こんばんは、茅野です。
東京も急に冷え込んで参りましたね。わたくしは今晩から布団乾燥機を導入しました。皆様もお体にはお気をつけください。
さて、今回から、何回かに分けて旅日記を書いていきます。この間まで、約一週間、唐突にデンマークを旅してきました!
コロナだなんだですっかり機を逃してしまい、約6年振り(!?)の海外遠征になります。自分で書いていて驚きました。嘘、そんなに国外脱出していなかったか……。
ちなみに前回は、ロシアのモスクワ / サンクトペテルブルク二都でした。
↑ オタク丸出しで、個人的には恥ずかしいのですが、「オタクが狂ってるの、おもしろw」などと言われ、妙に人気の高いロシア遠征旅日記。勘弁してほしい。
今回は、第0回・プロローグ編として、旅の経緯と、秋のコペンハーゲンに関心がある人のためのお役立ちコラム的なものを書いておきたいと思います。実際にお役に立てば幸いですね。
それでは、お付き合いのほど宜しくお願い致します!
旅の経緯
弊ブログの読者の皆様にとっては、わたくしが旅に出た理由などもう考えるまでもないかと思いますが、そうではない方のために、最初に自己紹介をしておきます。
読み飛ばして頂いても結構です。
わたくし茅野は、近代(主にフランス大革命から第一次世界大戦までを指す)ロシアを愛好する一般オタクです。
前回の海外遠征の行き先がロシアなのはそれが理由ですし、このブログ「世界観警察」では、近代ロシアに纏わる史料の紹介をしたり、この時代の舞台芸術の批評を多く執筆しています。
しかし、ご承知の通り、現ロシア連邦政府は、愚かな侵略戦争を始め、今ロシアには簡単に渡航できないのである!!
確かにわたくしは近代ロシアを愛していますが、言うまでもなくウクライナ侵攻には否定的な立場です。人道的にも国際法的にも言語道断であることも然る事ながら、個人的にも、資料が輸入できなかったり、このように渡航できなかったりと、迷惑しています。
在りし日のロシアを愛する一人として、落ちぶれゆく現代ロシアを見るのは辛いのである。好きだからこそ、批判すべきなのである。可及的速やかに停戦すべし。
閑話休題。
わたくしは近代ロシアの社会・芸術・文化を愛し、政治研究をするのも大好きですが、特に愛好している人物、所謂「推し」がおりまして、それが19世紀中頃にロシア帝国で皇太子を務めていたニコライ(ニクサ)・アレクサンドロヴィチ殿下です。
↑ 最も帝政ロシアの歴史を書き換えられる可能性を持つゲームチェンジャーと目される、「完成の極致」の異名を持つ怪物。本人が際限なく魅力的であるばかりか、そんな彼に狂わされた周囲の記録も信じられないくらい面白いので、常に追い掛けています。
彼に「沼」って以降、一度も国外渡航していませんでしたし、彼はロシア以外の地にも赴いているので、いずれ各所に聖地巡礼はしたいと考えていました。
そんな中、昨年末に、一つ事件が起きました。
今でも信じがたいことですが、デンマーク王室が、彼の遺髪をオークションに掛けたのです。
↑ この大事件に関する記事。お写真や肖像画を見たことがある方はご存じかと思いますが、殿下の波打つ亜麻色の髪は大層美しいのである。
彼は、デンマークの王女ダグマール姫と婚約していました。元々は政略的な縁談でしたが、そうとは思えないほどの、情熱的に愛し合う相思相愛のカップルであったようです。
しかし、結婚を半年後に控える中、彼は病に倒れて急逝してしまい、未だ年若い恋人を看取ったお姫様は、形見として彼の髪を切ってペンダントに収め、肌身離さず持っていたのだといいます(泣ける)。
そのペンダントが、デンマーク王室から流出するというのです。そんなことある? 大切に保管しておいてよ……。
結論から申し上げますと、オークションの情報が事前にあまり公にされていなかったこともあり、わたくしは情報を掴み損ね、チャンスの前髪諸共殿下の髪の入手にも失敗したのでした。
しかし、そこで泣き寝入りするオタクではなかった。
宜しいか、わたしは己の失態をそのまま放置しておくような愚かな人間では無いのだ、可及的速やかに基礎文法くらい身につけてやるからな、覚えておけよデンマーク王室 pic.twitter.com/vJoeC9hszi
— 茅野 (@a_mon_avis84) 2022年12月14日
オークション情報を掴み損ねたのは、わたくしがデンマーク語を解さないのが原因であると考え、語学学習に大いに苦手意識を抱いているにもかかわらず、発作的にデンマーク語に入門。
↑ 入門に使った教材。日付を見れば明らかなように、オークションに敗れたことを知った次の日に書店に走って行って購入。無駄に行動の速い脳筋オタクである。
途中から語学学習アプリ Duolingo も導入しながら、デンマーク語を学び始めました。
↑ わたくしのアカウント。とにかく発音が難解なデンマーク語を、良ければ一緒に勉強しませんか?
こうして、一日に数十分程度なので全然大したことはしていませんが、それでも一応、旅までに半年強、デンマーク語の勉強を継続することになったのでありました。
このような、非常に不可思議な理由で学習を開始したので、当初はデンマークに旅することは想定していませんでした。しかし、結論として、やはり少しデンマーク語に触れておいたことで、旅に役立ったなと感じましたね。
詳しくは後述しますが、デンマークを旅するのに最も適切な時期は4月から9月頃だと言われています。
わたくしも、できれば9月に行きたいと考えていました(※殿下がデンマークに訪れ、姫に求婚したのが9月末であるがゆえ)。
しかしながら、それさえも覆す、この11月という時期を選ぶ理由が生まれたのです。
それこそが、わたくしが「人生の最優先事項」と表現して憚らない、チャイコフスキーのオペラ『エヴゲーニー・オネーギン』です。
↑ 弊ブログで最も記事数が多いジャンル。
元々何の関心もなかった帝政ロシアに、ここまで盛大に堕とされる原因となったのがこの作品。文字通り、この作品を起点に人生が変わったと断言できます。
その『オネーギン』を、デンマーク王立歌劇場(通称 KGL )が、今年の10月末~11月始めに上演するというのです。み、観たい……ッ! それは是非とも観ねばなるまい……!
↑ 公式サイトがこれまたオシャレで!
こうして、「コペンハーゲンで『オネーギン』を観つつ、その合間に推し(殿下)の聖地巡礼をする」という、限界オタクプレゼンツ・デンマーク遠征計画が爆誕したのでした。ロシア史オタクを拗らせるあまりデンマーク遠征とはこれ如何に。
今回は(今回も?)、1から10まで、自分の趣味全開の旅程となりました。最高です。
現在は、世界情勢が悪化し、非常に残念ながら、希望の地域に行けなかったり、紛争の影響で歴史的建造物が破壊されたりすることも増えてきました。行ける時に行き、破壊される前に愛でるのです。命短し、旅せよオタク!
以上がデンマーク遠征の経緯となります。次回以降の旅日記では、巡った聖地の詳しいご紹介をし、また、別途公演評を書く予定です。お楽しみに。
旅程
今回の旅程は、折角かなり久々に遠征に出るんだし、ということで長めに取って、飛行機での移動を含め、9日間・6泊構成。
飛行機は直行便ではなく、エミレーツ航空を使ってドバイを中継し、行きと帰りでそれぞれ約3時間ずつ滞在しました。移動に掛かった時間は、飛行機に乗っている時間だけで片道20時間くらい。遠い!
行き先は主にコペンハーゲン、うち二日間はゲントフテ・ヒレレズなど別の街に小遠征しています(※コペンハーゲンのあるシェラン島にある街。いずれもコペンハーゲンよりも北に位置する)。
前述のような理由で旅に出たので、目的は観光、夜はオペラ鑑賞をする予定で組みました。
今回は一切旅行代理店の類いを通さず、飛行機から宿まで全部自力でネットで手配しました。踏ん切りがつくまでに時間がかかり、結局飛行機もホテルも旅の一週間前に取ったことは内緒だ。
何の制約もなく完全に思う通りに旅程を組めるので、オタクを拗らせたこだわりの強い方は個人で手配してしまうのがお勧めです。
逆に、特にこだわりがない方は代理店を通してしまった方が絶対に楽だと思います。
簡単に纏めるとこんなところでしょうか。今回は、自分の趣味100%で旅程を組み、ほぼ全ての目的が達成できたと思います。今後、これ以上の旅程が組めるかどうか不安になるほど。
以後の記事で詳しく書きますが、結構トラブルには見舞われたものの、体感的には大満足です。
それでは、この後は、11月初頭のコペンハーゲンについて、各項目に分けて纏めておきたいと思います。どうぞ。
旅の準備
気候
気温に関しては、まだ耐えられないほどの寒さではありません。11月中後半からは、北欧らしい寒さが訪れるようなので、適温のなか観光したいなら、11月始めが最後のチャンスでしょう。
最低気温と最高気温の差が少なく、毎日約2-3度の開きしかないので、寒い日で6-9度くらい、暖かい日で9-12度くらいでしょうか。
去年の同じ時期に、北軽井沢の友人の家に遊びに行っていたのですが、気温だけで見ると、北軽井沢の方がずっと寒いですね。こちらは夜はマイナスを割ることも……。
但し、物凄く風が強いので、北風が吹く日は覚悟してください。数値だけで見ると、台風並みの日もしばしば。天気予報を見るときは、天気と気温だけではなく、必ず風速も確認するようにしてください。
デンマークは「風の国」としても知られ、実際、飛行機でコペンハーゲンに降り立つ前には大量の風力発電機が見えました。
↑ 飛行機の窓から。
従って、やたらめったらと重ね着するよりは、ウィンドブレーカーや、内側にナイロン生地が張ってあるコートなど、防寒具は風を通さないものがお勧め。
町中は、建物で遮られるのでそこまで問題はありませんが、風が強い日の広場などは注意してください。
風が強いとなれば、自ずとわかることではありますが、天気はかなり変わりやすいです。数十分前はよく晴れていたのに、もう雨が降っている……ということもしばしば。
一日のうちに、晴れ間も曇りも雨もある、というのが常だと考えてください。
かなりの頻度で秋雨が降りますが(雲の流れが速いので、すぐ止むことが多い)、風が強いこともあってか、現地人は折りたたみ傘よりも、帽子で対策することが多いように見受けられました。折りたたみ傘だと、すぐ折れちゃうんでしょうね。
現地人はニット帽を被って凌ぐことが多いようです。
足下や鞄も、防水加工がされているものがお勧めです。現地の女性はブーツ率が高かったですね。わたくしの今回の旅では、ゴアテックスのスニーカーが大活躍しました。
↑ もう履きつぶす勢いで履いた。特にゲントフテ遠征中は、靴を泥だらけに汚してしまったのですが、ゴアテックスのおかげで宿でしっかり洗えましたし、便利でした。
先進国なので、大抵のものは現地でも購入できますし、我らがセブンイレブンが街中には沢山ありますが、後述するように恐ろしく物価が高いため、必要なものは日本で買い揃えていった方が経済的です。
物価
北欧特有の物価の高さに、史上稀に見るレベルの円安が加わり、物価が恐ろしいことになっています。宿代からごはん・品物まで、全てが日本の物価の約1.5~3倍くらいを想定してください。
節約すれば安く済むか? というと、そう簡単にもいかないと思います。
「宿もモーテルレベルでいいし、ごはんもそんな大層なものじゃなくていいよ~」という方でも、物価からは逃れられないと考えてください。空港のコンビニで普通のペットボトルの水を買ったら、日本円で632円請求されて、空港は更に割高になっているとはいえ、流石にびっくりしました。
日本円換算で、テイクアウトの軽食でも最低1500円くらい、ちょっとしたレストランに入ったら一人5000円くらいは軽く飛ぶことは覚悟してください。その意味で、物価が高い地域は、それこそコストパフォーマンスというか、値段に見合う満足を得づらい傾向はあると思います。円安滅ぶべし(国外渡航したい側の意見)。
但し、劇場の席の値段は日本と同等か、それよりもほんの少し安いくらいでした。
デンマークは、EU 圏内でありながら、独自通貨「デンマーククローネ」を使用しています。2023年11月現在、1クローネが約21-2円です。
特に硬貨はとても可愛いのですが(穴の開いた50円玉のようなものも。王冠マークがついていて、お土産にもよいかも)、現金は殆ど流通していません。完全なキャッシュレス経済です。
日本人の感覚からしたら恐ろしく思ってしまいますが、観光するだけなら、現地で現金は一切使わないと言ってしまっていいと思います。事実、今回の旅でも全く使いませんでした。旅行ガイドなどあらゆるところに「要らない」と書いてあったにもかかわらず、わたし自身それでもやはり怖くて、少しだけ両替してしまい、見事に余ったのは内緒である。
為替レートも恐ろしく悪いですし、お財布はカードケースで充分です。本当です。
寧ろ現金が使えない店も多く、使えたとしても店員さんに露骨に嫌な顔をされることもあるので(ロシアのカッサのおばさまほどではないけど)、クレジットカードの携帯は必須。カードを持っていないなら、デンマークへの旅行はお勧めしないと言えるほどです。
食事
ごはんは美味しいですが、恐ろしくヴァリエーションに乏しいです。
デンマーク人のパン、特にライ麦パンに対する情熱は凄まじく(恐らくデンマーク人は日本人と米に関して同じことを思っているに違いないけど)、それ以外にお料理を知らんのか、というほど、飽きもせずライ麦パンを食べています。
主食としているだけであって、勿論美味しいのですが、下手したら朝昼晩と三食毎日似たものを食べることになってしまうので、食傷気味になるかもしれません。
わたし個人は、食へのこだわりは然程なく、どんな地域でもある程度は適応できるだろうと考えていたので、美味しいにもかかわらずここまで食傷気味になるとは想定外でした。わたしは帰国以降、パン断ち生活をしています。暫くパンは結構……。
デンマークの国民食は「スモーブロー」と呼ばれるもので、要はオープンサンドイッチです。詳しくは過去に書いた記事を参照してください。
↑ 考証とも言えない何かですが、一応。
コペンハーゲンには、このスモーブロー屋さんがひしめき合っています。どこもかしこもスモーブロー屋さんです。他のものを提供している店を探すのに苦労するほど。
また、デンマークでの一般的な軽食は、サブウェイのサンドイッチのようなもので(パンは硬いバゲット系が主ですが、中身や見た目はほぼ同様)、コンビニでも、カフェのショーケースでも、勿論パン屋さんでも、山のように積まれています。
↑ 皆様ご存知かと思いますが、一応参考に。
スモーブローとバゲットサンドの差は、パンに載せるだけか、挟んでいるかの違いしかないので、要はほぼ同じもの。どこへ行っても似たものが提供されます。ある意味、安心感はあるかもしれません。
但し、スモーブロー屋さんはコペンハーゲンに特に多い、という事情もありそうです。「観光客に伝統食を提供しよう」という狙いがあると推測されます。狙いは的確で、現地に行ったら現地のものを食べたくなるのが観光客というもの。
事実、コペンハーゲン郊外の町ゲントフテのレストランは、イタリアンや寿司屋など、国外のものが主でした。
コペンハーゲンでは、ショッピングモールのレストランフロアでさえ、三件中三件がスモーブロー屋、ということも……。競合しないのであろうか。
パンのみの生活に自信がない方は、意識してイタリアンや中華に行くことを心がけてください。
提供される量は、勿論店にも依りますが、多すぎることもなく、お上品すぎることもなく、ほどよいことが多いと思われます。但し、前述のように、値段は恐ろしいことになっているので注意。
デザート類は、リンゴ、特にシナモンアップル系と、王道のチョコレート系の味付けのペイストリーが人気のようです(またしてもパンである)。
リンゴは、デンマーク国産の小ぶりのものが多く流通しています。
言語
デンマークでは、デンマーク語が話されています。ゲルマン語派で、英語やドイツ語に近いです。
文法は比較的平易ですが、曖昧な音が多く、発音が難しいのが特徴。わたし自身、学習を始めた当初は「マジでこれで会話が成立してんの?」と思ったものです。
コペンハーゲンを観光するだけなら、デンマーク語の知識はほぼ必要ありません。英語がかなり通じます。
まず、恐ろしくツーリストが多いですし(11月でこれなら、観光シーズンはもっと多いと推測されます)、それに対応するべく、店員さん方も英語が堪能です。
寧ろ、店員さんたちも移民や出稼ぎ労働者と思われる方が多く、下手したら英語の方が歓迎されるかも、の領域。
但し、コペンハーゲンの外に出ると、英語の通用率はグッと下がります。デンマーク語訛りがキツいと、ちょっと聞き取りが大変。
尤も、デンマークは地理的にイギリスに近く、非英語圏に於ける英語通用率ランキングも世界トップクラスなので、寧ろこちらが英語力を鍛えた方がよいでしょう。
コペンハーゲンでの会話は英語で全く問題ありませんが、看板や注意書き、メニューがデンマーク語のみのことが多いため、注意が必要です。
「立ち入り禁止」や「右折禁止」とか、「飲料水」や「炭酸水」などの単語は覚えてから行った方が便利です。勿論、人に尋ねても、親切に教えてくれるとは思いますが。
公共交通機関
公共交通機関はとても発達しており、便利で快適です。
主に、電車(エストー)、メトロ、バス、水上バスなどがあります。今回の旅では、全て制覇しました。
観光するなら、「コペンハーゲンカード」というカードが大変便利で、買わない手はないと思います。
↑ 勿論今回の旅で使用しました。
コペンハーゲンカードは、少しお値段が張るものの、持っていれば市内の公共交通機関・主な観光地の入場料が全て無料になる魔法のカード。いちいちチケットを買う必要がないですし、大抵の場合元が取れるので、観光で来るなら使用するべきです。
元々は物理的カードだったそうですが、今はアプリになっており、訪れる前に購入しておき、到着したらアクティベートするのがお勧めです。
アクティベートすると、アプリ内に QR コードが表示されるようになり、各チケット売り場で係員さんにそれを読み取って貰って使用する形になります。
観光地は、全てコペンハーゲンカードの入場料無料対象に含まれると言ってよく(80ヶ所以上が無料になるそうです)、漏れがありません。寧ろ、カード内に含まれていない場所に行きたいあなたは、既に「一般的なツーリスト」では無いと思われます。
コペンハーゲン自体が可愛らしい童話の町並みなので、さながら「夢の国の入場チケット」です。
ただ公共交通機関に乗るだけなら、一日乗車券「CityPass」があるので、そちらを活用するのもいいでしょう。こちらも、コペンハーゲンカード同様、24時間・48時間……と、一日単位で購入することができます。
また、現地人が公共交通機関を乗る際に使っているのが、「Rejsekort(直訳するなら「旅カード」)」という磁気カード。コペンハーゲンカードの使用期限が切れた後、わたくしも一つ購入してみました。
↑ こちら。国旗で隠している部分はカード番号です。
使い勝手は日本の Suica, PASMO とほぼ同様で、駅でお金をチャージし、乗る前と降りる際に、専用の機械にかざすだけ。ティトーン♪ という音がしたら OK です。
Rejsekort は、コペンハーゲン中央駅などで購入することができますが、購入費+チャージ費と余計な出費がありますし(最安値で約4000円くらい)、数日間の短期滞在ならば必要ないと思います。コペンハーゲンカードを使いましょう。
公共交通機関の乗り方は、日本とは異なるので最初は戸惑うかもしれませんが、難しくはありません。
電車(エストー)、メトロには改札が存在しないので、コペンハーゲンカードを持っているなら何もせずそのまま乗車、バスの場合は、前から乗って、運転手さんに QR コードを見せればいいだけです。降りるときは何もせず後ろのドアから下車。簡単!
コペンハーゲンカードを持っていない場合は、「シングルチケット」というチケットを買う必要がありますが、こちらは慣れるまで結構ややこしく、説明が長くなるので、ここでは割愛します。わたくしも一度購入しましたが、面白いシステムだなとは思いました。
但し、ごく稀にストライキなどが発生する場合があるようなので、気をつけてもどうにかなる問題ではありませんが、留意だけしておいてください。可能ならば、目的地まで複数の移動経路を確認しておいた方がいいですね。
旅日記の方で詳しく書きますが、なんとこのわたくし、そのレアなストライキにブチ当たったのである。
観光
コペンハーゲンに観光に行くなら、前述の通り、コペンハーゲンカードの使用がお勧めです。
コペンハーゲンカードはあまりにも便利すぎて、他の街にないのが勿体ないと思うほどです。「東京カード」とか「パリカード」とか、各街で作るべき。強くお勧めします。
コペンハーゲンの中心街は広くなく、足腰に自信があるなら徒歩だけでも充分に巡ることができます。
例えば、コペンハーゲン中央駅から、港沿いの人気の大通りニューハウンまでは、歩いて約30分です。
エストー、メトロ、バスは、東京23区か、それより狭いくらいの間隔で駅があるので、同じくコペンハーゲン中央駅からニューハウンに行くなら、バスなら6駅、メトロなら3駅で着きます。
観光ガイドなどでは、自転車での観光を勧めていることが多いと思うのですが、自転車に乗ることは、冬の観光ではお勧めできません。
暴風の街コペンハーゲンで、更に風を切って自転車で進むと何が起こるのかは言うまでもありませんね。そう、寒いのです。更に、前述のように、雨も多いですし、地面は主に石畳です。
また、コペンハーゲンっ子の自転車の速度は凄まじく、車を追い越さんばかり。地図が頭に入っていない状態で自転車に乗るのは、シンプルに危険です。
特に強いこだわりがなく、「コペンハーゲンの観光名所を巡りたい」という要望しかないのであれば、フルで三日あれば充分に遊び尽くせると思います。「お城巡りする日と、チボリ公園で遊ぶ日と、街歩きしてショッピングする日」くらいのイメージですね。
旅に出る前に、念入りに、確実に確認して欲しいのが、営業期間や時間です。
365日・24時間体制での営業に慣れている日本人からしたら驚いてしまうかもしれませんが、デンマークでは春夏のみの営業で、秋冬は閉めている施設がかなり多いです。
例えば、世界最古の遊園地として知られるチボリ公園は、3月末から9月末までしか営業しておらず、それ以外は閉業しています。
↑ 世界最古ながら、現代にも順応しており、大人も子供も充分に遊べる遊園地になっていました。完全に、マスコットキャラクターのいないディズニーランドです。
但し、ハロウィンの前後と、クリスマスの前後だけは開業している、というトリッキーな抜け道も……。わたくしは丁度このハロウィン時期と被り、幸運にも中に入ることができました。
「遊園地なんて全然興味ないよ!」という方も(わたくし自身訪れる前はそういう考えだったのですが)、一度は訪れて欲しい場所ですね。コペンハーゲンに訪れるなら、是非とも行くべきです。中央駅の向かいにあって、立地も最高ですし、結構広いですよ。
また、チボリ公園のみならず、博物館などの類いも、冬期(10月くらい~)は営業時間が短くなっていることに注意が必要です。
夏期は17, 8時くらいまで開いていたのに、冬期には15時くらいに閉まる施設がかなりあります。
11月初頭は、観光できなくもないですが、やはり観光シーズンからは外れる、ということなのでしょうね。
治安
ランキングなどによっては、日本よりも良いとされるデンマークの治安。
実際、諸事情あって(次の記事で説明します)、夜の11時から一時間近くコペンハーゲンを徘徊する羽目になったのですが、見るからにツーリストな20代の女が深夜に一人でうろついていても、特に怖い思いをすることはありませんでした。しかし、絶対に真似しないでくださいね。
用心に越したことはありませんが、日本で普通に生活するくらいの危機意識があれば充分だと思います。レストランなどの席に荷物を置いたままトイレに行くのはお勧めしませんが……。
パリとか、カイロに行くときのような超厳重な防犯対策は必要ないと思います。デンマークでスリや詐欺に遭ったら、相当運が悪かったのだと思ってください。
人々はとても親切で、少しでも挙動不審にしていると、向こうから " Can I help you? " と即座に英語で声を掛けてもらえます。街全体のホスピタリティがすごい。
道や、何かのやり方がわからない時は、人に尋ねるのも良いでしょう。
街にはとても外国人(デンマーク人以外の意)が多く、コペンハーゲンは完全に国際都市になっています。
特にホテルや観光地では、聞こえてくる言語がイタリア語、フランス語、ロシア語……と物凄く多様で、寧ろデンマーク語が全く聞こえてこないほど。
店に入ると、最初から英語で話しかけられ、わたくしは「折角デンマーク語を勉強しているのに、現地で一度も使うことなく帰る羽目になるのでは!?」という心配をしたくらいでした。
従業員さん側の方も、移民や、出稼ぎ労働で来る方が多いようで、アマリエンボー城で施設案内をしてくれたおじさまはイギリス出身だと教えてくれましたし、レストランのウエイトレスさんはパキスタン出身だと仰っていました。
店員さん側の方も、デンマーク語よりも英語の方が得意だという方が多いという事情が、英語でのコミュニケーションが円滑にできる理由かもしれませんね。
しかし、そんな素敵な都コペンハーゲンにも、負の側面は幾つかあります。
まず、明確に「治安が悪い」とされる地域があります。その代表格がクリスチャニアと呼ばれる地域で、この地域に入ると、壁への落書きや、ホームレスが露骨に増えます。余程の理由がない限りは、特に一人旅である場合には、立ち入りをお勧めしません。
一度クリスチャニアのカフェに行ったら、何も注文していない男性が奥に入ってきて、返却トレーの上の食べ残しを漁るだけ漁って帰って行ったのには、流石に度肝を抜かれました。
コペンハーゲンは物価が高いので、生活が厳しくなる人も実は多いのでしょうね。
また、夜になると、酔っ払った男性たちが騒いでいることもしばしば。
ただ騒いでいるだけならばまだ許せるものの、下品な話で恐縮ですが、彼らはめちゃくちゃ立ちションをします。
わたくしが普通に近くを歩いているのに、目の前で性器丸出しで立ちションをする男性に、少なくとも一晩に一人は遭遇しました。流石に引く。
従って、夜のコペンハーゲン繁華街の一部(特に中央駅の裏、ストロイエ近辺の裏路地など)は、非常に残念ながら、尿の匂いが充満しています。「これ、絶対雨じゃなくて尿だろ!」みたいな水たまりもあったりするので、足下には注意が必要です。
また、意外なことにまだ合法なのか、路上喫煙がかなり多いです。夜になると、タバコの吸殻もよく落ちています。
しかし、不思議なことに、朝になると清潔に戻っているのですよね。不思議に思って、早朝に同じ繁華街に繰り出してみると、明らかに移民や出稼ぎ労働者と思われる方々が、朝早くから丁寧に清掃をしていました。おお、湾岸産油国といい、北欧といい、なんと世知辛いことよ……。
持って行くといいもの
お洋服などの他に、特にデンマークへの旅行で持って行くと便利だと思われるものを幾つかピックアップしておきます。
言うまでもありません、必携です。必ず買ってください(回し者ではないけど)。
・複数のクレジットカード
前述のように、デンマークはキャッシュレス社会です。カードが無ければ買い物ができません。
運悪くスられたり、落としてしまうと、もうどうにもならないので、クレジットカードは複数携帯することを強くお勧めします。可能ならば、別の場所に入れて持っておくと更に吉。
・歯磨きセット、スリッパ
今回の旅では、3つのホテルに宿泊しましたが、どこにも歯磨きセットとスリッパは置いていませんでした。現地でも買えますが、前述のように物価が高いので、日本から持って行くことをお勧めします。
一方で、どこもボディローションは質のよいものを置いていて、日本とはアメニティの価値観がちょっと違うんだな……と感じたり。
・海外対応 Wifi
パックツアーならホテルや観光バス内の wifi だけでも充分だと思いますが、個人旅行ならマストです。「地図は完璧に暗記したぜ!」という方でも、トラブルが起きたりすると厄介なので、保険的な意味でも、海外で使える wifi を借りることをお勧めします。
わたくしは初日からトラブル続きだったので、 wifi が無かったら詰んでいました。正に命綱。
・変換アダプター
デンマークのコンセントは「タイプB」と「タイプC」。また、電圧は 220V です。必ず変換アダプターや変圧器を持ってきてください。
ちなみに、このことからもわかるように、デンマークの電圧は高いので、ドライヤーなども強力です。余程のお気に入りがない限りは、ドライヤーの持参は必要ないと思います。電気ケトルも、一瞬で湯が沸きます。
・保湿用品の類い
雨が多いにもかかわらず、意外と湿度が低いです。暖房は、オイルヒーターを使っているところが殆どですが、温風を出すエアコンタイプの場所もあるので、ハンドクリームや目薬(特にコンタクト勢はマスト)などの保湿用品は多めに。
・粉末スープの類い
賭けてもいいのですが、あなたはデンマークで温かいスープが恋しくなります。
前述のように、デンマークの民は毎日恐ろしいほどパンを食べる上に、気温が低いにもかかわらず、何故かスープやシチューの類いが殆ど売られていません。寒い中、ろくな水分もなしに、よくパンばかり食べられるなと感心するほどです。
コーヒーや紅茶はどこでも売っていますし、ホテルのアメニティとしても置かれていると思いますが、スープはありません。日本からスープを持参するのだ。SOUP STOCK TOKYO はコペンハーゲンに進出してください、お願いします。
少し過保護な内容になってしまいましたが、こんなところでしょうか!
少しでもお役に立てれば幸いです。
最後に
通読ありがとうございました! 意外にも沢山書いてしまって、なんと1万3000字。
初回からこんなにハイペースで大丈夫なのでしょうか!?
次回から、本格的に旅日記を纏めていきたいと思っています。気長にお待ちくださいませ。
皆様の大好きな(?)、オタク発狂コーナーも十中八九やります。おお恥ずかしい。お楽しみに。
それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でお目に掛れれば幸いです!
↑ 続きを書きました! こちらからどうぞ。