のために、免許を取った方がよいのかもしれない、と思いつつ、わたしは注意力散漫なので、確実に人を轢くのだよな。そして国外で人を轢いたら余計に大変なんだよな(※人を轢く前提)。

世界平和の為にわたしは力を求めないのだ……と思いつつ、家族や友人に頼りっぱなしなのもな~という葛藤はあります。早く全面的に自動運転になって欲しいものです。

 

 デンマークは欧州なので、車は右側通行です。事故に注意。勿論、運転席は左側

また、街を出ると、信号は少なく、ラウンドアバウト(環状交差点)が主流になります。何番目で曲がるか数えるのをお忘れ無く。このお陰か、曜日や時間帯にも依るものの、コペンハーゲンへ向かう道以外はほぼ渋滞はありません。素晴らしい。

そして、高速道路は無料です。日本の道路行政君、道が汚い上に渋滞多くて有料なの、ほんとどうにかしようね。

 このような道路事情も知ることができて、とてもよかったです!

 

フヴィデレ城

 さて、コペンハーゲンを出て、北方面に車を走らせます。

最初に向かったのが、コペンハーゲンからほど近い、ランペンボーという地域。

具体的な目的地が、こちら!

↑ 白い立派なお屋敷!

 

 こちらは、日本語では「フヴィデレ城(Hvidøre Slot)」と音写される場所なのですが、ハッキリ言います、120%それでは通じない。

デンマーク語の難解すぎる発音を、一度聞いてみてください。確実にあなたの想像を超えます。これで会話が成立していることが不可解なレベルです。

↑ 語は入れてあるので、「音声を聞く」を押してください。

 強いてカタカナにするなら……「ヴィウーア・スロット」……?

 

 ……と、前置きが長くなりましたが、その「ヴィウーア・スロット」とはなんぞと申しますと、我らがお姫様こと、ダグマール姫、改めマリヤ・フョードロヴナ陛下が亡くなった場所なんですね!!

 

 このお城は、20世紀初頭、仲良し姉妹のお姉様・イギリスのアレクサンドラ妃と共に、その頃は皇后どころか皇太后となっていたお姫が、夏のカントリーハウスとして購入したお屋敷です。

↑ フヴィデレ城で過ごすアレクサンドラ・ダグマール姉妹。左がお姫です。

 そして、ロシア革命が勃発し、皇太后から「ロシア人亡命者」になってしまった彼女が、この懐かしの祖国で、最期まで過ごした場所でもあるのです。

 

 初手からお姫の没地ですよ、婚約者や夫、息子や孫と違って長寿な、80歳(殿下の4倍!)のお姫がここで崩御されたんですってよ、ちょっと、オタク大興奮だって、当たり前だってば。お兄さん、やっぱりこれは sightseeing じゃない、 pilgrimage だ!!!

 まあまさか、殿下の没地(ニース)に行く前にお姫の没地(クランペンボー)に行くことになるとは思いませんでしたが……。ニースも近い将来行きます絶対、4月に!! あっ今年も既に命日が近い……。

 

 フヴィデレ城は、今は療養所(?)になっており、部外者の立ち入りができないので、外から眺め回します。ええ、舐めるようにね。

ある意味でデンマークらしいと言うべきか、お城というには簡素な造りですが、彫像が建ち並んでいたりして、芸術的です。

↑ 頭で屋根などを支える彫像が確認できます。ギリシャ風?

↑ 別角度から。目の前がバス停にもなっています。

 

 そしてこのフヴィデレ城、立地が素敵で! 道路を挟んだ反対側は海なんですよ!

地上からはよく見えないのですが、上階からは、美しいビーチが見渡せるはずです。

 

 お姫と殿下は、共通の特技が水泳だったりします。殿下は、毎朝水浴をしたという海沿いの街スケフェニンフェンから、その足でデンマークに来ていますし、何より「水の妖精」ですから、水泳のイメージが強いかと思いますが、実はお姫も見事なスイマーなのです。

いや~、湖で舟遊びというのも可愛いけど、絶対海デートもするべきなんだって。オタクは尊さで溶けて海の泡役やりますから(?)。逆に考えて欲しい、実現しない方がおかしいと。

 

イェアスボー・デューアヘーウ

 発狂ゲージを溜めたところで、渋々車に乗り込み、次の目的地へ。

ランペンボーは、非常に自然豊かな地域で、恐ろしく広い森があります。そこを探索してみることに。

 

 何と言ってまず、車道から凄いんですよ! 素晴らしい紅葉です!

↑ クランペンボーの車窓から(※あの曲、脳内再生してください)。

 

 特に自然豊かな区域は、「イェアスボー・デューアヘーウ」と呼ばれています。

これ翻訳が難しくて、なんて訳したらいいのかよくわからないのですが、「イェアスボー(Jægersborg)」は地名、「デューアヘーウ(Dyrehave)」は、辞書曰く、「狩猟用の鹿の繁殖用に使用される、柵で囲まれた、樹木が茂った地域」という意味らしいです。うーん、翻訳不可能!

 まあ、要は、狩猟用の自然公園……と言ったところでしょうか。実際、入るときに赤い柵を通って行きます(部外者が勝手に入って良いのかちょっと不安になる造り)。

 

 このイェアスボー・デューアヘーウ、地図を見てびっくりしたのですが、なんと11㎢もあるそうで! 調べたら、武蔵野市の総面積と同じくらいでした。怖い。

地図で見ると、その大きさが殊更際立ちます。

↑ 赤で囲ったところがイェアスボー・デューアヘーウ。南でピン(今回の旅で行ったところ)が大量に突き刺さっているのがコペンハーゲン、その北のゲントフテにこれから向かうベルンストルフ城がネタバレ、その上のクランペンボーに見えるのが、先ほど行ったフヴィデレ城。

 

 首都からこんなに近いところに、こんなに大きな自然公園があるって凄いですよね。羨ましい限りだ……。

 

 

 この面積が全部森や原っぱですから、勿論、建物などは、なんにも見えないです!

↑ 馬の飼い葉とかになりそうな草が大量に積み上げられているエリア。先が見えないくらい広い!

 生憎の曇り空(たまに小雨)が玉に瑕ではあるのですが……。

 

 アンデルセン童話というより、グリム童話に出てきそうな木も沢山あります。

↑ この~木なんの木以下略。枝、なんでそっち行った?(いや、太陽に当たるためなんだろうけども)。

 

 そして、よく馬車とすれ違います! いいですね、森の中ですれ違う乗り物は、車よりも馬車でありたいものです!

↑ バスのように巡回しているようで、よくすれ違います。混んでいることが多そうでした。

 先ほどのフヴィデレ城からも、ゲントフテからも近いですし、お姫もこの公園で自然を満喫したんだろうなあ。

 

 建物はほぼ全く無いのですが、丘の上に立派な建物が一つあります。

その名も「エルミタージュ城」美術館じゃないよ

デンマークのお城って基本これくらいのサイズ感なんだろうか。

 18世紀、ロシアもデンマークもフランス風に「エルミタージュ」ってお名前付けてるのお揃いで可愛いですね(?)。

 こちらのエルミタージュ城は、お姫より前の時代、王侯貴族が狩猟の後にお食事を摂る際に使用するべく建てられ、使用されていたのだそうです。

この広い自然の中で狩りをした後、ここでお食事かあ……良い休日だろうなあ……。

 

 森の中を散策して、少し足が疲れてきたので、そろそろ旅の後半戦のメインイベントを回収しに行きましょうか(※言わずもがな、前半のメインは『オネーギン』である)

 

厩舎ホテル

 車でクランペンボーからゲントフテへ移動します。

途中、北欧ファンから人気の高いデンマークのスーパーマーケット「Irma(イヤマ)」で水筒(ミネラルウォーターまとめ買い)を調達しつつ。

 

 この旅で最も楽しみ且つ不安だったのは、ゲントフテでの宿です。

宿そのものが聖地の一部なのですが、予約した時から、どうにも運営のやる気が無さそうな様子。

コペンハーゲンは物凄くツーリストに優しい街だったので、漸く、海外旅行らしい雲行きの怪しさを感じました。

 

 何と言ってまず、「ホテルのフロントは営業していないので、建物入り口にあるキーボックスから、メールに添付する暗証番号を使って、お部屋の鍵を取ってね☆」というメールが。

ね、やる気ないでしょ。そこら辺のビジネスホテルの方がホスピタリティいいぞ。

 

 というわけで、指定された駐車場に車を停め、宿泊施設の方へ行ってみると、入り口に張り紙が。

Dear guests,
We are very sorry for the inconvenience, but this door is broken.
To access your rooms, we will kindly have to ask you to use the entrance on the other side here, and then around the building into the courtyard.
From here you can open the door with your keycard as usual.
Thank you for your understanding.
Bernstorff Palace.

親愛なるお客様へ、
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、このドアは壊れています。
お客様のお部屋へは、ここから反対側の入口より、建物を一周して中庭側から入って頂きますようお願い申し上げます。
そこからは通常通り、お客様のカードキーで入場頂けます。
ご理解ご協力の程、宜しくお願い致します。
ベルンストルフ城

ね、やる気無いでしょ???(二回目)。

 まあ、入れるならいいんだけども……、ビックリするわ、ほんとに。

 

 というわけで、建物に備え付けてあったキーボックスから、お部屋の鍵を入手します。ちゃんと開いたし鍵入ってました! よかった!

↑ ボックス内にカードキーが入っています。

 いやー、ここで仮に従業員さんが鍵の入れ忘れとか、暗証番号の書き間違いとかしていたらどうなっちゃったんだろう。デンマーク語で電話するのかな……、流石に電話は無理だな……。

なんとかなって一安心です。

 

 さて、先ほどから少し名前も出ていますが、そう、ここは、あの「ベルンストルフ城」。

19世紀、お城に備え付けの厩舎として使われていた建物が、今、ホテルとなっているのです! 今回は、そこに宿泊します!!

↑ 張り紙の指示通り、反対側に回ってみると、本当に THE・厩舎な造りだということがわかります。

 わたしが……、お姫の愛馬……ってコト……!??!(※ちがいます)

↑ 「わたしの愛バ」はこっち。サムネが \キミの愛バが!/ で丁度宜しい。

 

 それにしても、厩舎を宿泊施設にしちゃう、という発想が凄いですよね。そうはならんやろ。

しかし、景観を崩さないどころか、元からある建物の有効活用という点で、とても好感が持てます。近代オタクは大変嬉しいです。ありがとうございます。お姫の馬になります(誤解を招く表現)。

 

 いやー、わたしは概して、所謂「クロスオーバーもの」が苦手なのですが(基本的には「世界観警察」なので、複数の世界が混線することを嫌う)、二次創作として、そろそろ歴史上の人物×愛馬のネタはあってもいいんじゃないかな、とか思ったりするのですよね。ピョートル大帝と愛馬リゼッタとか。

 

 我らが殿下とお姫の共通の特技は、水泳の他に「乗馬」もあります。二人とも、優秀なスイマーでありライダーなのです。文武両道で流石です。

動物としての馬もお好きだったご様子なので、面白いお話も作れそうだと思うのですよね。

↑ ロシア時代のものではありますが、馬上のお姫。白馬のお姫様である。本気を出されると、軍人でも追いつけないくらい速かったとか。

いい加減、「推し/お姫の愛バが!」して遊びたくないですか? 調べてもあんまり詳しい情報出て来ないんだよなあ……。情報をお持ちでしたら教えてください。

 殿下がクラースノエセロー競馬で騎乗していたのは、どうにもイギリス系のじゃじゃ馬ちゃん(君?)だったみたいですが(ウマ娘化するとどんな子になるだろうか)、お姫はこの厩舎でどんな子を飼い、乗っていたのだろう。気になりすぎる~。

 

 建物に入ると、かなりしっかり馬の匂いがします。厩舎でなくなってから、100年近くは経っているはずなのですが!

匂いって残るものなのだなあ……と、感動してしまいました。そろそろ殿下の香水の銘柄も割れて欲しいところ。

 

 お部屋は2階にあり、エレベーターもないので、スーツケースを担いで階段を上ります。結構キツい! 

流石に2階は馬の匂いはしませんでした。よかった。

 

 お部屋は、こんな感じ。

↑ 現代的でシンプルな感じ。ベッドは柔らかめで、気持ちいいです。

↑ 窓からの景色。秋だ~! 殿下もベルンストルフには9月に来ているのですが、まだ紅葉はしていなかったかな? どうだろう。

↑ 建物の端っこの窓からの景色。

 目の前に見えるクリーム色の建物が従者たちの住居、そして奥に見える白いお屋敷が…………。

 

ベルンストルフ城

 やって来てしまいました。ベルンストルフ城です。

↑ 正面玄関側から。

 弊ブログのヘヴィな読者さんは見覚えがあるはずです。ではちょっと、見比べてみましょうか。

1865年画のベルンストルフ城。

 完全に一致とは、正にこのこと。

えっわたし今ベルンストルフにいるんですよ、ヤバくないですか?? 大丈夫そう? ちゃんと合法??(※合法です)

 

 「だからそのベルンストルフってなんぞや」という人の為に、以前の連載を引用する形で少し復習をしましょう。

9月28日の朝、ベルンストルフ庭園を歩いていた時、殿下自ら求婚された。(中略)

30日、ベルンストルフで大宴会があった。

婚約を巡る書簡集 ⑷ - 翻訳

 そこで、王妃と彼女が庭園に出てきて、僕たちは皆で歩き始めた……。

いつの間にか僕と彼女は隣を歩くようになっていた。彼女の父、母、兄が前を行き、僕らはその後を少し遅れて付いていった。

自分など大地に呑み込まれてしまえばいいと思った。以前訪れたときは寒く感じたのに、今では夏のように身体が火照っていた。

少しずつ僕は話し始めた。最初は酷く遠回しに、次第に明確になるように、そして終いには、魂に秘めていたことを洗い浚い打ち明けた。

その時のダグマールはどうだったか? 最初の方はシーツのように蒼白になって、重ね合わせられた唇の上で言葉が固まってしまったようだった。

僕が臆病な最後の言葉を発し終えると、彼女は顔を赤らめ、僕の方に向き直り、僕の腕を掴んで自らの方に引き寄せると、―――これが僕たちの最初のキスだった。

触れた彼女の頬は熱を持っていて、瞳は彼女の気持ちを代弁していた。

僕たちは二人とも、なんだか肩の荷が下りたような、幸せな気持ちになった。

この時から、僕たちは恥ずかしげも無く、互いに愛し合っていると自信を持って言えるようになった。

婚約を巡る書簡集 ⑵ - 翻訳

 そう、殿下は、お姫にこのベルンストルフ城の庭園でプロポーズし、お姫はそれに対して漢前な余りにも素敵な返答をしているんですね!!!

 推しCPが婚約したところに聖地巡礼して正気を保っていられるオタク、いるか?? いや、いない(反語)。

敷地が広くて人は疎ら、日本語も通じないのを良いことに、大興奮を隠す気がないキモ=オタクの図。

 

 殿下がプロポーズしたのは庭園なので、では庭を少し散策してみましょう。

……とは言っても、こぢんまりとした城とは対照的に、庭は物凄く広いのですよね!

↑ 見渡す限り、草原と森。クランペンボーに近いだけある。

↑ 池もあります。

↑ 幹の太い並木道。1864年時点でも、植わっていたんだろうか?

↑ 離れの小屋。中はカフェ。

↑ ルイーズ王妃のバラ園。手狭ですが、隠れ家的雰囲気があって素敵です。

↑ オブジェと管理の行き届いた庭園。

 庭、広すぎです!!! 一周するのはかなり大変。足腰への自信と、時間が必要です。

 

 どの辺りで彼はお姫にプロポーズしたんだろう……と考えながら歩き倒しました。

類を見ないほど頭脳明晰で、思いやりに溢れた、「あの」我らが殿下のことです、計算し尽くしたロケーションで切り出すに決まっています。

皆様は、彼ならどこを選ぶと思いますか。

 

晩ごはん

 クランペンボーと、ベルンストルフ城の庭園を歩き倒したら、日が暮れてきました。

折角なので、ドライブして街に出てみることに。

 

 ゲントフテは郊外の小さな町で、恐らくベッドタウンなのでしょう、愛らしい住宅が建ち並んでいますが、店も少なく、特別これといったものはありません。

 そんなこんなで、結局コペンハーゲン方面に戻ってきました。

 

 夜、車から眺めるコペンハーゲンは、歩きやバスとは違い、また新鮮に感じました。

コペンハーゲンは、自転車が優遇されており、車にとってはそこまで走りやすい街ではない様子。酷くはありませんが、中心街は少し渋滞もします。

 

 今日はほぼ一日中、大自然の中を歩き倒したわけですが、オタクはアドレナリンを焚きすぎて、そこまで食欲がなく……(アドレナリンを過剰分泌して、よく食欲や睡眠欲とサヨナラバイバイしている限界オタクの図)。

しかし、今食べないと何も食べずに寝ることになるので、結局車が停めやすいコンゲンス・ニュートー界隈へ。

 

 これは日本人には考えられないことだと思いますが、ショッピングモールに入って、レストランフロアにある店が、全部同じ系統のお料理しか扱っていないなんて、信じられます? 市場とかならともかく……。

日本だったら、絶対、和食、中華、洋食……と分けるじゃないですか。全部の店が寿司屋とか、絶対有り得ないじゃないですか。

コペンハーゲンは違います。全てがスモーブローやそれに類するものです。正気なのかデンマーク人、そのスモーブローへの情熱はどこから来るんだ。

 というわけで、選ぶほどのものがないため簡単にサーモンのベーグルサンドにしてみました。

↑ めちゃくちゃお野菜たっぷりです。ソースがスパイシーで、何故かちょっと辛かった。

軽そうに見せかけて、かなりボリューミィでした。

 

 そういえば、帰国後、お姫の研究者であるヨルゲンセン先生の本を読んで知ったのですが、1864年当時、ロシアの公使館は、ここコンゲンス・ニュートーの「トット邸」だったそうで! 滞在中ずっと知りたかったことが、帰国後に判明しました。

幸運なことに、その建物は現存しており、現在はフランス大使館です。なんてこった……(脳内を流れる『1812』)。

 何が幸いするかわかったものではありません。わたくし、一応、フランスともご縁が御座いますもので※こう見えて実はフランス専攻である、お写真をバッチリ撮っていました……!! 最高!!

↑ 「トット邸」、現フランス大使館。トットとは、黒柳○子さんではなく、お屋敷の持ち主の人の名前です。

 ということはつまりですよ、殿下は、お姫と婚約して「同居」する前は、ここに宿泊していた、ということです! なんだって!!

 くそ……現フランス大使館なら、ジャップは中には入れないじゃないか……!!フランス大使館っていつもそうだよ! この聖地潰しめ!!(※人気オペラ『トスカ』の聖地「ファルネーゼ宮」も、現在は在ローマ・フランス大使館)。

 お姫に思いを寄せる殿下が、プロポーズが成功するか不安に思いながら、ここで一週間強過ごした、ということですよね? うわ~~……。

コペンハーゲンに行く時は、フランス語で罵られることを覚悟しながら、不審者級に覗き込んでやろうと思います(ガンギマリ)。

ところで、ウンベルト王子はどこに泊まっていたのだろうか。近くだったら笑う

 

 

 車でゲントフテまで戻ると、辺りは真っ暗。

飛行機で貰った歯ブラシで、小雨の中芝生を走り回ったことでスニーカーにこびりついた泥を洗い落とし、熱いシャワーを浴びて、一日を終えます。

 

 厩舎ホテルは、バスタブが無いシャワールームだけのタイプです。まあ馬に湯船は要らんか……(?)。

シャンプー・リンス・ボディウォッシュが全部一つになっているものしか備え付けのものがなく、匂いは良いものの(レモングラス系)、質はあまり期待できなかったので、持参した L'OCCITANE の試供品を開封。あれ、旅行の時便利なんですよね……。

 

 今、わたしはお姫の馬が生活していた空間にいるのか……、という、普通のオタクなら一生経験しないであろう物凄く希少な思いを噛みしめながら(?)、眠りに落ちました。

 

 この日は以上です!

 

最後に

 通読ありがとうございました! いつも通り長くなりまして、1万1000字強です。

 

 先日、デンマークアイスランド映画の『ゴッドランド』を観ました。長いですし、そこまで強くお勧めはしませんが、雄大アイスランドの自然を楽しめる作品です。

思いっきりネタバレしていますが、雑感も書きましたので、もし宜しければ。

↑ 通訳さんが可哀想すぎて……。

 大ヒット作『ミッドサマー』などから、北欧が舞台の作品も輸入されるようになってきて、嬉しい限りですね。

しかし、やはりデンマーク語の発音は難しすぎる! 音声を聞いて、字幕を見て、三秒後くらいにスペルが思い浮かびます。時差。これはポンポンと会話が弾むくらいのテンポまで引き上げるの、大変だ……。

精進します!!

 

 旅日記の続きは、引き続きゲントフテ、そしてフレデンスボー・フレデリクスボー編になります! 二日かけて、フルで聖地巡礼です!! オタクの発狂は続きます!! お楽しみに!!

 

 感想等もお気軽に送りつけてくださいませ。喜びます。

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でお目にかかれれば幸いです!