こんばんは、『幸福な消失』のダイアログ書き疲れた茅野です!
あれすこぶる面倒です。苦しいです。評価してください。
やはりわたしは単純作業よりも頭脳労働の方が向いているらしいですや。最後までやり遂げますが!
そんなこんなで息抜きにサッと触れてみました、『Submerged』。
↑この時点で惚れている
前々から興味はあったものの、情弱なこともあって今更になってプレイ。
初見~トロコンまでぶっ続けてやりました。以下、その主観的感想です。
概要
『Submerged』はオーストラリアの Uppercut Games さん開発のゲーム。様々なプラットフォームでプレイアブル。
「水没した廃墟の街を小舟で探索する」というコンセプトで、特徴はその美麗なグラフィックにあります。所謂「『ICO』ライク」作品で、操作性はほぼ『ICO』準拠。但し、死の危険性も謎解きもなく、どちらかというと『Dear Esther』などのウォーキング・シミュレータに近い部分もあります。
総評
良いゲームです。しかし、どこかちょっと惜しい。『ICO』ライク作品としては完成度が高いとおもいます。
舞台の作り込みに関してもそうですし、アクション要素にしても、「もう一声……!」と言いたいですが、非常に求めやすい価格ですし、お値段以上の体験はお約束できます。息抜きにやるなら最高かもしれん。
ネタバレ控えめ画像は多め。ストーリーの項目だけネタバレ全開なので注意。自己判断でお願いします。
舞台
物凄くいいです。それはそれはその雰囲気に酔えました。
天気や時間が変化するのもとても美味しい!
同じ場所でも、太陽の光が水面を輝かす昼間と、静かに雨が世界を包む朧月夜では雰囲気も全然違いますからね。でも、それにしても天候が不安定すぎる。どんだけ雷降ってくるんだ。
↑水没した都市を小舟で旅する。
↑女神を思わせる像や……
↑観覧車も沈んでしまっている……。
哀愁漂うディストピア世界。
海原と化した大都市の中、ひとりぼっち。
最高過ぎませんか~~~~~!!!!
わたしのストライクゾーンを的確に射貫いてきました、『Submerged』。つよいです。
ただ、だからこそ至らぬ点が目立ってしまいます。
例えば、窓。
窓が全部同じ汚れ方と割れ方するわけないじゃんって突っ込みたい。
窓を筆頭に、手抜きと思わしきものが直接的に見えてしまう。これは凄く勿体ないと思いました。
ちょっとくらいなら気にならないんですが、全面窓の建物とかを延々と昇ったりするわけで、そこは手を抜いたらイカンだろうと。気になります。
また、折角舞台の設定は素敵なのに、どうも没入感を欠いてしまう非現実さ。
「年代記」にもあるように、長い年月が経っているのはわかるのですが、日常的な小物が一切見えないのには少し首を傾げてしまいます。建物の中に、椅子のひとつすらないのです。
図書館、市役所、ホテル、病院と、メインとなる建物でも、ただ看板にそう記してあるあるだけ。図書館の割れたガラス窓から、無残に腐った本棚の残骸と、最早何だかも判別できないような本だったものの山が見えたら、どれほど素敵だったでしょう!
一度そう思ってしまうと、どうしてもなんだか勿体ないように思えてしまってならないのです。
他にも、欲を言えば、もし水の中が少し透けて見えたら……。
下の方で燻っている車とか、地面は見えないまでも、水中の建物は藻まみれになっていたり……なんてのがもし見えたら、もっと素敵だったのではないかと考えてしまいます。
欲張りかもしれませんが、値上げしてでもそこはこだわって欲しかったなぁとわたしはおもいます。
しかし、グラフィックも綺麗ですし、「水没した都市を小舟で探索する」というコンセプトは本当に素晴らしい。
アクション要素
一言でいうと、死の危険性のない『ICO』です。
落下死はせず自動で踏みとどまりますし、敵も出ないので殺されたりもしません。
ジャンプもダッシュもなく、歩く / 走る、ぶら下がる / 捕まる / よじ登る、といったような簡単な動きのみ。複雑な地形の視点固定も『ICO』準拠です。
↑誰視点だよ
そして、メインシナリオ進行中はひたすら建物の外側を昇るだけで、とても単調です。だからこその息抜き向き。
突起や草を使ったもののみで、特に変わり映えは無し。前述のように、折角ならその建物の特性を生かしたギミックがあればよかったのになぁと思います。
それに、折角海原なんですから、泳げた方がよくないですか!!?!
これは誰もが思ったことかと思います。明らかにヤバい藻とか浮いていますが、だったらもっと危険性を強調してほしい……。
音楽
こちら、素晴らしいです。個人的:手放しで褒められるポイントです。
誰もいない場所を一人で探検するわけですから、もっと勇ましい音楽なのかと思いきや、退廃的な世界に相応しい、波のたゆたいのようなピアノに、心を締め付けるようなストリングス。すごく弾きたい。
酔えます。船を漕ぎながら日の出の音楽が掛かっているだけで「あぁ~~~~」ってなる。最高。
サントラをCDで出して欲しいです。(コレクター)
ちなみにこの記事のタイトルは、エンディング曲から。いつもは取得トロフィーの名前をつけるのですが、このゲームはプラチナトロフィーがないのでね。とても良い曲です。
以下、壮大なネタバレ。
ストーリー
後味すっきりハッピーエンドです。
ストーリーを進める毎に簡単なイラストが挿入されるので、それで何となく理解することが可能です。
ただ、考察勢の端くれから申し上げますと、「ヒストリー」の最後を見るに、地球は壊滅的なダメージを受け、あの場所しかまともな建物が残っていないような状況(に見える)のに、主人公たちはどこからやってきたのか?どこへ帰って行くのか?など、そういう細かい疑問が……。
↑ヒストリー60。地球が一箇所を除いて水に満ちているように見える。
やっぱり野暮でしょうか……。
人型のなにかが初登場して、ミクの体にも変化が……という状況、初見で「ヤバい、上位者になりかけてる」と思ってしまいました。(『Bloodborne』)
↑浸食されるミクの体
「なんだ~いお前らイイ奴らなんか~い」ってリアルに突っ込んだ。あの思わせっぷりでそれアリか~い。
そんなわけで、逆にどんでん返しされたような心持ちです。ある意味、凄く演出がうまいとも言える。
キャラクター
ミク
プレイヤーキャラクターです。
ゲーム界が誇る最強の姉御、ミク姉さん。その握力、持久力はワンダを優に超え、ターザン宜しく颯爽と建物を自由自在に移動する姿はまさに蛮族。
無人島に連れて行きたいキャラ堂々の1位。
大変弟思いであり、こんなお姉さん欲しかったというプレイヤー続出なのではないでしょうか。
あと服装がえろい。臍と背筋。すごい。たくましい。やっぱり蛮族。
タク
腹部に大きな裂傷を負い、瀕死のミクの弟。
『ワンダ』でいうモノちゃんのポジションです。基本寝ている。ですのでミク姉はぼっち探索です。寂しい。
ショタリョナラー絶対殺すマン。
顔立ちに日本らしさは感じませんが、名前が日本人っぽいのはなんなんでしょうか。偶然?
制作も英語圏だし、作中も英語の標識があったりするので日本は全く関係ないのですが、やはりちょっと気になる。
海に潜む生物たち
建物や動物、そして物語中盤以降のミクもですが、動物たちは謎のウイルス(?)に感染している模様。
青~緑色のコケのようなものが付着し、赤い斑点が出来ています。かなり病的。
自然とは程遠い大都会は滅び去り、水と草木の美しい自然の中に収まった。鯨が朽ちる建物群に塩水を振りかける、夜の街並み。
すんごい絵になる!!
動物たちがこの世界を盛り立てているのは間違いないです。不可欠な存在。
ただ、イルカの鳴き声とか、鯨が塩を噴き出す時の音が一々ちょっと不気味。特に嵐の夜だとホラーゲームかと錯覚する。
凄く個人的な話なのですが、幼い頃見たダーウィンの進化論のビデオを思い出すデザインと鳴き声でちょっと参りました。昔から感受性が強いタイプだったので、生命の神秘みたいなものを全開で見せられてトラウマ級になっていたのを、久々に思い出した。地球全てがあんな風景になってしまったら、動物たちもやはりそこに適応して進化していくのでしょうか。生命って凄い、そして、こわい。
バグ
このゲーム、とにかくよくバグる。
初見プレイ中、2回程バグりました。
一回目は図書館にて。右側の二つの木の間に挟まれ、全く身動きが取れなくなるという事態に。
やむなく再起動することになり、「嘘だろ」と唖然としてしまいました。
二回目はもっと直接的。
ファッ!? #PS4share pic.twitter.com/BSEkOCGQ2v
— 教祖茅野 (@citrusnightsky) 2017年2月3日
何が起きたのかと思った…………。そして、見てはいけないものを見てしまった……。
考察要素
トロコンすれば大体わかるはずです。
強いていえば、上記の「ミクとタクはどこから来たの?」という問題とか、ヒストリーから水没の経緯をもう少し掘り下げてもいいかもしれませんが、根拠の提示に苦労しそうですね。各自妄想で埋めるしかないかもしれません。
本格的に取り組むとするならば、創作文字の読解があげられるかと思います。
↑英タイトルの下にある謎の記号
確定しているのは「SUBMERGED」の9字のみです。そこから他のイラストに描かれた文字を読解していく、というもの。これはやってみてもいいかもしれません。
ローカライズ
ここ!私これ文句言いますよ。
折角ローカライズするなら、○と×くらい反転してくれ~~~!!!
尤もこのゲーム、複雑な操作は求められないのでたまに押し間違えるくらいなのですが、不親切だなぁと思います。
「折角なら」という感想ばかりでる『Submerged』。とても惜しいのですこのゲーム。
あと、「食の状態」ってなんだよ、って突っ込みたい。
直訳なのかもしれませんが、流石に意味が分からん。どんな建物やねん。
最後に
こんなところでしょうか……。
もう少し金取っても良いので、もうちょっと頑張って欲しかった、という点が多いです。折角美味しい題材なのに、とっても勿体ない。
けれど、1000円で遊べる、と値段で考えるとお値段以上なのは間違いないです。舟でただ移動しているだけで楽しいし、時間を忘れるし、酔える、とても素敵なゲームです。
精神が疲弊したら、ただぼんやりとこのディストピア世界を漂うのも乙かもしれませんよ。
それでは、あなたの船旅に幸の多からんことを。