こんばんは、茅野です。
もう師走だそうです。怖い話!! 2023年が終わる前に、今年に生じた出来事に関しての記事はどんどん書いていきたいところ(旅日記は流石に終わりそうにないですが)。
大分時間が経ってしまいましたが、新国立劇場のオペラ『シモン・ボッカネグラ』にお邪魔しました。11月21日マチネの回です。
↑ もう半月くらい経っている……? これも怖い話…………。
今回は行くか迷っていたところ、「歌手が凄く良い!!」と教えて頂いたので、その場でサッと席を取りました。席を取るのは早いが、書くのが遅い。どうしたことだ。
いつも備忘目的でレビュー記事を書くのですが、既に忘れかけていて大変まずいです。観たらすぐに書かねば。
しかし、幸いにもメモを残していたので、ちょっと文章に纏めておきます。
それでは、簡単にはなりますが、お付き合いの程宜しくお願い致します!
キャスト
シモン・ボッカネグラ:ロベルト・フロンターリ
アメーリア:イリーナ・ルング
ヤコポ・フィエスコ:リッカルド・ザネッラート
ガブリエーレ・アドルノ:ルチアーノ・ガンチ
パオロ・アルビアーニ:シモーネ・アルベルギーニ
ピエトロ:須藤慎吾
隊長:村上敏明
侍女:鈴木涼子
指揮:大野和士
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
演出:ピエール・オーディ
雑感
なんだかお久しぶりな気がしています新国立劇場。前回のダブルビルに行かなかったからだと思いますが、数日後から配信してくださる模様。嬉しい〜。観ます。
↑ 詳細はこちらから。
今回は U25 で1階下手側。
平日ゆえか、席の埋まりはかなり悪め(一列後ろはほぼ全滅でした)。大丈夫なのか。
プロローグの美術はかなり簡素で、赤、黒、白の3色を基調とし、三角形のモティーフがあります。
いつも通り、シンプルですね。下手に変なことされるよりずっと良いのですが(どれとは言わないが)、しかしシンプル=モダン=低予算という図式がここ最近ずっとありはしないか、と多少懸念はしています。
オペラ『シモン・ボッカネグラ』とは残念ながら今まで縁が無く、今回は、予習として一度だけ映像を観ただけだったので、音楽が頭の中に入りきっているわけではなかったのですが、鑑賞後暫く聴いていて、結構スルメオペラだな、と感じています。まあ、ストーリーはともかく、ヴェルディであれば音楽に大きなハズレはないでしょう。
序曲がまず素敵ですよね。今回は、pp が綺麗だなと思いました。大野さんは、全体的にオペラの時でも容赦ない印象が強かったので……。
常に、割と「私が私が」と前面に出てくるので、交響曲ならいいんでしょうけど、オペラでやると歌手を食いかねないというか、よく掻き消している気がします。
今回は、弱音が丁寧で、歌手とのバランスも悪くなく、「あれ、当たりでは?」と思いました。単に歌手が粒ぞろいだったので、大野さんのパワープレイに勝っていたという説もある。
第1幕以降は、ド派手なひっくり返った火山が吊されています。ジェノヴァって、なんか火山ありましたっけ……? エトナ火山はシチリア島だし、ヴェスヴィオ火山はナポリの方だし……。イタリアの地理に詳しくないのでわかりませんが、ジェノヴァ共和国時代は領土内だったりするんでしょうか。
「火山とオペラ」といえば、『ポルティチの唖娘』になるかと思いますが、こちらは題の通りポルティチの物語ですし。
最後まで観ても、何故火山が前面に押し出されているのかはよくわかりませんでした。
タイトルロール・シモンさん。新国には結構いらっしゃっているらしい。
安定しています。タイトルロールが安定しているって基本的なことですが一番重要な気がする。
権力者役が様になっています。悪役とかも合いそうな気がするけど(※褒めています)。でも個人的には、弱り切った状態の第3幕のフィエスコとの二重唱が一番好きです。凄くヴェルディっぽいし、ヴェルディの音楽ってこうやって歌うんだぞっていうのを見せて頂いた印象です。
アメーリアは美声で魅せるタイプではなく、どちらかというと技術で聴かせるタイプ。声が強く、ヴィヴラートの幅が大きめ。
『シモン・ボッカネグラ』は、主要登場人物でほぼ紅一点状態なので、メタ的に責任重大なキャラクターですが、ソプラノラヴァーにも充分満足して貰えるのではないかと思います。
しかしまあ、ロシアオペラでは、女性が全然出て来ないことはまあまあ茶飯事ですし、個人的にもバリトンやバスなどの低音域は好きですが、やはりイタリアオペラだと物足りなく感じるものだな……と、この作品を通して思いました。
ロシア系ということで、タチヤーナを歌っていないかな~と調べたのですが、動画はなく。インタビューで言及はしているのは見つけました。
西欧で活躍されていることもあり、ロシアオペラはあまり歌わないのかな。でも、マルファやオクサーナは歌ったことがあるそうです。結構渋い。あ、でも、合いそう。
今回の白眉は、ガブリエーレですよ。これは満場一致だと思います。スコーンと突き抜ける、お手本のような THE・イタリアンテノールです。
今回は主要登場人物が皆粒揃いですし、大野先生の指揮も近年の新国では一番良かったと思いますが、それでも「テノールが主役にならないオペラで連れてきちゃって大丈夫?」というくらいには突き抜けていました。強い。上手い。以上。
新国では初登場だったようですが、今後はどんどんお呼びが掛かるのではないでしょうか。良い歌手を発掘してきましたね……。
第3幕は、溶岩溜まりの後ろからにゅっとシモンが出てきます。這いつくばるような形で隠れていたのか……? 1階席からでは確実に見えませんが、あそこって席によっては隠れてるシモン見えるんですかね。余計なことが気になってしまいました。
どうでもいいんですが、ジェノヴァ共和国の国旗ってほぼデンマーク国旗の色違い(赤と白を入れ替え)なんですね!
月初にデンマークに行っていたので(旅日記はこちらから)、無駄に反応してしまいました。
アメーリアのカーテンコールがとても可愛かったです。単純ですが、こういう人は応援したくなってしまう人間の性。物語は悲劇的な結末を迎えますが(イタリアオペラにしては温情がある方)、明るい気持ちで劇場を後にできるって、大事なことですよね。
簡単ではありますが、こんなところでしょうか。
予習も簡単にしかしていませんでしたが、ヴェルディの政治の物語は今期は上演に恵まれているので、見比べるような意味合いでも楽しめました。『ドン・カルロ』のお口直し。
確かに、ストーリー上難がないわけではないですが(それでも『イル・トロヴァトーレ』よりマシだと思う)、もっと上演機会が良い増えてもいい作品だと思います。
新国の今シーズンの上演でもトップレベルの「当たり」であったと感じました。
最後に
通読ありがとうございました。3000字ほど。
新国といえばですね、『こうもり』に行きたかったのですが、席が取れず!!
再々販売でも逃すことあります?? わたしが U25 に座れるのも残り僅かなので本当に勘弁して欲しいところですが……。え~、『こうもり』好きなので、シンプルに悲しいです。皆様のレビューをお待ちしております。
そしてその次の演目は……、怖いからまだ考えるのは止めにしておきましょうね、はい。
次回の記事もレビューか何かになるかと思います。レビューを溜め込んではならない……(未だに執筆に苦手意識が強い)。
それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でもお目に掛かることができましたら幸いです。