おはようございます、茅野です。
久々の二徹記事です。まあまあ難産だった……、というより、検証すること・調べること・書くことが多かった……。
この記事はお時間がある時にお目通し下さいませ。
アプリ『ウマ娘』が 2.5 周年ということで、供給が溢れております。99世代が来るということは、わたくしは記事を書かねばなりません。
遂に来ましたね! ナリタトップロード……!!!
↑ 満を持して!
トプロ委員長はサポートカードの時も天井だったので、宜しくない予感がしつつ、お出迎えに参りましょう。
無限すり抜け pic.twitter.com/SjB0o16hqq
— 茅野 (@a_mon_avis84) August 24, 2023
天井ギリギリのギリで出るっていうね。追い課金しました👛
— 茅野 (@a_mon_avis84) August 24, 2023
サポカも天井だったし、トプロちゃんに愛されてないのかもしれん🥺 pic.twitter.com/VKsajM8FhE
流石にすり抜けすぎでは……?
というか、198って酷くないですか? そこまできたら天井いかな……くてもいいけども。案の定、難産でしたね2万円突っ込みました。
というわけで、今回も、毎度お馴染みオペラ鑑賞ファンのオペラオー君担当トレーナーと、オペラを観るコーナーです。
↑ 爆発的に伸びたオペラシリーズ第一弾。
↑ その他ウマ娘の記事はこちらからどうぞ。アヤベさん編などもあります。
今回は、[ The Proud Road ] ナリタトップロード、育成シナリオ「プロジェクト L'Arc」、ストーリー「2.5th Anniversary」に含まれる、テイエムオペラオー君のオペラに関する発言を、オペラを観たことがない入門者にもわかりやすいように、なるべく平易に解説していく記事になります。
【注意書き】
・考察・解説記事ですので、当たり前にネタバレを含みます。
・考察なので、必ずしも正しいとは限りません。深読みもします。
・漏れ・抜けがあったらすみません。
それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!
↑ やっとドトウちゃんからセンター引き継ぎです。
- 羽ばたくライバルたち
- 新年の抱負
- 皐月賞に向けて
- 皐月賞の後に・伏王、戴冠せり!
- 新章は魔笛と共に
- 天皇賞(春)に向けて
- 夏合宿(3年目)終了
- 天皇賞(秋)にむけて
- 天皇賞(秋)の後に・意外なお祝い
- ジャパンCに向けて
- プロジェクト L'Arc / フランス語学習
- 2.5th Anniversary 第1話
- その他音楽用語
- 最後に
羽ばたくライバルたち
『夏の夜の夢』
嗚呼、
妖精王 よ! このボクに、誰よりも早く蒼草を踏めというのかい?ならば生誕し、うら若き覇王の姿を見せようじゃないか。そう―――
このテイエムオペラオーの御姿を!
いきなりなかなか渋めの路線から攻めてきました、ベンジャミン・ブリテン作曲『夏の夜の夢』! 英語のオペラです。
今回は夏に配信ということもあって、このネタが多いですね。尤も、この物語の季節は本来春であって、夏ではないのですが。
原作はお馴染みウィリアム・シェイクスピア。原文を殆どそのまま使用して歌詞としているので、当然ストーリーもほぼ同じです。
↑ このシリーズの表紙お洒落ですよね~。全巻集めたいまである。
結構筋が入り組んでいるので、妖精編に関して簡単に。
妖精の王オーベロンと、その妃ティターニアは、取り替え子(妖精などに人間の子どもがさらわれ、トロールなどと入れ替えられてしまう伝承。ここでは妖精サイドなので、さらった人間の子どものこと)を巡って夫婦げんか中。
オーベロンは従者の妖精パックに、「眠っている妻の瞼に『目が覚めて最初に見るものに惚れてしまう薬』を塗るように」と命じます。
パックはその命令を実行しますが、その後悪戯で、森に来ていた職人ボトムの頭をロバに変えてしまいます。ティターニアが目を覚まし、最初に見たものはなんとそのロバ頭ボトム。
ロバ頭に熱烈に恋い焦がれる妻を見るに見かねたオーベロンは、魔法を解いて、妻と仲直り。めでたしめでたし。
……これは妖精編に関してだけなので、他の要素も沢山あります。結構ややこしいので、まずは原作から読んでみて下さい。
オペラ『夏の夜の夢』でのオベロンは、カウンターテナーという、女声と同じ高音域を担当する男性が歌います。日本で最も有名なのは、『もののけ姫』の米良美一さんでしょうか。
カウンターテナーは、時代や社会によって評価が分かれる声域です。
バロックや現代オペラでは好まれていますが、近代に入ると女性ソプラノ歌手などに押されて下火に(ここに関してはカストラートとの関係など色々興味深い事情もあるので、関心がある方は調べてみて下さい)。現代では見直され、舞台上に戻ることも多くなってきました。
今回聴いて頂くのは、そんなオベロンのアリア『野生のタイムの咲く堤を知っている』です。
「蒼草(ターフ?)を踏む~」の辺りは引用ではないのですが、このアリアはちょっと近い感じしますよね。
演出が結構不気味ですが、どうぞ。
↑ 若手の英語オペラ・カウンターテナーの旗手、クリストファー・ローリー氏。シェイクスピア原作オペラによくご出演されています。
「カウンターテナー、いいな!」と感じた方は、オペラ愛好家の中でも猛者が集うバロック・オペラに向いています。開拓してみてください。
『青ひげ公の城』
はーっはっはっは! こうでなくてはね。筋書き通りでは面白くない!
次幕『立て、傷心の覇王子よ! 君の涙は世界の湖!』に、乞うご期待さ!
まさかのデビュー戦敗北のオペラオー君。波乱の幕開けです。次回予告をして去ります(尚、描写はされませんが、その次も……)。
意図的に仕込まれているという確信はありませんが、オペラと「涙の湖」といえば、バルトーク作曲『青ひげ公の城』でしょうか。「覇王子」ではなく「覇公」だったら確実でしたけどね。
『青ひげ公の城』は、数少ないハンガリー語のオペラで、上演時間も短く1時間程度と、なかなか扱いが難しく、それ故に中堅どころの知名度に留まっている作品です。デビュー戦時のオペラオー君、選曲が渋い!
しかし、童話を元にしたゴシック・ホラー調なこの短編オペラには熱狂的なファンも多いですし、また登場人物も少ないため、小編成な歌劇団が取り上げることもままあります。
20世紀に入ってからの作品なので、すぐに口ずさみたくなる名アリア! 等はありませんが、映画音楽のように状況描写に富んだ音楽も素敵です。
「ホーンテ○ドマンション」とかお好きな方は、絶対好きだと思います。
あらすじをご紹介しましょう。
優しい家族を棄て、青ひげ公の城にやってきた女性ユディット。城主・青ひげ公は、考え直すように諭しますが、ユディットは愛する青ひげ公と共にここで暮らすと宣言します。
暗く陰気な彼の城。そこには開かずの7つの扉が。青ひげ公は「開けてはならない」と拒みますが、好奇心に駆られたユディットは、強く懇願して鍵を貰い、一つずつ城の扉を開けていきます。
扉の先には、中で何が行われたのか、ミステリアスな城主・青ひげ公とは何者なのかと、想像を搔き立てる数々の部屋が―――。不気味な古いお城の謎、是非ともご自分の目と耳で確かめてみてください!
一つの扉の先だけネタバレをします。第6の扉です。歌詞を見てみましょう。
JUDIT:
Csendes fehér tavat látok,
mozdulatlan fehér tavat.
Milyen víz ez Kékszakállú?ユディット:
穏やかな湖が見える
白く、波の無い湖が
これは何の水なの、青ひげ?KÉKSZAKÁLLÚ:
Könnyek, Judit, könnyek, könnyek青ひげ:
涙だよ、ユディット。涙、涙なのだ
お城のお部屋の先に湖が広がっているって、『ナルニア国物語』みたいで素敵ですよね(尚……)。
では、第6の扉の鍵を開けるシーンを見てみましょう。写実的に表現するのが難しい演目なので、オペラ映画版から。
↑ ホラー系なのでサムネが怖いんですが、お城やお衣装は凄く綺麗ですよ。
1時間と短いですし(一般的なオペラは2時間~3時間半くらい)、英語字幕も付いているので、お時間があれば是非ともフルで観てみてください!
夏にピッタリの演目ですね!
新年の抱負
プッチーニ
おお、やっと書けたぞ! プッチーニも舞い踊る、珠玉の一言が!
踊るプッチーニ、是非とも観てみたいところではありますが……(?)。
イタリアの「オペラ王」ジュゼッペ・ヴェルディと並ぶ、もう一人の「オペラ王」、近代最強のメロディメイカー、作曲家ジャコモ・プッチーニ御大です。
↑ こちらが御大のお姿。踊って!
オペラオー君は、初期の頃は何故か頑なにヴェルディオペラの引用を避けており、プッチーニ作品、特に『トゥーランドット』からの引用が多かったので、我々オペラ好きオペラオー君トレーナーからは、「オペラオー君はヴェルディよりプッチーニ派」と認知されていました。
オペラオー君はワグネリアン(※熱狂的なワーグナー愛好家のこと)であり、モーツァルティアン(※熱狂的なモーツァルト愛好家のこと)でもありますが、王道のイタリアオペラも勿論お好きな様子。是非ともロシアオペラも宜しくお願い致します。
ワグネリアンとモーツァルティアンの兼任って変態すぎません? まずこの時点で化け物なんだよな……。わたしも会ったことないですもん、そんなトチ狂ったガチ勢……。
ヴェルディとプッチーニは、誰もが認めるイタリオペラの二大巨頭。「ヴェルディとプッチーニ、どっちが好き?」は、文学でいう「ドストエフスキーとトルストイ、どっちが好き?」ばりのオペラ愛好家あるある質問です。皆様はどちらがお好きですか?
一般的には、「作品全体としての完成度ならヴェルディ、一曲取り出して聴くならプッチーニ」と言われることが多いです。
ヴェルディのオペラは、総合力と申しますか、ダレる所(※「ここ要らなくね? 眠くなるなぁ」みたいな、途中で失速するつまんない部分のこと。長いオペラ作品には大体一箇所は存在する)が少なく、作品全体の完成度が高いです。ウマ娘の育成で言ったら、全部のステータスが S みたいな感じ。
一方、プッチーニは屈指のメロディメイカー。作中、面白さの波がある側面は否めませんが、その分、アリアやデュエットなど、数分間の見せ場を書かせたら適う相手はいません。ウマ娘の育成で言ったら、スピードだけ 1600 超えでカンストしているようなタイプ。
プッチーニ作品で、オペラオー君が過去に引用しているものだと、『トゥーランドット』、またこの作品から最も有名なアリアである『誰も寝てはならぬ』があります。
『誰も寝てはならぬ』の登場率は非常に高いものの、逆にプッチーニで引用されているのはこの作品のみでした。
今回は遂に! 『トゥーランドット』以外のプッチーニ作品に言及されたので、とても嬉しく思っています。詳細は記事の後半にて。
尚、我らが王は漢字が苦手(?)とのことで。わたくしも専ら横文字育ちなので、大変気持ちはわかります。
皐月賞に向けて
『道化師』
―――
道化 。もちろん楽しませてみせるとも。だが楽しませ方は……。―――ボクが決める。軽視してほしくないものだな。この覇王を。
カッコいい!
オペラで「道化」といえば、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲の『リゴレット』か、ルッジェーロ・レオンカヴァッロ作曲の『道化師(パリアッチ)』の二択です。
今回はどちらの引用という感じでもありませんが、文脈により沿うのは『道化師』ですので、主に後者をご紹介します。『リゴレット』は新春イベントでも出てきましたしね。
オペラ『道化師』も短い作品で、1時間ほどの作品です。今回は短編オペラ推しなのか、オペラオー君?
『道化師』も『リゴレット』も、道化師を題材とした物語ですが、どちらも重苦しい悲劇です。正直に言うと、『リゴレット』は胸糞悪すぎてわたしは苦手です。虚○玄さん作品が好きな人は沢山観てね。
『道化師』は「ヴェリズモ・オペラ」というジャンルに分類されます。ヴェリズモとは、「現実主義」という意味。主に19世紀末のイタリアで、日常に基づいた、実際にありそうな物語のオペラが分類されます。尤も、殺人の話が多いので、そんなに頻繁に現実で起きたら困るんですが。世紀末イタリアの治安どうなってんだよ。
今回はヴェリズモ・オペラがもう一作品出て来るので、覚えて置いて欲しいワードです!
オペラ『道化師』で最も有名なアリアといえば、座長カニオの歌う『衣装をつけろ』。これはもう皐月賞前のオペラオー君にはフルで歌って欲しい一曲ですよ!
冒頭の歌詞をご紹介しますね。すぐ後に動画を付けておくので、参考にしながら聴いてください。
Recitar! Mentre preso dal delirio,
non so più quel che dico,
e quel che faccio!
Eppur è d'uopo, sforzati!
Bah! sei tu forse un uom?
Tu se' Pagliaccio!上演! こんなに錯乱して、
自分が何を口走っているのか、
何をしているのかもわからない時に!
だが舞台に上がらねば……しっかりしろ!
はん! お前はそれでも男か?
お前は道化師だろ!Vesti la giubba,
e la faccia infarina.
La gente paga, e rider vuole qua.衣装をつけろ、
白粉を塗れ、
客は金を払って、笑いに来るんだ。
↑ 王子様や英雄から、道化師までこなしてしまう現代随一のテノール、ロベルト・アラーニャ様!
現実の生活でトラブルが発生して、怒り狂っている最中にも、道化師として笑わなければいけないことを嘆くドラマティックな一曲です。
この曲は、20世紀初頭に、史上初のミリオンセラーになった大人気曲でもあるんですよ!
オペラ『道化師』では、この後第2幕で舞台に上がったカニオは、劇中で錯乱してしまい、現実と演技の区別が付かなくなって、出演者を本当に殺してしまいます。喜劇が悲劇に早変わり。なるほど、「楽しませ方を決めた」わけですね。
この後のイベントでも出て来るように、トプロちゃん育成シナリオのオペラオー君は悲劇がお好みらしい。
皐月賞の後に・伏王、戴冠せり!
『魔弾の射手』
なんだい、その魔弾でもくらったような顔は?
ただ君たちが、ボクの秘めた力に気づかなかっただけだろう。
こちらはわかりやすいですね。オペラオー君本人の育成シナリオ・バレンタイン編でも出てきた、カール・マリア・フォン・ウェーバー作曲『魔弾の射手』です。
以前の記事にも書きましたが、あらすじを復習しましょう。
主人公の猟師マックスは、恋人アガーテとの結婚を控えている若者ですが、彼女の父に射撃大会での成績を求められます。腕に自信の無いマックスは、友人カスパールの誘いで、悪魔の作る百発百中の「魔弾」を求めます。
全部で7発の魔弾。最初の6発は射手の望んだものを撃ち落とし、最後の7発目は悪魔の望むところに撃ち込まれるといいます。
その7発目が向かった先とは……。
今回は7発目を撃つ、クライマックスの場面を観てみましょう。「最初からクライマックスなんてイヤ! ネタバレしないで!」という方のために、フルのものを貼っておくので、最初からフルで観たい方はシークバーを巻き戻して下さい。
↑ ミュージカルと違い、原則的にオペラは最初から最後まで全部歌なのですが、『魔弾の射手』は台詞(ドイツ語)も多いことが特徴。
最低でも3分くらい観ると、「いいこと」がありますよ。
(追記)その後のイベント「日本ダービーに向けて」に出て来る「井泉の継承者」については、よくわからず悩んでいましたが、有識者に「サドラーズウェルズ Sadler's Wells (サドラーの井戸)では?」と教えて頂きました! それだ!! ありがとうございます!!
オペラの方でばっかり考えてました。血統ネタだったか……。オペラの解説はわたしやるので、逆に皆様競馬のこともっと教えて下さい、宜しくお願いします。
いやしかし、そこを意識しているオペラオー君、一体何者……。
新章は魔笛と共に
『魔笛』
こちらはサポートカードの時宜しく、タイトルにオペラネタが使われていて、イベント内自体にはないパターンです。
知名度 No. 1 オペラ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲『魔笛』です。
『魔笛』に関しては、ワンダーアキュートちゃんのシナリオによく出てきたので、そちらで色々解説済みです。
復習すると、「何でもできる魔法の笛」が魔笛です。王子パミーノは、この魔笛を携えて、女王の娘パミーナを捜す旅に出ます。
実際に魔笛を吹くシーンを観てみましょうか。日本語字幕付きですし、3分弱と短く、めちゃくちゃコミカルで笑えるので、是非最後まで観て下さい!
↑ この映像は超豪華キャスト、スタンダードな演出、日本語字幕付き、入手も容易で安価と、冗談抜きに「永久保存版」なので、買った方が良いですよ。わたしも『魔笛』ならいつもこれを観ます。
しかし、『魔笛』は喜劇。それこそ「血も凍るような悲劇」ではないんかい、と突っ込みたいような気も。
うーん、差し出がましいことを言えば、わたくしがもしこのストーリーにオペラネタを仕込むなら、リヒャルト・ワーグナーの楽劇『パルシファル』から取りますかね。「愚者が覚醒し王になる!」というストーリー、状況にピッタリだと思うのですが。
逆に、オペラオー君が『パルシファル』に一度も言及していないのが意外なのですよね。見落としているだけ?
どうでもいいですが、今回オペラオー君は何度か「青春」「過ぎ去る」という語を連ねて使っていて、わたくしは某オペラを想起してしまうのですが、ニアピン賞すぎる……。もう少し確信できる言い回しであれば……狂喜乱舞したのですが……!
天皇賞(春)に向けて
『魔王』
覇王と、いや魔王と踊る準備はいいかい?
気を抜けば、その身はたちまち凍ってしまうが。
覚醒・ラスボス化した我らが覇王改め魔王。
クラシック音楽と「魔王」といえば勿論、学校の音楽の授業でもお馴染み、フランツ・シューベルト作曲の歌曲『魔王』になるかと思われます。
「オペラはないの?」という話ですが、ないですね。悪魔とか魔女は多くても(スイープトウショウちゃんのオペラ参戦もお待ちしております)、魔王って聞きませんよね。逆に、何かあります?
歌曲『魔王』では、語り部、父、息子、魔王が出てきます。
息子は苦しんでいて、父は彼を抱いて医師の元に向かっています。息子は、魔王が自分を狙っている、連れ去ろうとしていると主張しますが、父は錯覚だと取り合いません。
しかし事実魔王は、息子を甘い言葉で籠絡しようとしていたのです。
医師の元に辿り着くも、息子は既に息絶えてしまっていた……という物語。これを義務教育でやるっていうのも凄い話なんですが。
息子は凍死したわけではないのですが、最初に語り部は父が息子を「温めている(er hält ihn warm)」と言うので、「凍ってしまう」という文脈にも合致すると思います。
大体4分強と短い曲なので、一度聴いてみてください。腱鞘炎になるのでピアノ弾きからはめちゃくちゃ嫌われる(伴奏を頼むときはギャラを弾みましょう!)、ピアノ伴奏付きです。歌手もピアノも大変な一曲なのだ。
↑ オペラ好きなら彼を嫌う人はいなかろう、伝説の歌手ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ様です。
覚醒した「魔王」との初対戦の天皇賞(春)。それに相応しい禍々しいチョイスといえるでしょうか。
夏合宿(3年目)終了
『トスカ』
そして血気に逸るアンジェロッティたちに、王政とは簡単に覆るものではないと知らせてやろう!
今回のオペラネタで最もネタ仕込みが巧妙で、面白く、自然で、カッコいいものだと確信しています! 遂に登場、ジャコモ・プッチーニ作曲『トスカ』です!!
『トスカ』は全オペラの中でも 1, 2 を争う超人気作なので、「今漸くか……!」という気持ちと、「まさかのアンジェロッティ!?」というところで色々と大興奮でした。
また、個人的にも、プッチーニ作品で一番好きなのは『トスカ』でして! Twitter で絶叫してました。フォロワーごめん。
何故アンジェロッティというキャラクター名に驚いたかというと、アンジェロッティはオペラ『トスカ』の中では結構端役だからです(原作となった戯曲『ラ・トスカ』では主要人物なのですが)。オペラオー君の凝ったオペラネタからしか得られない栄養素が大放出!! 嬉しい!! これを待っていた。
いやしかし、普通に名アリア『星は光りぬ』で来るかとおもっていました……アヤベさんもいることだし……。『星は光りぬ』はまた改めて歌ってください。
ちなみに、タイトルの『トスカ』はヒロインの名前。フローリア・トスカちゃんです。作中でも「歌姫」という設定ですから、殊更歌に自信のあるソプラノが歌わねばいけません。
『トスカ』のストーリーはフィクションですが、時代背景は現実に基づいた物語。舞台は1800年6月のローマです。
この頃、フランスでナポレオンが台頭し、危機はローマにも迫っていました。このナポレオン側に共感し、革命を支持しているのが、主人公カヴァラドッシと、今や政治犯として追われている元領事のアンジェロッティです。
オペラは、アンジェロッティが脱獄し、聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会に逃げ込んでくるところから始まります。登場トップバッターです。
『トスカ』の特徴の一つが、序曲がないこと。ほんとうにいきなりアンジェロッティが走り込んでくるところから始まります。
走るアンジェロッティ君を追い掛けてみましょう。オペラ映画版です。音楽は、教会に辿り着く 1:23~ 頃ですが、最初のローマの景色も美しいので、是非ご堪能下さい。
↑ 『トスカ』はローマが舞台で、作中に出て来る建物も健在なので、聖地巡礼もできちゃいます。わたしもやりたい!
主人公カヴァラドッシは、同志アンジェロッティを匿います。しかし、紆余曲折の後、彼の居場所はバレてしまい、追い詰められたアンジェロッティは、処刑人の手に掛かるくらいならと自殺してしまうのです。
ネタバレすると、『トスカ』はトップレベルに血なまぐさい悲劇なので、主要登場人物は全員死にます。
さて、このアンジェロッティを追い詰めんとする台詞を繰り出すオペラオー君は、『トスカ』の主要登場人物の中で唯一の王政の擁護者である、警視総監スカルピア役と想定できます。
スカルピアは、ヒロイン(トスカ)の彼氏(カヴァラドッシ)を拷問しながら、ヒロインを強姦しようとするという、オペラ作品界1のヤベー奴なのですが、魅力的な曲があり、演技力も求められて、舞台上では美味しい役どころでもあります。
スカルピアといえば、「オペラに於ける悪役の代名詞」です。正に、悪代官様~! というやつです。
スカルピアの名曲といえば勿論! 『テ・デウム / 行け、トスカ!』です。
変わったタイトルですが、凝った作りになっている一曲なので、詳しくご紹介させてください。この曲は、それぞれ異なる合唱と独唱が一度に演奏されるお洒落構造なのです。
『テ・デウム』の方は合唱曲で、キリスト教の賛歌です。宗教音楽らしく、鐘が鳴り響き、荘厳な雰囲気がある曲調になっています。
一方の『行け、トスカ!』は、スカルピアが今後第2幕で行うことになる奸計や、己の肉欲について独白するという、物凄い曲です。前から気になっているんですけど、イタリア語版でポケモンをやったら Va, Pikachu! になるんですかね?
この、正に「聖と俗」を、同時に演奏させてしまうというギャップ! 温度差で風邪引きそうとはこの曲こと。
民衆が神を讃えている中、一人とんでもないことを歌っていたスカルピアは、最後に、我に返ってニヤリと笑いながら、
Tosca, mi fai dimenticare Iddio!
トスカ、お前は私に神さえ忘れさせる!
と叫んでから『テ・デウム』に参加し、歌が遂に一つになります。ここの最後の合唱+スカルピアが爆音で歌い上げる、
Te aeternum Patrem omnis terra veneratur!
永遠の御父よ、全地は汝を崇め奉る!
以上にゾクゾクするポイントは、全オペラの中でもなかなか無いでしょう。みんな大好きな名曲です。
↑ 合唱の質が宜しくないのですが、個人的にアンブロジオ・マエストリ様のスカルピアが好きすぎるのでこちらを貼っておきます。どうですか、誰もが一目見て悪役だとハッキリわかるこの演技力!(※ちなみに彼は喜劇もめちゃくちゃ上手いです)。
最後、 4:00 頃からの禍々しいオーケストラもいいでしょう。これがスカルピアのライトモティーフ(※オペラ用語。日本語では「動機」とも。「テーマ」と考えて頂いて結構です)ですよ!
先に貼った、オペラ映画版の方の『テ・デウム / 行け、トスカ!』も絶品ですよ。そちらでは42分頃からです。是非聴き比べてみてくださいね。
いやしかし、まさか公式の方からオペラオー君にスカルピア役を振ってくるとは……。
舞台上での話でよいので、「オペラオー君はヒーローやヒロインのみならず、是非とも悪役もやって欲しい~!」とは思っていましたが、あくまで二次創作上の話かと思っていました。これはこれは。
拷問や強姦は『ウマ娘』世界的には確実にアウトなので(いや現実世界でもアウトなんですが)、テイエム歌劇団版では表現がマイルドになっているかもしれません。
シャンパンも甘酒になりますしね!
天皇賞(秋)にむけて
『フィガロの結婚』
いやー、なんともフィガロチックな秋だね。よろしく、トップロードさん、アヤベさん。
先に正直に言うと、どういう意味合いでこの引用をしているのかよくわかりません。
「フィガロ」とは、ジョアキーノ・ロッシーニの『セヴィリアの理髪師』及び、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの『フィガロの結婚』の主人公の名前であり、そこから取られていることは間違いないのですが……、作中に文脈に合うシーンって無いような……?
寧ろ、ここの文脈に合う作品は、断然同じくモーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』で間違いないと思います。ミスではないのか? というくらい、シチュエーションが『コジ・ファン・トゥッテ』そのものです。
一応、『コジ・ファン・トゥッテ』の粗筋を説明しますと……。
フィオルディリージ、ドラベッラという二人の姉妹には、それぞれ、グリエルモ、フェルランドという恋人がいます。男二人は賭けをし、自分の恋人が貞淑かどうか見定めようとします。
彼らは兵役に行った振りをした後、街に戻って変装をして、自分たちの恋人に近付きます。「私達には恋人がいるから」と最初は抵抗していた姉妹ですが、二人の求愛に遂に陥落。
しかし、姉妹が選んだのは、自分の恋人とは逆の男性(フィオルディリージはフェルランドを、ドラベッラはグリエルモを)で―――!?
……というような、ドタバタ恋愛コメディです。
特に、この後の「天皇賞(秋)の後に」で、オペラオー君は「トップロードさんはドトウと、自分はアヤベさんと仲良くしてもいい」と語るわけで、それが上記に合致するのではないでしょうか。
「二組の恋人が入れ替わったりする、四人組で展開される物語」といえば『コジ・ファン・トゥッテ』なので、何故フィガロがそこで選択されたのか、謎ですね……。
天皇賞(秋)の後に・意外なお祝い
『カヴァレリア・ルスティカーナ』
ド、ドトウ……!? なんと!? ボクというものがありながら、君は……トップロードさんとも逢瀬を……。
嗚呼、呪わしきルスティカーナよ!
こちらはわかりやすいですね。ピエトロ・マスカーニ作曲『カヴァレリア・ルスティカーナ(田舎騎士道)』です。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』も、1時間程度しかない短編オペラ。従って、前述の『青ひげ公の城』や『道化師』と同じ日に上演されることが多いです。
このように、二本立てで上演する公演を「ダブル・ビル」といいます。三本演ったら「トリプル・ビル」です。
1時間程度しかない短編オペラには、ロシアオペラだと『イオランタ』という作品がありますこちらも宜しくお願いしますこれはダイマです。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』も、『道化師』と同じくヴェリズモ・オペラです。現実の田舎でよく起きそうな物語、ということですね。だからイタリアの治安は以下略。
『コジ・ファン・トゥッテ』が洋ドラマでよくありそうなドタバタ恋愛コメディなら、『カヴァレリア・ルスティカーナ』の方は、ドロドロの昼ドラです。
あらすじを確認しましょう。
青年トゥリッドゥは、美女ローラの恋人でしたが、彼が兵役に行っている間に、彼女は馬車屋アルフィオと結婚してしまいます。
腹いせに、トゥリッドゥはサントゥッツァという女性と恋仲になりますが、ローラを諦めきれません。
恋人は未だローラに未練があると悟ったサントゥッツァは、ローラの夫アルフィオに「二人は通じ合っている」と密告します。
激昂したアルフィオとトゥリッドゥは決闘になり、トゥリッドゥは殺されてしまいます。
……という、特にオペラにはよくありがちなストーリーです。
しかし、1幕構成で余計なものは全くなく、簡潔に纏まっており、優美な音楽に恵まれているので、現在でも人気の高い作品です。
文脈に合わせると、配役は、トゥリッドゥ:トプロちゃん、サントゥッツァ:アヤベさん、ローラ:ドトウちゃん、アルフィオ:オペラオー君、になるでしょうか。アヤベさん……報われてくれ……。
『カヴァレリア・ルスティカーナ』で一番人気を誇るのは、アリアやデュエットよりも、間奏曲。ストリングスとハープによる極めて美しい一曲で、この曲だけ取り出してコンサートで演奏されることも多いです。
↑ ゲルギー親分独特の、指揮棒を使わない指揮法にもご注目。痙攣発作を起こしているようにしか見えないかもしれませんが()、オーケストラの方曰く、意外とわかりやすいらしいですよ。
抜けるような青空に、雄大なレモンやブドウの畑、暖かく少し気怠い空気の流れる、午後のイタリア南部の田舎の情景が目に浮かぶような名曲です。
ところで、「カヴァレリア・ルスティカーナ」とは、イタリア語で「田舎騎士道」という意味。このように訳されて表記されることも多いです。
「カヴァレリア Cavalleria」が「騎士、騎士道(名詞)」、「ルスティカーナ Rusticana」が「田舎の(形容詞)」です。イタリア語では、形容詞は名詞の後ろに置いて、名詞を修飾します。
つまり、今回のオペラオー君のセリフだと、「呪わしき『田舎の』よ!」ということになり、非文(※文法用語。文法的に誤っていて、成立していない文のこと)になってしまうので、引用するならせめて「ルスティカーナ」よりも「カヴァレリア」とするか、フルで「カヴァレリア・ルスティカーナ」とした方が良かったと思います。
ジャパンCに向けて
『ラインの黄金』
そう、ラインの黄金はボクたちにも掴める! 我々も負けない個々の輝きを、ここで見せよう。
毎度お馴染み、リヒャルト・ワーグナー作曲の楽劇『ラインの黄金』ですね。
もう過去に何度も出てきているので説明は不要かと思いますが、復習しておきますと、ライン川の底に眠る、生き物を意のままに操り支配したり、黄金を無限に生み出したりできる指環を作ることができるのが、ラインの黄金です。
この『ラインの黄金』を含めたワーグナーの四部作を、『ニーベルングの指環』と総称します。
しかし、新春イベントでも登場したように、ラインの黄金を手にすることができるのは「愛を断念した者だけ」。掴めたらまずくないか……?
トプロちゃん育成シナリオに登場するオペラネタは、こんなところでしょうか。数え方にもよりますが、当記事では11箇所取り上げました。多い! 感謝! 書くの大変だった!
一部、不明瞭だったり不可解である点もありましたが、『トスカ』の仕込み方はとても興奮しましたし、上演時間が短めの、知名度中堅どころの演目がベースになっていて、ある程度統一感があり、楽しかったです。
また、ホーム画面では、トプロちゃんが「オペラオーちゃんの翻訳係として呼ばれる」と言っていて驚きました。トプロちゃんも記事書く?(?)。
以前のイベントでは、オペラオー君の発言について「難しいところがある」と言っていたのに……いつの間に……。
ギャラリーキーも導入して、イベントかなり拝見しましたが、まだ全てのイベントを見られたわけではないので、見落とし等ありましたらご一報ください!
さて、次に、新イベント『プロジェクト L'Arc』でのオペラトークに移ります。これが、一番大変だった……。
それでは難産の結果をご覧あれ。
プロジェクト L'Arc / フランス語学習
『ロミオとジュリエット』
育成シナリオ『プロジェクト L'Arc』の中の「海外遠征」での賢さトレーニングは「フランス語学習」です。ちなみにスタミナトレーニングは「オペラ式呼吸法」。笑う。なんか公式が寄ってきていませんか? "こちら" に……。
実はわたくし専攻地域がフランスなので、なんともむず痒い気持ちになるシナリオでもあります。ひぃ……。
さて、問題はここでの発言です。「成功」パターンでは、フランス語の文がランダム(?)で二種類から選択される模様。
1つ目は簡単です。
Je vais certainement gagner le Prix de l'Arc de Triomphe.
ボクは凱旋門賞で必ず勝つ。
勝って下さい(トレーナー並感)。
問題はもう一つです。
この無駄に長い文章、妙なところで大文字になっていることからも、韻文であることは明白です(※韻文は改行も重要なので、本来は続けて書いたらダメですよ)。
こちらなんと、オペラ引用。シャルル・グノー作曲の『ロミオとジュリエット』から、ジュリエットのアリア(「ジュリエットのワルツ」とも)『私は夢に生きたい』の冒頭です。
赤字の部分が全く同じであることがご理解頂けると思います。
Ah! Je veux vivre
Dans ce rêve qui m'enivre;
Ce jour [ Longtemps ] encore,
Douce flamme,
Je te garde dans mon âme
Comme un trésor!
Cette ivresse
De jeunesse
Ne dure, hélas! qu'un jour!
ああ! 私は生きたいの
この陶酔の夢の中で
今日もまだ(長い間)
甘美な炎を
魂に秘めておくわ
宝物のようにね!
この熱狂
若さゆえの
嗚呼、一日しか続かないの!
↑ この間の来日公演にも伺った、ディアナ・ダムラウ様です。かわいい!
オペラ引用であることを考えると殊更、是非とも海外遠征中はオペラオー君に賢さトレーニング積ませてあげて欲しいです!
さて、一箇所だけ、青く強調したところがありますね。三行目です。
「賢さトレーニング」だと Longtemps になっているのですが、『ロミオとジュリエット』の歌詞では Ce jour なのです。よく聴けばご理解頂けると思いますが、動画でも、 Ce jour で歌っています。
「わざわざ引用して間違えること、ある?」と思い、少し調べてみました。
まず、You Tube で色々な歌手のものを聴き比べた結果、上記ディアナ・ダムラウ氏、アイーダ・ガリフッリーナ氏、ネイディーン・シエラ氏、アンジェラ・ゲオルギュー氏、ナタリー・デセイ氏、アンナ・ネトレプコ氏、ルネ・フレミング氏、ジュリー・フックス氏は Ce jour で歌っていました。
ちなみに、ここに名前が出た歌手は皆現代で最高峰のソプラノ歌手なので、オペラに関心がある入門者の皆様は頭の片隅に置いておいて下さい。大劇場で主演を張るプリマドンナたち、錚々たるメンバーです。「なんだこの厨パァ!」って感じの顔ぶれです。
次に楽譜を確認します。
フランスの楽譜出版社 Choudens Père et Fils が出版した1876年のスコア譜だと、Ce jour になっています。
アメリカの楽譜出版社 G. Schirmer から出版された1897年のヴォーカル・スコアでも、Ce jour です。
しかしわたしは見つけてしまったんですよ。Longtemps になっているものを!
フランスの楽譜出版社 Choudens fils(1889-91)のヴォーカル・スコアをご覧下さい。
↑ あった!!!!!!!
もう名前から一目瞭然ですが、Choudens fils(シュダンの息子達)社は Choudens Père et Fils(シュダンの父と息子達)社の後継です。つまり、同じ系列の会社が、約10年後には別の歌詞で楽譜を出版していることになります。
えっとつまり……、これどういうことなんですか? わたしもわからないんですが……。
確かに、オペラでは、初稿と第二稿以後で歌詞が変更されることは普通にあります。
しかし、今回の場合、恐らく初稿でも Ce jour になっていて、今でも Ce jour で歌われているのに、一時期だけ Longtemps になっている時がある。
一応まだグノーが生きている時期なので、彼自身が手を加えたのか……、単に誤植なのか……、普通にわからん……。
いやしかし、まさかそのレア種の Longtemps の方が出て来るとは。逆に、 Ce jour だったら、普通に「『ロミオとジュリエット』だね」で終わっていたと思うので、勉強になりました……。精進します。
ちなみに、歌手でも一人だけ Longtemps で歌っている方がいたんですよ。誰だと思います?
まさかまさかの、伝説のソプラノ歌手、マリア・カラス様でした…………。
↑ Longtemps って……歌っておられる……明らかに……、そんなことある……?
もし読者さんに『ロミオとジュリエット』有識者がいらっしゃいましたら、詳細をご教示下さい。宜しくお願いします。
次に、2.5th Anniversary ストーリーからオペラ引用を見て参ります。
2.5th Anniversary 第1話
なんとも大盤振る舞いです!
順番に見て参ります。
『トゥーランドット』
もう『トゥーランドット』の名を一度は出すのはノルマになっているんですかね、オペラオー君?
当記事でも前述した、ジャコモ・プッチーニ作曲の名作です。
先々月、サポートカードの記事で、余りにも書くことがなかったので、聴き比べセットまで作ったので、そちらを聴いて下さい。流石にもうよいでしょう。
↑ 皆様、誰の歌唱が好きですか? 是非とも教えて下さい!
『アイーダ』
次に出て来るのが『アイーダ』。オペラ界最強の金ピカきらきらオペラです。嘘じゃなくて。
上演に一番お金が掛かることで有名な、大スペクタクル作品です。舞台上に馬出てきますからね、馬。ウマじゃなくて。ウマも出てきて欲しいですが……。
作曲はジュゼッペ・ヴェルディ御大です。
何故そんなにも豪華なのかというと、勿論ヴェルディ御大がきらきらオペラを書きたいと思ったこと、作曲の経緯なども色々あるのですが、一つは舞台が古代エジプトとエチオピアだからです。
ご承知の通り、古代エジプトは高度な文明を築きましたし、敵対していたエチオピアは世界有数の金の産地です。ラインの黄金は眠っていませんが。
『アイーダ』はエジプト対エチオピアの戦争の物語で、途中で戦勝したエジプトがエチオピアからゴッソリと金を持って凱旋しますから、そりゃもう金ピカにもなります。
それでは、皆さんの大好きな第2幕の『凱旋行進曲』、置いておきますね!
流石にこの曲を知らない人はいないのではないかと思いますが、この曲がヴェルディのオペラ『アイーダ』の一部だって、ご存じでしたか?
↑ 流石の MET! 豪華絢爛!! 『アイーダ』だと他の公演よりもチケットが高い(1-2万円高いことが多い)ことを、「アイーダ料」と言ったり言わなかったりします。
勿論、この曲は日本ではサッカーの応援歌として有名です。
トプロちゃんはサッカーにも深い縁がありますから、オペラオー君とトプロちゃんを繋げるに最も相応しいオペラが『アイーダ』なのではないでしょうか。
……オペラオー君はラダメス役でもいいですが、アムネリス役も良いと思います!!!!
『夏の夜の夢』
『夏の夜の夢』に関しては、この記事の冒頭でご紹介しましたね。大分前のことなので、忘れてしまった方はスクロールバーを上の方に戻して下さいまし。
しかし、後にオペラオー君はこうも言います。
さあさあ、この宴は夏の夜の夢! 誰も彼も躍りあかそうじゃないか!
選ばれたのは、『夏の夜の夢』でした~。
『トゥーランドット』と『アイーダ』と並んで勝っていく『夏の夜の夢』、流石に強すぎる……。
最後に、簡単にその他のオペラではないクラシック音楽用語解説をして終わります。どうぞ。
その他音楽用語
幕はまだ開かずとも、エチュードはここに響いているのだから! そうだろう、アヤベさん!
ストーリー「ナリタトップロード 第1話」から。
「エチュード(étude)」とは「練習曲」のこと。音楽の文脈で使わないときは、「勉強」という意味にもなりますよ。フランス語ですので、凱旋門賞に挑戦する皆様も覚えて下さい。
「エチュード」と題が付いたものは、練習曲なので、平易な曲や、如何にも指先が鍛えられそうな曲が多いのですが、稀に「これが練習なら本番何やんだよ」というトチ狂ったエチュードを書く変態もいます。
↑ オメーだよ、フランツ・リスト。『マゼッパ』の方が有名ですが、わたしが個人的に『雪あらし』が好きなのでこちらをご紹介します。ダニール・トリフォノフ様、手デッッカ~~。一生手元見ていられる……。
同じく、ストーリー「ナリタトップロード 第1話」からもう一点。
もっとも輝く瞬間を、ボクは知っている……! 奏でよう、アンサンブルから旅立つ歌を!
「アンサンブル(ensemble)」は、二人以上で演奏することを指します。こちらもフランス語ですね。
単に « Ensemble! » と言ったら、「一緒に!」とか、「揃えて!」という意味としても使えますよ。
「2.5th Anniversary 第1話」からはこちらの一言。
ブラーヴァ! 船の上の舞台というのも悪くない!!
「ブラーヴァ(Brava)」は、イタリア語で、女性一人に対する賛辞の言葉です。
つまり、このセリフから、99年世代が鑑賞していた舞台の上にいたのは女性一人であることがわかります。
ちなみに 「ブラーヴォ(Bravo)」が男性一人、「ブラーヴィ(Bravi)」が男性複数、或いは男女混合複数、「ブラーヴェ(Brave)」が女性複数ですよ! 格変化しますから、しっかり覚えて下さいね。
次に、トプロちゃん育成イベント「菊花賞にむけて」から。
ボクも歩んでみせよう。いまだかつて、どんなソリストも歩んだことのない、道なき道を。
「ソリスト(soliste)」は、一人で歌う人、一人で演奏する人のことです。先程の「アンサンブル」の対ですね。こちらもフランス語。
最後に、イベント「天皇賞(秋)の後に」系列から。
ともかく! 2組のコンビではなく、1つのカルテットとして、切磋琢磨しあっていかないかい?
「カルテット(quartette)」とは、四重奏(唱)団、又は四重奏(唱)曲のことです。音楽では、単に「カルテット」と言ったら、基本的には弦楽四重奏を指します。編成は、ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1ですよ。
99年世代も、とうとう4人で迎えたシニア級が描写されましたから、仲良し(時にバチバチ)なカルテットとしてやっていって欲しいですね。
四人で四重奏とかやって欲しいですけどね~。『ウマ娘』にはヴァイオリンのモデルまで存在していることですし、他の二つはサイズ変えるだけでいいので(チェロは動きのモーション作らなきゃですが)、是非。ウララちゃんゴメンよ。クインテット(五重奏)もしような……。
折角なので、わたくしのイチオシ弦楽四重奏曲を張っておきますね。お気に召して貰えたら嬉しいです。
↑ 好きすぎて無駄に記事まで書きました。
四重奏も好きなので、お勧めがあれば是非とも教えて下さい。
最後に好きなピアノ曲とカルテットまで紹介できて、非常に満足しました!
今回はオペラ・音楽ネタ満載で嬉しかったです。今後とも宜しくお願い致します。
最後に
通読ありがとうございました!! 驚異の1万9000字です。リサーチ含めて二晩掛かったもんな……、二晩掛かったオペラトーク解説シリーズは、初回の次で、二回目です。お待たせしました……(?)。
最後の方完全に深夜テンションになってるので、後でちょっと修正するかもしれません。
ご感想、ご指摘、ご支援など、常時受け付けておりますので、是非とも宜しくお願いします!
↑ 匿名がいい人向け。普通にコメント欄やリプライでもいいですよ。
また、『ロミオとジュリエット』の件に関しては、どなたか助太刀ください。
そしてそして、実際にオペラが観たくなったよ! 歌劇場に行ってみたいよ! という方にはこちらをどうぞ。
わたくし自身、東京の歌劇場にはよく出没するので、良かったらご挨拶させて下さいね。
皆様の入門を心よりお待ちしております!
この辺りで、暫く99世代の供給はお預けでしょうか。春から大放出しましたものね。
しかし、先日公開された情報で、なんとイタリア語を喋るクラオタ(クラシック音楽オタクの略)と思しき新ウマ娘の姿が!
↑ お耳カバーもト音記号だ!
母が「ファーストバイオリン」というそうで……。ファースト・ヴァイオリンとは、オーケストラや四重奏で、主にメロディラインを担当するヴァイオリンセクションを指します。
クラシック音楽ネタが出てきそうな予感がしますし、その場合はこのような形で何か書けたらいいですね。イタリア物の管弦楽曲だろうか……。
とうとうオペラオー君専属トレーナーでは無く、担当が増えることになるかもしれません……。寂しいような、楽しみなような!
オペラオー君は勿論、新ウマ娘・サウンズオブアースさんにも期待です!
それでは今回はお開きと致します。また次の記事、或いは劇場でお目に掛かれれば幸いです!