世界観警察

架空の世界を護るために

『世界バレエフェスティバル』Bプログラム2024/08/07,08 - レビュー

 おはようございます、茅野です。

レビューラッシュが続きますが皆様如何お過ごしでしょうか。台風は無事過ぎ去ってくれると良いのですが。最近はゲリラ豪雨ばかりで、自然環境の変化を感じますね。

 

 さて、今回は漸く! 溜めに溜めたレビューラッシュ最終回。

先日は『世界バレエフェスBプログラムにお邪魔しました。初日と、二日目です。

↑ 相変わらず2021になっている。

初日だけ席を取っていたのですが、読者さんが急遽行けなくなった関係で、席を譲ってくださいまして。ありがとうございます。

 

 追加発表で急遽行くことにしたAプロのレビューはこちらから。

↑ 大したこと書いていないのに無駄に長くて1万2000字。

 

 わたしは『オネーギン』のオタクですから、お目当ては勿論こちら。従って、いつも通り『オネーギン』の感想をメインに書きます。その他は有識者さんにお任せします。

 それでは、お付き合いの程宜しくお願い致します!

 

 

出演

・「ライモンダ」第3幕より(マリウス・プティパ振付)
マリーヤ・アレクサンドロワ
ヴラディスラフ・ラントラートフ

・「アミ」(マルセロ・ゴメス振付)
マルセロ・ゴメス
アレクサンドル・リアブコ

・「ア・ダイアローグ」(ロマン・ノヴィツキー振付)
マッケンジー・ブラウン
ガブリエル・フィゲレド

・「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”(ジョージ・バランシン振付)
永久メイ
キム・キミン

・「バクチIII」(モーリス・ベジャール振付)
大橋真理
アレッサンドロ・カヴァッロ

・「海賊」(マリウス・プティパ振付)
マリアネラ・ヌニェス
ワディム・ムンタギロフ

・「ソナチネ」(ジョージ・バランシン振付)
オニール八菜
ジェルマン・ルーヴェ

・「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ(ケネス・マクミラン振付)
サラ・ラム
ウィリアム・ブレイスウェル

・「マーラー交響曲第3番」(ジョン・ノイマイヤー振付)
菅井円加
アレクサンドル・トルーシュ

・「マノン」より第1幕の寝室のパ・ド・ドゥ(ケネス・マクミラン振付)
ヤスミン・ナグディ
リース・クラーク

・「ニーベルングの指環」(モーリス・ベジャール振付)
ディアナ・ヴィシニョーワ
ジル・ロマン

・「ル・パルク」(アンジュラン・プレルジョカージュ振付)
アレッサンドラ・フェリ
ロベルト・ボッレ

・「うたかたの恋」より第2幕のパ・ド・ドゥ(ケネス・マクミラン振付)
エリサ・バデネス
フリーデマン・フォーゲル

・「欲望」(ジョン・ノイマイヤー振付)
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

・「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ(ジョン・クランコ振付)
ドロテ・ジルベール
ユーゴ・マルシャン

・「ドン・キホーテ」(マリウス・プティパ振付)
菅井円加
ダニール・シムキン

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:滝澤志野

 

雑感

 今回のお席は初日は2階R席、二日目は5階正面でした。5階でも正面だとよく見えますね!

オペラグラスは今オシャレ感重視のものを使っているのですが、高性能なものに買い換えることも検討しているので、オススメがあれば教えてください。

 

 2日目には相互さんに会って感想会もできましたし、別日にいらした相互さんとも通話で感想会ができて、その点もとても幸せでした! 劇場でぼくと握手!!

 

『オネーギン』

 それでは本編行って参りましょう。

 

 ジルベール氏×マルシャン氏の『オネーギン』は、既に全幕を2回観ています。

↑ 当時の雑感。もう4年前!? 怖い話!!

 まあその上で、この二人の真価は『オネーギン』では発揮されないな、というのが結論なんですが……。それに、このように何度も日本でやっていますし、パリオペ来日時に通った人にとっては食傷気味かと。

従って、「『オネーギン』をやってくれるのはいいけど、またこの二人か~」というのが正直な感想でした。ヴラド×ヴィシ様が観たいんだよ頼むよ

何度も観ているので、今回は通わなくていいか、と思っていたのですが、前述のように結局2回観ました。ありがとうございます。

 

 3幕2場、グレーミンとの PDD の曲からスタートです。ガラだと大体ここからになるのかな。

 ハープの音が強め、ストリングスは音小さめなど、オケのバランスはかなり悪いです。ホルンは崩壊、チェロも酷い……。2日目は出の音から揃っていなくて気持ち悪かったです。おい! チャイコフスキーだぞ!『フランチェスカ・ダ・リミニ』だぞ!! ちゃんと弾け!!

 オケがそもそも揃っていないので、舞台上の動きも揃うはずがなく……。

 

 ジルベール氏のターニャは、もうターニャというよりミルタですよね。圧倒的に3幕の方が似合うタイプで、もっと言うと3幕1場が一番似合う。気高いです。

 

 解説でも指摘していますが、「手紙のPDD」の特徴は、"重力" です。地を這うような動きが多い。

↑ 資料書いてます。オネーギンは別に性格悪くありませんので。宜しくお願いします。

 オネーギンが膝を突くときに、結構鈍い音が聞こえることが多く、膝これ痣だらけになるんじゃないか……と心配しながら観ていました。

 

 身長差があるのか、ジルベール氏がポワントで立ってもマルシャン氏の顔が全部見えます。

それから、彼は身長があるからか、文化会館の舞台が狭いのか、何をするにも走らず歩きます。もっと焦って!! 原作では「ターニャに今フラれたら死ぬかも!」くらいのテンションなので。単なる痴情のもつれではないので。

 

 ジルベール氏は回転に勢いを付けて、自分で回ります。サポート不要。特にアラベスクのまま回る際に顕著で、最後まで綺麗に回れています。ここはこれくらい勢いがないと崩れるので、正解だと思います。

 

 毎回思うんですが、マルシャン氏の3幕オネーギンはハアハア息が荒いのがわたしの好みではありません。一生懸命なのはいいけれど、成人男性が人妻の部屋に勝手に入ってきて、二人きりで息が荒いのって、流石に事案じゃない? 怖いんだけど……。

確かにこのシーンのオネーギンは「肺病病みと見まごう姿」ではあるけども、実際に肺が悪いわけではないんだろうし……。品がないというか……、貴族の矜持はいずこへ……。

それでも役を得て初期の頃よりはよくなった気がします。或いは、ガラだから感情が乗り切らなかったか?

 

 「鏡」と同じ音楽に戻る際(『序曲』のところ)、アラベスクのポーズのキープはなし。全体的に、ポーズなどでは溜めない方向性のようです。

 

 指摘されて気が付きましたが、マルシャン氏は髪型がオネーギンというよりレンスキーですね。「肩まで届く長い黒髪の美丈夫」と、正にそのままではないですか。

↑ こちらはオペラ映画版。登場人物の容姿については、これが一番「原作通り」だと思っています。左がレンスキー、右がオネーギン。

ビジュアルが原作通りなのは好ましいので、今更と思わずレンスキーにも挑戦してみて欲しいところ。

 

 ジルベール氏は、演技もよくなって、最後はしっかり表情が見えるようになりました。明確に改善が見えます。

わたしは以前より良くなったな、とは思いましたが、しかし感想を交換した皆様によると、「そこまで葛藤しているようには見えず、最初から答えが見えているような感じがする」との由。そうか~、まだ足りないか! でもこれでも改善したんですよ!!

 一方で、マルシャン氏のオネーギンからはやはりあまり感情を感じないですね。伊達男の全てを懸けてターニャをものにしようという気概が感じられない。もうちょっと全力で頼む。

 

 全体的に、以前よりよくなったと思います。このペアはわたしの好みではないけれど、「振付に操られている感」が無くなり、より自然になりましたし、以前よりも踊りこなせるようになってきたかと。経験は力なり。

 正直、このお二人はドラマティックがお得意ではないのかな、と思います(それはパリ・オペラ座全体の傾向にも言えますが)。それなのにどうしてそんなに『オネーギン』をやりたがるのか、謎です。

『オネーギン』ではダンサーお二人の良さを引き出し切れていないと思いますし、お二人も『オネーギン』という演目の良さを引き出し切れていません。好きなのかな? だとしたらそれはそれで。同担ヤッター。

 上演してくださることは嬉しいので、更なる成長を願いつつ、流石に食傷気味なので次の上演時は別のペアで頼む……とも思います。

 『オネーギン』については以上!

 

第1部

 それでは『オネーギン』以外の演目については超特急で駆け抜けます。宜しくお願いします。

 

 前奏。相も変わらずにバレエクオリティな演奏ですね。ペットがヘロヘロです。東フィルなのに!? わたし、基本的には東フィルのペットのファンのはずなのに!? 所謂一軍とそれ以外の差であろう

 ちなみに、前奏中は客席への入場ができるらしいです。係員さんが普通にドア開けて人を通していました。バレエではやはり音楽は軽視されているんだなあということがよくわかりました。

 

 『ライモンダ』。

出・贔屓。噎せた。ありがとうございます(?)。

クラリネット頑張れ。

 アントレでは、アレクサンドロワ姐様がラントラートフ氏の顎をツンッてするのがいいですね。絶対素でやってる。

 ラントラートフ氏は今回は上品路線。騎士ですからね。グラン・ジュテ中に更にもう一段ダメ押しで開脚するスタイル、ピルエットは常に6回転。小さな所作もバレエ的で、しっかりダンスール・ノーブルでした。優等生なバレエもできる万能型。

 姐様は基礎的なことをしっかりやる、言うなればネラ様タイプです。Va. では手拍子は音無しで、最後だけバチンと決めて貰いました。

レヴェランスがマーシャ様でした。たっっっぷり。お代わりもあるぞ!

 しかしこのお二人、プライベートはともかく、バレエ上の相性はそこまで良くないと思っています。まず、音の取り方がかなり違います。姐様は音の取り方が早めなのに対し、ラントラートフ氏は正確に取りたいタイプ。

そして何より、レパートリーが合わない! Aプロの『スペードの女王』にせよ、今回の『ライモンダ』にせよ、あくまで姐様が主役であり、ラントラートフ氏はほぼ完全にリフト要員になってしまっています。勿体ない。彼はタイトルロールを張れるダンサーです。ラントラートフ氏の方が役柄の幅が広いので、必然的に姐様の十八番に合わせる形になるのでしょう。

 姐様はあまりドラマティックを踊りませんが、彼の真価はドラマティックでこそ発揮されます。日本では全然やってくれないので、ご存じの方は少ない気がしていますが、彼の強みはドラマティックです。本人もちゃんと自覚があるようで何より。

ダンスール・ノーブルとしては、「モスクワのプリンシパルとして申し分ない」という辺りかと思いますが、ドラマティックに於いては歴代最強クラスに名乗り出ます。あの表現力は唯一無二。日本でも、ドラマティックで観客を圧倒する日が来ることを期待します。

 

 『アミ』。

二人とも安定感があります。振付も面白いです。シンクロした動き、お互いに掛け合う振りも多くて、この振付とタイトルだけで物語が見えるようです。そういうのが大事ですよね。

 動きは初日の方がシンクロ感あったかもしれません。単に二日目は見慣れて粗が目立っただけかもしれませんが。

 ピアノは我らが滝澤先生。もう先生が『オネーギン』弾いてください。

 

 『ア・ダイアローグ』。

 今年のバレエフェスのコンテ作品で一番好きかもしれません。どの振りがどの音に対応しているのかがよくわかります。音楽が好きな人ならハマる振付だと思う。音楽自体はアメリカンポップ風。

振付自体も、「ああ、シュトゥットガルトのコンテだなあ」、という感じがします。ストップモーションダンスみたいなシーン、観ていて楽しかったです。

 フィゲレドさん痙攣上手すぎて笑いました(?)。細かい。凄まじい 6 o'clock もお見事。

ブラウン氏の背中の柔らかさも凄まじい。Aプロとは何だったのか……というくらい良いですね。

 それにしても、終わりそうで終わらない。ベートーヴェンもビックリである。

ところで、プロンプターボックスからライト出ていましたか?

 

 『ジュエルズ』。

優等生的な踊りです。メリハリがありながら優雅。最近のマリインカはこういう感じなんでしょうか。

 初日、「おお、ホルン息長いなー」と思った矢先に盛大にズッコケましたね。二日目もヘロヘロでした。がんばれ。

 永久さん、本当にスタイルが良いですよね。この中で一番美しい体型なのではとさえ思います。

 それにしても、キミン氏の使い方(?)はそれでいいのか。色々なレパートリーを踊りこなせるということを見せるのも大事ですが、多くの観客はAプロの『チャイパド』のようなアクロバティックな演目を望んでいたのではあるまいか。

Aプロと比べ、余りにも地味な印象を受けました。

 

 『バクチIII』。

初めて観ました。民族色ゴリゴリで面白いですね! わたしは元『Ethno World』ユーザーですから、須くこういう音楽大好き。

↑ 我が最愛のソフト音源『Ethno World』。その名の通り、世界の民族音楽の楽器や歌声を網羅した変態的ソフトです。この6のPVは何回観ても、未だにゾクゾクする。大好き。皆様は何個楽器知っていましたか? 音楽的にお好きな地域はどこでしょうか? 是非教えてください。

 わたしはバレエの「ナンチャッテ・オリエンタル」が嫌いなのですが、これくらいガチなら寧ろ好きです。インドのこと全然詳しくないのが申し訳ないですが……。

 現代物らしい動きが多いですが、女性(シャクティ?)はポワントを穿く振りになっています。

 音楽も振付も、わたしはとても好みでした! 東京バレエ団が上演しているようなので、再演するなら行きたいな。一方、隣の席の方はこの時だけ爆睡していました。まあ、好き嫌いは分かれるかもしれない……。

 インドなら手を合わせてレヴェランスで良いわけですね。アラブではやるなよ……

 Bプロ1部のコンテは全部良いですね。素晴らしいラインナップです。Aプロとの差が……。

 

 『海賊』。

『バクチIII』の後だと、『海賊』の「ナンチャッテ・オリエンタル」感が目立ち、殊更『バクチIII』への好感度が上がってしまいますね。

 この二人が『海賊』を踊るの、珍しくないですか? 初めて観ました。折角なら同担が作った曲(ギュリナーラの Va. 。作曲はなんとティナ大公女の父)を踊って欲しいですけどね。でもネラ様、マリンブルーのお衣装がよく似合う~。

 感想会した相互さんが仰っていましたが、マリインカの二人とプログラム逆の方がよかったんではないか説。正に!! 仰る通りだと思いました。この二人なら『ジュエルズ』も卒なく踊るであろう。

 ムンタギロフ氏はなかなかトリッキーなジャンプ技でしたね。それから、彼って毎回ピルエットの軸足が同じ気がするのですが、気のせいでしょうか。そういう人はプリンシパルでも結構いますけど。得意不得意がハッキリしているのでしょう。

 相変わらずネラ様の安定感と言ったら。フェッテは軸が全くブレません。技術を昇華しすぎて芸術を極めている。怖い。

 オケは容赦なくアッチェレランド。打ち合わせはしているんだろうけど、どこまで行くんだと思いました。

 

第2部

 休憩を挟みまして第2部。

 

 『ソナチネ』。

 滝澤さんのピアノが主役です。それなのにも関わらずスマホを鳴らす不届き者が……。

いつものパリオペ・ネオクラという感じ。無難すぎます。

 

 『ロミオとジュリエット』。

ちゃんと懸垂セットが持ち込まれている! マクミラン版は懸垂ないけど! 全バージョン懸垂は必須ということにしましょう。

 初日はR側だったので、最初の方完全に死角でした。バレエはLR席で「そこが見えないのはダメだろ!」案件がよくあります。どの辺りの席から大丈夫なのか有識者マップが欲しいところ。

 二日目のオケが酷かった。ヴァイオリンが終了しています。 チェロは指揮を見ているのか!? ちなみにオケピが見える席に座った相互さん曰く、ホルンは一番後ろの席の方が戦犯との由。トラか~? 頑張れ……。

 ガラだとこの多幸感に全然酔えないというのはありますが、それはガラだからというより、演奏が酷いからというのもありそうだなと思いました。演奏のクオリティのせいで没入感下がるの辛すぎるな……。

 ブレイスウェルさんは映画でロミオに大抜擢されて出世したわけで、ロミオは十八番なんだろうと思っていましたが、意外にもAプロのデ・グリューの方が似合っていたかも。振付の問題でしょうか。元気いっぱいなのはいいですが、ちょっとわちゃわちゃしすぎかも。

 サラ様も、相変わらず美しいですが、Aプロ同様、ガラだと乗り切らない印象が強かったです。是非とも全幕で観たい。しっかし、お顔も足も綺麗だなあ……。

 しかし初日のサラ様、カーテンコールで躓いておられましたが大丈夫だろうか。

 

 『マーラー』。

全観客のツッコミいきます。「生音ちゃうんかい!!」。いやしかし、このオケでやったら大事故かもしれない。ある意味賢明なのかも……。いや、生オケでやる公演ですよ!? 頑張れよ!!

 正に現代物というレオタードやタイツ、振付はネオクラシック系。ゆったりとした動きで魅せます。腹筋凄いんだろうな……と思いながら観ていました。

 

 『マノン』。

サラ様が無邪気な原典マノンだったのに対し、ナグディ氏は活発なマノン。喜怒哀楽が激しそうだし、それがすぐに表に出そう。ティーンエイジャーであることが前面に出た解釈であると感じました。

 オケが遅いのか、音楽に合いきらないところが複数あったのが勿体なかった。相変わらずオケの音量のバランスも悪いです。

 手にキスする時のリップ音が2階席まで響き渡ります。2日目は羽ペン投げの飛距離が足らず、舞台上に墜ちていました。

 

 『ニーベルングの指環』。

言わずと知れたワーグナーの楽劇ですが、バレエにもなっていたということを初めて知りました。文学・オペラ・バレエと展開するのは非常に良きことです。全てに展開している『エヴゲーニー・オネーギン』を宜しくお願いします。

 しかし、一体これはどのシーンであろうか。音楽的に『ワルキューレ』かな……? ワグネリアンではないので、音楽も歌詞も全然覚えられていないのですが。

 ヴィシ様は白いシフォンドレスが大変お似合いになります。愛らしく美しい。対するロマン氏は白塗り赤アフロ・裸スーツというキマりきったお衣装。これはインパクトある! 思ったよりも前衛であった。

 今回も社交ダンス風の振りが。最近のヴィシ様のお気に入りなのかもしれない。Aプロよりはバレエっぽいですけれどもね。

 最後の演出もインパクトありましたね~。

 

第3部

 『ル・パルク』。

皆様の意見を代弁します。「またか」。

 このペアだとボッレ様が添え物感出てしまいますね。それだけフェリ様が強いというべきか、完全にサポートに回っているというべきか。

動きがAプロよりも現代風だなと感じました。カテコが仲よさそうで愛らしかったです。

 

 『Mayerling』。

 R側でもルドルフの机は死角になりませんでした。よかった。

ガラの時の背景、地味にお洒落ですよね。ローゼの美術だと、軍服のジャケットはグレー、ヴェッツェラ嬢のコートは赤です。

 さて、フォーゲル先生のルドルフといえば、そう、名物、「自分でヴェッツェラ嬢の胸元をはだけさせておいてガン無視するサイコパスムーヴ」!! 最初に観たときは度肝を抜かれました。

しかし、なんと、今回はおっぱいを見ていた気がする!! 少なくとも前回よりもガン無視ではなかった!! そのままうなじにキス。本当に、どうしてルドルフがヴェッツェラ嬢の胸元を見ることに一喜一憂しなければならないのか我々は?(どっちが「喜」でどっちが「憂」なのか知りませんが)。 なんてことしやがる……。

 銃を撃った後のヴェッツェラ嬢、大変良い笑顔です。

お尻を突き出す振りのタイミングが揃っていて良いですね。膝に乗る振りの際は、膝を立てすぎて凄い角度に。あれ水平にするのが正解というわけではないのか?

 わたしは万年厨二病患者なので、この PDD ではこのポーズが一番カッコイイと思っているのですが(画像参照)、一瞬で終わってしまったのが悲しいですね。ここはもっと溜めて欲しい。

↑ 画像はサラ様×マクレイ先輩ペア。この振りをどう呼称したらいいのかわかりませんが(教えてください)、ヴェッツェラ嬢が凜々しい指揮官のようでカッコイイなといつも思います。ルドルフより軍人っぽい。

 バデネス氏はアクロバティックな振りがとてもよく似合います。ターニャも「鏡」が一番合うタイプですし。背中の反りも美しいです。

 しかしこの二人だと、「ルドルフとヴェッツェラ嬢」というより、『危険な関係』を想起させます。わたしはヴァルモン子爵とメルトイユ侯爵夫人のような関係性は大好物なので、これはこれで美味しいですが、史実からはかなり逸れている気がします。『危険な関係』をバレエ化すればよいのだ。

↑ 恐らく「名前は誰でも知っているがちゃんと読んだ人は少ない」ラクロの大古典。現代に読んでもめ~ちゃめちゃ面白いです。まあわたしってレールモントフで育ってますしそりゃあ刺さるというか……。普通に好き。騙されたと思って是非。

 

 『欲望』。

 ピアノがほぼ真ん中に。ピアノは舞台下手脇と舞台上と2つあるのかな? オケピには無さそうに見えましたが、『ライモンダ』の時はどうしていたんだろう。

 静かな作品です。お衣装も水色のスカート付きのレオタード、赤タイツのみと、シンプル。シンクロした振りが多く、比較的見やすいタイプの現代物。男女で動きがシンクロしていることが多いので、ポワントとルルベの差がわかりやすく、面白かったです。

 2回観ましたが、何故タイトルが『Desir』なのかわかりませんでした。謎です。

 

 『ドン・キホーテ』。

 「バレエフェスとは、『ドン・キ』良ければすべて良し」。Bプロの『ドン・キ』は如何に。

 リフトすんごいです。ビッッッタリ 6o' clock で止めます。限界までバランス。サービス精神旺盛!

 お衣装の色はAプロに比べ、全体的に暗め。身長差があまり無く、ダイナミックさが際立つペアリングです。

 多幸感よりも、すました感じが強いキトリです。必殺仕事人という感じ。初日より二日目の方が笑顔になりました。やはり初日はあれでも緊張しておられたのであろうか。

 Va. の前、バジルはゆっっくりと登場し、音が間に合わないくらい回り続けます。『ドン・キ』にサービス精神は多くても多すぎるということはないのだ。二日目はそれでも音楽に合わせようとする意思を感じました。

 菅井さんのフェッテはネラ様とは逆に、2回転が多め。こちらもこちらで素晴らしい。

 全体的に二日目の方が、初日よりもどよめきや変な拍手は減った印象です。でもこれは Twitter を見る限りだと、かなり日による様子。それでもいつでも大盛り上がりでした。

「『ドン・キ』よければ全てよし」!

 

 以上!!

 

最後に

 通読ありがとうございました。1万字ほど。

いや~~漸くなんとかなりました。やっと片付いた。これで暫くは……と言いたいところですが、席を買ってしまいました。観劇ライフ、終わる気配なし!

 

 ところで皆様、こちらの記事はご覧になりましたか。

『オネーギン』限界オタクと致しましても、一切の文句のない、百点満点の回答であります。これはもう、安心してオネーギン役を任せられるというもの。このようなダンサーがオネーギン役を十八番としていることに喜びを覚えますね。

 来日公演も楽しみです!!

 

 さて、次回ですが、既に数日後に次なる観劇が迫っております。しかしレビュー以外の記事も書きたいので、なんとかねじ込みたい……。何か書けると良いのですが!

期待せずお待ちくださいませ。

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。長々とありがとうございました。また次の記事でもお目に掛かることができましたら幸いです。