おはようございます、茅野です。
『ウマ娘』の記事は大体徹夜で、一晩で一気書きしています。ネロリ博士に怒られそう。
ここ数ヶ月、コンスタントに供給が来ている『ウマ娘』。今月も来てしまいました!
手が滑ってシリウスシンボリを天井したので(勝負服が余りに好みすぎて負けました)、未だにお迎えできていない体たらくなのですが、オペラオー君がオペラの話をするシナリオは全て自分の手元に集めておきたいので、おはガチャしつつ、追い課金を検討しますね……、しかし二天井したら辛いな……。
天井した後になって、オペラオー君が登場していると知り、急いでフレンド様のアキュートちゃんをお借りしてイベントを追いました。
するとなんと、語るじゃないか、オペラを。聞いてないぞ。
というわけで、いつも通り(?)、オペラ鑑賞ファンと共に、オペラオー君の台詞を考えていくコーナーです。
まさかのオペラトーク解析シリーズ第8弾。続きすぎでは?
↑ オペラ作品をひたすら概説しているだけなのに恐ろしくバズった第一弾。
↑ これまでの『ウマ娘』関連記事はこちらから。
前回のオペラオー君当人の SSR カードでは、まさかのオペラトークゼロという非常に哀しい結果に終わりました。
↑ それでも一応書きました。カード名はオペラネタなのに……。正直納得いっていない。
しかしアキュートちゃんの方ではする!? 何故!?
尤も、アキュートちゃんの育成シナリオでは、『魔笛』を中心にオペラトークが展開されておりましたからね。その続きということなのかもしれません。
↑ アキュートちゃん育成シナリオとその他メインシナリオについての考察・解説記事。
当シリーズも長く続いた為か、最近では、「オペラの紹介だけでも面白い」と言って下さる方が増えまして、とても嬉しく思います。
今回も、易しくオペラを紹介して参りますので、最後までお付き合い願えれば幸いですね。
【注意書き】
・考察・解説記事ですので、当たり前にネタバレを含みます。
・考察なので、必ずしも正しいとは限りません。深読みもします。
・漏れ・抜けがあったらすみません。
それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!
御長寿番組の秘訣
作曲家ヴェルディ
重く、低く、深い!!
その貫禄ある声に、演じてきた歳月を感じた!
ヴェルディオペラのように体の芯に響いたよ!
オペラといえば、最初に挙がるは勿論この名、ジュゼッペ・ヴェルディですね!
↑ ちなみにこんなお方。
19世紀イタリアで活躍したオペラ作曲家で、総合すると、恐らく最も上演回数が多いオペラ作曲家でしょう。その大作曲家ぶりから、ついた二つ名は「イタリアの歌劇王」。オペラオー君とお揃いだ! イタリアオペラオー。
過去にもオペラオー君によって沢山言及されており、これまでにオペラオー君は、『リゴレット』『ナブッコ』(新春イベント)、作曲家の名前、(アヤベさん育成シナリオ)、『アイーダ』『ドン・カルロ』(メイトラ)、『椿姫』(RttT)を引用しています。
特に新春イベントの『リゴレット』と『ナブッコ』の引用は完璧の一言に尽き、「満足」というレベルを数段超える出来映えです。新春イベントのライターさんを本気で尊敬している、あなたのオペラオー君だけを吸っていたい。
次来るとしたら、『運命の力』か『イル・トロヴァトーレ』でしょうか。『見よ、恐ろしき炎を!』とかめちゃくちゃ引用しやすそうですけれどもね。楽しみにしています。
「重く、低く、深い」オペラとは何か? ~バス特集~
ただ、今回気になるのは、最初の「重く、低く、深い」という発言です。
過去の記事では、このような解説を書きました。
オペラでは、役柄や歌手の声質を評価する際、よく「軽い声」「重い声」という表現を用います。こちらは、軽い方が優れているとか、重い方が優れているということはなくて、求められる役柄に声質が合致しているか否かが重要な評価ポイントです。
確かに、オペラ批評に於いて、「重く、低く、深い」という表現はよく用いられます。わたくしも使います。
但し、一点気になるのが、何故そこで紐付けられるのがヴェルディなのか? ということです。
というのも、ヴェルディは特にバスで際立った存在というわけでもないからです。
「重く、低く、深い」と評されるのは、基本的に、バスという最も低い声域の歌手、又は曲でしょう。英語でいうとベースですね。
従って、ここでは、「ヴェルディ」よりも、何かバスの役柄や、そこからの引用の方が相応しかったのではないか? と思います。
「バス」「ベース」という語からもわかるように、バスは主に土台となる最低音を作りますから、あまり主役にはなれません。精々、名脇役といったところ。
オペラの主役は、女性ならばソプラノ、男性ならばテノールであることが多く、どちらもそれぞれの性別での最高音を担当します。
バスは、その地の底から響くような声から、王様、老人、悪役などが役柄として多いです。
先程、「バスはあまり主役になれない」と申しましたが、唯一、バスが主人公やタイトルロールであることが多いジャンルがあります。そう、ロシアオペラです。
わたくしがロシアオペラを偏愛していることを抜きにしても、冗談ではなく、他言語と比べロシアオペラにはバスが主役やタイトルロールとなる作品が圧倒的に多いです。
パッと思いつくだけでも、『ボリス・ゴドゥノフ』、『ホヴァーンシチナ』、『皇帝に捧げし命』、『サルタン皇帝の物語』、『地方長官』……と、沢山の名作を挙げることができます。
全オペラの中でも、「バスが主役となるオペラ」で最も有名なのは、ロシアオペラの傑作の一つ、モデスト・ムソルグスキー作曲『ボリス・ゴドゥノフ』でしょう。
ロシアオペラにだって有名な作品くらいありますから!(※日本ではロシアオペラの上演回数は多くないので、よく自虐ネタ扱いしている。)。
特に、主人公ボリスのモノローグ『私は最高の権力を手に入れた』は絶品です。
↑ ロシアが誇る最高のバス歌手の一人、エヴゲーニー・ネステレンコ様によるボリスという贅沢な映像。一昨年、新型コロナで亡くなってしまいました……RIP。
個人的に、『ボリス』は所謂「スルメ」作品だと思っていて、聴けば聴くほど味が出て、好きになれると思います。一時期『ボリス』しか聴いていない狂った時期があって、それ以降大好きになってしまいました。
『私は最高の権力を手に入れた』、是非ともオペラオー君に歌って欲しいですよね。だってもう王様御用達台詞でしょうこんなの。
オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』は、中世ロシアに実在したツァーリを題材にした、歴史オペラです。
彼の歌うモノローグ『私は最高の権力を手に入れた』は、王の苦悩を歌っていて、側近の陰謀、不穏な隣国、飢饉、疫病や地震、愛娘の婚約者の急死など、必ずしも彼の咎では無いにも関わらず苦難続きの統治や私生活について嘆く歌詞になっています。
最も盛り上がる部分の歌詞(動画だと 4:33~)は以下の通りです。
Виной всех зол меня нарекают,
Клянут на площадях Имя Бориса!民衆は全ての悪は私のせいだと責め、
広場でボリスの名を呪っている!
(「メニャー("私の" せい)」というところを荒げて特に強調する歌い方が大好きだし、最後の「イーミャ・バリーサ!(ボリスの名を!)」ってところも狂おしいほど好き。恐らく聞き取れると思います。是非聴いて下さい。)
シリアス展開版「嗚呼、美しき我が御世よ」ってことになりませんかね。……流石にシリアスすぎるか。
至高の「重く、低く、深い」バスのアリアも貼っておきますね。
↑ わかりますか、この艶やかな響き。これがバスアリアの醍醐味なんですよ。ニコライ・ギャウロフ様はどう考えても最強。
チャイコフスキー作曲の『エヴゲーニー・オネーギン』というオペラの中で、グレーミン公爵というバスの役が歌う『恋に齢は関係なく』です。
チャイコフスキーのオペラでは、このようにゆったりとしたテンポで愛を歌うバスやバリトンのアリアが、格別の美しさを放っています!
どうしてもヴェルディに拘りたいのなら、彼の作品の中で最も有名なバスの役柄は『ドン・カルロ』のフィリッポ王でしょうか。
前述のように、バスは王様の役が多いのです。オペラオー君もバスの役柄やろうね……(オペラオー君の声帯を何だと思っているのか?)。
それでは、彼の有名なアリア『一人寂しく眠ろう』を聴いてみましょう!
↑ フィリッポ王役を最大の嵌まり役とするバス歌手・フェルッチョ・フルラネット様。これぞ正に、「重く、低く、深い!」。
『ドン・カルロ』はスペインですが、こちらも中世の歴史をベースとした歴史オペラ。また、このアリアも王の嘆きを歌った歌詞ですね。王、元気出して……。
前述のように、『ドン・カルロ』は過去にオペラオー君によって引用されています。そこでは、アヤベさんをロドリーゴに、ドトウちゃんを王子カルロに喩えていますね(参照)。
肝心のオペラオー君は? という話ですが、わたくしはエボリ公女を推しているものの、フィリッポ王もお似合いになるかと思います。
99世代×『ドン・カルロ』、オペラオー君はエボリ公女学派なんですけど、フィリッポ王でもいいよね。
— 茅野 (@a_mon_avis84) May 21, 2023
覇王ラスボスモードに入ったオペラオー君は『ひとり寂しく眠ろう』を歌うんだけど、ドトウちゃんに「 眠 ら せ ま せ ー ー ん ! 」って乱入されて『トゥーランドット』になるんでしょわたしは詳しい
↑ ありそうじゃないですか?
二次創作になりますが、アヤベさん推しでお馴染みの雪星こころ先生も、99世代×『ドン・カルロ』を題材に描いていらっしゃいましたね。
オペラオーを祝うアヤベさん pic.twitter.com/O3v7b5oz2h
— 雪星こころ🥪 (@k0koro_091) March 16, 2023
アヤベさん周りを重点的に掘り下げるなら、アヤベさん=王子カルロ、妹ちゃん=ロドリーゴという配役替えをしてみても面白そうですよね。エリザベッタはトプロちゃんにすると『RttT』感。
また、オペラネタが豊富な99世代作家様だと、BGM 先生の作品を見て下さい(布教)。
予定時刻過ぎましたが形にはなったので投稿します!間に合わなかったので一部白っぽいページがあります。
— BGM (@kabe_ntyo) June 26, 2022
・妄想&妄想
・雰囲気オペラ引用
・作者フランス行ったことない
・ドトオペ風味
よろしくお願いいたします〜!
1/9#ふたりの時代2022 pic.twitter.com/qomIi0vI55
↑ 他の作品もオペラネタ満載でオペラ鑑賞ファンは嬉しい。『サロメ』のやつメチャ好きです。
自主的にサーチもしていますが、限界があります。オペラオー君のオペラトークが好きなので、供給あれば教えて下さい。宜しくお願いします。
時代劇
時代劇といえば、歌劇同様、幾世代を超え、大衆より愛されている伝統文化!
それを生で鑑賞できるとは、なんたる僥倖!
一応ここでも歌劇を出してくれていますね。
時代劇は恐らく、映画・テレビなどと歴史を共にしているので、オペラよりは新しい芸術かと思われます。しかしわたくしは時代劇に関しては完全にミリしらなので、何もわかりません。有識者の登場を待ちます。お待ちしております。
次の台詞も、「想像の翼」とありますが、「黄金の翼」だったらオペラ引用だったんですけどね。惜しい。
しかし新春イベントでの『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』の引用は特に見事であった……。
↑ こんなん言われたらオペラファン全員惚れるから。惚れ直しました。すきだ。
『魔笛』
ああっ……! 諦めるわけには……!
愛のために立ち上がるタミーノとパパゲーノのように何度でも……!
アキュートちゃんのシナリオでは複数登場、モーツァルト作曲『魔笛』で御座いますね!(育成シナリオの方のイタリア語文法ミスをそろそろ直して欲しい)。
『魔笛』のあらすじに関しては過去の記事でもご紹介しましたので、そのまま引用します。
大蛇に襲われた王子タミーノは、夜の女王の三人の侍女に助けられます。彼は女王の娘パミーナがザラストロという悪魔に捕らえられていると聞き、「魔笛」を貰って、鳥刺しパパゲーノをお供に、ザラストロの神殿へ救出に向かうことに!
しかし、ザラストロは本当は悪魔ではなく偉大な神官で、「私は悪人ではなく、本当に悪いのは夜の女王である」と告げ―――!? 善人と悪者が全てひっくり返る!
相思相愛となった王子タミーノと王女パミーナ。恋人パパゲーナを探すパパゲーノ。ザラストロは、二人に愛の試練を課しますが……?
この「愛の試練」から来ているわけですね。
今回は、前回と同じくザラストロのアリアを聴きますが、前回とは別の箇所を貼っておきますね。
ザラストロも声域はバスで、バス歌手にはとても人気のある役なんですよ!
↑ 日本語字幕付きのウルトラ名盤でお馴染みのこちら。歌うは大歌手クルト・モル様。
もし東京にお住まいでしたら、現在東銀座の東劇という映画館にて、メトロポリタン歌劇場(MET)の『魔笛』のライブビューイングが行われておりますので、是非とも足をお運び下さい! MET は外れませんよ。
↑ かなり奇天烈な演出っぽいですが、まあ『魔笛』は元から奇天烈なので……。
また、今回のイベントでは「長寿」がキーワードになっていますが、オペラですと、「不死」に纏わるお話はままありますね。
『不死身のコシチェイ』とか、『パルジファル』のアムフォルタス辺りでしょうか。
今回のサポートカードに関しては、この辺りかなと思います。簡単にはなりましたが、参考になれば幸いです。
オペラオー君が登場してくれて、且つオペラの話をしてくれて嬉しかったです!
TIPS①:「(国名)オペラ」とは?
ついでなので、もっとオペラに詳しくなる豆知識を二つほど書いておきます。
わたくしもよく記事の中で「イタリアオペラ」とか「ロシアオペラ」というような語を用いますが、こちらの意味に関してです。
文字通り、その地域で作曲されたオペラのことですが、もっと正確に言うと、「イタリア語オペラ」「ロシア語オペラ」になります。英語だと、それぞれ Italian Opera, Russian Opera と形容詞形です。
オペラは、歌劇ですから、当然歌詞を伴います。従って、その歌詞の言語によって大まかな分類をしているのです。
実際に言語を学んで歌う歌手は勿論、観客の我々にとっても言語の差は大きいですから、重要な点です。
言語毎に得意とするジャンルも異なったりします。イタリア語は「歌うための言語」と言われていて、母音が多く、華やかで明るい印象を与えます。ロシア語は、濁音が多いためか、低音域が似合い、前述のようにバスやバリトンのような低い声域が活躍する作品に恵まれています。
また、作曲家が同郷だと、お互いに強い影響を与え合ったり、地元の民謡などを取り入れたりして、作風が似ることもあったり、言語のイントネーションなどから類似性が見られることもあります。
但し、モーツァルトのように、複数の言語で書いている作曲家もいるので、その場合は作曲家名を出す方が親切でしょう。
わたくしは「ロシアオペラ」を偏愛していますが、現在の情勢によって更に上演回数が減り、愛を主張しづらくなっていることを深く憂慮しています。ロシア語のオペラが好きでも、勿論侵略には反対の立場です(というか個人的にも資料の輸入とかできなくて単純に困っているんですよね、いい加減にしてくれ……)。
尤も、現在の情勢と、150年近く昔に書かれたロシア語のオペラは全く無関係ですから、切り離して考えて欲しいと思っておりますけれどもね。
皆様は何語のオペラがお好きですか?
TIPS②:上手くオペラ引用をするコツ
先程ご紹介したように、最近は二次創作でもオペラを織り込んで下さる創作者様も増えて参りましたが、よくお悩み相談を受けます。そう、オペラ引用は難しい!
ここではちょっとしたコツをお伝えできればと思います。そしてもっとオペラを織り込んだ創作が増えて欲しいとも思っています。
作曲家や作品のタイトルを出す、これは最も簡単です。
しかし、オペラオー君の育成シナリオや新春イベントのような、自然な引用をするにはどうしたらいいのか?
まず押さえておきたいのは、「アリア」「二重唱(デュエット)」「合唱(コーラス)」「レチタティーヴォ」などの形態です。
引用で用いるのは、主に「アリア」になると思います。アリアとは、見せ場となるソロ歌唱のことです。
オペラは「歌劇」ですから、一曲一曲が独立しているわけではなく、厳密な曲の切れ目がない作品も多いです。序曲から幕が下がるまでで一作品ですから、セットリストみたいなものはないのです。従って、「曲のタイトル」というものが原則存在しません。
「じゃあさっきの『私は最高の権力を手に入れた』とか『一人寂しく眠ろう』とかっていうのは何なの?」という疑問が湧くかと存じますが、これは、歌い出しの歌詞そのままなのです。
例えば、『ボリス』の例で続けるなら、
Достиг я высшей власти.
Шестой уж год Я царствую спокойно.
Но счастья нет моей измученной душе! ...私は最高の権力を手に入れた
既に六年、無事に統治している
しかし私の疲れ切った心には幸福などない!(後略)
が歌い出しですから、『私は最高の権力を手に入れた』が、便宜的に「曲名」扱いになっているのです。
引用する場合は、この「曲名(仮)」、つまり、アリア等の歌い出しを使うことを強くお勧めします。
TIPS① でも触れたように、オペラは様々な言語で書かれています。多いものから順に、イタリア語>ドイツ語>フランス語>ロシア語>チェコ語≧英語……となると思われます。
従って、日本語で表記する場合は翻訳を介す必要があります。
オペラは歴史ある芸術で、日本に入ってからも長いです。従って、特に有名な歌い出しに関しては、多少の表記揺れはあるものの、ある程度の定訳が存在します。
これらには、しばしば意訳や誤訳があったり、一部は妙に古めかしい言い回しになっているものの、オペラファンの間で流通している為、その方が通じやすいという事情があります(※ちなみに先程紹介した『一人寂しく眠ろう』は、本当は意訳というか誤訳なのですが、広く流通しており、日本のオペラファンならこれで通じます)。
ここから逸れ、マイナーな訳や、オリジナルの訳を使っていると、折角の引用でも気付いて貰えない、わかりづらい、という事態が発生しかねませんので、注意しましょう。
例えば、「誰も寝てはならぬ」は有名ですが、意味は同じでも、この定訳を用いず「みんな寝ちゃダメだよ」と書いても、オペラの引用だと伝わりませんよね。要はそういうことです。わたしでもこれだと気付かないし、気付いたとしても、オペラ引用認定していいのかどうだかわかりません。
幾つか有名な定訳の例を挙げますね。意訳している場合は、参考に直訳例を出しておきます。
・« Nessun Dorma » → 『誰も寝てはならぬ』/ トゥーランドット
・« Va, pensiero, sull'ali dorate » → 『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』 / ナブッコ
・« Un bel dì, vedremo » → 『ある晴れた日に』直訳:ある晴れた日に、私達は見る / 蝶々夫人
・« Che gelida manina » → 『冷たい手を』直訳:なんて冷たい手だ / ラ・ボエーム
・« E lucevan le stelle » → 『星は光りぬ』直訳:そして星は光っていた /トスカ
・« L'amour est un oiseau rebelle » →『恋は野の鳥』直訳:愛は言うことを聞かない鳥 / カルメン
・« Куда, куда, куда вы удалились » →『青春は遠く過ぎ去り』直訳:どこへ、どこへ、どこへ去ったのか / エヴゲーニー・オネーギン
……と、この辺りにしておきますが、引用する際は、直訳ではなく、このような定訳を使うと、気付いて貰える確率がグッと高まります。
ちなみに、ここで挙げたものは、『行け、我が想いよ、黄金の翼に乗って』以外は全てアリアです(『行け、~』は合唱曲)。
但し、字幕や、もっと長く歌詞を引用する場合は、直訳風に戻して書かれることも多いです。
例えば、『冷たい手を』なら、続けて引用する場合は直訳風に戻して、
Che gelida manina
Se la lasci riscaldar.なんて冷たい手なんだ、
僕に温めさせてください
のように書くと良いでしょう。(それにしても良い歌詞!)。
勿論、『誰も寝てはならぬ』のように、そのまま使えるケースもあります。
この定訳はあくまで便宜的に流通している「曲名(仮)」扱いと覚えておいて下さい。
また、「愛の二重唱」「友情のデュエット」「婚礼の合唱」「夕星の歌」「イゾルデの愛の死」などのように、歌い出しを通称として使わないケースも多くあります。
それから、ワーグナーのオペラは、ほんとうは「楽劇」と言って、特殊なジャンルです。彼の「楽劇」には形式的なアリアが殆ど存在しないので、歌い出しを用いないことが多いです。気をつけましょう。
これらの定訳などを、どのようにして調べればいいのか?
ggれば出ます。寧ろ、「定訳」というくらいですから、一番ヒット数が多いものがそれです。
「冷たい手を」「冷たき手を」のように、定訳でも多少表記揺れしている場合などもありますが、その程度なら深く気にする必要はありません。「冷た」「手を」が入っていれば、オペラファンは「ロドルフォのアリアのことだな」とわかりますから。
「曲名(仮)」こと歌い出し以外の部分に関しては、このような定訳が存在せず、人によって翻訳に大きなバラつきがあります。先程の「誰も寝てはならぬ」⇔「みんな寝ちゃダメだよ」問題です。
従って、原文を用いない限りは、気付いて貰えないことを覚悟する必要があります。尤も、オペラガチ勢は普通に3-5ヶ国語くらいは解しますし、誤解を生まないという点では寧ろ原文の方がわかりやすいかもしれませんが。
超有名アリア(それこそ『誰も寝てはならぬ』とか)や、作品内のキーフレーズくらいだったら、日本語でも気付くかもしれませんが、それ以外は歌い出しを引用するのが無難だと思います。
しかし、取り敢えずオペラそのものを観ないとどうにもならないことは不変です。書く(描く)側も、読む側も、まずはオペラを観ましょう。
↑ 「オペラってどこでやってるの?」「何観たらいいの?」「劇場マナーって厳しいの?」など、初歩的な疑問にお答えするコーナーです。
参考になりましたでしょうか? もしまだわからないことがあれば、お気軽にお尋ねくださいませ。
最後に
通読ありがとうございました! 約1万字です。
いつの間にかオペラ布教委員会、特にロシアオペラ布教委員会と化しております。いや、最初からか。みんなオペラ観よう。
しかしわたくしからは、簡単な解説を差し上げることは可能でも、やはり本編を観て頂かないことにはどうにもなりませんので、是非とも劇場へ足を運んで欲しいのです。宜しくお願いします。「入門の手引き」も役立てて下さい。
また、よければオペラの感想も下さい。質問とかご意見も下さい。
↑ 匿名がいい人向け。この記事のコメント欄や、Twitterのリプや DM その他でも結構です。
また、そんなにやり込み勢ではありませんが、ゲーム上でも仲良くして下さい。「ID: 957024677」です。
次はいよいよトプロちゃんでしょうか(※毎回言っている、可哀想だからいい加減出してあげて欲しい)。
個人的には迂闊に天井したので石がありませんが、彼女は確実に押さえねば……。楽しみですね!! 確実に登場が見込まれるオペラオー君にも、豊富なオペラネタが仕込まれているといいなと願いつつ。
それでは、今回はここでお開きとします。また別の記事でお目に掛かれれば幸いです!