こんばんは、茅野です。
漸く旅雑誌『TRANSIT』の新刊、「コーカサスが呼んでいる!」を入手できました。
↑ 雑誌をほぼ全く買わないわたしが購読している数少ない雑誌。お勧めです。
入手し次第、一気読み。勉強になりました。「カフカースもの」が好きな皆さんは必見です。
曰く、カフカースには、18世紀末にロシア軍が作った軍用道路があって、今はトレッキングコースとして一般公開されているんですって! 歩きたすぎる。レールモントフ御大も通っただろうか?
一気に今後の旅先の有力候補になってしまいました。
さて、カフカース山脈から北へ戻りまして、デンマーク遠征旅日記シリーズです。
↑ シリーズ概要に関してはこちらから。
第3回目(シリーズとしては5記事目)となる今回は、3日目・11月3日編をお送りします。この日は、夕方までは普通にコペンハーゲンを観光しました。
夜は再びのオペラ鑑賞をするため、今回は夕方までになります。
それでは、お付き合いのほど、宜しくお願い致します!
朝ごはん
昨日に続き、朝ご飯はお宿にて。
↑ 何が美味しいかを模索中。
黒パン×レバーパテの組み合わせの良さを知ったので実践。また、手前のニシンのマリネが、生のものも、揚げたものも大変美味でした。流石北欧!
準備を整えたら、出発です!
デンマーク国立博物館
3日目の午前は、聖地巡礼というよりも資料集めへ。向かう先は、デンマーク国立博物館です。
↑ あまり車通りがない道なので、道路の反対側から写真を撮ったのですが、全然収まりきらなかった。両側に長く建物が伸びています。
昨日行ったデト・ユレ宮や、アマリエンボー城よりも断然広いと思います。宮殿よりも博物館が広いって凄いな……。
お宿から徒歩圏内ですし、コペンハーゲンカードで入れます。なんてツーリストに優しいんだ、コペンハーゲン。
入る前にロッカーにコートをしまって、いざ潜入。
展示物のお写真を上げるわけにもいかないので、取り敢えず建物のお話を。
博物館の建物自体がこれまたオシャレなんですよ! メインロビーが吹き抜けになっていて、開放感があり、また天井がガラス張りになっているので、お天気がよい日には、室内から青空を堪能できます。
↑ ここに住みたい。
中で繋がってはいるのですが、展示室は細分化されていて、さながら大学の棟のよう。各部屋に扉があり、関心があるどこからでも入ることができます。素敵だ……。
国立博物館ですから、主にデンマークの歴史や文化について扱っていて、先史時代から現代まで、数多くの展示品を見ることができます。
驚かされたのは、「デンマークの植民地」というセクションで、現在では小国扱いのデンマークも、「帝国」然としていたことがあったんだなあと思いましたし、またそれを受け入れ、乗り越え、国立博物館で自国の罪をしっかりと取り上げられていることも立派だなと思いました。我が国はさぁ……。
建物や、展示品だけではなく、周囲ですらも一見の価値があります。
向かって右側の棟の窓からは、クリスチャンボー城が見えました。
↑ 窓からの景色がこれってとんでもないな。好きだ。
重厚な石造りの建物群にどうしようもなく惹かれてしまうのは、雑居ビルジャングル育ちの必然……。
取り敢えず一周、全ての展示室を見て回りました。
途中、旧石器時代辺りのセクションで、地元の小学校低学年の社会科見学と思しき団体がいて、引率の先生なのか学芸員さんなのかわかりませんが、解説がとても聞き取りやすいデンマーク語で、みんなこんな感じで喋ってくれ!! と切に願ったりしていました(※デンマーク語の発音は頗る難しいことで有名)。
展示は音声や映像が伴うことがあり、ボタンを押すと開始するシステム。
中世のセクションでは、わたしよりも先に展示室に入っていた、英語圏からの一人旅らしいお兄さんが音声ボタンを押したら、剣戟の音や悲鳴などが大音量で流れ始め、一気に展示室がホラー空間に! なるほど、確かに中世っぽい。
ボタンを押した彼自身もビビっていましたし、わたしに「え、ゴメン、こんなことになると思わなくて」とオロオロと謝ってくれました。その様子にちょっと和んだので、 It's okay!
順路の関係で、この方とは必然的に暫く一緒に展示を見ることになりました。特に色々と会話をしたわけでもないのですが、中世ホラーセクションを一緒に耐えたという謎の絆が生まれたのを感じました。お兄さんに幸あれ。
他にも、近世のセクションでは、再現された当時の木造の家のところでボタンを押すと、赤い照明で表現された炎と悲鳴が上がり、足下には逃げ出す大量のネズミが……。
↑ 火事になった家から逃げ出してきたネズミたち。怖いて!
なんか全体的にホラーチックじゃない!? 国立博物館もハロウィーン仕様なんですかね!?
展示方法として面白いとは思うのですが、ボタンを押す度に古のデンマーク人が死んでいる気がする。罪悪感を抱かせるボタンだな……。
勿論、わたしは近代のオタクなので、近代のセクションを学芸員さんに不審がられる勢いでじっっくりと見ました。全ての説明文を写真に撮ったので、後で解読してみたいと思います。
勲章や衣服などは勿論、果ては当時の農業機械(!)まであって、興味深かったです。
また、富裕層・中産階級・貧困層それぞれのお部屋の再現とかもあって、楽しかったですね。
最後に、何故かドールハウスのセクションがあり、大量の巨大なドールハウスが展示されていました。
↑ 最早ドールハウスの街。
無論、中のセットも恐ろしく凝っていて、「流石童話の街……!!」と実感しました。見応え抜群です。
この時の企画展は、古代エジプトがテーマで、こちらも軽く一周。デンマークで古代エジプトの展示を見るのはなんだか不思議な感じがしましたが、石盤などを見ることができました(説明書きはデンマーク語のみだし、古代エジプトの知識が浅いので、何が何だかよくわからないまま通り過ぎてしまいましたが……)。
午前は完全に博物館で過ごし、計3時間くらい見学しました。
お昼ごはん
博物館って、気付かないうちに結構歩いていたりして、意外と疲れるものですよね。
全てを見終えると、空腹と疲労を感じたので、そのまま博物館の中にあるオシャレなレストランで昼食を取ることに。
毎度お馴染み、スモーブローで御座います。コペンハーゲンでは、これ以外のものを食べたければ相当リサーチをしなければなりません。いや、美味しいんだけど、ヴァリエーションって概念ないんかいな。
↑ 今回は2種盛り。
ポテトとベーコンのものと、チキンサラダのものです。両方黒パンで、シンプルな感じ。
お値段が(デンマークにしては)良心的な部類だな……と思ったら、チップを要求されました。チップ抜きだから安かったのか!
デンマークでは、基本的に料金はチップ込みですが、稀にチップを別で要求するところもある、とは知っていましたが、まさか後者に当たるとは。
ちょっと焦りつつ、なんとかなりました(しました)。
クリスチャンボー城
さて、おなかを満たした後は、博物館を出て、観光をします。
次に向かったのは、博物館からも見えていた、クリスチャンボー城です。
↑ THE・近世のお城って感じ。
頻繁に馬や馬車が通っており、それ自体は洒落ていますが、必然的に馬糞が沢山落ちています。オシャレなお靴や裾の長いボトムスでお越しになるのはお勧めできません。ゴアテックスのスニーカーを信じろ。
向かって右手には、馬房があり、馬独特の匂いがしました(※この馬の匂いに関しては、旅の後半戦でも出てきます。フラグです)。
お城の前には、お姫の父・国王クリスチャン9世の騎馬像があります。
↑ 見下ろされている……。良いアングルだ……(?)。
また、お城の反対側には、その前の国王・フレゼリク7世像もあります。
↑ スマホで撮った加工なし写真なんですけど、これめっちゃよく撮れてません?
オルデンブルク朝最後の国王であるフレゼリク7世は、超・肥満体型で知られていて、なんというか、この像でも馬が押し潰されそうになっていて、国王の馬も楽じゃないなあとか思いました。
ちなみに、体重120kgを記録したという我らがアレクサンドル3世の騎馬像に関しては、妻皇后は「似ていない」と一刀両断。側近達も、「馬が可哀想だ」と言っていたとか。まあ、間違ってはいないと思うけれど、皇帝の体型に関して、みんな割と言いたい放題だよね。ある意味、言論の自由がある(?)。
さて、ではクリスチャンボー城の中に入ってみるぞ! ……と思ったら、なんと臨時休業。そんなことある?
この旅、わたしは楽しんでいるからいいですけど、全体的に見るとあんまり運が良くないですよね!? なんということだ、強運だけが自分の取り柄みたいなものなのに。
クリスチャンボー城は、お姫の属すリュクスボー王朝時代には、王家の居城ではありません。従って、今回の旅の目的・「聖地巡礼」からは逸れます。それだけが唯一の慰めか……。これがアマリエンボー城とかだったら、流石に泣いていました。
しかし、まだ楽しみは残されていました。地下部分は開いていたのです!
というわけで、クリスチャンボー城の地下へレッツゴー。こちらもコペンハーゲンカードで入れます。凄いぞコペンハーゲンカード。
地下ですし、照明が暗く、写真で撮ってもなんだかわからない感じになってしまっているので、少しだけ。
こちらは、過去のお城の基礎部分です。
↑ 単なる石じゃないですよ。謂わば遺跡のようなものです。
ここでごく簡単な歴史の授業。
クリスチャンボー城の歴史は古いのですが、今の姿になるまでに、二度生まれ変わりがありました。
初代のこの城は、「アブサロンの城」と言われます。12世紀に大活躍し、コペンハーゲンの基礎を築いたとも言われる大司教・アブサロンが建てた城だったのです。
余談ですが、卒論で彼について触れたことがあり、この時はまだデンマークに関心を持っていなかったので、まさか本物のアブサロンの城に辿り着いてしまうとは……と、感慨深くもなりました。
↑ 自分の卒論。デンマークのフラグはこんなところにもあったのか……。
数百年の後、アブサロンの城が完全に壊された後、同じ場所に、コペンハーゲン城が再建されます。
考古学では、同じ場所に何度も祭儀場を作ったりするのはよくあることらしいですが、中世のお城もそうなんだ! と驚かされました。
コペンハーゲン城が崩壊すると、また同じ場所に、改めて城を建てます。それが、現在のクリスチャンボー城なのです(尚、火事などで幾度か再建されており、今のものは1928年のもの)。
従って、クリスチャンボー城の地下には、過去の二つの城の基礎がまだ眠っているのです。なんてロマン! それだけで歴史小説が一本書けそうだ。そしてそれを公開しており、コペンハーゲンカードで入れちゃうという。凄すぎる。
他にも、幻想的にライトアップされた井戸があったりして、なんというか、ディ○ニーシーの「セ○ター・オブ・ジ・アース」感がありました。わたし、もしかしてまだチボリ公園にいましたか?
↑ スマホを落としそうでビクビクしながら上から撮りました。
クリスチャンボー城の中には入れませんでしたが、個人的には大満足でした!
「ブラック・ダイヤモンド」
さて、クリスチャンボー城はスタッツホルメン島というところに位置するのですが、ここではもう一軒行きたいところが。
それが、「ブラック・ダイヤモンド」こと、デンマーク王立図書館です!
↑ コペンハーゲンでは珍しい、超・モダンな建物。
「ブラック・ダイヤモンド」という愛称は、この建物の外観から。確かに、そんな感じだ。
デンマーク王立図書館は、北欧最大の図書館として知られています。スウェーデンとかじゃないんですね、意外だ。
市民でないと資料は見られませんが、中を散策してみましょう。
↑ シャルル・ド・ゴール空港ばりの、長~~~いエスカレーター型の歩く歩道。
国立博物館と同様、中は吹き抜けになっていて、開放感や清潔感があって、素敵です。
カフェなども併設されており、とても居心地が良さそう。
しかし、「ブラック・ダイヤモンド」の凄さは、この現代的な部分だけではありません!
ここが謂わば「魔法の扉」、歴史の繋ぎ目……。
↑ このセクションを通った先は……。
先ほどのモダンさとは打って変わって、超・クラシカルな図書館がそこにはあった―――。
↑ こっちも素敵!!! いや、わたしはこっちの方が好みかな!!(※近代オタク)。
これが同じ建物内に共存しているんですよ! 凄くないですか!?
一番凄いのは閲覧室で、もう、それはそれは壮麗で美麗で、完全に言葉を失う美しさなのですが、写真撮影が禁止なので、わたくしの脳内に留めておきます……。
市民以外は立ち入り禁止なのですが、扉窓から中が窺えて、暫く呆けて見とれていました。出入りしたい人にとってはめっちゃ邪魔だったと思う。申し訳ない。
リアル『ハ○ー・ポッター』だった……、あんな空間で勉強できたら殿下ばりのインテリになってしまう……(なれない)(それはそうと、お姫と図書館デートしたらよいと思う)。いや、逆に、環境の美しさに気を取られて、お勉強に集中できないかも……、どっちなんだ……。
あの閲覧室を目にした瞬間が、一番コペンハーゲン市民を羨んだ瞬間かもしれません。
コペンハーゲンに観光に来たら、「どうせ資料も見られないし、閲覧室にも入れないし……」とは思わず、是非とも一瞬だけでもブラック・ダイヤモンドへ。正に、ダイヤモンド級の至宝です。
エスプレッソ・ハウス
閲覧室前で金縛りに遭っていると、既に夕方になっていました。
この晩は再びオペラハウスで『オネーギン』を見る予定だったので、そこから、オペラハウス方面・因縁のクリスチャニアへ。
オペラまでは時間があったので、どこかカフェで休憩することにしました。時間が中途半端で、空腹ではありませんでしたが、今のうちに軽食を取っておくべきでもありましたし。舞台鑑賞ファンは、中途半端な時間の軽食マスターである。
今回選んだのは、 ESPRESSO HOUSE という北欧のチェーン店です。こちら、コペンハーゲンでは、東京のスターバ○クス並に店舗があります。冗談抜きに、50mに一軒はある。
コペンハーゲンには、スタ○バックスもあるのですが、完全に ESPRESSO HOUSE に負けています。日本の民には信じられないかもしれませんが……。まあ個人的には同チェーンが色々な側面(特に美味しいとは思えない・常に混んでいて入れない・某政権を強く支援している・他)から好きではないので、逆に何故日本であんなに人気なのか、理解に苦しむところなのですが……。
このお店で、勇気を出し、今回の旅で初めての試みに挑戦しました。そう、デンマーク語会話です。
3日目にして初めて、というのもどうかと思うのですが、皆さん最初から流暢に英語で話しかけてくださるんだもの……(デンマークの言語事情に関しては、初回の記事参照)。
いつも先に英語で話しかけられてしまうので、そういうときは先手必勝なのだ。
カウンターで、店員のお姉さんに、恐る恐るデンマーク語で ≫ Hej. Jeg vil gerne have en te og en chokolade croissant. (こんにちは、紅茶と、チョコレートのクロワッサンをください)≪ と言ってみると……。
「ええっ、嘘、チョコレートになってる!? ゴメン、値札間違えた! これ、プレーンのクロワッサンなんだ!(所々聞き取れなかったけど、疑いなくこのような意味)」と大慌て。そのパターンは旅会話スキットには載ってないよ??
≫ Nå, ja. Det er fint, bare rolig. (あ、そうなんだ、いいよ、プレーンでも。気にしないで)≪ 、とかなんとかと答えつつ、クロワッサンの味なんぞより、ちゃんと通じている……!!! という感動を噛みしめていました。
紅茶の味を訊かれたので、アールグレイを指定したら、「お、アールグレイ好きなの? いいね~」とノッてくれて、殊更嬉しくなるデンマーク語初学者兼コミュ障オタクの図。
出来上がったらお名前を呼んでくれるスタイルだったので、普通にファーストネームを伝え、お会計をしました。
これがわたしの初めての、実践・デンマーク語会話です。大したことない旅会話ですが、実地で使ってみる、っていうのが大事ですからね! それに、前述のように、デンマーク語は発音が大層難しいので、会話は特に自信が無くて。Duolingo でも、何度弾かれたことか……。
ここで、「なんだ、デンマーク語、意外と通じるじゃん!?」と多少調子に乗ってみる。これ、フラグです。次の記事で回収するので(予告)、覚えておいてください。
そして、頼んだものがこちらです。
↑ お皿やカップにもロゴが入っていて素敵。
紅茶はかなり大きいサイズのマグで出てきて、お得です。デンマークでは、アールグレイはかなり市民権を得ているようですので、アールグレイ党の同志は安心して紅茶を注文してください。
デンマーク語会話成功の余韻に浸りつつ、店内のゆったりしたソファでくつろいでいると、ちょっとした事件が……。
店内に、若い男性が入ってきたな~と思っていたら、なんと、注文カウンターをガン無視し、返却台へ直行。食べ残しを食べ始めるではありませんか。え、怖。
更に、店内を練り歩き、お皿に食べ物が残っているけれど人がいないところのものは全て食べ、それで帰って行きました。
店員さんは、気付いていないのか、見逃しているのか、完全にスルー。
そうか……、これが、クリスチャニア……!!
このカフェの店舗や、オペラハウスを要す、クリスチャニアという地域は、一言で言ってしまえば、コペンハーゲンで最も治安が悪いとされる地区です。
ある程度の自治が許されているとされ、ひっくり返せば、治外法権というか、無法地帯化している側面があります。
大麻などの麻薬の売買が盛んで、ホームレスが多く、正直あまりお勧めできない区域です。
なんでそんなところにオペラハウス建てたんだ、という話なのですが、本当に……。しかしそこにあるからには致し方ないので、オペラハウスが目的のツーリストは、多くの場合、ここを通らざるを得ません(※水上バスを使えば、クリスチャニアを通らずに向かうことも可能ではあります)。
返却台完食お兄さんは、見た目はホームレス風などというわけでもなく、普通にそこら辺にいそうな方でした。見た目だけではわからなくとも、やはりコペンハーゲン、特にこのクリスチャニアというエリアには、生活が苦しい人も多いのかな……と、想像せざるを得ませんでした。コロナもありましたし、デンマークは物価が高いですからね。
暫くすると、カウンターのお姉さんと、別のお客さんのおばさまが少し揉め始めました。
どうしたんだろうと聞き耳を立てていると、無論完全にはわからなかったのですが、つまりこういうことらしい。
おばさまはお手洗いに行きたいのだけれど、ずっと鍵が掛かっていて入れないと。それで店員さんに相談されているらしい。
そして、店員さん曰く、意図的に店側で鍵を掛けていて、注文時のレシートを見せてくれれば、トイレの鍵の暗証番号を教えます、と。
「なんでそんな面倒くさいことしてんのよ!(※推測)」みたいな感じでおばさまは文句垂れ垂れでしたが、結局、一件落着した様子。
わたしはそこで察しが付きました。つまり、先ほどの返却台完食お兄さんみたいな人はここには結構いて、お客さんでもないのにお手洗いを勝手に使用されたりするのが迷惑なので、レシートを見せないと入れないシステムにしています、と。そういうことですよね。
コペンハーゲンの負の側面が、よく見えた気がしました。
そんなクリスチャニア特有の事情にハラハラドキドキする展開がありつつも、店内の雰囲気自体は落ち着いていて、ゆっくり時間を過ごすことができました。
わたしはそこで、紅茶を飲みながら、一昨日に買った『オネーギン』のパンフレットを解読することに。
曰く、KGL での『オネーギン』の初演は、1915年11月28日。ロシアオペラがそんなにも早くデンマークに輸出されているとは……。
姫、皇太子妃、皇后、皇太后を経て、「ロシア人亡命者」になり、デンマークに戻ってきた晩年のお姫は、亡き夫の最愛のオペラを祖国で観ることはあったでしょうか。
不慣れなデンマーク語を解読しつつ、落ち着いた店内で寛いでいると、少し眠くなってきました。そういえば、この日も既に1万5000歩以上は歩いているし(わたしはお散歩が好きなので、旅に出れば一日2-3万歩歩くことは普通である)、ちょっと疲れたなあ~なんて思いながら。
しかし、これから『オネーギン』だからな……! と気合いを入れ、頃合いを見てカフェを出て、いざ出発です!!
次回、KGL『エヴゲーニー・オネーギン』評に続く!
最後に
通読ありがとうございました! 9000字です。5桁乗らなかった!
今年の記事はこちらでお終いですかね。流石にこれからもう一本書くのは厳しい……。
今年も「世界観警察」に貴重なお時間を溶かして頂いてどうもありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願い致します。
次回は、前述の通り、もう一度オペラ『エヴゲーニー・オネーギン』の公演評を書く予定です。気長にお待ちくださいませ。
それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でお目にかかれれば幸いです!
↑ 続きを書きました! こちらからどうぞ。