世界観警察

架空の世界を護るために

パリ・オペラ座バレエ団『マノン』2024/02/18 Matinée - レビュー

 おはようございます、茅野です。

最後にバレエを観たのはいつかな、と考えたら、コペンハーゲンですね。つまり、四ヶ月弱観ていないことになるわけですが、大丈夫なのか。わたしはバレエファンを名乗れるのであろうか。

せめて月一くらいで観たいのですが、今はボリショイのライブビューイングとかも無くなっちゃったしな~……と、昨今の情勢を嘆く次第です。

 

 さて、そんなわけで久々のバレエで御座います。先日はパリ・オペラ座の来日バレエ公演『マノン』にお邪魔しました。2月18日マチネの回で御座います。

↑ 紹介時の表記は公式に合わせることにしてるのですが、タイトルは『マノン』でいいのか? 某「エウゲニ」のせいで、タイトルに過敏になっている……。

 

 この間、Twitter でバレエの批評の話をしたら、バズるとか炎上するという程では無いものの、言論が少し盛り上がってしまいました(一連のツイート:その1その2その3その4その5その6)。

この流れでレビューを書くのは、なんと言うか気が引けるところなのですが、わたしのレビューのコンセプトは「個人の備忘」ですので、本来の目的を果たそうと思います。

 

 というわけで、備忘の為、簡単にこちらの雑感を記して参ります。

それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!

 

 

キャスト

マノン:リュドミラ・パリエロ
デ・グリュー:マルク・モロー
レスコー:フランチェスコ・ムーラ
レスコーの愛人:シルヴィア・サン=マルタン
ムッシュGM:フロリモン・ロリュー
マダム :ロール=アデライド・ブコー
指揮:ピエール・デュムソー
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

 

雑感

 今回は4階席中央と、NBS の U25 にしては割といい席でした。桟敷とはいえ、U25 で中央列に座れたのは初めてかも。死角無し! 良きことです。

以前、『マノン』の寝室の PDD を含むガラ公演では、R席で、上手で手紙を書くデ・グリューが完全に見切れて何が起きているのかわからない問題が発生していたので、これはとても有り難いことです。

 ただ、オペラグラスは当然持参していますが、遠いので、表情まではよく見えませんでしたが。

 

 この回は、最後の方まで U25 席が売れ残っていて、不安に思いました。『白鳥の湖』が即刻完売したことを考えると、演目の保守化が更に加速しそうで恐ろしいです。

個人的には、正直、『マノンの物語』は絶対に外せないお気に入りの演目、という程でもないので、見送ることを検討していたのですが、「『マノン』が売れないと、今後『オネーギン』を持ってきてくれないかもしれない……」と危機感を感じ、先行投資(?)。

次回は『オネーギン』で宜しくお願い致します。

 

 最初に少し、タイトルの話を。

こちらの作品、原作のタイトルは、『L'Histoire du chevalier des Grieux et de Manon Lescaut(騎士デ・グリューとマノン・レスコーの物語)』です。

バレエ版に関しては、ROH では『Manon』なのに、パリ・オペラ座で用いられている仏題は『L'Histoire de Manon』。

しかし、邦題は『マノン』で統一されているのだな、という辺りを疑問に思い、調べてみると、このような記述を見つけました。

マクミランが彼の作品のために使用したのは、マスネの音楽だが、しかし、オペラ・コミック《マノン》の曲は使っていない。 1971年の初演に際して、音楽を担当したのは、ライトン・ルーカスだが、 2011年以降は、マーティン・イェイツが再度、編曲している。そのような事情から、マスネの子孫が、同名のマスネの作品とマクミランのバレーが混同されることを懸念したため、パリでは、 1990年の初演以来、《マノンの物語》というタイトルで上演されている(Ballet de l'opera : L'Histore de Manon.1998. p.11.)。

バレーの中のマノン 一1830年5月3日初演の〈マノン・レスコー). 寺西暢子.  p. 33 

(公式も Wikipedia も出典を貼らないので、信頼できる情報に辿り着くのに苦労した。必ず出典を入れてくれ。)

 詳しい経緯を知らないのでなんとも言えませんが、このような子孫さんの懸念はご尤もであり、それを踏み躙る邦題ってどうなんだ、という気持ちを強めました。

 例えば、我が最愛の『オネーギン』は、原作やオペラ版はフルネーム(父称はありませんが)で『エヴゲーニー・オネーギン』と題されていますが、バレエ・クランコ版は『オネーギン』と、姓だけになっています。この命名の事情は、『マノン』と全く同様で、作品の混同を避けるためです。

 『オネーギン』でできることが、『マノン』ではできないのは何故なのか? 今度から、字数などが許す限りは『マノンの物語』と記すように心掛けよう、と思いました。願わくば、可能なら、ファン皆さんが同じように感じて下さるとよいのですが。

 

 予習(……?)として、MET の『マノン』を観てから行きました。オロペサ様ヤバいですね……、彼女は1幕の町娘の時が一番よかったかも。でも3幕の「私ってそんなに可愛い?」には「ハイ!!!!」ってなりました。

WOWOW で録画していたもの。KGL で『オネーギン』をやっていたペリーさんによる演出。個人的に、唯一読み替え演出が上手いと感じる巨匠です。

 マスネの『マノン』って、3幕にパリ・オペラ座のバレエのシーンがあるじゃないですか、あれバレエ版でも残せば良かったのにね、って思いません? それでパリ・オペラ座で上演したら面白かったのに。入れ子構造っていうの?

 

 無論、原作は既読ですが、大分うろ覚え。読もうと思いましたが間に合わず、途中まで再履。折角なので、終演後ですが、最後まで読み通そうと思います。

↑ フランス文学「ファム・ファタル系」の元祖。必読です。

 

 バレエ版に関しては、ROH の円盤は持っていますが、数年は観ていない、という状態です。振り付けはほぼ忘れています。予習するならこっちを観ろという話、でもわたしはマスネのオペラ版が好きだから仕方ないね

↑ サラ・ラム様×ワディム・ムンタギロフさんとかいうえげつないコンビ。ラム様のマノンの「そらしゃーないよ、これは全人類惚れるわ」という説得力は異常。こちらも観直したいところ。

 

 それでは本編について簡単に。

 

第1幕

 最初に思ったことは、レスコーの愛人さん(キャラクター名くらい創作してあげたら?)の足の甲が綺麗すぎるということですね。これでプリンシパルではない、というのは怖い話ですよ。オペラ座、層が厚いな……。

 

 男性コール・ド。文化会館の舞台って、新国よりも大きいはずなのに、これをやるには狭いのでは……と感じました。彼らのポテンシャルを生かし切れていない。周囲を蹴らないように、小さく踊るのに苦労していそうでした。

 

 パリ・オペラ座って、やっぱりお上品なメソッドの印象が強いですが、意外とこうした粗野な(?)踊りもできるんだ、と感心しましたね。確かに、『オネーギン』の農奴の踊りも悪くなかったと思う。

でも、やっぱり貴族組の方が合っていそうではありました。

 

 レスコー。キャラクターダンス類も上手いですね。パリ・オペラ座はやっぱりドラマ性に乏しい印象が強いので……。

パッセ・ソテが高くて大変宜しいです。

 

 娼婦2人組。赤ドレスの方の方のジュテが空中でも着地でもとても柔らかくて釘付けになっていました。何者?

 

 デ・グリューのソロ。第一印象としては、大分薄味……? ということですね。

綺麗……だけど、「私が主人公格です!」という主張が弱く、著しく華に欠けるような。感情表現も乏しく、「良いところのお坊ちゃん」なのは伝わるのですが、マノンに狂おしい程の恋をしているようには見えなかったな……。

 

 わたしが一番見慣れているデ・グリューは極太眉毛氏ローランド・ヴィラゾンさんなので、デ・グリューはあれくらいパッションがないと物足りなさを覚えてしまう……。

 普段バレエしか観ない方も、一回これ観て貰えますか、観入ることは確約するので。バレエでは削られている場面ですが、一度マノンに裏切られたデ・グリューが修道院に入って活躍し始めた頃、その名を聞いたマノンが修道院を訪れ、彼女を拒絶するデ・グリューを口説き落とすシーンです。

↑ サン・シュルピスの二重唱は、フランスオペラの二重唱で一番好きかもレベルで好き。このシーンは演出も最高で、デ・グリューが陥落して修道院の門を開く時のカタルシスがえげつない。そしてこの頃のネトコ様は超美人。

 わたしのデ・グリューの基準が極太眉毛氏なのが悪い……と言われれば、まあ、そうなのですが……、ではそれを越える何かが無いことには、何とも……。

 

 感情表現が控えめであることに物足りなさは覚えますが、踊りは端正です。

デ・グリューの Va. って、よろけているのかステップを踏んでいるのかわかりづらい振り付けで、あれを素人目から見ても綺麗に踊るのって相当至難の業だと思うのですが、ちゃんとこれはステップなんだな、ということが伝わります。

 特に良いなと思ったのが、「振り付けに踊らされている感じ」がないことですね。「こういう振り付けだから、こう動いています!」というのが見えてしまうと、特にドラマティックだと没入感を削がれて最悪なのですが、彼はそういう感じがしないのが良かったです。

 余りにお上品すぎるので、「これは物語が進むにつれて、段々崩れていく解釈、とか……?」と訝ったりしました。多少はそういうところもありましたが、そこまででもなかった。

 

 寝室の PDD 。ソロでも自己主張控えめなデ・グリュー、サポートに回ったときに真価を発揮しますね。サポートが上手すぎる。極めて自然、パートナーが際立ちます。

ただ、デ・グリューならまだいいですが、それこそオネーギンとかルドルフ皇太子みたいな、ドラマティックのタイトルロールや主人公をやっていくのはちょっと厳しそうに見えます。ヌレエフ版本拠地のオペラ座で大丈夫なんだろうか、という余計な心配。

 

 さて、タイトルロール、我らがマノンです。

なんですか、その足?? 怖……、というのが、恐らく誰もが思う第一印象、わたくしも同様です。

弓なりというわけではなく、真っ直ぐなんですよね。それでいて、足の甲の伸びが半端ではなく、ポワントの前の方が軸足の中心に来る(!)という。足が真っ二つに折れそうまである。だから、重心がかなりポワントの前側に来るんですよね。

恐ろしい。バレエですから、脚が美しいダンサーは五万といますが、「重心、そこなんですか!?」みたいなダンサーは彼女くらいではなかろうか。

 脚が見たいから、もうレオタードで踊って欲しかった。お衣装で隠しちゃうのが勿体ない。

 

 脚がえげつないので、つい脚ばっかり見てしまいますが、上半身の柔らかさも素晴らしいです。デ・グリューや、M. G. M. にビッタリと寄り添います。背中を反らせるリフトが美しい。「鏡」もやって欲しい。

 

 ちなみに、羽根ペン投げ選手権も優勝候補。あれは舞台袖、大分飛んだのではあるまいか。

 

 音楽の話。

指揮者が凄く良い、という話を聞いていたので、期待はしていました。が、一方で、来日のバレエのオケの酷さは毎度のことクレームレベルなので、不安でもありました。

結論としていえば、いつものような酷さはなく安心しましたが、折角良い指揮者さんを招聘したなら、もっと良いオケや環境で聴きたかったな……とは思いますね。

 噂通り、確かに PDD のチェロのソロが弱いのは勿体なかったと思います。勿論、全ての楽器が良いことが前提ではあるのですが、『マノンの物語』に於いて、一番死んではいけない楽器はチェロだと思うので。

恐らく、全体的に低音が弱いんですよね、響きが薄い。この間の新国『オネーギン』では、コンバス隊が一番よかったので、殊更物足りなさを感じます。

全体的に、木管(特にピッコロ、フルート)が鋭いのですが、オケピ見る感じ、2管でしたよね? それに負ける弦楽隊、どうなん?

ハープは綺麗でした。2台とも揃っていたし……。

 

 M. G. M. 。あのですね……、恐らく、とてもお顔立ち美しい方だとは思うのですよ、お化粧でわからないけど。しかしですね、特に1幕では、お衣装も相俟って、4階席から観ると、もうどっからどう見てもモーツァルト御大なのですわ。そうにしか見えない。

↑ 完全に一致。カツラから、お衣装のカラーリングまで一致。

もう、「モーツァルトがセクハラしてる……、訴えられても知らんぞ(?)……」としか思えなかった。すみません。まあ確かに、『マノン・レスコー』の舞台となる時代って、マスネではなくモーツァルト時代ですもんね。

 

 PDT、観る度にマノンが捻挫しないかとヒヤヒヤします。何を食べたらあんな振り付けを思いつくんですかね。わたしだったら、万一にも自分の振り付けでバレリーナが足を痛めたら嫌なので、あんなアクロバットは、仮に思い付いたとしても採用できないと思います。まあ、そういう人はそもそも振付家にならないか、それはそうかも。

 

 マノンは PDT の時の視線の動かし方が上手いですね。特に規則性があるわけではなく、ただ、M. G. M. とは噛み合わないようにしている。見事です。

 

第2幕

 休憩を挟んで第2幕。

 

 これはマクミランオペラ座が悪いわけではないのですが、舞台上で酔っ払っている輩、最早トラウマなんだが?? もう今後一生「うわっ、…………」って思い続けるんだろうな、これはもう呪いだ。

新国帰りの同志は、皆同じことを思ったんじゃないかしらん。クレームはベルトマンさんへ出しに行こう、一緒に。Marchons, marchons ! Qu'un sang imp【検閲により削除されました】。

 

 気が付くとマノンの足を見てしまいます。鑑賞中、「は? M. G. M. なんぞよりも、よっぽどおれの方がマノンの足を見ているが……?」と謎に対抗意識を燃やしていました。もうタイトルを『マノンの物語』じゃなくて『パリエロさんの足を凝視する会』に改めた方がよい。

 

 マノンの足以外の全てが視界から消えるとそれはそれで困るので、第2幕では意識して足以外の箇所を観るように努めました。

 そこで気が付いたこととして、マノンは手首の先の使い方も柔らかいですね。Va. や Pas de Dix で、意図的に手首を固定せず、風に揺れる柳のように自然に動かしているのが印象的でした。それこそ、正に移り気なマノンを表しているのように思えました。

 

 『マノンの物語』は、『オネーギン』や『椿姫』、『Mayerling』と同じく、ポプリ形式の組曲。これらの作品群と同じく、同題のオペラを避けつつ、ジュール・マスネの作品から取られています。

 『マノンの物語』組曲も、とてもクオリティが高いものになっており、大好きです。『マノンの物語』に関しては、一応使用曲リストが出ているので、自分で解説を書く必要はないかと思っておりますが、自分用にやっておいてもいいですね。需要もありそうではある。マスネのオペラって名作多いですしね。

 個人的に、中でも好きな曲は……、2幕のワルツで御座いますよ! 元ネタは『ラオールの王』のワルツ。皆さん、全幕観たことあります? どこで観られるの?

↑ 指揮者によって大分雰囲気が変わる曲でもあります。この演奏もかなり良いな。

 今回はここで結構酔えたので満足です。好きな曲で酔えることは素晴らしいことです。オペラグラスでオケピの動きを追っていたので、ここに関しては最早舞台観てなかった。だって、『マノンの物語』より、『ラオールの王』の方がずっとレアなんだもの。ごめん、何やってましたか?(?)

 

 弊ブログの読者さんで、まさか『マノンの物語』組曲をお持ちで無い方はいらっしゃらないかと思いますが……、一応置いておきますからね、これは買って損はないですよ。わたしも一時期ずっと聴いていましたので、音楽だけは全部覚えています。 

↑ わたしが普段聴いているのはこっち。質、凄く良いです。

↑ こちらはわたしも持っていないので、お持ちの方に感想をお伺いしたい。

 

 パリエロさんのマノンはかなり理性的な女性という解釈。寧ろ、デ・グリューと一緒にいる時の方が嫌がっているようにさえ見えます。無意識に男を翻弄する無自覚タイプでもなく、意図的に相手を引きつけようとするコケティッシュさもなく、寧ろそういった「あくどさ」が見えない気高さが、周囲を惹きつけているような。

どうしよう、デ・グリューも感情出力抑えめだし、二人の間に恋愛感情があるように見えない……。

 一番彼女の感情が見えるのが、兄が死んだ時で、……ってこの発言、なんだかオネーギンとデジャヴュな気が……。

 

第3幕

 もう一度休憩を挟みまして第3幕です。

 

 4階席ゆえの見間違いであればよいのですが、マノン以外のオピタル出の女性たちは、みんな裸足ですか? え、裸足で舞台に上げるの流行ってるの? 危ないから辞めよう、まして、バレエなんだし。

 

 パリエロさんの脚が見たくて仕方が無いわたしは、3幕を待ち望んでいました。うむ、スカートが短い、大変宜しい。つまり全くそれでよいのだ。

モーツァルト M. G. M. のフロリモン・ロリューさんは、この役をやるにはちょっとお上品すぎます。いやらしさが足らん。そんなにカッコイイ M .G. M. だと、マノンがデ・グリューを完全に捨ててしまうぞ、よいのか。

HENTAI の国 JAPON の筋金入りの OTAKU であるところのこのわたしが、真の HENTAI とは何かを教えてやr【検閲により削除されました】。

 

 みんな大好き(?)沼地です。現代の OTAKU 文化では、大層魅力的なコンテンツのことを「沼」と呼称しますから、本当によいネーミングです。沼の沼地。

 原作やオペラが好きな人ほど、「なんでここ沼地なの?」と思うわけですが、そういえば過去にこんな記事を書いていました。

↑ 2019年が5年前にあたるという事実が怖すぎるのですが……。今と多少文体違ったりして、はずかしい。

 飢えと渇きとは無縁な沼地が舞台なら、マノンはなにゆえに死ぬんだ。疲労(過労)?

 

 例のワカメ蔦、一回地面に付けてから、また浮かせるんですね。謎のワンクッション。

 

 ちょっと意外だったのは、3幕3場、照明がめちゃくちゃ明るくないですか……? 『オネーギン』1幕2場の方がずっと暗いのではなかろうか。沼、そんなに明るくていいのか? 『明るい沼地』

照明が明るすぎるせいで、悲壮感も薄れていたような。照明ってやっぱり大事なんだなあ……。

 

 マノンもデ・グリューも、3幕の衣装が一番似合っていたように思います。マノンの格好は見窄らしいので、似合うというのも失礼かもしれませんが、だって彼女の場合は脚がよく見えるお衣装が一番良いに決まっているでしょう。

デ・グリューも、身軽になって特に好青年な雰囲気が出ていました。3幕は、お衣装も振りもちょっと2幕2場レンスキーっぽいんだな、ということをここで知る。うん、レンスキーはお似合いになるかもしれない。彼は今のところ、オネーギンよりもレンスキーの方が合いそうな気がする。是非やって欲しいですね。

 

 パリ・オペラ座だからなのか、お二人だからなのかわかりませんが、最後まで余り崩れませんでしたね。ここはドラマティックのラストなわけですし、振り付けも大分それを許していると思いますから、ある程度は崩してもよいと思うのですが。

 瀕死で、身体は脱力しているのに、それでも爪先がピンと伸びているマノン。前に半ばネタで「死後硬直」とか言ったら、何故か皆さんにとても納得されてしまったのですが、いや、絶対違うと思うよ、ツッコんでくださいよ! わかりづらいボケでごめんなさいってば

身体全体は脱力しつつつも、一点は力を入れるって結構難しそうだな……と思いました。

 

 

 全体的に、ドラマティック・バレエにしては演技が薄味で、極太眉毛氏に慣れているのもあってもう少しこちらの感情を揺さぶって欲しいというところが本音です。

 しかし、踊りはとても高水準で、特にパリエロさんの脚に関してはモーツァルト M. G. M. 以上に魅了されていました。今度はもっと脚見せる演目で来てください。はい! わたし、マイヨーの『じゃじゃ馬馴らし』がよいと思います!!

 モローさんも、サポートが恐ろしく上手く、女性が活躍する演目でパートナーにしたら化けるだろうな、と思いました。これ相手も踊りやすいんじゃなかろうか。

 音楽に関しても、管の主張が強すぎ、且つ低音がスカスカするバランスの悪さがありましたが、『ワルツ』で酔えたので個人的には割と満足です。

 重ねて、次の来日では『オネーギン』を持って来てくれることを祈願しつつ、以上です!

 

開演前・幕間の話

 開演前には、初めましての相互さんとお昼へ!

そこで、「家宝」を頂いてしまったわけなのですが……(※他人から家宝を貰うという日本語はバグの極みですが、茅野家では家宝的意味を持ちます、の意です)

↑ 最高すぎないか?? 頂けて心の底から嬉しい一方、これを手放したくなる心理がわからなすぎて混乱しています。大事にします……。

え、ちょ、お゛、これわたしが持っていても犯罪になりませんか、大丈夫そうですか……。奇声を発しながら走り回りたくなる衝動を抑えるのに必死でした、なんとかなってよかった。

 わたしが『オネーギン』を盲愛していることは周知の事実ですが、特にラントラートフ(ヴラド)さんのオネーギンが至高だと確信しておりまして……、観ればわかります、あの人のオネーギンは、唯一「ロシア青年貴族」だから。このオネーギンのせいで今こんなことになってるんだが……? 劇薬ですよほんとに……、人生ねじ曲がったわ、良い方向に。

 この最高のプレゼントに関しては、後ほど別に一本記事にしようかな、と思いますのでそちらで詳しく。なんと韓国語版のパンフレットまで頂いてしまったのですが、韓国語は全く読めないので、一人で楽しく眺め回すだけに留め、ロシア語の記述に関してだけで失礼することになりますが……。

本当にありがとうございます!!!! これからも仲良くしてください!!!!

 

 それから、ドラマティック・バレエファンの同志とも感想会ができてよかったです! わたしはここで長文文字起こししていますが、また詳しく感想お聞かせください。

 また、終演後にインタビュー動画のディクテに付き合ってくださった相互さんも! ありがとうございます。フランス語のディクテってなんでこんなに鬼畜なんですか。一人でやると心が折れますから、お付き合い頂けて大感謝です。こういうのを付き合ってくれる友人が一番欲しかった。

 

 他にも、相互さんが会場にいらっしゃっているのは何人か存じておりましたが、タイミング合わずご挨拶叶わず。今度機会がありましたら宜しくお願い致します!

 

最後に

 通読ありがとうございました! 「『オネーギン』以外の演目には特に興味ないです」を公言している強火オタクなので、パパッと書き終えるだろうとおもっていたら、何故か1万字書いています。恐ろしいことだ。

まあ、それだけ楽しめた、ということで!

 

 次回バレエのレビュー記事になるかな、と思います。急に来たバレエの波。土壇場で席を買いましたので。

もし同日の方がいらっしゃいましたら、またご挨拶させてくださいね!

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でもお目に掛かることができましたら幸いです。