世界観警察

架空の世界を護るために

情報収集 - 『RiME』考察

 こんばんは、茅野です。

早速ですが、『RiME』の考察をやっていきたいとおもいます。いや、当方、レビューを書くのはあまり得意ではなくて、考察を書く方がずっと好きで……。レビューを書いている傍から、実は並行して書いていました。ハハ。

↑レビュー記事。

 

 発売日から大分時間が経っているということもあり、正直考察はやり尽くされている感がある『RiME』。こちらの記事なんか、もう、はい、これが全部答えですね……というレベル。

↑原作者へのインタビューとかいう禁じ手。

 

 もうやり尽くされているなら、わたしが何かやる必要もないかな……。

Is that what you wanted me to say? とでも、言うと思ったかい?
All is proceeding as planned. この程度、想定の範囲内だよ!!

北米版ARMORED CORE VERDICT DAY 財団 Dialogue - 世界観警察

(※『ARMORED CORE VERDICT DAY』というゲームの財団というキャラクターの台詞です。推しです)。

 

 ゲーム考察に於いて、「100%全てを考察し終える」なんて状況は有り得ないのだ。謎が全て解消されるなんてことは絶対にあるまい。プレイヤーの数だけ物語があるのだ。わたしはわたしの解釈を紡ぐ! ……ということで、当記事では、できるだけ新規性の獲得を目指しつつ、丹念に、細かく、じっくり検証、リサーチ、解釈、考察を重ねていこうと思います。

↑ ゲーム考察執筆はいいぞ。

 

 考察記事第一回となる今回は、まずは情報収集編。本格的な考察は次記事からと致します。ということで、インスパイア元の確認と、 EDテーマの『The Song Of The Sea』の歌詞翻訳の二本立てでお送りします。それでは、お付き合いの程、宜しくお願い致します。

 

 

開発時の混乱

  この『RiME』、開発時に紆余曲折あったことで知られています。IGN First によれば、元々は全然違うゲームだったのだそうです。

 Tequila Works tells us that Rime was originally conceived as an action-RPG adventure with survival and crafting elements called Echoes of the Siren.

 Tequila Works によれば、『RiME』は元来『Echoes of the Siren』という題のサバイバルとクラフト要素のあるアクションRPGとして構想されていたという。

Rime Hands-On: Answering the Burning Questions – IGN First - IGN

  他にも MicrosoftSONY をたらい回しにされたり、色々大変だったみたいですが、ここではあまり関係ないので捨て置きます。

『Echoes of the Siren』時代のコンセプトアートを見ると、確かに王道RPGらしい雰囲気があり、現『RiME』とは似ても似つきません。

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↑ 唯一の共通点は赤マント? 

 

 開発時のタイトルが『Echoes of the Siren』なのは大変興味深いことです。何故なら、『RiME』作中では主人公が叫ぶことにより起動するギミックが数多く存在するからです。これはその名残なのかもしれません。

 レビュー記事では以下のように書きましたが、

気が付いたのは、この『RiME』、ミスリードが非常に多いということです。声をギミックとして多く使うのに、特に意味もなかったのが不思議でしたね。

終わりは新しいことの始まり - 『RiME』レビュー - 世界観警察

ここに由来を求めることができそうです。尤も、そんなメタ的な出来事だけで納得できるほど考察勢は優しくありません。作中で納得出来る理由を見つけたいものです。この点について、わたしなりの解釈はご用意できたので、次の記事で書かせて頂こうとおもいます。

 

作品タイトル『RiME』

 では、何故作品タイトルは『RiME』になったのか? EUROGAMER によれば、以下のような成り行きがあったそうです。

Who came up with the name?
Not Raúl Rubio Munárriz. It wasn't even Tequila Works' idea. The idea for the name Rime came from Sony, when Sony temporarily had the game as a PlayStation exclusive (confusing, isn't it?). Siren clashed with Sony's Forbidden Siren game, you see, so it had to change.

"The producer said, 'Are you familiar with The Rime of the Ancient Mariner?'" and Tequila Works was. "You mean the Iron Maiden song?" "No," the producer clarified, "the 18th century poem..."

The producer told the slightly embarrassed team the themes of the poem really resonated with the game, and it did the trick. "OK, well can we use Rime?" Tequila Works asked.

 誰がタイトルを付けたの?

 ラウル・ルビオ・ムナリス(※1)ではない。それは Tequila Works の案ではなかった。『RiME』というタイトルは、SONY がこのゲームを一時的に Play Station 独占版として発売を企図していた際(ややこしいよね)、 SONY が出したアイデアだった。『SIREN』は、皆様ご存じ SONY が販売するゲームと同題だった為、混同しない為に、名前を変える必要があったのだ。

 プロデューサーは、「『The Rime of the Ancient Mariner 老水夫の歌』は知っている?」と訊いた。Tequila Works は「それって Iron Maiden(※2) の歌の……?」と返した。「そうじゃなくて、」プロデューサーは考えを明らかにした。「ほら、18世紀の詩の……」

 プロデューサーは、少々決まり悪そうにしているチームに対し、この詩の主題がこのゲームに合致していることを伝えたのだが、これが効いたようだ。「OK、それじゃ、『Rime』って題を使っても……?」 Tequila Works は訊いた。

(※1: Tequila Worksの創設者)(※2: ヘヴィメタルバンド。実際に同題の歌が存在する)

Rime and reason: beneath the meaning of Tequila Work's artful wonder • Eurogamer.net

 SONY のプロデューサーさんの教養力に感嘆ですね……。流石最大手のプロデューサー、格が違う。

 

 『The Rime of the Ancient Mariner 老水夫の歌』は、18世紀英国の詩人、サミュエル・テイラー・コールリッジの詩です。コールリッジの中でも有名な詩で、邦訳も入手が容易です。

 出典が明らかになったので、次の考察記事では、こちらに絡めて考えていこうとおもいます。

 

 ちなみに、チームが勘違いした Iron Maiden の歌というのがこちら。めっちゃヘビメタ。というか謎にエジプト。

 

絵画からのインスピレーション

 当節では、「絵画からのインスピレーション」について考えます。Red Bull のページによれば、以下のようにあります。

クリエイティブディレクターのRaúl Rubioは『RiME』が受けた影響について、次のように説明している。「『RiME』のヴィジュアルは20世紀のスペイン人画家で、 “光の画家” と呼ばれたホアキン・ソローリャから大きな影響を受けています。彼の作品の多くは、風、波、そして光の再現を試みているものですが、彼は、衣服に反射する光などを描くなど、光を利用して全体のクオリティを高めています」

(中略)

また、『RiME』は同じく20世紀に活躍したイタリア人画家、ジョルジョ・デ・キリコからも影響を受けているが、『RiME』だけが、円柱や塔、そして光と影の力強いコントラストが特徴のキリコの作品群から影響を受けているゲームではない。上田文人の作品の多く、特に『ICO』も、キリコから多大な影響を受けている。

4年の時を経てリリースされる『RiME』

挙げられている画家の作品を確認しながら、紐解いていきましょう。

 

ホアキン・ソローリャ

 ホアキン・ソローリャは、先程の説明にもあるように、スペインの画家です。「20世紀の」とはありますが、1863年生まれで、作品は19世紀から発表していますが、海、船、光を多く主題としています。ギャラリーでほぼ全作品を確認してきましたが、筆者が「特に『RiME』っぽいのでは?」とおもった作品を2つピックアップ。

 

『朝の光の中のバレンシアの浜辺』(1888)

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白い船』(1905)

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写実的な海の描写が大変美しいです!

その作品の多くがバレンシアを舞台にしているため、『RiME』の現実世界はバレンシアを舞台にしているという説が濃厚になります。ちなみに、Tequila Works 社は首都マドリードにあるそうです。

 

 ジョルジュ・デ・キリコ

 キリコについては、『人喰いの大鷲トリコ』の考察を書いていた際、散々リサーチしたよ……という感じなのですが……。

 例えば、『ICO』の表紙のモデルであろう、ジョルジュ・デ・キリコの作品が多数収められています。

人喰いの大鷲トリコ - 考察資料一覧 - 世界観警察

↑ 考察に使った参考文献を纏めた記事。 

 

 改めてリサーチ再走。『RiME』っぽい作品を2つ、お送り致します。

『巨塔』(1913)

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『イタリア広場』(1960)

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こんなところでしょうか!

 

Chapter 5 - 書籍解析

 当節では、Chapter 5 の少年の部屋にある書籍を分析します。作中にある本には、ほぼ確実に深い意味があります。それを探り当てようというわけです。

『RiME』は書籍タイトルが物凄く見易くて助かりました。もう、「見て下さい!」と言わんばかり。だったら見てやろうじゃねーの、というわけです。(見辛いゲームはほんっっとうに見辛い……絶望する……)。

 その書籍とは、こちらの二枚のスクリーンショットに映っているもの。

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順番に確認して参りましょう。

 

『En La Profundidad Del Abismo(深淵の中へ)』

 一枚目、手前の書籍はロバート・ロジャーズによる『En La Profundidad Del Abismo(深淵の中へ)』。2009年に出版された現代文学のようです。普段だったら絶対に入手して読破するのですが、スペイン語(原語)版しかないということで泣く泣く断念……。

 致し方がないので、北米版 Amazon に載っているあらすじと、出版社のサイトに載っているあらすじの二種を掲載しておきます。スペイン語余裕だぜ! という言語つよつよ考察勢さんは、是非ともお買い求めの上、当方に詳細をお聞かせ頂けると幸いで御座います。

 In an instant, everything was swept away. On August 30, 2003, Robert Rogers, his wife, Melissa, and their four children were driving home from a wedding when they were caught in a flash flood. As Robert was swept away by the strong current, he could only hope his family would survive.

Into the Deep is the true story of what happened to the Rogers family on that fateful night in August and how, through it all, God's amazing grace sustained a father left to grieve the family he loved. Robert's moving story will challenge you to live a life of 'no regrets,' to cherish your loved ones, and to live life to the fullest.

 一瞬にして、全てが流された。2003年8月30日、ロバート・ロジャーズ、彼の妻メリッサ、そして四人の子供達は、車で結婚式から帰る途中、鉄砲水(※)に遭った。激流に押し流されたロバートには、ただ家族の無事を祈ることしかできなかった。(※山崩れで堰きとめられた水や、集中合意による増水などが、一次に激しく流れ下るもの。[大辞泉])

 『深淵の中へ』は、八月の夜、ロジャーズ一家に起こった出来事、そして物語を通して、畏るべき神の慈悲が、愛する家族を失い、絶望する父を如何に支えたかを綴った実話です。ロバートの感動的な物語は、あなたが「後悔の無い」人生を歩み、愛するものを大事にし、そして人生を精一杯生きるための切っ掛けとなるでしょう。

 On the evening of August 30, 2003, Robert and Melissa Rogers and their four young children were driving home from a family wedding. Caught in a flash flood, Melissa and the children all drowned. Into the Deep is the compelling story of how one man's faith took root and blossomed through trials, blessings, and a deepening trust in God.

 2003年8月30日の夜、ロバート、メリッサ・ロジャーズ夫妻、そして彼らの四人の子供達は結婚式から車で帰宅していた。鉄砲水に遭い、メリッサと子供達は皆溺死してしまった。『深淵の中へ』は、ひとりの男がこの試練、祝福、そして神への深い信頼を通じて、如何にして信仰を根付かせ、開花させたのかについての説得力ある物語です。

↑あらすじ見る限り、実話なのか……(戦慄)。

 

『Colorado El Pececito(赤い小魚)』

 スクリーンショット1枚目と2枚目双方にある、真ん中の赤い本は『Colorado El Pececito(赤い小魚)』なる書籍だということがわかります。しかし、リサーチの結果、同題の書籍は存在しませんでした。英語圏の考察板も確認しましたが、誰もこの謎を解けていないようです。要継続リサーチ。

 

『Almas de Sedal(釣り糸の魂)』

 見辛いですが、副題は恐らく『1000 Trucos de Pesca(釣りの1000のトリック)』。最後の「0」が「T」にも見えますし自信ありませんが。

こちらも同題の書籍は存在しないよう。間違いなく釣りの教則本だと思いますが……。

 

 スクリーンショット二枚目の両脇の本は、流石に視認できませんね……。右側の本の最後の単語の頭文字が「M」っぽいことしかわからない。断念。画像解析が得意な方、書籍について何かわかった方がいらっしゃいましたら、ご一報くださいませ。

 重要なヒントとなるのは今のところ『En La Profundidad Del Abismo(深淵の中へ)』くらいでしたが、しかしこちら、ドンピシャですね……。読んでみたい……。スペイン語やるしかないのか……?

 

The Song Of The Sea 翻訳

 さて、今節では、EDテーマである『The Song Of The Sea(海の歌)』について考えます。作中、特にエンディングなど重要な場面で使われる曲の歌詞は、そりゃもう重要に決まっております。確認しないわけはない。

 

 サントラをお持ちでない? まあ、取り敢えず耳を慣らして下さい。

 

 聴けば一発でわかるとおもいますが、スペイン語です。前節で「スペイン語やるしかないのか……?」と言った傍から、やりました(迫真)。……いや、一から学習したというわけではないのですが……大変申し訳ない。

当方、一応フランス語が専攻でして、その知識から、こう、ロマンス諸語はなんとな~くわかったりするものなのです……なんとな~くなので、全然信用ありませんが……すみません……。

邦訳は存在しておりませんので、わたくしが世界初。恐れ多くも。西英辞典を引きつつ、有志の英訳があったのでそちらも確認しつつ、取り敢えず書いてみました。

 歌詞ということで、ところどころそれっぽく意訳してあります。まあ、ざっくりこんな感じ! くらいに見て貰えれば嬉しいです。スペイン語強者の方にはお見苦しくて大変申し訳御座いませんが、もし宜しければ誤訳等ご指摘頂ければ幸いです。

 それでは、どうぞ~。

 

Viento a viento va,
El sueño del mar
Gira sin parar.

風にさらわれて

海の夢が

くるくる旋回

Viento a viento va,
durmiendo al sol.
Un guiño de luz se perdio.

風にさらわれて

太陽の元で眠る

失われる瞬き
Tu cuerpo se hace vientre,
estatua transparente,
En la arena oscura esperaras.

きみの身体は核心に

透明な像になって

暗い砂のなかで待っている

Viento a viento va
bailando el mar.
Esta sola voz,
se quebro.

風にさらわれて

踊る海

この一声で

壊れてしまう

Pajaros de sal
Ciegos de llorar
Vuelven a volar.

塩のカモメ

涙で前も見えずに

また飛び立つ

Viento a viento va,
este pequeño temblor

que jamás grito

風にさらわれて

小さな震えは

声にならない叫び

A la luz
Al arbol
A la lluvia.

光へ

樹へ

雨の中へ

A la Voz,
Al aire
Al final.

声へ

空へ

最後に

Y así este viento va girando
Y así este viento va, se fue.

そしてこの風は旋回して

そしてこの風は吹き去って行く

Y asi este niño va llorando.
Llorando.

そしてこの子は涙を零す

涙を零す

 

…………とまあ、こんなかんじでしょうか! あくまでなんとなくで捉えて下さいませ!

いや、しかし、歌詞よ……、どちゃくそネタバレやんけ!!!

まあエンディングだからいいのか……?? いや、しかし、良い歌……。

 

最後に

 通読お疲れ様でございました! 考察記事一発目はこんな感じでお許し頂けるでしょうか。8000字強。

 久々にゲーム考察書いたのでめちゃくちゃ楽しかったですね……。やっぱりゲーム考察は良い文明……。いや、大半翻訳書いていたような気もしますが……語学苦手なのに……。

 次記事では、本格的に解釈、考察を重ねていく予定です。お付き合い頂ければ幸いで御座います。それでは、お開きとさせて頂きます。ありがとうございました!

続きがあがりました。「キツネ」について考えます。こちらからどうぞ。↓