世界観警察

架空の世界を護るために

日本バレエ協会『パキータ』2024/03/10soirée - レビュー

 こんばんは、茅野です。

急に温かくなって参りましたね。もう春でしょうか。

 

 少し時間が経ってしまいましたが、先日は日本バレエ協会の『パキータ』公演にお邪魔しました。3月10日ソワレ千秋楽の回でございます。

↑ 都民芸術フェスティバル、初めて参りました。

 

 ライブビューイングが主でしたが、ほぼ3日連続でバレエとは。こんなことは『オネーギン』以外では初めてです。どうした急に。

↑ 連続して観たもの。

 前日にスミルノワ様を拝んで無駄にハードルを上げておきました。あまり宜しいことではないにせよ、事実として、観劇は鑑賞者自身のコンディションやテンションに大きく左右されますからね。

 

 今回も、備忘がてらこちらの雑感をごく簡単に記して参ります。

それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!

↑ カッコイイ広報画像も作らず、これ一枚でゴリ押してるのも逆に凄いまである。

 

 

キャスト

パキータ:米沢唯
リュシアン:中家正博
イニゴ:高橋真之
ドン・ロペス:マシモ・アクリ
指揮:井田勝大
管弦楽:ジャパン・バレエ・オーケストラ
復元振付・演出:アンナ=マリー・ホームズ
演出補:マリー・ホームズ・ムンロー

 

雑感

 ついこの間、パリ・オペラ座来日公演で文化会館の4階席中央に座り、「意外とよく見えるじゃん!」ということを知ったので、今回も近い席をチョイス。結構居心地いいですね。

 

 バレエの広報どうなってるんだ問題その①。キャスト表とあらすじを配ってくれ。

何もないことに驚いてしまいました。そのくらいは無料配布してくれていいでしょう。

 

 バレエの広報どうなってるんだ問題その②。そもそもどこで広報してたんでしょうか?

今回、公演情報を掴むのが困難でした。わたしのフォローしている範囲では全く公演情報が入ってこなかった。

以前、文化会館小劇場の『二期会ロシア歌曲研究会 第25回記念定期演奏会』にお邪魔した時に、こちらの『パキータ』公演のポスターが貼られていて、「『パキータ』やるの!? 聞いてないが!?」となって公演情報を調べました。

 結構席の売れ行きはよかったようですが、どこに広告を打っていたんだ。わたしはそこまで熱心なバレエファンではありませんが、結構劇場通いしている方なのに、それでも入ってこないとは。

 

 わたしは国内に特別贔屓のダンサーがいる訳では無いので、基本的にバレエ公演は空いている日に行くようなスタイルなのですが、今回は、偶然「相互さんの贔屓さん(米沢さん)の日に行けるぞ!」ということで、その点も楽しみにしていました。知り合い・友人のご贔屓さんって、やはり注目してしまいますよね。

最近はバレエ界隈の方とも繋がりが増えて嬉しいですねー。わたしはほぼ『オネーギン』しか観ない異端ですが……、どうぞ宜しくお願い致します。

 

プロローグ

 大分開始が押しました。10分以上押していましたね。休憩時間で帳尻を合わせたりすることもなく、普通に終演もずれ込んでいました。『パキータ』は短いのでいいですが、終電を気にするような人が出る演目では勘弁願いたいところですね。

 

 いやしかし、プレトークがあるなんて聞いてないし! だから、どこに情報出してたんだよ!

今回はギリギリ駆け込みだったので、ほぼ聞き逃しました。悲しい。マイムのところだけ辛うじて聞けました。

我らが三島先生が内容のレポートを書いてくださっていて大変助かります。いつもありがとうございます。

↑ 今すぐ三島先生の批評を読もう。

 

 プロローグと1幕の間に長い時間の隔たりがあるということは、観ただけではわからないと思います。だからこそ、何故あらすじを配布しないのか、という話なんですが……。

ほぼ蘇演そのままの『白鳥の湖』やりますよ、ならともかく、世界初演の新演出なんて、当然のこととして誰もストーリーがわからないのだから、それくらい無料配布するのは当然なのではあるまいか。

 

 新演出だと、元々無理のある設定を弄れるのが良いですよね。何故か、それを上手く活用しない or 謎の改悪がある場合もありますが。

初っぱなから、「わあ、チャイルドレイバーだ。そして幼い女の子にお花や果物を売らせるのって……」などと考えてしまいました。当時ではそうしていたかもしれませんが、「現代でも受け入れられやすいように」改変するんじゃなかったんかい、と思いつつ。

 

第1幕

 中幕が空いて第1幕へ。

 

 ここで、視力検査の始まりです。

上手前にお墓?……じゃなくて、一応設定上は顕彰碑なんでしたっけ、があります。が、4階席からだと、オペラグラスを凝視してもよくわからない。

恐らく、 Comte d'Hervilly と書いてあるのかな? という気はしますが……。

 その下に、生没年が書いてあるのですが、見えず!! そこ一番大事なところなのに!?(※時代考証班)。没年がパキータの生まれ年になる、最重要ポイントなのに!? なんてこった……。

生年は18世紀……か……? というところしかわからなかった……。

ここ、見えた方がいたら是非とも教えてください……。もっとガチの双眼鏡を購入した方がよいのか。

 

 ところで、現実にも d'Hervilly 伯爵という人は実在するらしいです。例えばこの方。

↑ Wikipédia で恐縮ですけれども。

 しかしこの方、白軍(王統派)の方っぽいですけれども。真逆やないかい。まあ、伯爵なんだし、当然といえば当然なのですが。Salve Regina 歌っとく?

時期にもよりますが、歴史ある伯爵の家柄なのにナポレオン側なのか……、と思いましたが、つまり舞台は1808年以降ってことなんですかね?

 

 ついこの間もこの話を書いたばかりですが、大公、公爵、伯爵など身分の高い人は、近代初頭までは、フィクションに於いて、基本的には名前を出さないようにして描写されていました。

更に今回は、実在する地名が苗字となっている実在の伯爵の名前を使っているということで、当時これは問題にならなかったのだろうか、と考えてしまいます。

Wiki を読む限りだと、『パキータ』初演の時もこの一族はこの家名のまま続いているようですし。

どういう設定なんだ……。初演はパリ・オペラ座だったそうですが、フランスって舞台芸術の検閲緩いのかな(※ロシアに慣れている顔)

観客の中に、その Comte d'Hervilly さんがいてもおかしくない、という状況な気がするのですが。

 

 バレエあるある:主人公の友人たち枠。ぼっちはヒロインになれないらしい。

お衣装は紫組と紅組に分かれます。

紫組は、下手側の方は足の甲が綺麗で、上手側の方は上半身の軸が綺麗だなと感じました。紅組も、第1幕は卒が無かった印象です。

 友人たちにもそれぞれお名前が付いているんですね。物語に深みが出て良いと思いますが、無論、誰が誰なんだかはよくわからない。

 

 主演組。本日は新国組です。

パキータは、お衣装は友人組に近いですが、もう出てきて一目でプリンシパルとわかるほど華があります。ちょっとセクハラっぽい発言で恐縮なんですけども、鎖骨や肋骨がくっきり出ていて、痩せられた……? というか、バレリーナはこんな細い身体で体幹が強靱で恐ろしいな、という認識を強めました。

 『パキータ』はスペインもので、上演回数が少ないことに関しても、まあ言ってしまえば「『ドン・キ』の下位互換」みたいな扱いだったわけなので、どれだけキトリと差別化できるかが肝です。

明るく快活な少女でありながらも気品があり、なるほど、これがパキータか、と思いました。昨日のアルブレヒトといい、バレエはそんなん大好きだな?

 

 Va. に関しても、音の取り方がよく、民族舞踊風なのも合っていました。そして背中の反りも綺麗。

 

 リュシアンの第一印象:タイツ白っ。「シーツのように真っ白」って正にこのことだ……と思ってしまいました。こちら、主に顔色の描写以外で見たことが無い比喩ですが(使用例①使用例②)、今日はバレエのタイツにも使用できることを学びました。成長。

仕方が無い、前日観たのがアルブレヒトだったんや(タイツの色は茶→紫)。大丈夫です、今回は軍服のズボンの色に合わせていることはわかっていますので……。

それにしても、肋骨服なんですねえ。フランス軍ってあんまり肋骨服のイメージないけどな……。

 

 シーツのような白という膨張色もあってリュシアンは体格がよく、存在感があります。ノーブルながらも、ちゃんと戦場にも赴く軍人なんだな、という感じがしますね。

 

 イニゴは、先日で言うところの「乗馬パンツ腿」タイプ。こちらは逆に黒で引き締まって見えますが、ちゃんとバレエの敵役っぽくて良いです。このポジションの人が良いと、ストーリーをきちんと楽しめるので良いですよね。

 イニゴって、オペラだったら絶対バリトンで、なんかめっちゃいいカヴァレッタ歌うよな、って感じがしませんか? 同意が欲しいところです。

 

 「プティパとスペイン」といえば、毎回悪役にされること。そのことに関しての記事を過去に書いているので、良かったらどうぞ。『パキータ』にも触れています。

 振付家の(かなりヘイト的な)思想が滲み出ているのもどうなんだ……と思いますけれどもね。そういう点こそ、新演出によって改変されていって欲しくもあります。

 

 驚いたのは、闘牛士風の踊りのところで、舞台上の人が声を出していますか……!? 最初、えげつねえフラブラおじさんがいるのかと思いましたが、そういうことではなかった。

個人的には、バレエで舞台上から声が出るのってタブーだと思っていたので、これには驚きました。『オネーギン』や『マノン』で同題のオペラから曲を引くのがタブーとか言っているのとは訳が違うのでは(※よく誤解されていますが、「同題のオペラからの引用」がないだけで、「オペラからの引用」は多くあります。そう考えると、何故同題のオペラからの引用がダメだったのか理解に苦しみます)。

 うーん、個人的には、バレエで舞台上から声が出るのは好きではありませんが……、どうなんだろう。皆様の評価を伺いたいところです。

 

第2幕

 第2幕1場はほぼマイムパートで、踊りはありません。

三島先生が仰っていたように、「ちょっと話(マイム)長くない?」現象は大いにありました。

でも、パキータが愛らしいので概ねカバーされています。偉大なりヒロイン。

 

 自宅に隠し扉がある家ってどんなんよ、と突っ込んだら負けでしょうか。カラクリ屋敷か。ロマの首領って、そんな凝ったおうちに住めるほど、財力あるんですかね。

 また、その仲間であるパキータが、家の構造について熟知していない、というのも意外な感じがします。なんというか、身を寄せ合って生きていて、一団は半ば同棲しているようなイメージだったので、どれくらいの距離感で生きているんだろう……と考えてしまいました。

 

 ロマといえば、やはり我らがニューエクスプレス・ロマ語の衝撃には敵いません。発売当初より、語学界隈では「伝説の一冊」として崇められているとかいないとか。

↑ 入門編にして、いきなり命乞いのやり方が学べます。

最初見たときはわたしも爆笑しました。安定と安心のニューエクですから、語学書としても良書なのですが、ネタで買っても充分楽しめると思います。

 

 剣戟。やっぱり剣の長さって以下略。三連続である。物騒な作品ばっかりである。

 

 途中で、パキータからなにか落ちました? 髪飾りの一部か何かだろうか。

リュシアンがスッとスマートに違和感なく拾っていて、役柄にも合っているし、流石のリカバリーでした。

 

 

 第2場。グラン・パです。

 

 単純に疑問なのですが、将軍の館にいきなりロマの集団が入ってきちゃうの大丈夫なんですかね。結婚式とかだしいいのか。寛大である。

 

 版によって異なるのかもしれませんが、リュシアンとパキータは、この新演出でも従兄妹という設定です。「いとこ同士で結婚しちゃうの!?」と感じてしまいます。

ロシア正教では従兄妹(従姉弟)同士の結婚を禁じていますが(それによって泣かされた大公女の例)、カトリックは違うんですね。ちょっと意外です。

先日の猟師の件といい、西欧(南欧)とロシアの差は意外と大きいのかもしれない。

 

 皆さん、わたしが何故わざわざ『パキータ』公演に足を運んだか。そう、『パキータ』のグラン・パには、ニコライ・チェレプニン作曲『アルミードの館』が挿入されているからです。

そのためです、そのためだけです、とさえ言ってもいいですね。『アルミード』はいいぞ。

 『アルミード』の為だけに『パキータ』全幕に来たのはわたしだけかもしれませんが、『アルミード』は『パキータ』以上に上演機会がないので、致し方あるまい。生音で聴けて嬉しかったです。

 

 『アルミードの館』は、何と言って、音楽がめちゃくちゃ可愛いのです。バレエ音楽に求める全てがあります。

↑ ニコライ・チェレプニンはいいぞ。

 特に、『パキータ』でも挿入されるヴァリエーションの一曲は大層可愛らしく、一時期ピアノで弾いて遊んでいたくらいでした。『アルミード』はいいぞ。

 

 アルミードの Va. は、ジュニアコンクールなどで踊られることがままあり、クラシックの Va. の中でも簡単な部類、という認識があるかもしれません。

違うんですよ。何事もそうですが、ちゃんと踊るのは難しいのです。ラリサ・レズニナさんの舞踏を観てください。

「動画を再生できません」と表示されていると思うのですが、投稿者の設定により他サイトでの埋め込みができない仕様になっているだけなので、下の「YouTube で見る」を押して頂ければそちらから見られます。是非。

↑ 素晴らしい、これが正解。

 お衣装は現マリインスキーのものや、ボリショイのものの方が可愛いですが、踊りの端正さで言ったら彼女一択です。

 

 そんな期待の『アルミード』ですが、正直、満足できる出来ではなかった……ですね。振付の通りに踊ってはいるけれども、以上、というところ。

『アルミード』に限らず、パキータの友人組は、第1幕では良かったものの、第2幕では「あれ……?」という印象になってしまいました。

 三島先生が、

女性陣は衣装がクラシック・チュチュになりました。何が言いたいかというと、1幕で半分隠れていた足が見えているということです。髪もきっちりとまとめたので、なんというか、ボロが出るというか、この場面だけ見たら満足度は下がりますね。踊りに大きさがないのをスカートや髪のひらひらでごまかしていましたが、それがなくなるので全部バレちゃうような感じでした。

【バレエ】パキータ(日本バレエ協会)

と書かれていて、なるほど、と思いました。完成度のみならず、そういう側面もあると思います。同感です。

 

 今回は、まさかの「第9」ベートーヴェンじゃないよ)、無し!

ちょっと驚きました。『パキータ』の Va. では、第9が一番好き、という方も多いのでは? (わたしは専ら『アルミード』派ですが……)。

↑ 先日観たばかりのスミルノワ様で。やっぱり彼女は大プリマですわ……。

 

 そういえば、グラン・パの美術はボリショイのものにとても近いですね。

上手前のデルヴィリ将軍の肖像画は何か元ネタがあるのだろうか。ピンと来た方はご一報くださいませ。

 

 リュシアンも、Va. は端正で素敵でしたが、一番最後に床に手をついてしまいました。勿体ない。

 

 最後の頼みの綱、タイトルロールですが、彼女に救われましたね。今回は完全に「米沢さんを観る会」だったな、という印象です。

 いやしかし、フェッテの最中に客は手拍子するな、って習いませんでしたか!? バレエ鑑賞をする上での常識だと思っていたので、大層困惑しました。

フェッテ中の手拍子は、ダンサーさんが音楽が聞こえなくなってしまうので、事故を起こしかねず、危険です。

それでも何事も無かったかのように回りきった米沢さんは立派で流石でしたが、複雑な心境になってしまいました。

 

 オケに関してですが、悪くは無いのですが、各パートの音量のバランスがかなり壊滅的です。DTM だったら、真っ先に「ミキサー」の画面を開きます。

パーカッション組が元気すぎて、他の全てを蹂躙する勢いでした。もう少しバランスを考えられた方がよいとは思います。

 

 上演に関しては、こんなところでしょうか。

新演出、「現代人にも受け入れられるように」という割には、そこまで大きな改変は無かった印象です。

 パキータの米沢さんを観る会としては充実した上演であったと思うのですが、その他の点はもう少し盛り上がりが欲しいな、というのが正直なところです。

全通勢の意見でも、タイトルロールは今日が一番良かったとの由。パンフレットでも、「ベテランの水野さん」「期待される若手の吉田さん」「現在最高潮の米沢さん」とのことでしたからね。

 

パンフレットの話

 さて、先に申し上げておきますが、「おれは今から怒るぜ」を開始します。

バレエの広報どうなってるんだ問題その③。パンフレットの質が低すぎる

 

 宜しいですか、わたしは本当に怒っていますが、「アレクサンダー・チェレプニ」って誰なんだよ! 「ニコライ・チェレプニン」なんだが! しかも、なんでよりによってチェレプニンを間違えるんですか! 有り得ないんだけど!クレジット間違えられるのは一番困るんだけど!!

これに1000円出してしまった事実が悔しい。あらすじを配布しないのが悪い。

 

 英語版も Alexander Tcherepnin になっています。Николай です……。

英語版では最後にちゃんと n がついているんですね。日本語版、「アレクサンダー」でもなければ「チェレプニ」でもないし、これはマジで誰なんだ。

 

 まあ、何故その間違いをするのか自体は理解できて、ニコライ・チェレプニンの息子である、「アレクサンドル・チェレプニン」さんも有名な作曲家兼ピアニストなんですよね。

ちなみに、こんな方。

↑ 20世紀らしさが強いので、わたしは19世紀寄りな父派ですが、息子は息子でいいぞ。

 正直、そんなベタな間違い方する? という気持ちです。

チェレプニンが親子共々有名なことは、ロシア音楽に関心がある人の間では常識であり、意識して気をつけるポイントです。従って、正直、本当に何も知らない、お勉強不足な方が書いたんだろうな、ということが丸バレで……。

 

 でも、『アルミード』を書いたのは父ニコライさんの方なんで!! そこ絶対お間違い無きように! 宜しく!!

割と本気でクレーム入れるか迷っています。謝罪して訂正して欲しい。

 

 岡本会長の肩書きは、「公益財団法人日本バレエ協会」にシールを貼って、「公益社団法人日本バレエ協会」に訂正してあるのに、何故チェレプニンは直してくれないんだ。

ナメられているのか? ここまで酷いと、故人だからって好き勝手書いて良いとか勘違いしているのかと邪推するぞ。我ら近代オタクは許さないからな。

 

 他に関しても、誤植が余りに多すぎます。ページ数も振っていないし……。映画タイトルを二重カギ括弧、バレエタイトルをカギ括弧にしているのも謎ですし。

 例えば、アンナ=マリー・ホームズさんの説明に、「リティッシュコロンビア」とありますが、これは正しくは「ティッシュコロンビア」。知らない土地だ……と思ったらただの誤植だった。

 また、デルデヴェスの没年が「1987年」になっているところがあります。流石に長生きしすぎだろ。「1897年」です。

 更に、正にこの『パキータ』の初演も、「1844年」と記されているところがあります。年号苦手?

 パッと気付いただけでこれだけあるので、恐らく校正班が見たらもっとあるだろうと思います。このクオリティで、普通有料にするか? なんで客のわたしが校閲やらされてるわけ?

 

 更に言えば、日本語も正直綺麗ではないですよね。

無駄に冗長な「Story」は、文中で主体が入れ替わるのに主語を後ろに持ってくるせいで、とても読みづらいです。

というか、こんな長ったらしく読みづらい「Story」ではなく、ちゃんとした「あらすじ」を配布して欲しい(n回目)。良いですか、「あらすじ」は漢字で「粗筋」と書きます、我々が求めているのは簡単な「粗い筋」です。その他に欲しいのは、解説です。

 

 翻訳された部分に関しても、無駄に読点が多く、所謂「おじさん構文」みたいになってしまっています。もう少し、読点を、減らした方が、読みやすい、カナ!?( ̄▽ ̄;)

 

 極めつけは、ロシア語が全角キリル文字で書かれていること! もう目も当てられません。全角キリル文字を絶対に許すな。滅びたまえ。

 全角キリル文字を使っているせいで、語中で改行が起きています。それだけなら、半角で書いても、長い単語はハイフンで繋げて改行することもよくあるのでまだいいものの、 из で 改行してますからね。и/з で。キモすぎる。 少しでもロシア語が読める人なら絶対にそんなことしません。

本当に何もわかっていない人が編集しているんだな……という自己開示ありがとうございます、って感じですよ、ドン引きます。

(※斉藤先生の解説はこのパンフレットの中で唯一素晴らしいです。わたしが問題にしているのは、編集者、体裁を整えた人、フォントを選定した人、校閲(絶対やってない)をした人です)。

 

 このイベント上、仕方が無いことではありますが、小池百合子都知事がコメント入れてるのもなんだか妙に腹立ちますね。なにが「東京都は芸術文化で躍動する都市」なんですか、いくら芸術に予算入れたのか言ってみな。

 

 ダンサーさんその他の、無駄に細かすぎるプロフィールがズラズラ書き立てられ、それでページ数を増やしているのも謎です。その分のページ数を減らし、予算を優れた解説者に充てろ。

 YouTube に投稿した動画の再生回数の情報とか、もうひたすらにどうでもいいですからね。虚無です。マジで何? 誰得情報?

 

 わたしは、心の底から、大半のバレエの広報とパンフレットの雑さが嫌いである。

一ミリも校正・校閲をした形跡が見受けられない。ファクトチェック以前の問題です。なんなら代わりたいまである。

いい加減にして欲しい。公演自体は悪くなかったのに、パンフレットのせいで、正直後味が最悪です。

 

 何かお勧めの「お口直し」がありましたら教えてください。

以上です。

 

最後に

 通読ありがとうございました。9000字超です。何故いつもこんなに長くなってしまうのか……。

 

 漸く観劇ラッシュから解放された気がします。しかし、配信されている公演等で書きたいレビューが幾つかあるんですよね。

しかし、いい加減レビューも書き疲れましたので、次回はレビューじゃないものを書きたいな、と思います。そろそろ旅日記の続きを書かせてくれ。

 

 お勧めの公演情報がありましたら、是非とも教えてください。

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でもお目に掛かることができましたら幸いです。