世界観警察

架空の世界を護るために

テイエムオペラオーのオペラトークを解析する - 『ウマ娘』考察

 おはようございます、茅野です。

先に言っておきますが、この記事書くの大変でした。2徹しました(迫真)。

 

 早速本題に入ってしまうのですが、最近アプリ『ウマ娘』遊んでます。プレイ歴2週間です。やる切っ掛けになった話や、考察雑記第一弾はこちらからどうぞ。↓

 

 ガチャを回していたら、名前がずっと気になっていたテイエムオペラオー君をお迎えすることに成功しました。何故気になっていたのかというと、わたしはオペラ鑑賞クラスタだからです!! もしかしたら、オペラの話してくれるのかなって、思ったからです!!

実はこのブログでも、オペラの記事を沢山書いており、30記事超えていたりします。オペラ鑑賞、大好きです。

 ミュージカルスクール出身! バレエ歴9年! 中高6年間演劇部! 専攻フランス戯曲(演劇の台本)! 趣味オペラ鑑賞のこのボクが、キミのトレーナーだよテイエムオペラオー君!!!!(任意の決めポーズ)……という訳で、育成してきました!

 

 一応、記事を書くということで、ある程度の戦績は出さねば……と思い、取り敢えず「世紀末覇王」の称号は手に入れてきました。

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はじめて2週間でこれなら、まあ、そこそこ良い感じなんじゃないでしょうか。こちらが特になにかせずとも強すぎて勝手に8連勝しているので、ほんと恐ろしい娘ですね。

 

 そして、育成シナリオ。もう驚愕ですよ。何って、めちゃくちゃオペラの話するじゃないですか……しかもマニアックな…………

ウマ娘』の累計ダウンロード数は500万を超えているそうですが、歴戦のオペラファンしか気付かないであろうネタがこんなにも沢山……。いいのか? それ、たぶん我々しか刺さらないぞ? わたしを狙い撃ちしているのか?? なんだ、推せってこと??? わけがわからないよ……。

 

 というわけで、この困惑を共有するべく、如何にテイエムオペラオー君がマニアックな話をしているのかということを解説することにしました。

当記事では、オペラなんか一回も観たことないぜ! という方でも問題無く読破できるよう、可能な限り易しく説明することを志しています

オペラをあまり観たことがない人に、少しでも「入門しやすくなった! 観てみたい!」と思って頂ければ、筆者冥利に尽きます

 又、大分長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。それでは、宜しくお願いします。

 

【注意書き】

・考察・解説記事ですので、当たり前にネタバレを含みます。

・考察なので、必ずしも正しいとは限りません。深読みもします。

・漏れ・抜けがあったらすみません。

 

 それでは早速、参りましょう!

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年忘れディナーショー

ローエングリン

いまだにボクの存在に気づいてないなんて!

真の英雄ローエングリンは、目の前に立っているというのに!

聖杯を継ぐ者に、どうして目を向けない?

 最初に出て来るオペラネタはワーグナーのオペラ『ローエングリン』。ここではハッキリと題=タイトルロールの名を出してくれているので、大変気付きやすいです。英雄ローエングリンの伝説は、グリム兄弟による『ドイツ伝説集』などに記録されています。

 

 英雄ローエングリンは白鳥の引く舟に乗って現れることから「白鳥の騎士」と呼ばれており、オペラオー君が時折発言する「白鳥のように美しく舞う」などの台詞も、バレエ『白鳥の湖』などよりも、『ローエングリン』を意識している可能性が高いと考えられます

 

 「聖杯を継ぐ者」というのは、ローエングリンが円卓の騎士であり聖杯王であるパルジファルの子息であることから来ています。尚、パルジファルの伝説もワーグナーはオペラ化しており(題もそのまま『パルジファル』)、見比べて愉しむこともできます。

 

 『ローエングリン』は、現ドイツ・バイエルン王国の "狂王" ルートヴィヒ2世が偏愛したオペラとしても知られており、かの有名なノイシュヴァンシュタイン城はこの『ローエングリン』をモチーフにした装飾で彩られています。

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↑ 「最も美しい城」との呼び声も高い、ドイツ最大の観光地のひとつ。

 ちなみに、"狂王" がこの城の建設・維持やオペラ上演に国庫の金銭を充てたため、バイエルン王国の経済はガタガタになり、 "狂王" は謎の変死を遂げるという未來が待ち受けています。オペラオー君が『ローエングリン』の話しかしなくなったら、テイエムオペラ王朝の終焉は近いのだと身構えましょう。

 

 「『ローエングリン』なんて聞いたこともないよ……」とお思いの方も、こちらなら耳にしたことがあるのではないでしょうか。

↑ 一番有名なところからにしていますが、その前の序曲もメチャクチャかっこいいので、お時間ある方は是非最初から!

 「ワーグナーの結婚行進曲」として知られる、『ローエングリン』劇中の『婚礼の合唱』です。オペラ全曲は長いですが、その中で一曲だけとても知名度が高い、というケースは少なくありません。オペラをより身近なものに感じて頂ければ幸いです。

 

新年の抱負

セヴィリアの理髪師

さあ問おう、トレーナー君!

ボクの聡明な理髪師よ!

 次に登場するのがロッシーニ作曲『セヴィリアの理髪師』。笑いの絶えない喜劇で、人気の高い作品です。

 『セヴィリアの理髪師』は、「セヴィリアの理髪師」こと主人公フィガロが大活躍する物語で、髪のカットやカツラ作成のみならず、恋愛のサポートからギターを伴う歌唱まで、理髪師というよりも「何でも屋」として働きます。近世では、理髪師は整髪のみならず、医師や庭師や獣医として活動することもあり、正に「何でも屋」であったということを前提知識として頭に入れておくと、更に愉しむことができるかと存じます。

 

 見所は幾つかあるのですが、序盤のフィガロによるカヴァティーナ(短いソロ曲)『わたしは町の何でも屋』が有名且つ聞いていて楽しい曲なので、入門としてはここからがオススメ。わたしの大好きなロシアのバリトン、ディミトリー・ホロストフスキー様の歌唱で、どうぞ!

↑ 力強い歌声、輝かんばかりの銀髪と、上品で端正な顔立ちから「ロシアの貴公子」とも呼ばれた氏。ちなみに、筆者が偏愛しているオペラ『エヴゲーニー・オネーギン』のタイトルロールが最も嵌まり役とされています。大好きです。

 

 ここでオペラオー君が言いたいのは、つまりどういうことかというと、セヴィリアの理髪師」の如く、トレーニング指導のみならず、賢く万能な「何でも屋」として道を示してくれ! という意味であると解釈することができます。オペラオー君の役どころは、理髪師フィガロの雇い主アルマヴィーヴァ伯爵といった所でしょうか。

 

ライバルを探せ!

ローエングリン

嗚呼、なぜだ? なぜみんな、ボクのライバル役を引き受けてくれない!?

歌劇に好敵手はつきものだろう!?

なぜフリードリヒ伯爵となり、ボクを討とうとしないのか!?

 ここだけで元ネタに気付ければ立派なオペラファンを名乗れるでしょう。再びワーグナー作曲『ローエングリン』です。ここが難しいのは、オペラの題などが一切触れられていないことと、更に一般的にこのキャラクターは名前よりも姓である「テルラムント伯爵」と呼ばれることが多く、知っていても見逃しやすい点にあります。難易度◎。

 

 先程触れなかった『ローエングリン』の物語について簡単にご説明しましょう。

時は中世、ブラバント公国の姫エルザは弟を殺害したという虚偽の申告により窮地に立たされています。虚偽の申告したのはフリードリヒ・フォン・テルラムント伯爵。彼はこのような濡れ衣を着せることによって姫から権力を奪うことで、ブラバント公国の実権を握ろうと画策しています。そこに現れたのが、そう! 「白鳥の騎士」ローエングリン! 騎士は姫を守るため、フリードリヒ伯爵と決闘をすることに―――!

 そして、勝利を収めた白鳥の騎士ローエングリンは、「神の勝利により、貴公の命は我が手中に! Durch Gottes Sieg ist jetzt dein Leben mein」と叫ぶのです。こちらが正にそのシーン。↓

↑ 古い映像ですが、演出が古典的且つ英語字幕付きなので見易いとおもいます。

 

 『ローエングリン』では、その後決闘で敗れたものの命は助けられたフリードリヒ伯爵が、復讐を目論み再び暗躍したりするのですが……それは各自ご自分でオペラをご覧になって、結末をお確かめ下さい! バイエルン王を狂わせた伝説のオペラ、大変面白いですよ!

 

 つまりここでオペラオー君が言っているのは、決闘という手段で正々堂々とした戦いを、或いは虚偽の密告という姑息な手段を使ってでも、自分と競い合おうという相手を探しているのだ、という意味に取れます。この後、オペラオー君は限りなく禁じ手に近い戦法「包囲網」に苦しめられることになるので、ここでの喩えは非常に的確であると言えます。

 

皐月賞に向けて

トゥーランドット

どうしたんだい、アヤベさん? 浮かない顔をして……。

はっ!? まさか君の名はアヤベさんではないのか?

そうか、君の名は―――『愛』!愛』そのものだというのか?

みんな、この者の名は『愛』だー!!

 ここだけで元ネタに気付ける人はそうそういないのではないかとおもいます。わたしは初見ではまさかそんなに細かいネタを仕込んでは来ないだろうと舐めていたので(すみません)、気付きませんでした。難易度◎。

 

 「君の名は『愛』」という発言の元ネタは、プッチーニの『トゥーランドット』第三幕かと思われます。実は、オペラオー育成シナリオでは何度も『トゥーランドット』ネタが登場します。かなり細かいので、注視しないとファンでも恐らく見逃します(ソース: わたし)。

 『トゥーランドット』本編については、一番の魅せ場となる「有馬記念に向けて」で後述することとし、ここでは引用元のみ出しておきます。

 

 こちらが『トゥーランドット』第三幕のフィナーレ、トゥーランドット姫の発言です(以下全て対訳は拙訳による)。

Padre augusto,
conosco il nome dello straniero!
Il suo nome è … Amor!

親愛なるお父様

この異邦人の名がわかりました!

彼の名は―――「愛」です!

 これ、気付けた人どれくらいいるんでしょう……。こうやって見ると、ちゃんと引用されているのがご理解頂けるかと存じます。

 

皐月賞の後に

トスカ

 2021/4/23 追記。

ふむ、やはりか。いいだろう。クラシックの空に燦然と輝く、至高のレース。

アヤベさんもおそらく……いや間違いなく出走して、花を添えてくれるだろう。

ほら、夜空をご覧……トレーナー君。

あのが―――ダービーの星さ!

 流石にこじつけが過ぎるかなあ、と思って書いていなかったのですが、一応書き足すことにしました。「輝く星」といえば、勿論、オペラ界で識らぬ者はいない、『星は光りぬ』!

 

 『星は光りぬ』はプッチーニ作曲『トスカ』の主人公カヴァラドッシの名アリア。大変人気の高い作品で、「好きなアリアランキング」みたいな統計を取ると、必ず三本の指に入るような名曲です。わたしも、何だかんだで一番好きなアリアかもしれません。だいすき。

時代考証が完璧で、「オタクにやさしい」ことで有名なマクヴィカー演出版でどうぞ。歌手グリゴーロの演技も素晴らしい!

E lucevan le stelle...
ed olezzava la terra...

星が輝いていた……

大地は芳しく……

 という歌詞から始まるこのアリア。この歌い出しがとにかく有名。オペラ界で星が輝いていたらそれはもう『トスカ』です(?)。

 オペラ『トスカ』は、大変血なまぐさいオペラで、主要登場人物がみんな死ぬという悲惨な結末を持つ悲劇です。第三幕では、政治犯として捕らえられた自由主義者カヴァラドッシが、手酷い拷問の末(血塗れなのはそのせいです)、処刑されようとしています。その前に、恋人のトスカと初めて出逢ったときのことを回想するのです。その夜は……星が輝き……大地は芳しかった……そして扉が開き……足音がして……きみが入ってきたんだ……ああ、絶望の中で死ぬしかないのか? こんなにも命が惜しかったことなんてない! ……。

 

 真面目な話をすると、アドマイヤ "ベガ" ですから、星の話をしている、ただそれだけな気もします。但し、史実では日本ダービーで三着に敗れているオペラオー君ですから、もしかしたら悲劇に引っかけてきているのかも、なんて深読みすることも可能かもしれません

 

夏合宿(二年目)にて

ワルキューレ

おお、あの露店を見たまえ!

あそこに刺さっているのは、伝説のチョコバナナ・スウォード

 賢さG+なんだかA+なんだかわからない奇跡の融合を果たした迷言です。

 

 一般的に、「聖剣を引き抜く」といえば、アーサー王伝説ですが、オペラの文脈で言うならば、まず間違いなくワーグナーの『ワルキューレ』でしょう!

 『ワルキューレ』はワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』四部作の二作目です。『ニーベルングの指環』については、別のイベントでも出て来るので後述致します。

 

 『ワルキューレ』第一幕では、主神ヴォータンの息子ジークムントが、翌朝の決闘に備え、武器を探していると、正にその宿敵の家に聳えるトネリコの木に、未だかつて誰も引き抜くことのできなかった伝説の名剣「ノートゥング」が刺さっていることに気が付きます。そして彼はそれを引き抜き―――!!

 こちらの動画はトネリコの木に刺さった伝説の剣「ノートゥング」を正に引き抜かんとするシーンです。第一幕の魅せ場ですね!

↑ 「ノートゥング! ノートゥング!」と叫んで(歌って)いるのがおわかり頂けるかと思います。 

 

 ノートゥングを引き抜くシーンも充分有名なのですが、それでもピンと来ない……という方はこちらをお聴き下さい。絶対知っています。そう、この名曲がある作品こそが『ワルキューレ』なのです!

↑ 第三幕序曲『ワルキューレの騎行』。言わずと知れた名曲です。

 

有馬記念にむけて

トゥーランドット

これより……ゲートが開くと同時に、輝いていた日は沈み、中山レース場には永き夜が訪れるだろう。

戦いの闇は深く、そして夜明け前がもっとも昏い。だが……。

どんな凄惨な闘いが繰り広げられようとも決着がつくまで……誰も寝てはならぬ。誰も……。

そして―――夜明けと共に、勝つのはボクだ

 オペラのネタがわかるトレーナーなら、テイエムオペラオー育成シナリオの中で最もアツいのがこのイベントではないでしょうか。頭のなかにガンガン鳴り響く、『誰も寝てはならぬ』!!!!

 

 オペラに詳しくない方でも絶対に聴いたことがあるであろうこの旋律。全オペラの中でも最高クラスの知名度です。是非わたしの推しテノール歌手マルチェッロ・ジョルダーニ氏の歌唱で、どうぞ!!

↑ ジョルダーニ氏、来日公演の『トスカ』では神が降臨したか如くの絶好調で、最高の『星は光りぬ』を熱唱してくれ、完全にべた惚れしたものの、この間亡くなってしまいました……。R.I.P. わたしの好きな人すぐ死ぬ…………(死神)。

 

 『誰も寝てはならぬ』は、オペラ『トゥーランドット』第三幕のアリア(魅せ場となるソロ歌唱)です。

トゥーランドット』は、王家の結婚の物語。麗しき中国の姫トゥーランドットは、「求婚者に3つの謎を出す。解けた者と結婚、解けなかった者は斬首刑に処す」というお触れを出します。名も知れぬ王子は、この謎に挑戦し、見事に正答。しかしながら結婚を渋る姫に、「夜明けまでにわたしの名を当てられたら、わたしの首を差し出しましょう」と持ちかけます。斯くして、彼の名を探るべく、北京の街は一晩中光の絶えぬ不夜城となるのです。

 ここで、勝利を確信した名も知れぬ王子が歌うのが『誰も寝てはならぬ Nessun Dorma』、というわけです!

 

 『誰も寝てはならぬ』の歌詞の最後(↑ の動画でいうと 1:53~)は以下の通り。

Dilegua, o notte! Tramontate, stelle!
Tramontate, stelle! All'alba vincerò!
Vincerò! Vincerò!

過ぎ去れ、夜よ! 沈め、星よ!

星よ、沈んでしまえ! 夜明けと共に、わたしは勝つ!

勝利だ! 勝利するのだ!

 当項冒頭に引用したテイエムオペラオーの台詞、「夜明けと共に、勝つのはボクだ!」は、このオペラの最も盛り上がる部分の歌詞なのです!!!

 そして、秘められた彼の名こそが―――(「皐月賞に向けて」の項へ戻ってみて下さい)。

 

バレンタイン

 ネタが豊富すぎるバレンタインイベント。順番に見ていきましょう。

おお、そういえば今日は……バレンタイン卿の日じゃないか!

知っていたかい、トレーナー君?

いやあ、彼の役はボクも一度演じてみたいと思っていてね。

 ただ「バレンタインイベント」というチョコレート会社の陰謀() に乗っかるのではなく、ちゃんとバレンタインの歴史を理解しているオペラオー君がわたしは好きです(感想)。

 こちらはオペラではないのですが、一応ザックリ解説。バレンタイン卿、或いは聖バレンタインは、ローマ帝国の司祭です。当時キリスト教が迫害されていた中、彼はキリスト教の司祭として恋人たちを祝福し、結婚に携わったため、当局に捉えられ、絞首刑に処されてしまいます。色々ヴァリアントも存在するのですが、最もポピュラーな説はこのようなものです。

 わたしは聖バレンタイン=処刑されるというイメージがあまりに鮮明だったので、「えっ……オペラオー君、きみ何を言って…………」という気持ちでいっぱいになりました。どういう脚本なんでしょうね。ちょっと観てみたい気もします。

 

魔弾の射手

というわけで、ハッピーバレンタイン、トレーナー君!

君には―――オペラチョコシリーズ『魔弾の射手チョコ』をあげよう!

 こちらは最もわかりやすい部類のオペラネタ。難易度▲。ウェーバー作曲『魔弾の射手』です。

 

 『魔弾の射手』は、ドイツ・ロマン主義音楽を確立したとされる記念碑的作品で、西洋音楽史に於いては絶対に外すことができない傑作オペラです。この作品は避けては通れません。厨二心をくすぐるタイトルだからと言って、舐めてはいけませんよ!

 主人公の猟師マックスは、恋人アガーテとの結婚を控えている若者ですが、彼女の父に射撃大会での成績を求められます。腕に自信の無いマックスは、友人カスパールの誘いで、悪魔の作る百発百中の「魔弾」を求めます。全部で7発の魔弾。しかし、最後の7発目は――――。

 

 見所満載のオペラですが、やはり有名なのは序曲でしょう。冒頭は少々冗長に感じるかもしれませんが、ちゃんと盛り上がるので、どうか11分間、お付き合い願えれば幸いです。

 

 悪魔の作る「魔弾」の最後の一発は、悪魔の望む所に撃ち込まれます。それを模して、オペラオー君はロシアンルーレット的なチョコを「鋳造」したのでしょう。

 ちなみにですが、ロシアンルーレットの起源については諸説あるものの、わたしの盲愛するロシアの詩人、ミハイル・レールモントフの小説『現代の英雄』が起源であるという説が最も有力です。わたしが人生に於いて最も愛している小説、『現代の英雄』。過去に解説スライドを作成したことがあるので、もし宜しければお目通し頂き、更に小説を読んで頂けたら、『英雄』オタクは泣いて悦びます。宜しくお願いします。

 作中、決闘で勝利した主人公が言い放つ、「喜劇は終わった Finita la comedia.」という名言。「喜劇王」オペラオー君が言ってくれたら、絶対に絶対にカッコいいと思うのですが、言ってくれないかしら?

 

騙された花婿 

そうだ! そういえば君に、お見舞いの品があったんだった。

これでも食べて、元気を出してくれたまえ。

オペラチョコシリーズ第2弾『だまされた花嫁』チョコ!!!!!!

 わたしが初見で度肝を抜かれたのがこちらの台詞。何故かと言うと、わたしも知らなかったからだ(迫真)。しかも『魔弾の射手』とは違い、タイトルそのままではなく、もじっています。難易度SS+。

 

 元ネタは、恐らくモーツァルト作曲『騙された花婿』。「えっモーツァルト? めちゃくちゃ有名では?」とお思いのあなた。モーツァルトが何作品オペラを書いているかご存じですか。20作品を超えていると言ったら、驚かれるでしょうか。

 『騙された花婿』は、モーツァルト未完のオペラです。未完です。つまり、上演の機会もほぼ全くないと言ってよいです。こんなマイナーどころを持ってこられて、わたしは正直ビビり散らしました。わたくしもオペラファンとしてはそこそこの知識を持っていると自負していたのですが、オペラオー君に教養バトルで敗北しました。白旗。ちなみに、歴戦のオペラファンに「知ってる?」と訊いてまわってみたのですが、モーツァルトを専門としている人以外で知っている人は全然いませんでした。どうなっているんだ、オペラオー君??

 

 『騙された花婿』は、正にモーツァルトらしい喜劇で、他作品『コジ・ファン・トゥッテ』などのように、数組のカップルの恋愛を主題にした物語。未完の作品ですので、序曲とほんの少しだけの重唱しか残っていません。というわけで、序曲をどうぞ。

↑ わたしもオペラオー君の育成シナリオを読んでからはじめて聴きました。ヤバい。

 

売られた花嫁 / 皇帝の花嫁

 恐らく『騙された花婿』が元ネタであると断言してしまってもよいのでしょうが、他に考えられる可能性として、『売られた花嫁』『皇帝の花嫁』があります。「だまされた」と「花嫁」、どちらがもじりなのかという点で解釈が変わってきます。

 『売られた花嫁』はスメタナが作曲したチェコのオペラ。チェコオペラの中では屈指の知名度を誇る名作で、上演機会もそこそこあります。『騙された花婿』同様、結婚を主題とした喜劇です。一方、『皇帝の花嫁』はリムスキー=コルサコフ作曲のロシアオペラ。媚薬と毒薬を巡る悲劇です。「花嫁」が入る有名作品がスラヴ地域に固まっているというのは興味深いですね。

 

ファン感謝祭

騎士パズマン

もちろん歌劇! オペレッタさ!

同年代のオールスターで『ボクら世代、ここにあり!』をアッピールしなくてはね。

主役である王様役は―――もちろん、このボク!

そして王の右腕である騎士A役には―――メイショウドトウ

そして、もう1人の部下。騎士B役を演じるのは―――アドマイヤベガこと、アヤベさんだ! クラシック以来だね。

アヤベさんの役は、途中でボクを裏切り、ボッコボコにする騎士だ。

 ファン感謝祭での一幕。まあ、正直なところ、ここに関しては特にオマージュ等考えずに執筆されたんじゃないかとおもいますが、そんなメタな理由で引き下がる考察勢ではなかった。このストーリーに最も近いオペレッタを探してきました。

 

 ドンピシャというわけではないのですが、最も近いのはシュトラウス二世作曲の『騎士パズマン』かとおもわれます。『騎士パズマン』は、正に「王と騎士が出てきて、途中で王が騎士にボッコボコにされるオペレッタ」です。

ただ、問題が一つあるとしたら、タイトルからわかるように、「騎士」の方が主役である、という点でしょう。但し、感謝祭でも、メイショウドトウのアドリブにより、劇を乗っ取られるので、ある意味では正解かもしれません。まさか、そこまで読んで…………?(深読み)

 

 『騎士パズマン』も素晴らしくマイナーな作品なのですが()、作中の舞曲『チャールダッシュ』は有名で、かのウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートでもよく取り上げられています。中盤からの盛り上がりが最高にカッコよく、つい踊りだしたくなるくらいなので、5分間、どうかお付き合い下さい。

↑ もしかして、「煌めきのオペラダンス」ってこの曲で踊ったりしていない?

 

 ちなみにオペレッタ」というのは、「小規模なオペラ」を意味していて、深刻な悲劇ではなく、ばかばかしくて笑えるような喜劇が主です。明確な定義はないのですが、オペラの一部であり、ジャンルの一つ、というような理解で差し支えないかとおもいます。

 

宝塚記念(シニア)

サンドリヨン / チェネレントラ

お邪魔なものか、堂々としていたまえ。

今日の君は―――シンデレラなのだから!

 シンデレラって、童話でしょ? はい、そうです。しかしオペラ化もしています。確認していきましょう(強制)。

 

 まずはフランスオペラから。マスネ作曲の『サンドリヨン』です。ストーリーは皆さんよく知る童話と同じなので割愛。メトロポリタン・オペラの新演出が非常に面白いので、トレーラーを共有しておきます。45秒しかないので、是非観てみてください!

↑ わたしはこの白馬の被り物の馬車がめちゃくちゃ好きなんだ……笑える……。

 ちなみにこのトレーラーで使われている曲は、勿論オペラ『サンドリヨン』の劇中曲なのですが、バレエ・マクミラン版『マノン』で用いられていることでも有名です。オペラオー君がオペラに詳しいのはここまででよくわかりましたが、バレエの方は、如何かな?

 

 お次。イタリアオペラでもシンデレラの物語は生きています。それがロッシーニ作曲の『チェネレントラ』。こちらは何と、我らが新国立劇場が来シーズンに新制作で上演して下さるので、東京付近にお住まいの方は是非自分の目でチェック! してくださいね! 25歳以下の方は 5000円で S席に座れるという券が出ますので(定価は27500円)、お見逃しなく! ウマ娘への課金も大事ですが、オペラオー君担当の皆様には、是非とも実際に劇場に足を運んで頂きたいのです!

↑ オペラ業界……ヤバいんです……赤字が……! あなたの課金が業界を救う……。

 

パジャマ姿の姫君

さあ、立ち向かえ、姫君よ! そして挑もうじゃないか!

あのドラゴンに!!!!!

あのドラゴンが君の弱さだ! さあ、その手で決着をつけよう!

 トレーナーがドラゴン役を演じさせられるという怪イベントである一方で、「姫君」への対応が完璧すぎて王として破格のカッコよさを見せつけられるイベントです。ここも特に元ネタなどは想定されて書かれているわけではないと思うのですが、3作品ほど指摘しておきたいとおもいます。

 

魔笛

 知らぬ者はいない、モーツァルトの傑作『魔笛』。『夜の女王のアリア』で有名ですが、冒頭は大蛇退治から始まります。ドラゴンではなく大蛇なのが惜しいポイントですが、作品の知名度やシチュエーションを鑑みるに、なかなか近いのではないかとおもいます。

 

ジークフリート

 お次。ワーグナーの四部作『ニーベルングの指環』から、『ジークフリート』。ジークフリートは竜殺しの英雄として非常に有名です。しかしながら、オペラの台本では、ここでもドラゴンではなく「大蛇」とされることが多く、『ジークフリート』が「竜殺しの物語」と言うには少々弱いかな、と思わなくもないです。尤も、英訳されたときに Dragon になっていたりすることもありますが。

 又、オペラオー君の育成シナリオでは、何度も『ニーベルングの指環』のネタが挿入されるので、最も有力な候補であると言うこともできそうです

↑ このファーフナー(大蛇)、『DARK SOULS』で見た、って感じのビジュアル。

 

ウォントリーの竜

 「じゃあ竜退治が主題のオペラってないのか?」 。考察勢を侮るなかれ。探して参りました。そして見つけたのが、ランプ作曲『ウォントリーの竜』。イギリスオペラです。

 研究者以外で知っている人はいないのでは、というクラスのマイナーさです。我ながらよく見つけたな……とおもいます。逆に、竜退治を主題としたオペラって全然ないんだな、という新たな気付きを得ました。

 風刺の効いた滑稽劇で、イギリス演劇のエッセンスが凝縮されています。上演当時は人気を博したものの、現代ではもう全く聞かない名前となってしまいました。

まあ、ここは一つ、教養、豆知識として、記憶の片隅にでも留めておいて貰えると、リサーチ走った甲斐がありますね。

 

寝不足で……

眠りの精

ふぁ……。眠りの妖精がまた1匹訪れたようだね……。

 「お休み」寝不足時の台詞です。こちらの元ネタとして想定されるのは、オペラではありませんが、正にドンピシャ、ブラームスの歌曲に『眠りの精 Sandmännchen』という曲があります。子守歌です。日本でも日本語訳され、広く歌われている曲でもあります。

 子守歌なので、「お休み」中ではなく、夜に聴いて(歌って)くれ、オペラオー君……。

 

ヘンゼルとグレーテル

 2021/4/20 追記。

 わたしよりも断然歴戦のオペラファンの方々から、「眠りの精が出て来るオペラ、あるじゃん!」とご指摘を受けました。お恥ずかしながら完全に失念していました。無知蒙昧野郎ですみません。精進します。

 というわけで、ご紹介させて頂くのがフンパーディンク作曲『ヘンゼルとグレーテル』。メールヒェンオペラとして名高いドイツオペラです! 物語はグリム童話ヘンゼルとグレーテル』をベースに、完全なハッピーエンドで終わるよう改変されています。

 第二幕では、主人公兄妹を眠らせる「眠りの精」が登場し、美しいアリアを歌います。

↑ なんと、日本語字幕付き!

 作曲家フンパーディンクは、ワーグナーに師事しており、強い影響を受けていたことで知られています。であれば、元ネタは当然こちらの方が有力ということに。クッ……オペラオー君にまた教養バトルで敗北した……なんてお強い……流石「世紀末覇王」……ッ! わたくしはトレーナー失格なので、賢さトレーニング積んできます。ご指摘くださった有識者の皆様、ありがとうございました!

 

無茶は厳禁!

夜鳴き鶯

はっはっはっ! 学園のナイチンゲールに、無理は厳禁と釘を刺されてしまったよ。               

 保健室での一幕。音楽は鳥の囀りにインスピレーションを受けたものが非常に多いのですが、オペラで「ナイチンゲール」といえば、ストラヴィンスキー夜鳴き鶯(うぐいす)』でしょう!

 こちら、わたしの愛好するロシアオペラです。つい先日新国立劇場で上演していたこともあり、記事を書いたばかり。タイムリー!

↑ 公演の感想と、他作品にある類似の旋律についての指摘など。

 

 上記の記事にもリンク貼っていますが、鳥の鳴き声にインスピレーションを受けたということがよくわかるのが、二幕の鶯のアリア。20世紀の作品ということもあり、ここまで挙げてきた作品と比べて前衛的な響きを持つことも特徴です。

↑ サビーヌ・ドゥヴィエル氏の歌唱。希代のコロラトゥーラであり、且つ、美女!

 

 まあ、特に『夜鳴き鶯』を意識してこの台詞を入れたようにも思えませんが、わたしはロシアオペラが好きなので、ここはロシアオペラオマージュなんだ! と強弁しておきます。尤も、『夜鳴き鶯』では、鶯が「病の皇帝」を見舞いに訪れるというストーリーがあるので、本当にしっかり仕込んだネタかもしれません。

 

夏合宿(三年目)にて

イドメネオ

そう、この大自然こそがボクに力を与えてくれる。

たとえば―――海神ポセイドンが現れ、ボクに力を授けてくれるとかね! あーはっは!

 怪イベントの代名詞、プロレス回! ここにもオペラネタが? はい、考えようによっては!

 

 前回の記事にて、海神ポセイドンは馬の神でもあることをご説明しました。

 多神教世界では、馬を象徴する、或いは守護する神が存在している場合があります。ギリシア神話では海の神ポセイドン、及びローマ神話で同一視されるネプチューンです。有名なギリシア神話の海の神ポセイドンは、自身が馬に変身することもあれば、馬を使役することもあります

神馬信仰と人馬変身譚を考える - ウマ娘雑記

 これを理解した上でこういった発言をしているのだとしたら、オペラオー君の教養は化け物です。賢さSS。覇王の異名は伊達ではない!

 

 そして、その海神ポセイドン=ネプチューンが登場するオペラといえば、勿論モーツァルト作曲『イドメネオ』。

 この合唱曲は正に海神ネプチューンを讃える歌。

Nettuno s'onori,
Quel nome risuoni,
Quel Nume s'adori
Sovrano del mar;
Con danze e con suoni
Convien festeggiar.

ネプチューンの栄誉を讃え
その名を響かせよ
かの神を崇め奉らん
海の支配者
踊りに音楽
集い、祝え

 『イドメネオ』に於ける海神ネプチューンは、畏るべき神であり、強大な力を持ちますが、誓いを破った者には凶悪に牙を剥きます。その味方とも敵とも言い難き存在は、エルコンドルパサーに重ねて見ることができる…………、かも?

 

愛すべき好敵手

神々の黄昏

問おう、メイショウドトウよ! 汝は何なりや!?

ボクの終生の敵となり、いつ果てるかわからない神々の闘争【ラグナロクを演じるのか、否か!?

 ここもわかりやすいですね。ワーグナー作曲『神々の黄昏』です。厨二カッコいいオペラタイトルシリーズ。

ちなみに、Ragnarøk の定訳「神々の黄昏」は広く流布しており、慣習としてこの訳を使うことが多いものの、元々は誤訳で、「神々の闘争」の方がまだ原語に近いニュアンスを持っています。やるなあオペラオー君。

 

 ワーグナーの四部作『ニーベルングの指環』の最終作品である『神々の黄昏』。ゲルマン神話をベースに、神々の栄光が潰えてゆく様を描きます。元の伝説が気になる方は、『ニーベルンゲンの歌』を読んでみて下さい。叙事詩として普通に面白いですし、理解が深まります。賢さトレーニング Lv.2 だと思って、是非。

 

 『神々の黄昏』では、主人公である英雄ジークフリートがハーゲンという男の策略により殺されてしまうのですが、その彼の葬送行進曲が有名です。

↑ 更にご興味ある方は、リストの葬送行進曲と聴き比べたりしてみると、面白いかも?

 

喝采の中で

夏の夜の夢

たまに思うのさ。ここまでの栄光は……王が見た、夏の夜の夢だったのではないかと。

 珍しくしんみりムードの王。不調で目標レースに挑んだときや、ストーリー7話もそうなんですけど、いつも快活な喜劇王が時折見せる、弱気な素が可愛いですよね。

 さて、『夏の夜の夢』といえばシェイクスピアの傑作喜劇ですが、勿論オペラ化も果たしております。ブリテン作曲です。今シーズン新国立劇場で上演していたので、もしかしたらご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 ちなみに、広く用いられていた『真夏の~』という表記は誤訳で、オペラオー君も『夏の~』と仰っています。もしかしてこの娘、誤訳に厳しい? ひぇぇ……(※筆者は外国語学部在籍)。

 

 『夏の夜の夢』は、西欧に広く伝わる妖精伝説を題材にした作品です。動画でそのファンタジックな雰囲気を少しだけでも感じ取って頂けたらと思います。

 まさに、夏の夜に見る夢のような出来事―――。謂わば、白昼夢だったのではないかと、そう言っているわけですね。切ない。

 

マノン・レスコー

そこの扉を開けた瞬間、夢は醒め―――見えるのは無人の荒野なのではないかと。

 細かいですが、すぐ次の発言。弱気になった覇王は何を見たのか。オペラファンは「無人の荒野」という単語ですぐピンと来るかとおもいます。プッチーニの方の『マノン・レスコー』最終場です。

 

 アベ・プレヴォーの文学作品『マノン・レスコー』は、数々の舞台作品を生み出しました。オペラでは、マスネの『マノン』とプッチーニの『マノン・レスコー』が二強のような存在になっていて、今回は後者。

 

 『マノン・レスコー』最終場では、「天使のような」無邪気で美貌の娼婦マノンと、貧しいが誠実なその恋人デ・グリューが、犯罪に巻き込まれ流刑地に追放されることになります。あてもなく無人の荒野を彷徨っていた二人でしたが、マノンは耐えきれず倒れ伏し―――。

MANON: 

La sete mi divora …
amore, aita, aita!

マノン: 

乾きがわたしを蝕むの……

愛しい人、助けて、助けて!

DES GRIEUX: 
Tutto il mio sangue
per la tua vita!
È nulla! nulla!
Arida landa … non un filo d'acqua …
デ・グリュー:

ぼくの血を全て捧げよう!

だが何もない! 何もないんだ!

乾いた荒野には……水なんて一滴だってない……

 二重唱の中でも、この対話は特に有名で、「水も助けも神もいない、無人の荒野」といえば、まず『マノン・レスコー』だろうとおもいます。

 

 オペラオー育成シナリオでは、日本ダービーでアヤベさんに敗北すると「しかし、悲劇に散るボクもまた美しい! そうだね、トレーナー君? 散るといっても、それはお芝居上で、本当は全然散る気ないけれどもね!?」という発言を聞くことができますが、観劇好きトレーナーとしては、史実でえげつない歴史を持つ他の競走馬たちを思い起こし発言の危うさに冷や汗をかきながらも、「如何にも!」と返したくなります。

キャッチコピーに「喜劇王」とあるので、喜劇が特に好きなんでしょうけど、こういった悲劇も演じてみて欲しいところです。絶対映える~~。

 

 ちなみに、バレエ版では、全く同じシーンが「沼地」に設定されているという興味深い変更があります。この辺り、もしご興味ありましたら、二年前の記事で軽く説明を書いているのでよかったらどうぞ。

 

有馬記念の後に / 秋シニア三冠達成

ドン・ジョヴァンニ

 2021/4/23 追記。

そして "世紀末覇王" の脇に立つ、大出世の騎士団長は―――君だ! メイショウドトウ

 ふと思いついたので追記。オペラで「騎士団長」といえば、モーツァルト作曲『ドン・ジョヴァンニ』に出て来る、騎士団長。なんと物騒なことに最序盤で主人公ドン・ジョヴァンニに決闘で殺害されてしまいます! 

↑ オペラ映画版、英語字幕付き。決闘シーンは大変カッコいいので絶対に観て欲しい!

 しかしながら……。

 

見たまえ! これが秋シニア三冠達成の記念、『テイエムオペラ像』だ!

(それは恐ろしく精巧な像だった。今にも動き出してしまいそうなほどに……。)

ははは、さすがの出来だね。息づくような造形美……。まるでボクの魂が宿ったようだ。

 秋シニア三冠を達成すると、特別イベントが入るオペラオー君。クラシック級でもシニア級でも三冠を達成しさえすればイベントが入ります。

ここの元ネタも『ドン・ジョヴァンニ』でしょう。原作となったモリエールの『ドン・ジュアン』では、このような台詞が見られます。

SGANARELLE

Vous ne vous rendez pas à la surprenante merveille de cette Statue mouvante et parlante?

スガナレル

じゃあ旦那様は、像が動いたり、喋ったりする奇っ怪さがわからないとでも仰るので?

 このように、動いたり喋ったりする、「酷く精巧な像」が登場するのです。その「像」のモデルとは―――、そう、騎士団長!!

殺害された騎士団長を偲んで作られた騎士団長の像は、物語の最後に、悪行を働くドン・ジュアンを地獄に引き摺り下ろします!!

 

 モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』は、主人公ドン・ジョヴァンニが謂わば悪役のような立ち位置で、地獄に落とされるという結末にもかかわらず喜劇とされていますトレーナーが「ちょっとホラーな気がする。」とコメントするのは、もしかしたらこのことを指しているのかもしれません(深読み)。尤も、オペラオー君はシンデレラを粉砕し、勇者の心をも打ち砕く伝説の世紀末覇王なので、そんなことにはならないでしょう! 

 

クリスマス

ニーベルングの指環

トレーナー君、誓いの証として―――指輪を受け取ってくれないか。

ボクがずっと懐で温めていた、約束の指輪をね。

ふふ……その指輪は、種族のエンゲージともいえる、かの……。

ニーベルングの指環』!!

指輪の魔力で、君が人類の意志を操り、ともに世界を支配するのだ!

 「あれ? これなんのゲームでしたっけ??」と言わんばかりの迷言集、クリスマス編。今回は最もわかりやすいネタの一つ、タイトルをそのまま言ってくれています、ワーグナー作曲『ニーベルングの指環』! 難易度▲。

 ちなみに、是非見直してみて欲しいのですが、オペラオー君はしっかり「指」と「指」、漢字を使い分けています。なんて細かいんだ。やはりこだわりがあるよね、そこ! わかる!

 

 ニーベルングの指環』は、これまでご紹介してきた『ワルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』を含む、ワーグナーの四部作の総称です。ちなみにあと1つは『ラインの黄金』。元となった原作は、『神々の黄昏』の項で前述したように、『ニーベルンゲンの歌』というドイツの伝説です。「指環」についてはここに詳しいのですが、オペラオー君も説明してくれているように、「指環」には生き物を意のままに操り支配したり、黄金を無限に生み出したりなどの超自然的な力が宿っています。しかしながら、朱儒アルベリヒにより死の呪いが掛けられ、所有者には死の運命が訪れることになります。不死である神々にとっては厄介極まりない呪いです。

 ……しかし、オペラオー君? 何でそんなもの持っているのかな? 危ないので、ライン川にポイッとしておいてくださいね?……オペラオー君の性格的に、ワーグナー好きなんだろうなあとは思っていましたが、シナリオに何度も『ローエングリン』や『ニーベルングの指環』が出て来るので、確証に変わりました。オペラオー担当のトレーナー諸賢は、是非履修してみてください。

 

嗚呼、美しき我が御世よ

トゥーランドット

強豪ウマ娘A「終わりよ……。もう終わり……。G1 の栄光はもう誰も手にすることはできない……。」

強豪ウマ娘B「暗黒時代よ……。みんな死ぬんだ、みんな~!!

URA ファイナルズ決勝で勝利し、「テイエムオペラオー朝」樹立に成功すると、我らが王による独裁! 絶対王政が始まります()。やったね!

 我々にとっては喜ばしいことですが、他のウマ娘からしたら「暗黒時代」の到来としか言えない悪夢です。そしてその嘆きが聞けるわけですが、もう既に彼女らも我らが王に汚染浸食されているとしか思えない演劇じみた言い回しになっています。しかし、その「浸食」には恐らく元ネタがあります。再度、『トゥーランドット』です。

 

 「有馬記念に向けて」で、『誰も寝てはならぬ』を紹介致しましたが、アリアの途中に女声の合唱が入り、引用した歌詞は「合唱の後」です。では、その合唱、何と歌っているのでしょう。

Il nome suo nessun saprà ...
E noi dovrem, ahimè! Morir! Morir!

誰も彼の名前を知らないのでしょう……
そしてわたしたちは皆、嗚呼! 死ぬんだ! 死ぬんだ!

 名も知れぬ王子―――カラフ、或いは『愛』が勝利を宣言する中、北京の民衆は「皆死ぬのだ」と嘆くのです。この構図、正に覇王の御世!

 このように、テイエムオペラオー育成シナリオでは、沢山のオペラを引用しつつ、ベースには『トゥーランドット』を用いていることがわかります。育成シナリオ編、完ッ!!

 

ストーリー第三話

 続きまして、ストーリー編に入ります。引き続きお付き合いを宜しくお願い致します。

エコーとナルシス

そう―――その通り! そのウマ娘こそ、泉に映ったボク自身だったんだ!

 賢さG+王としての実力を遺憾なく発揮したことで有名なストーリー第三話の迷言。これは勿論、ギリシア神話ナルキッソスの物語が元ネタでしょう。

神の罰により自分の姿しか愛せなくなってしまった美少年ナルキッソスが、泉に映った己の姿に惚れ込み、泉から離れられなくなって餓死(或いは泉に落ちて溺死というヴァリアントも)する―――という物語です。

 ナルキッソスの物語はオペラにもなっており、それがグルックの『エコーとナルシス』。「オペラ改革者」と呼ばれるグルックの最後のオペラ作品です。

↑ ナルシスが泉(演出上鏡になっています)を覗き、己の姿に見惚れるシーンから始まるように設定してあります。是非数分だけでも視聴してみてください。

 

 『エコーとナルシス』は初演時から客の入りが悪く、失敗した作品と見做されており、現代に於いても上演の機会は極めて少ないです( ↑ の動画もほぼ唯一の映像化)。 

 グルックで最も成功した作品は『オルフェオとエウリディーチェ』で、こちらは来シーズン新国立劇場が取り上げます。オペラ界を助けると思って、東京の近くにお住まいの方は是非一度観に来て頂けると嬉しいですね。

 

ストーリー第七話

そしてしばらくしてボクは海から上がり、水しぶきと共に歌いだす!

真夏のセイレーンたちも惚れ込んでしまう歌声でね!

 セイレーンが出て来るオペラっていうのは幾つもあるのですが……、全て紹介しようとするとここから更に1万字近くお付き合い頂くことになるので(本当に)、ここは筆者の趣味で、こちらの作品を紹介してみたいとおもいます。

 

ルサルカ

 ドヴォルザークのオペラ、『ルサルカ』。チェコオペラです。「ルサルカ」は、スラヴ地域に伝わる水の精で、ドイツ民話に於けるセイレーンとある程度対応します。オペラ『ルサルカ』は、アンデルセンの人魚姫とストーリーが酷似している他、ドヴォルザークらしい耳馴染みのよい旋律、ファンタジックで親しみやすい設定と、オペラ初心者にも大変易しいとおもいます。

 

 さて、オペラオー君は「寝不足で……」のイベントで、月に向かって自分語りをするという怪行動を暴露しますが、『ルサルカ』で一番の聴き所となるタイトルロールのアリアの名前が正に『月に寄せる歌』。もしかして歌ってくれたりせんか!?

↑ とても美しい旋律で、大好きなアリアです……ずっと聴いていたい…………。

 

余談

O sole mio

 恒常オペラオー君の副題は「オー・ソレ・スーオ!」ですが、これは明らかに「オー・ソレ・ミーオ」が元ですね。誰もが知るイタリア歌曲です。 "太陽のテノール" パヴァロッティ様の歌唱で、どうぞ!

 O sole mio とは、「わたしの太陽」という意味。mio は所有形容詞の一人称単数形。 suo (Suo) はその二人称単数、或いは三人称単数形です。ですので、ここは「あなたの太陽!」と訳してあげるのがよいでしょう。そうだとも、君はわたしの太陽だ!

 

「劇場を持つ会社」

そうですか。あの劇場は、あなたの会社が。いやあ、素晴らしい。

 クリスマス編での一言。「劇場を持つ会社」といえば、日本クラシック界で一番有名なのはこちらでしょう。

恐らくこちらがモデルだとおもいます。いつもお世話になっております。

 ちなみに、大企業サントリーは、競馬場のドリンクコーナーも運営しているので、わたしの読みではほぼ確実かと存じます。

…………えっ、ってことは、オペラオー君、誰と話して…………?(震)

 

フランスの話

 オペラオー君は度々フランスの話をします。ちょっと追ってみましょう。

ライバルを探せ!

そうかそうか、よかったなマイライバル。

フランス語で言えば、リヴァルか。

 より正確に言えば、マ・リヴァル Ma rivale ですね。アヤベさんは女性なので(史実ベースで行くなら、モン・リヴァル Mon rival になります)。

 

 ついでなので、「Rival」という語が出てくるフランスオペラを、データベースで調べてみたんですよ。そしたらもう、全然無くって! 唯一出てきたのが、男性形ならジャン=バティスト・リュリの『ベレロフォン』、女性形なら同作曲家の『アマディス』でした。意外とライバル関係が売りのフランスオペラって無いんだなぁ……という新たな気付きを得ました。茅野の賢さが10上がった!

 

 

ボクたちの一年戦争

嗚呼……あぁぁぁぁ、なんと素晴らしい!

かのオペラ大国フランスにて、日本のウマ娘がこんなにも輝くとは!

 「今オペラ関係ある?」 とツッコみたい気持ちはさておき。

冷静に、フランスってオペラ大国なのかなあ? と思ってしまったので、一筆やっておきます。確かに、パリ・オペラ座を筆頭に、フランスはオペラ上演に力を入れている国ではあるのですが、伝統的にフランスはオペラよりもバレエが好まれた国で、19世紀には、フランスでのオペラ上演の際には、バレエを挿入しないと上演できない、とされたくらいには「バレエ大国」なのです。オペラ大国と言えば、恒常オペラオー君の副題も示すように、隣国イタリア、或いはワーグナーらを排出したドイツが「オペラ大国」として挙げられるとおもいます。

 ……まあ、でも、「一番の」みたいな形容もないですし、少なくとも日本よりも断然オペラ上演の場が整っていることは紛れもない事実なので(悲しいことに……) 、深くツッコんだら負けですかね!

 

夏合宿(二年目)にて

よし、ならばやり遂げてみせよう、このアルバイティエンヌを! うおおお!

 たづなさん「賢さが不足しているようなので、重点的に鍛えてみましょう。」

えっ、先程はきちんとフランス語使えていたのに、急にどうした???

 我々がよく使う「アルバイト」という語は、ドイツ語の「arbeit」から来ています。接尾辞 -enne を付けることで、フランス語の形容詞女性形っぽくしたいのでしょうが、残念ながらフランス語にそんな単語はなく、フランス語で「労働」は「travail」です。動詞にするなら「travailer」、或いは「あくせく働く」というような意味の「bosser」などがあります。つまり、完全に造語です。結論: 賢さG+王。ここまで教養の高さを褒めちぎってきたのに、どうした王よ。急にアホの子になったか。

 

衣装の話

 衣装(勝負服)に関しては、特に特定のモデルはないのかなとおもいますが、ベースは近世の男性の盛装かなとおもいます。 "太陽王" ルイ14世の有名な肖像画などを見てみますと、短いパンツ(スカート)、白いタイツ(ニーハイソックス)、マント、錫杖と、多くの類似点を見つけることができるので。

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 ちなみに、これはわたしに『ウマ娘』を布教してきたオタクが言っていたのですが、指に嵌めている7つの指輪は、史実で制したG1 七冠をそれぞれ示しており、指輪一つ一つが勝ち抜いた G1 レースに対応しているのではないか、と推測していました。わたしも、多分それが正解だとおもいます。……ということは、オペラオー君がクリスマスにくれるのは「8つめの指環」ということに。八冠、それは「世紀末覇王」の条件。それを……ウッ……エモい……。

 

固有スキル名

 2021/4/20 追記。

 書き忘れていたので追記。固有スキル名「ヴィットーリアに捧ぐ舞踏」ですが、ヴィットーリアとはローマ神話に於ける勝利の女神を指します。又、男性名に変えてヴィットーリオ、とすると、 "イタリア統一王" ヴィットーリオ・エマヌエーレ二世の名前になります。わたしの考えでは、この二つを掛けているのでは無いかと推測しています。

 第一に、「勝利の女神」であれば、ギリシア神話勝利の女神ニケでも良いわけで、何故ローマ神話なのか。「オー・ソレ・スーオ!」がイタリア語ですから、イタリア(ローマ)で揃えているのだろうというのが理由として挙げられると考えられます。 次点。 "イタリア統一王" は国民から愛された偉大な王で、「イタリア」「王」「名前が勝利」という点から、イメージを引っ張ってきているのでは、と推測しています。如何でしょうか。

 

ドラマトゥルク

 2021/4/20 追記。

こちらも書き忘れていたので追記します。ポンコツですみません。

 オペラオー君はよく、「ドラマトゥルク」という語を口に出します。一番わかりやすいのが、ゼンノロブロイを誘う場面。

 「ドラマトゥルク」というのは、オペラの上演に於けるリサーチャーを指す専門用語です。演出の際の時代考証を行ったり、上演史を調べたり等、作品に関わるリサーチを一手に引き受け、制作に活かします。気が遠くなるような、とっっても大変な役職です。オペラオー君は作曲や主演のみならず、ドラマトゥルクすらも一人でやっている、と述べていますが、これってえげつない大変なことなんですよ。こんなの賢さSS+じゃないとできないんですよ。カシコイオペラオー国樹立待ったなしですよ。舞台芸術に携わる人にしか伝わりづらいこのヤバさ。そもそも作曲というのも膨大な知識と努力が必要なものですし……どうなってるんだこの娘は。素はとっても賢いのでしょうが、道化の仮面で完全に覆い隠しているのでしょうね。

 

今後の予想

 最後の節です、もう少しだけお付き合い下さいませ。最後に、今後のイベントなどでどんなオペラが引用されるのかを予想して遊んでみましょう。

エヴゲーニー・オネーギン

 わたしが偏愛しているオペラです。盲愛しています。もうオネーギンの話してくれたら一生付いていくっていうか、逆にオネーギンの話してくれるまで公式に嘆願書を送り続けるまである。

 『エヴゲーニー・オネーギン』は、かのピョートル・イリイチ・チャイコフスキーが執筆したロシアオペラです。ロシアオペラは残念ながら、  誠  に  残  念  な  が  ら 知名度が高くないのですが、『騙された花婿』なんてネタをぶっ込んできた『ウマ娘』様は今更知名度で臆する必要などないでしょう。プレゼンさせて下さい。

 

 オペラオー君は、頻繁に決闘について口にしますが、『オネーギン』では作中で銃による決闘を行います。是非、引用してあげて欲しいです。決闘で敗れるレンスキーのアリアは名旋律として有名で、『どこへ どこへ去ったのか 我が青春の黄金の日々よ……』と悲嘆のアリアを歌うのですが、絶不調・レース敗北オペラオー君に言って欲しいランキング堂々の1位ですね! ええ!

 

 又、作中で有名なのが「手紙の場」と呼ばれるラブレターを書くシーン。当時の帝政ロシアでは女性から男性へ手紙を書くのはタブー視されていたのですが、ヒロインのタチヤーナは思い切って主人公・オネーギンに恋文をしたためます。その手紙の書き出しは、ロシア語話者なら知らぬ人はいない、最も美しい書き出しです。『わたくしが貴方にお手紙を差し上げる。それ以上に何が要りましょう。それ以上に何ができましょうか?』。手紙を送る、その行為だけで、胸に秘めているだけではおれない、情熱が、恋情が、溢れて堪らないのだと、そう言っているわけですね!! きっとオペラオー君はこのような書き出しのファンレターを9万通くらいは貰っているんじゃ無いかとおもうのですが、如何でしょうか。

 

 わたくし、オネーギン限界オタクとして通っていまして、解説等も色々書いているので、是非とも……何卒……いやもう監修お手伝いさせて頂くのでやってくれ……ほんとに……頼む……。いや、わたしは過激派なので、普段なら「触れないでくれ!」とまで言う程なのですが、ここまでのオペラオー君のシナリオを読んで信頼しているので……『ウマ娘』であれば誤情報を流したりせず上手くオネーギンへの道を拓いてくれると期待しているので……。

宜しくお願いします!!!!(嘆願)

 

皇帝に捧げし命 

 こちらもロシアオペラなのですが……(筆者の趣味丸出しですみません)、こんなに皇帝シンボリルドルフと絡んで下さいと言わんばかりのタイトルを放置する理由がありますか? いいえ、ありません!

 実際、「王政復古」イベントでは皇帝と絡んでいるわけですし、二人で上演しませんか? まあ、二人だと役的に足りませんけど……。

 オペラ『皇帝に捧げし命』は、ミハイル・グリンカ作曲のロシアオペラです。作中、最も輝かしいのは、主人公スサーニンのアリア『昇れ、わたしの太陽よ』。これがまたすっっっごく良い歌詞なんですよ……大好きです……。『誰も寝てはならぬ』の「夜明けと共に勝つ」が言えるのであれば、『皇帝に捧げし命』の「昇れ、わたしの太陽よ」も言えるんじゃないかとおもいますが……如何でしょうか……。

 

ペレアスとメリザンド

 真面目な話なんですが、オペラオー君はフランス語ネタを話す割にはフランスオペラの話を全然しないのですよね。だから、フランスオペラの話が来るんじゃないか、というのが真面目な予想です。フランスオペラで最も有名なのは勿論、ビゼーの『カルメン』ですが、『カルメン』だと作中の話と絡ませるのが難しいとおもうので、やはり王政の王家の物語がよいのかなあとおもい、更にそこから有名どころということで、ドビュッシーの『ペレアスとメリザンド』は如何かな、と思います。個人的に好きなオペラということもありますが、来期新国立劇場で上演しますし、タイムリーでよいのではないかと存じます。

 

タンホイザー

 何って、マチカネ "タンホイザ" ちゃんがいるじゃないですか。これは『タンホイザー』ネタやるでしょうよ(確信)。

タンホイザー』は(オペラオー君が好きな)ワーグナーのオペラで、ドイツ伝説をモデルにしています。特に第一幕は、わたしもワーグナーオペラの中で最も好きですね。序曲に巡礼の合唱……堪らない……。

タンホイザー』ネタでオペラオー君とタンホイザちゃんが絡むの待ってますので。宜しくお願いします。

 

他キャラの育成ストーリーでのオペラ

(2021/09/05 加筆)

 多くのご質問を頂くので加筆します。オペラオー君が育成で登場しそうなキャラは大体集めていますが、少なくともフジキセキメイショウドトウのストーリーでのオペラオー君の発言ではオペラネタは確認していません

 

 わたしだってオペラオー君の記事を書きたいんですよ!!! でも公式がオペラオー君にオペラの話をさせてくれないのでわたしにもどうしようもありません。公式に嘆願書を送りつけるまである。

 実際の所、僭越ながらこの記事の影響もあるのか、オペラファンの方々もウマ娘に参入しつつあるので、ここで顧客を手放すのは非常に勿体ない。オペラファンを救ってください。オペラオー君が話すオペラネタからしか得られない栄養素が存在するんだ。宜しくお願いします。

 

(追記)オペラネタが来ました!

アグネスデジタルちゃんの哲学やオペラについて一筆やりました! こちらからどうぞ。

(追記)

新衣装おめでとうございます! 新衣装・イベント台詞についても書きました!

(追記)

アヤベさん編です!

(追記)

アキュートばぁば編です! 「Make a new track!!」と「チャンピオンズミーティング」のネタも拾いますよ!

(追記)

アニメ『Road to the Top』完結おめでとうございます! オペラオー君が主役級で嬉しいです! こちらについても一筆やりました!

 

 続く!

 

最後に

  最後まで読んで下さった方。しかも貼ったリンクの動画を全て聴いてくださった方。あなたは超人です。

なんと、当記事脅威の24000字を達成しました。流石に書きすぎました。お付き合い下さり、ほんとうにありがとうございます。

 

 『ウマ娘』という作品が素晴らしいと評価される理由の一つに、実際の競馬界への支援が挙げられるとおもいます。実際に、アニメの売上の一部を引退馬の支援に充てているとのことで、擬人化コンテンツとしてここまで配慮されたものはそうそうないのではないかとおもいます。

 正直に申し上げまして、オペラ界は危機的状況にあります。コロナ禍も重なり、状況は壊滅的とさえ言えます。劇場の赤字は目を覆いたくなる額に到達しています。わたしは、入り口は何でも構わないと思っています。マナーを守って楽しめるのであれば、どこから入ろうが全く問題ありません。

 オペラ鑑賞は「高尚な趣味」と思われがちですが、現代ではマナーの面でも映画館へ行って映画を観ることと大差ありません(差異は飲食物の持ち込みが禁止なことくらい)。ですから、この覇権コンテンツから、オペラに少しでも興味を持ち、席を買い、楽しんで頂き、それをご友人に広めて頂き……と、輪を広げて行けたら、と思う次第なのです。如何でしょうか。

ちなみに、筆者の偏愛するロシアオペラは、中でも知名度が低く上演機会も少ない不遇の扱いなので、是非ともこちらにご支援頂けると大変、大変嬉しいのですが……!! 宜しくお願い致します。

↑ オペラ入門の手引きを書いてみたので、良ければ参考にして下さい。

 

 それでは、長くなりすぎましたし、ここで一旦お開きと致しましょう。また別の記事でお目にかかれれば幸いです。それでは!