世界観警察

架空の世界を護るために

オリガ・スミルノワの『ジゼル』 - レビュー

 こんばんは、茅野です。

バレエ強化期間です。いい加減おなかいっぱいになって参りました。ありがとうございます。

 

 というわけで先日は、「オリガ・スミルノワの『ジゼル』」こと、オランダ国立バレエのライブビューイング『ジゼル』にお邪魔しました。↑ スミルノワが大プリマであることは知りすぎるほど知っているが(元ボリショイ贔屓の顔)、DNB はその謳い文句でいいのかよ……とも思う。

 

 東京では、現在渋谷Bunkamuraのみでの上映です(※会場が渋谷宮下に移っているので注意)。

我々夜行性の民からしたら「早朝」と言って差し支えないような時間からの開始で、それ以外に選択肢がありません。鬼畜! こんな朝っぱらからバレエ観るの初めてだが……??

同志夜行性の民の為に夜の上映を増やしてあげてください、宜しくお願いします。

 

 今回は、備忘がてらこちらの雑感を簡単に記して参ります。

それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!

↑ 美しすぎる~……。

 

 

キャスト

ジゼル:オリガ・スミルノワ
アルブレヒト:ジャコポ・ティッシ
ヒラリオン:ギオルギ・ポツヒシヴィリ
ミルタ:フロア・アイマース
指揮:エルマンノ・フローリオ
管弦楽:オランダ・バレエ・オーケストラ
演出・振付:ラシェル・ボージャン、リカルド・ブスタマンテ

 

雑感

 この時間なのにほぼ満席です。東劇くん、マジでどうする!?(※二回目)。

まあ、土曜日ですし、トークイベントの効果もあるかもしれません。が、もうバレエとオペラの集客力の差に衝撃というか悲しみを隠しきれない。

トークイベントは別どうしてもという程でもなかったのですが単純にこの日しか予定が空いていなかったので、滑り込み。

 

 バレエしかご覧にならないでこの記事を読んでくださっている方は、是非ともオペラも観てくださいね(布教)。

フランスのグランドオペラは劇中でバレエシーンがあるし、『椿姫』『オネーギン』『マノン』『ロミオとジュリエット』辺りはオペラ化もされている(というかオペラ化の方が早い)のでね、観やすいと思いますよ。取り敢えず『オネーギン』観てください。

宜しくお願いします。

 

第1幕

 提供は我らが Pathé Live。コメディ・フランセーズのライビュも輸出してくれ~! って毎回言ってる。« Le Petit-Maître corrigé »、マジで観たかったんだぞ。

 

 特典映像やあらすじの紹介も無く、いきなり序曲から始まります。子供ちゃんたちが輪になって踊っていて可愛いです。

 

 『ジゼル』には厳密な原典があるわけではないので、版によって設定がブレますが、今回はヒラリオンが猟師という設定になっています。鴨を二羽捕ってきて、一羽をジゼルママにプレゼント。優しい。鴨料理美味しいですよね。

 そこで、「そうか、『ジゼル』は一応ドイツが舞台ということになっているから、猟師という職業が存在するのかー」などと思いました。

帝政ロシアでは、「狩猟権」という権利があって、領主以外はその権利を持ち得なかったので、民衆は狩猟ができなかったんですよね。勝手にやったら罰されます。冒頭から、ドイツでは事情が違うんだな~と感じさせられました。えっ……帝政ロシア、民衆の権利、なさすぎ……!?(※そうです)。

『ジゼル』の具体的な時代設定はわかりませんが(「中世」としているところが多いものの出典不明)、初演は1841年との由。殿下より年上だったか~。『ナブッコ』より一年早いわけですね。

 

 ここで広報と日本語版クレジットに関する不満を述べます。

「オリガ・スミルノワの『ジゼル』」と、プリマの名前で売るのが一番興行的に儲かるのはわかりますけど、普通に DNB や他のダンサーに失礼じゃないかとは思うんですよね。

 それだけならまだまあ、「スミルノワは大スターだしな……」となるのでいいのですが、日本語版ではヒラリオンとミルタですらキャスト名がどこにも無いわけですよ。チラシに明記がないのは当然ながら、キャスト表も配られないし、サイトの類いにも無し。これはもう、怠慢と言わざるを得ませんね。

英語で検索を掛けて漸く、というところ。わたしは、クレジットロールのキャストを見て、無理矢理 Giorgi Potskhishvili というジョージア系の難解なお名前を覚えましたよ。いやしかし、Floortje Eimers は読めない……。

このライブビューイングを観て、あの素敵なヒラリオンとミルタのキャスト名が気にならない人がいると思うのか。いないだろ。わかりやすいところにそれを書くのが広報の仕事だろうが。

 バレエの広報は、ハッキリ言って、宜しくないと感じることが多いので特に某ライビュの公式垢が我が最愛の散文小説『現代の英雄』のストーリーを魅力的では無いと侮辱したことは絶対に忘れねえし許さねえからな。魅力を伝えられない人間が広報なんかやるな。ブチ切れすぎて自分で解説を投稿した、しっかりして欲しいです。頻繁に、「何をやってる! 貸せ! 広報はこうやる!!」という気持ちになっています。

 

 広報その他には不満たらたらですが、本編は素晴らしいです。

第一の感想として、「そうだ、久しく忘れていたけど、これがわたしが好きな "バレエ" ってやつだったな」と思いました。

所謂「箱推し」という程ではないのですが(好みではなかったり、解釈が合わないダンサーもいるし、劇場の方針の全てには賛同できない)、やはりわたしの中ではバレエの殿堂といえばボリショイ劇場であり、一番注視していたバレエ団でもあります。

何故過去形かというと、まあお察しの理由なわけですが。何年経ったと思っているんだ、いい加減にしろ? 危うく「ボリショイの味」を忘れかけるところだったじゃないか……。

無駄に大きすぎるあのヒストリカル・ステージが生んだ、どこよりもダイナミックな動き。これぞ身体による芸術ではあるまいか。

 

 今回の上演は DNB によるものですが、主演はお二人ともボリショイ劇場からの移籍であり、まだガッツリとボリショイの残り香があります。「これだよこれ~、わたしが好きなのはこれだよ~~」となりました。

特に主演のオリガ・スミルノワ様は、映像では間違いなく一番観たバレリーナであり、実家のような安心感。スミルノワ様に「実家のような安心感」を感じるのは贅沢すぎる気もしますが、事実なので致し方ない。

ボリショイに慣れているせいで、目が肥えすぎたのかもしれない。質の問題でもあり、好みの問題でもありますが、やはり一番満足できるのはモスクワ流(スミルノワ様はペテルブルク・ワガノワの出身ですが、キャリアはモスクワで積んだ)

 以前から、バレエで満足したかったらモスクワに住むしか無いんだ……と思っていましたが、スミルノワ様が移籍してしまったので、モスクワでも満足できなくなった問題。ほんとうにさあ……。

 

 アルブレヒトも、ボリからの移籍であるヤコポ・ティッシさん。ボリの中でも、最も情勢の悪化に巻き込まれてしまった部類の可哀想なダンサーさんです。イタリアのご出身ですが、年代的にはソ連崩壊後生まれと、若手(20代!)です。

 

 もう、登場時から余りにもノーブルすぎる。身分偽る気一切無いでしょ? 

ティッシさんは別にそんなに悪意を持っていない解釈だと思いますが、アルブレヒトという役柄としては、

①溢れ出る気品を隠しきれない(無自覚タイプ)

②単に演技が下手(意識はしているが、ままなっていないタイプ)

③別にバレてもいいや、金でも積めば黙らせられるっしょ、と思っている(クソ野郎タイプ)

に分類できると思います。己の出自を隠す気は一切無さそうでしたが、悪意は無さそうなので、①になるのかな?

 

 立ち姿から所作から何から全てがダンスール・ノーブルど真ん中。ありがとうございました。

今回は「オリガ・スミルノワの『ジゼル』」なるタイトルが付けられ、大プリマの名前だけで売る気満々な広報でしたが、あなたはもう「ヤコポ・ティッシのアルブレヒト」で売れる実力派だからな、広報に負けるな(?)。応援しています(?)。

 

 以前、スミルノワ様のジゼルをボリショイ時代に拝見したときも同じことを思いましたが、彼女は立ち姿に隠しきれない気品があるので、「村娘」というより「ご令嬢」という感じも致します。それこそ、アルブレヒトというかパキータというか、「あなたも身分偽ってないか?」というタイプ。

 しかし驚いたのが、物凄く演技が上手くなっていますね……!? 演出による部分もあるかもしれませんが、かなり驚きました。急成長。

特に、群舞に混じって踊る時、途中から明らかに具合が悪そうにしているものの、アルブレヒトに見られているのに気が付いて、無理をして隠す仕草などが、物凄く自然でした。前はそんなに演技派じゃなかったじゃん!? どうした急に……何があった……。評価が更に上がりました。この状態でまたターニャ踊って欲しい。

 

 群舞が結構少ない DNB 版。途中から急に『ミッドサマー』が始まりました。ああいうキャラクテール寄りのダンスもいけちゃう系カンパニーであったか。

 群舞は、恐らく意図的に、動きをこぢんまりさせている印象を受けましたが、何故なのだろう。メソッドなのかな。主演二人がボリショイ出なので、特に差を感じました。

 群舞が少ない分、ソロが増えています。

ソリストは特に男性が良くて、一人目はピシッッとポーズを過剰なくらいキメてくるのが良いですね。好みは分かれそうですが、わたしは好き。それこそボリでもやっていけそうだ。2人目はカブリオールがバケモンです。

 

 ヒラリオンが吹くのが、角笛ではなくナチュラル・ホルンでしたね。ナチュラル・ホルンで正確な音程を取れるヒラリオンはヤベー奴です。ブラームスが賞賛しています(?)。

この演出のヒラリオン、良いやつなだけではなくハイスペックだな……。

 

 バティルドはドレス姿で登場。踊る要素はなく、キャラクター専門です。お衣装かわいい。

貴族組は、シルクハットなど、どことなく英国風です。白髪のカツラをしているので、近世がモデルでしょうか?

 

 アルブレヒトの剣ですが、やっぱり剣はこれくらいの長さが欲しいですよね!? よく考えたら、『ジゼル』も『RJ』もこの長さでやってますよね?! どうした熊川版『眠り』……。

『オネーギン』はピストルだし、『Mayerling』はリボルバーですが……、時代を感じる。

 

 『ジゼル』って、第1幕に関しては、現実に起き得る物語だと思っています。わたしも趣味を掘り下げる中で知りましたが、

Q. 大貴族は変名を使ってお忍び旅行する?
A. はい

Q. 身体が弱い少女は心痛で死ぬ?
A. はい

Q. 死ぬ前に人は狂乱(錯乱)する?
A. はい

ということを知ったので……。知りたくは無かった気もする。

 そもそもアルブレヒト君が村に入っていった理由ってなんなんでしょうね。普通に漁色なんですかね(気持ち悪いな……)。

或いは、ナロードニキタイプか?(?)。村で啓蒙活動をしようとしたら、美人の村娘との色恋沙汰がこじれて身バレして逃亡。うーん、トゥルゲーネフが書いてそう。読みたいかもしれない。

 

 っていうか、アルブレヒトって公爵なんですね……、位が高すぎるのでは。

これって近世代(特に初期)の芸術では珍しい現象で、「公爵」ってそもそも人数が少ないので、誰がモデルになっているのかを悟られないために、伯爵以上の位の人はメインキャラクターとして使わない・個別具体的な名前も出さない、という原則があるんですよね。『オネーギン』の「N公爵」というのも、それが理由であると考えられます。

1841年初演で、異郷が舞台であるとはいえ、メインキャラクターが公爵(しかもなかなかのクズ野郎)というのは、珍しい現象であると思います。

 

 この演出でのアルブレヒトは、ジゼルママから再三「踊るのは身体に障る」という忠告を受けているにも関わらず、ジゼルに対して「踊って」とマイムします。うわー! 確信的加害者!! DV 野郎!! 情状酌量の余地なくなった! 普通に殺人!! お前がドクター・ミラクルか!!

ティッシさんの解釈に悪意はなさそうなので、これは無自覚でやっている設定なのか。一番タチ悪いぞ。信じられん。邪悪な解釈の演出だ……。助けてヒラリオン!

 

 いつの間にかスミルノワ様の演技が格段に進歩していたので、狂乱の場面も見応え充分。シニヨンを崩すのがちょっと早め。両手で頭を抱え込む時に、彼女の頭の丸い形がくっきり窺えて、急に何かに目覚めそうになったので、慌てて考えるのを辞めました(多分同意して貰えると思う)。

最後倒れた時に、右腕がゆっくり床に落ちるのが印象的でした。

 

 今回の演出ではアルブレヒトのクズ度が上がっているので、相対的にヒラリオンの好感度が高まります。ポツヒシヴィリさんの解釈も好青年風で宜しい。

わたしはヒラリオンに「悪いのは君じゃないよ~」って言ってウザがられる村人Gをやりたい。

 

第2幕

 間髪入れずに第2幕です。

 

 ミルタは見るからに高身長です。すぐにわかる。

二回目、下手から出てくるときにヴェールが剥がれていく演出が大変良いです。ヴェールを引っ張っている舞台袖の人が上手い。

一回目のバランスは少し不安定でしたが、二回目からはよくなりました。終盤に至るまで、凜とした佇まいでウィリの女王を好演。はまり役です。

 

 ウィリたちは最初はヴェールを被っています。

下手前の方が、口を開けてるようで、所謂「ウボァ」に見えました。なるほど、亡霊っぽい。

 

 ウィリは見たところ、26人編成+ミルタ+ジゼル。

かなりの大編成にも関わらず、結構小規模に見えたのは、DNB も舞台が大きいということなんでしょうか。

舞台が大きすぎると、特にバレエではダンサーは大変だと思いますが、その分動きがダイナミックなメソッドが育つ傾向があるので、個人的には好きです。

 

 ウィリとなったジゼル。無論、よくお似合いです。第1幕よりも合うタイプ。

スミルノワ様は特に手首が細くて、細長い腕は細枝のよう、手は風に揺られ今にも落ちそうな葉のようだとよく思います。ウィリだとこの辺りが殊更よく目立ちますね。

 しかしわたしが思うにですね、彼女の良さは『ジゼル』だと発揮し切れないのではないか、と思うのですよね。彼女にはもっと合う演目があると思っています。

リュドミラ・パリエロさんの「チャームポイント」が足なら、オリガ・スミルノワ様は背中なわけですよ。あの強靱且つしなやかな反りは、彼女が当代一番だと確信しています。そして、クラシックな『ジゼル』はそれを堪能できる演目ではありません。

 わたしは近代(主に19世紀)のオタクなので、近代が舞台の作品や、近代に創作された作品が好きです。しかし、スミルノワ様を観ていると、ダンサーの身体を極限まで見せる為に、現代作品が生み出されたのだな……ということがよくわかるのですよね。

 

 PDD。無論及第点以上なのですが、『ジゼル』に関しては上には上がいるからな……というところ。

ジゼルの浮遊するような小リフトは、もう完全に(特にサポート側の)経験と技術です。『ジゼル』に特化して鬼のように練習するしかない。

 最高のものは、ジゼルがいつ着地しているのかわからないレベルのもの。ここまで来て至高、完成だと思っています。

↑ この辺りを観てから、ジゼルの着地に僅かでも「よいしょ」という感じが出ていると満足できなくなってしまった。やっぱりフェリ様×ボッレ様ペアって人間辞めた?

 

 こちらに関してはほぼ好みの問題ですが、アルブレヒトの Va. は、贔屓(※ヴラディスラフ・ラントラートフ、というか精確に言うと彼のオネーギンが至高だと確信している)を生で観ちゃっているからな~……という。

特に最後のピルエットは化け物なので観てください。贔屓ながら「キモ……」と思いましたね(※褒めています)。

↑ ヴラドの「チャームポイント」は、疑いの余地無く演技力なので、真価が発揮されるのはドラマティックですが、実は(?)、古典でも充分すぎるくらい戦えます。

 ラントラートフさんもボリショイのプリンシパルなので、やっぱりこんなのがゴロゴロいるボリって怖いな……という感想になるわけです。機会があったら、彼のドラマティックを観てください。他では満足できなくなります。

 ティッシさんは、この後のアントルシャラッシュの爪先が毎度これでもかという程伸びているのが美しいと思いました。

 

 ヒラリオン。ここでの音楽のタイトル、「Vengeance(復讐)」なんですよね。おーい、復讐の相手を間違えていないか?

 ジャンプが高いです。ヒラリオン、しっかり踊るのがここの一曲だけというのは本気で勿体ない。もうちょっと出番をあげてください。

 最後に、ウィリ軍団が後方から一列になって迫ってくるのは怖いですね。これはビビる。

 

 個人的には、ダンスール・ノーブルとキャラクテールを分けるのは、太腿の形だと思っています。ダンサーですから、皆様太腿の筋肉は凄まじいわけなんですけれども、それでも細長い形を保っているのがノーブルタイプ。

大腿筋膜張筋辺りなのかな、筋肉の細かいことはちょっとよくわかりませんが、太腿の上の方の外側がぼっこり飛び出ていると、ノーブルからは外れるように思います。わたしは勝手に「乗馬パンツ(ジョッパーズパンツ)腿」と呼称しています。ポツヒシヴィリさんはこっちのタイプ。

ダンスールが皆ノーブルを目指すのはわかるのですが、乗馬パンツ腿が発達したダンサーさんはそれはそれでお似合いな役が色々あるわけですよ。どうですか、スパルタクスっていう役があるんですけどね、絶対合うと思うんだよね。だってハチャトゥリアンだよ、ジョージア系のダンサーが合わないわけないって。

 

 最後、ジゼルが墓に入っていく時には、投影(?)なども用いていて、少し凝っていました。皆様、『ジゼル』の時は必ず墓が見える席を選ぶように……(※やらかした人)。

いやしかしジゼルよ、死という形は望ましくないものの、あんな DV 男から逃れられたことをここでは喜ぶべきではないか。あなた騙されるのよ、騙されてるのに気づいて尚恋い慕うのは見ていられないよ。それバッドエンドだよ。


 音楽に関しては、聞き慣れないものは、第1幕のペザント女性の Va. ×2、アルブレヒトの Va. 、2幕序曲くらいでしょうか。アダン有識者、宜しくお願いします(丸投げ)。

 

 クレジットはオケの人員まで全て載っています。嬉しいです。そうあるべき。尚広報

 

 公演に関しては、こんなところでしょうか! 

久々に「これだ!」というものを浴びられて満足です。

 

トークイベント

 この日は、中村祥子さん×阿部さや子さんによるトークイベントがありました。ターニャダンサーだ!! 今度はターニャの話をして欲しい。

あんまり内容に触れすぎるのも問題なんでしょうか、よくわかりませんが、備忘がてらに簡単に。

 

 やはりコジョカル様のジゼルは凄いというお話。同感です。彼女のジゼルは絶品。

彼女も、また今回のスミルノワ様も第1幕の時点から儚い解釈である由。確かに。

 

 ダンサー同士が仲が良いと、やっていて(特に演技面が)恥ずかしいと思う瞬間もあるそうな。やはりダンサーさんも人間なんですね、ということを感じる瞬間です。


 「ウィリのポーズは子を抱くポーズ」、「狂乱の場は真っ黒な蟻が這い上がってくるイメージ」などの指導もあったそうで。なるほど。

特に前者に関してですが、バレエって言葉を使わない芸術なのもあってか、口承で伝わるものが多すぎるというか(今何年だと思っているんだ)、文字媒体でのデータに乏しいので、考証が恐ろしくやりづらいんですよね。文字に書き起こしてくれないか。

「○○先生がこう言ってた」みたいなの、ファクトチェック班からしたら、非常に困ります。

 

 阿部さや子さんが司会をするイベントには何度か参加していますが、申し訳ないのですが、執筆もされる方とは思えないほど語彙に乏しくて驚いてしまいます。今日も「本当にその通りで、正に仰る通りです」などの小泉進次郎構文な相槌を連発。

今回はあまり感じませんでしたが、特に音楽に関するイベントの時などは、質問が余りにも初歩的すぎて、「訊いて欲しいのは全然そこじゃないんだよな〜。折角豪華なゲストなのに、どうしてそんな誰でも答えられるようなことを……」が多発しますし、正直に言って、司会をするのは向いておられないと思う。

バレエチャンネルの企画は素晴らしいですし、企画力や、優れたゲストを呼べる人脈は抜群だと思うので(今回も中村さんを呼べているわけで)、こちらに専念されて、司会は別の方に任せてはどうか……と思います。

 

 こんなところでしょうか。

またライブビューイングの類いは増えていって欲しいですね。個人的にはやはりボリショイが観たいのですが、可及的速やかに情勢が改善されないことにはどうにも……。いい加減なんとかして。あと広報の人も変わって欲しい。

主演ふたりが移籍した DNB も、どんどん躍進していって欲しいと思います!

 

最後に

 通読ありがとうございました。9000字です。

 

 この間、音楽評論家の平岡拓也先生とご飯&お茶する機会に恵まれたのですが(お付き合い頂いてありがとうございます!)、先生と違ってわたしはポンコツなので、「優れているものは、もう直感で『これだ!』となるので、それで判断しています。理屈は後から頭で考えて文字にしています。響かないものは、そんなによくないってことです。」みたいな脳筋な発言をしてきたのですが、今回は『これだ!』に該当したと思います。意外とフィーリングで生きている……。

 皆様はどのようにして批評を書いていますか。教えてください。

 

 尚、平岡先生は先月ヨーロッパ遠征に行っていて、オランダ国立歌劇場にも足を運ばれたとか。彼はバレエではなくオペラの民ですが、今回のライブビューイングで、「ここ、平岡さんが行ったところか~!」みたいな気持ちになりました(?)。

我らが殿下も、オランダのハーグやスケフェニンフェンには滞在しているので、わたしも聖地巡礼に行きたいんですよね~。オランダ国立、オペラのレベルは非常に高いそうです。『オネーギン』やらないかな~、観た~い。

 

 さて、次回ですが、もうレビューが溜まっておりまして、バレエ『パキータ』を既に拝見済みなので、そちらのレポートを書いていく予定です。レビューラッシュが終わらない……。

一記事一記事が長すぎるから終わらないのでは? はい、もう本当に仰る通りなのですが、書きたいこと全部書くとこうなるんですよね……。

期待せずお待ちくださいませー。

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でもお目に掛かることができましたら幸いです!