こんばんは、茅野です。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』が発売され、次は『ELDEN RING』……と、大手ゲーム会社が新作を次々とリリースする正に豊作とも言うべき2022年。コントローラが手から離れません。
そしてその「豊作」っぷりはソーシャルゲームに於いても同様であった! 新年に続き……、来てしまいましたね……アヤベさん……!
↑ 1st Anniversary を目前として集金に本気を出してきた Cygames の図。
ナリタトップロードの参戦もありましたし、今年は世紀末だというのか。何はともあれ、お迎えに上がりましょう!
↑ これまでにタマモクロス、アグネスデジタル(3回目)などが来てくれました。早めに来てくれて助かりました!
オペラ鑑賞ファンであるわたくしは、テイエムオペラオー君担当トレーナー。過去に考察・解説記事を幾つか執筆したところ、身に余る反響がありました。
↑ その他『ウマ娘』関連記事はこちらから。アグネスデジタルの記事なども書いています。最早恒例と化してきた『ウマ娘』トーク解析シリーズ。
アヤベさんの育成ストーリーには、同期ということもあり沢山オペラオー君が出てきます。ところが、メイショウドトウちゃん育成ストーリー同様、オペラオー君の言動にはオペラに関するものがほぼ全くなく、寂しい思いをしております。オペラオー君自身のストーリーのネタ仕込みは実に豊富であり、且つ自然でもあり、正に「神業」の域だったので、ついそれと比較してしまう悪い癖。
しかし、折角引いたのだし、短いながらも一筆やってみましょう! というわけで、今回は、アドマイヤベガ育成・ストーリーに於けるテイエムオペラオーのオペラに関する発言を考えます。
【注意書き】
・考察・解説記事ですので、当たり前にネタバレを含みます。
・考察なので、必ずしも正しいとは限りません。深読みもします。
・漏れ・抜けがあったらすみません。
それではお付き合いの程、宜しくお願い致します!
アヤベさんのサンドウィッチ
ド直球で参りました! 大作曲家の名前が揃い踏みです!
オペラオー君は「ワグネリアン」(熱狂的なワーグナー愛好家のこと)であることがほぼ確定していますからワーグナー、一時は「オペラオー君はヴェルディが嫌いなのか?」と怪しんだものの、ついに新春イベントで言及があったヴェルディ、通常オペラオー君が超弩級のマニアックなネタをぶちかましてきたモーツァルト!
しかし、「美食とオペラ」といえば勿論、ロッシーニです。これまでには、オペラオー君はロッシーニのオペラについては『セヴィリアの理髪師』について言及しています(こちらからどうぞ)。
ロッシーニは才能ある作曲家でしたが、同時に大変な美食家でもあり、40歳にもならずして作曲家を引退した後、なんと食の道へ転向。フランス料理店で「ロッシーニ風」なるお料理を食べたことがあるかもしれませんが、こちらはなんと、我らが大作曲家が考案したものなのです!
↑ フレンチのフルコースのメインとして供されることの多い、フォアグラとトリュフを贅沢に使ったお肉料理です。美味しそう~!
さて、オペラにはお酒を讃える歌は数あれど、あまり食についての言及があるものはありません。そこで、今回名前は挙がっていませんが、明確なお食事のシーンがあるプッチーニ作曲『ラ・ボエーム』第二幕をご覧頂こうかと思います。
↑ オペラ映画版。高慢で移り気ながらも実は気遣いのできる美女、ムゼッタが大暴れ。オペラオー君にムゼッタのワルツを歌って欲しい。「私が街を歩けば、誰だって立ち止まって私を見つめるの、美しい私を頭から爪先まで眺めるのよ」……。
レストラン(カフェ・モミュス)で主人公たち5人組と、その中の一人マルチェッロの「元カノ」であるムゼッタがやってきて、偶然出逢うシーンです。物語の舞台である19世紀フランスのカフェは、お食事も提供し、芸術家の溜まり場となっていました。
前述のロッシーニは、パリでレストランを経営していたこともありました。物語が交錯しそうですね……!
ホーム画面
『きらきら星』
アヤベさんをホーム画面に置くと、鼻歌を歌っているときがあります。その曲とは、『きらきら星(Ah! Vous dirais-je, Maman)』。
元はイギリスの民謡ですが、クラシック音楽界では、先程オペラオー君も言及していた大作曲家モーツァルトが『きらきら星変奏曲』を作曲したことで有名です。
↑ わたくしも小学2年生のときにピアノの発表会で弾いたのでよく覚えています。「THE・モーツァルト」って感じでいいですよね。皆様はどの変奏がお好みですか?
ティコが昇るまで
『トゥーランドット』
毎回ご紹介しているような気がするので割愛します。いつも通り『誰も寝てはならぬ』です。きみが寝るんかい!!
過去記事での紹介部を貼っておきますね(通常オペラオー君版 / 新春オペラオー君版)。
尚、「覇王の凱旋」イベントにて、
勝者のアリアを奏でるのは、やはりこのボク!
という台詞がありますが、「勝者のアリア」で最も有名なのが『誰も寝てはならぬ』でしょう。
ちなみに、「アリア」とは「叙情的な(メロディがハッキリしている)独唱」のこと。オペラに於ける最大の魅せ場でもあります。「連星の宴」イベントなどで、
あくまでアリアを貫く君の声は、それでも、それゆえ、ボクらの声と重なって―――
という表現がありますが、アヤベさんの "独唱" に乱入して、二重唱 、三重唱、―――そして "四重唱" へとしたいオペラオー君の意志が伺えます。
ストーリー第四話
『運命』
いいんだよドトウ。……彼女の頭の中では既に、運命の鐘が鳴り響いているのだからね。止めることはできないさ。
ある者は扉に寄り添う。ある者は叩く。ある者は蹴破る。―――それでいいのさ!
「運命」と「扉」と言えば! こちらは恐らく、「ジャジャジャジャーン」で有名なベートーヴェン作曲『交響曲 第五番』を指していると考えられます。
↑ 史上最も有名な交響曲と言ってもよいでしょう。
この「ジャジャジャジャーン」は、長らく「運命が扉を叩く音」として解し、受容されてきました。しかし、最近の研究では、ベートーヴェンがこの考えを示したわけでは無く、ベートーヴェンの伝記を執筆したシンドラーという人物の捏造であったと考えられています。
しかし、この「運命が扉を叩く音」という考えは、あまりにも有名になってしまったため、研究結果が変わってきていることをご存じない方が多いのもまた事実です。ここで微力ながら啓蒙活動をしたいと思います。
日本ダービーに向けて
Spandendo, Spandendo!! もっと豊かに!! 力強く!!
新春オペラオー君に続き、発想記号シリーズです。意味はオペラオー君が言っているように、「もっと豊かに、力強く」。
しかしながら、新春オペラオー君の言う «Energico» とは異なり、こちらを発想記号とした曲はほぼ全くありません(少なくともわたくしは心当たりがありません……)。そうなると、何を念頭に言っているのだろう……という疑問が湧きます(音楽用語辞典を引いてきたのかな……という取って付けた感を覚えてしまいます)。
であるならば、«Passionato» や «Con Fuoco»(共に「情熱的に」の意) など、もっと普遍的で、カタカナだけでも意味が通りやすいものの方が相応しかったのでは無いかと考えます。
ファン感謝祭
『ジュリオ・チェーザレ』
アーレア・ヤクタ・エスト!
«alea jacta est»、ラテン語で「賽は投げられた」です。
ユリウス・カエサルの言葉として知られます。オペラオー君はこれまでも「ルビコン川を渡る」など、カエサルの言葉を引用しています。王と皇帝同士、通ずるものがあるのかもしれません。
ちなみに、カエサルはオペラにもよく登場します。最も有名なのはヘンデル作曲『ジュリオ・チェーザレ』(※「ジュリオ・チェーザレ」は「ユリウス・カエサル」のイタリア語読み)でしょうか。
↑ 第一幕、計略に富んだチェーザレのアリアです。この演出、全体的にダンスが沢山あって楽しいんですよ~。クレオパトラのシーンもオススメ。
『ジュリオ・チェーザレ』は「歴史オペラ」の代表作の一つです。聴いて頂ければわかるかとおもいますが、バロック・オペラということもあり、カストラート(非常に高音の男性歌手)が演じることも特徴。
オペラオー君、是非ゼンノロブロイちゃん辺りと観劇に行って欲しい。
五重唱
さあ、チーム「覇王ズクインテット」! 出陣の準備は万全か!?
とうとう5人揃った1999年世代! 「クインテット」は、「五人組」や「五重奏」を意味します。NHK の子供向け音楽番組で覚えている方も多いのではないでしょうか?
↑ ふつうに続いて欲しかった番組です……。
さて、折角なのでオペラの中の「五重唱」を幾つかご紹介したいと思います。五人で同時にバラバラのことを歌うので、「聖徳太子の耳」が求められる五重唱。そのこともあって、あまり数自体多くありません。
まずご紹介したいのが、わたくしが盲愛しているオペラ、チャイコフスキー作曲『エヴゲーニー・オネーギン』の五重唱、『В вашем доме(あなたの家で)』。
↑ 主要登場人物がそれぞれ胸の内を吐露します。『В вашем доме』、全オペラの中でも屈指の名旋律の一つだと思っているのですが、如何でしょうか。お気に召して頂けたら心底嬉しいです。
もう一つ見てみましょう。最も有名なオペラ作品のひとつ、ビゼー作曲『カルメン』より『Nous avons en tete une affaire(うまい話がある)』。
↑ テンポが速く、聴いてて楽しい曲の一つです。
この曲は、ザックリ言うと「おれに協力してくれないか?」「わたしたちに協力しろって?」というような歌詞となっており、イベントの内容にもある程度合致しますね。誰がどの役なのか考えながら聴くのも乙です。尤も、何に対しての協力かというと……、それは是非『カルメン』をご覧になってお確かめ下さい!
「クインテットといえば、やっぱり歌よりも室内楽のイメージだなあ」という方の為に、そちらも一曲だけご紹介したいと思います。
五重奏の名曲はそれこそ "星の数ほど" ありますが、今回はコアな方にもお楽しみ頂けるよう、あまり知られていないながらもわたくしイチオシの名曲をご紹介したいと思います。アーノルド・バックス作曲『ハープと弦楽の為の五重奏』です。
↑ 知る人ぞ知る名曲。是非ともご紹介したく!
五重奏というと、やはり一番は弦楽四重奏+ピアノという編成が多いのですが、こちらはハープを足したもの。豊かな弦の響きを楽しんで下さい!
星や星座について
星に関しては完全に門外漢なのですが、良い機会なので簡単に纏めてみることに。自分用のメモ程度のものなので、参考になるかわかりませんが……。専門家の解説を心よりお待ち申し上げております。
ゴールドシップからの質問については、アヤベさんが解答しているので記載していません(あれだけで理解できるかと言われると微妙なラインですが……)。
最後に
通読ありがとうございました。今回は短く6000字です。
最後に、今回のアヤベさん育成ストーリーでは「ここはオペラネタ仕込めたのではないか?」と思うポイントが幾つかあったので、もう少しオペラを絡ませられないか検討したいと思います。
例えば、「星とオペラ」と言えば、通常オペラオー君編でご紹介したプッチーニ作曲『トスカ』の中の名曲、カヴァラドッシのアリア『星は光りぬ』があります。
↑ 正直、これは外せないのでは? と思っていました。最も人気なアリアの一つです。わたくしも大好き。
他には、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーの作品には『星の王(Le roi des étoiles)』という、正にアヤベさんとオペラオー君に似合いそうな題のカンタータ(歌曲)があります。
↑ 複雑な響きで、演奏はかなり難しいとか……。
また、「グリム・リーパー」と聞き慣れない単語が出ますが、こちらは英語で「死神」のこと。オペラとは全くの無関係です。
オペラでは、死神の名こそ多く挙がれど、実際に死神が登場するオペラはさほど多くありません。実際に死神が登場する作品といえば、正に前述のストラヴィンスキーのオペラ『夜鳴き鶯』などが挙げられます。
↑ 死神(Смерть)を退ける夜鳴き鶯。夜に美しく囀る鳥をアヤベさんに準えるのは如何でしょうか。ストラヴィンスキーとオペラオー君・アヤベさんは……相性が良い……??
他には、「歌い逃げ」なんて表現も出てきますが、この辺りはオペラオー君も大好きなワーグナー作品では頻繁に登場する「歌合戦」に準えれば、オペラオー君の嗜好にも合致しますし、比喩としても美しく、表現的にもスッキリしたのでは、とも思います。
↑ 歌合戦が物語の主軸となる『ニュルンベルクのマイスタージンガー』。長いことで有名なワーグナー作品の中でも特に長い作品です。古い映像ですが、日本語字幕付きなのでよかったら。
ネタ仕込みが多ければ多いほど良い、というわけでもありませんが、オペラオー君自身のストーリーにはファンも度肝を抜かれる量のオペラネタが仕込まれていたので、つい……。欲張りなオタクの差し出がましい提言で御座いました。
オペラネタという極マニアックな側面で考えると少々物足りなさを覚えましたが、「アヤベさんの育成ストーリー」とマクロな視点で捉えるととてもよい物語だったと思います! 史実での早期引退の後をどう描くか、という『ウマ娘』に付きまとう問題を、ホラーテイスト・ライバルたちとの友情を交えつつ、見事に描いていました。
オペラオー君もいつも通り絶好調で嬉しかったですね。モブ(オペラオーファンA)の「ワケわからん迫力! 意味わからん強さ!」それな!。地味に私服+王冠の組み合わせも初めてですよね。私服可愛いのでもっと出して欲しい。
今後のナリタトップロード実装も大変楽しみですね! 途中、「これはアヤベさんではなくトプロちゃんの物語なのか?」というくらいの大躍進。早く来て欲しい~! ウララちゃんを交えて『WINnin' 5』を観るんだ……世紀末世代に……黄金の時代を……。
今回は記事を書くか大分迷ったのですが、オペラオー君好きなので無理矢理書いてしまいました。お楽しみ頂けていれば幸いです。更なる彼女の活躍を願って、今回はこの辺りでお開きとしたいと思います。また別記事、或いは劇場でお目に掛かれれば幸いです。それでは!