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架空の世界を護るために

「ネッセリローデ・アイスプディング」 - 近代レシピ考証

 おはようございます、茅野です。

この記事を準備している間に、少しフランス語を喋る機会があったのですけれども、焦ってキメラ言語になってしまいました。複数の言語の学習をしていると、混ざりませんか。

特に一音節の接続詞が危険なのですよね……。フランス語なら et, ou, mais, car とか……。ロシア語なら и, но, а とか……。言ってから、「待ってこれ違うな?」となって余計に焦ります。

「元々コミュ障なのだから、外国語会話なんかもっと無理に決まってんだろぉ!」と、正論で殴りかかろうと思います。

 

 さて、この間、『「苺のロマノフ風」とはなにか』という、お料理の時代考証の記事を書いてみました。

↑ 未読でしたらこちらからどうぞ!

 こちらの記事が少し好評で、個人的にも調べていて勉強になりましたし、面白かったので(結構骨折りでしたけれども)、お料理のリサーチを続行しています。

 

 わたくしはお料理を作る趣味はなく、「炊事は全くできないわけではないけれど、そんなに凝ったものは作らないし作れない……」程度の、ごく一般的なスキルしかありません。

しかし、折角なので、「ならば今から学べば良いや」といういつもの蛮勇心を起こし、近代のレシピ考証を継続することにしました。

尤も、いきなり高いハードルは越えられませんので、格好付けず、手軽に始められそうなものからです。

それに、「お料理下手でも始められる近代レシピ」、というと、ちょっと浪漫がありませんか?

 

 というわけで、今回は、「ネッセリローデ・アイスプディング」に挑戦します。

フランス人シェフが考案した、ロシア帝国外務大臣のための栗のアイスクリームです。

19世紀に書かれたオリジナルレシピを読み解き、(現代の文明の利器や商品に頼りつつ)再現して参ります。

 

 それでは、お付き合いの程、宜しくお願い致します!

 

 

考案者と成り立ち

モニ氏

 このレシピも、例に漏れず、多少経緯が複雑なのですが、結論から言えば、今回扱う「ネッセリローデ・アイスプディング」を考案したのは「モニ氏( M. Monni / Mony )」という人物だと言えます。

彼は「19世紀では有名だった偉大なフランス人シェフ」とのことですが、現代では歴史に埋もれてしまっており、ファーストネームもわからないし、お写真や肖像画も残っていません

と申しますのも、彼は自筆のレシピ本を一冊も遺さなかったからです。

 

 但し、別のシェフの記述から、彼が10-12年程度ロシアで過ごしロシア外相カルル・ヴァシリエヴィチ・ネッセリローデ伯爵の料理人を務めたことがわかっています。

 

ロシア外相ネッセリローデ伯

 カルル・ヴァシリエヴィチ・ネッセリローデ伯爵(1780-1862)は、1814年から1855年と、約40年間に渡ってロシア帝国外務大臣の地位にあった政治家です。

いくらなんでも長すぎないか!? これは今でもロシア史上最長の任期です。ですよね。

↑ 小柄で陽気なおじさまだったとか。

 

 「こんなにも長く大臣の座にあったのだから、さぞかし有能なのであろう」と思うと、必ずしもそういうわけではないようです。

同時代人曰く、「仕事は卒なくこなすものの、自分の意見を持たず、皇帝の手足となって、主君の意見に唯々諾々と従うタイプの官僚」だったとか。確かにその方が重用されるかもしれない……ですね……。

ろくにロシア語も学ばず、皇帝を仰ぎ、「私はロシアの外相なのではなく、ロシア皇帝陛下の外相なのだ!」と言っちゃうようなタイプの方です。殿下からめちゃくちゃ嫌われそう。

 しかし、アレクサンドル1世の治世の中頃から外相を務め、ニコライ1世期は全期間に渡って彼が外相でした。皇帝からの信頼が厚すぎる。アレクサンドル2世の治世になって、この地位を引退します。

祖国戦争(対ナポレオン戦争)からクリミア戦争までという、有り得ないほど長い期間をカヴァーしており、19世紀ロシアの外交史を学ぶなら避けては通れない人物です。

 

 彼は、公務で皇帝アレクサンドル1世と共にパリへ行き、その時にフランス人シェフのモニ氏を引き抜いたようです。

外相は美食家でも知られ、お料理の材料や、レシピなどにも造詣が深かったそうです。現代でも、彼の名を冠した(つまりモニ氏が考案した)お料理が複数残っています。この「ネッセリローデ・アイスプディング」もその一つ。

 

 ちなみに、彼の妻マリヤ・ディミトリエヴナは、ニコライ1世期には、当時の社交界で最も華やかなサロンを開く一人だったそうですが、我々にとっては悲しいことに、傑作韻文小説『エヴゲーニー・オネーギン』を著した我らが国民詩人プーシキンと確執があり、彼の命を奪うことになった決闘にも一枚噛んでいる、と言われています。

↑ マリヤ・ディミトリエヴナの肖像。

 プーシキンの衝撃的な死に関しては、憶測や悪質なデマも飛び交いましたが、「ネッセリローデ伯爵夫人が関係している」というのは皇帝アレクサンドル2世が証言したことなので、どうやら、高確率で正しそうです。怖い。

 

ジュール・グーフェ

 さて、レシピに話を戻しましょう。

前述のように、モニは料理本を書かず、彼に関する詳細は今となってはよくわかりません。しかし、彼の友人兼同僚であるフランス人シェフ、ジュール・グーフェ(1807-1877)が、彼から直接聞いたレシピについて書き残しています。

 彼は、前回の記事でも登場した、伝説的シェフ、アントナン・カレームに7年間師事していました。彼も彼で天才的なパティシエであったと言われています。

その才能を買われ、ナポレオン3世のシェフも務めていたそうです。美食の国の皇帝の料理人!

 

グーフェの『料理本

 グーフェの著作である、その名もド直球・『料理本』には、以下のような記述があります。

OBSERVATION SUR LES PUDDINGS MARQUISE ET NESSELRODE.
Je dois les recettes du pudding Marquise et du pudding Nesselrode à l'un de mes bons vieux amis et honorable confrère, M. Mony, ancien chef de bouche du comte de Nesselrode, que l'on cite parmi nos praticiens les plus distingués.
Je puis donc, comme pour le Châteaubriant et la Sicilienne, garantir la complète authenticité de ces deux recettes, puisque je les tiens directement des auteurs, à qui je suis heureux d'offrir ici mon témoignage de reconnaissance et de bonne confraternité.

侯爵夫人のプディングとネッセリローデのプディングに係る注意
侯爵夫人のプディングとネッセリローデのプディングのレシピは、私の素晴らしい旧友の一人で、尊敬すべき同僚でもあり、且つ最も優れた料理人の一人であり、ネッセリローデ伯爵の元シェフであるモニ氏のものである。
従って、「シャトーブリアン」や「シシリエンヌ」と同様、この二つのレシピは開発者から直接得たものであることを保証することができる。ここで、彼に感謝の意と、親愛の念を表明したい。

  "Le livre de cuisine : comprenant la cuisine de ménage et la grande cuisine", Jules Gouffé -750p.(拙訳)

 こういうのが一番有り難い。そういうことは積極的に書いて頂きたい。この記述だけで好感度爆上がりですよ。

現代人のデマに翻弄されるのは疲れる……ので……(前回のリサーチが結構骨折りだった顔)。

というわけで、今回のレシピは信頼できます。ご安心下さいませ。

 

 それを証明する一つの事実として、例えば、1880年12月27日の皇帝アレクサンドル2世の昼食のお品書きには、正にこの「ネッセリローデ・アイスプディング」が登場しています。

少なくとも、1880年にはこのレシピが存在し、且つ皇帝にも供されるような品であったことがわかります。

 

成り立ち

 一方で、成り立ちは少々複雑です。

例のアントナン・カレームによれば、そもそもモニの「ネッセリローデ・アイスプディング」の原型となる栗のプディングを考案したのは自分(カレーム)である、と言います。

モニはそれにアレンジを加え、プリンからアイスクリームに変更しただけだ、と言うのです。

尤も、それも「過去に自分が書いたレシピに似ているから」と彼が主張しているだけであって、モニが実際にカレームのレシピを参考にしたのか否かはわかっていません

 

 仮に参考にしていたとしても、プリンからアイスへの変更も立派なアレンジです。

名前の忘れ去られたモニよりも、伝説的なシェフであるカレームの方が「箔が付く」からといって、「カレーム考案!」とだけ書かれるケースも多いのは、少し怪訝に思わざるを得ません。「カレーム原案(の可能性あり)、モニ考案」くらいの表記が宜しいのではないかと思われます。

グーフェはこれらの経緯の真相を知っていたのかどうかわかりませんが、彼はモニの名前のみを挙げています。

 

 モニは、考案したレシピに、雇い主への敬意を表して彼の名前を付けました。伯爵のお気に入りのデザートだったのかもしれませんね。

一方カレームは、「我々フランス人は、料理にやたらと国外の名前を付けたがる。フランス人が考案したのだから、フランスの名前を付ければよいのだ。」と、文句を垂れています。

 

 ちなみに、「ネッセリローデ( Нессельроде )」はロシア語読み。フランス語やドイツ語、英語読みだと「ネッセルローデ( Nesselrode )」です。この記事では前者で統一しています。

 

 現代では、「ネッセリローデ・クリーム」とか、「ネッセリローデ・パイ」などの亜種が存在しますが、これらは全て、モニの「ネッセリローデ・アイスプディング」をベースにアレンジを加えたものです。

ちなみに、「クリーム」はヴィクトリア朝時代からイギリスで人気があり、「パイ」は20世紀にアメリカで誕生し、同地で人気を博しているそうです。

全ての原型はここ、或いはカレームの栗のプディングにあり。

 

レシピ

 それでは実際に、グーフェの『料理本』に記載されている、モニの「ネッセリローデ・アイスプディング」のレシピを見てみましょう。どうぞ。

PUDDING GLACÉ, DIT NESSELRODE.

アイスプディング「ネッセリローデ」
Épluchez 40 marrons, faites-les blanchir, pour en retirer la petite peau;
lorsqu'ils seront épluchés, mettez-les dans la casse-role avec 4 litre de sirop à 16 degrés et une gousse de vanille;
Faites cuire à très-petit feu;
Lorsque les marrons sont cuits, passez-les au tamis de Venise;
Mettez dans une casserole 8 jaunes d'oeufs, 2 hectos de sucre en poudre et 8 décilitres de crème bouillie;
Faites lier cette crème et mêlez-la avec la purée de marrons;
Passez cette crème à l'étamine, puis ajoutez 1 décilitre de marasquin;
Épluchez et lavez 1 hecto de raisins de Corinthe et 1 hecto de raisins de Malaga dont les pepins auront été enlevés;
Faites cuire ces raisins à feu très-doux, avec 1 demi-décilitre de sirop à 30 degrés et 1 décilitre d'eau; faites refroidir;
Sanglez une sorbetière;
Versez la crème et faites-la prendre en la remuant avec la houlette ;
Lorsque la glace sera prise à demi, ajoutez 3 décilitres de crème fouettée ;
Achevez de glacer, ajoutez les raisins, moulez, puis garnissez le moule de beurre à l'ouverture;
Sanglez et faites prendre 2 heures;

栗40個の皮を剥き、茹でて薄皮を取り除く。
剥けたら、16℃のシロップ4リットルと、1欠片のバニラと共に小鍋に入れる。
弱火で火に掛ける。
栗に火が通ったら、濾し器に掛ける。
別の鍋に卵黄8つ、砂糖200グラム、温めた生クリーム8デシリットルを入れる。
このクリームと栗のピューレを混ぜ合わせる。
このクリームを濾し布に通し、マラスキーノ(サクランボのリキュール)1デシリットルを加える。
コリントブドウ100グラムと、種を抜いたマラガブドウ100グラムの皮を剥き、洗う。
これらのブドウを、30℃のシロップ0.5デシリットルと、水1デシリットルと共に極弱火で煮、冷ます。
アイスクリームメーカーをセットする。
クリームを注ぎ、ヘラで掻き混ぜながら固める。
半分ほど固まったら、泡立てた生クリーム3デシリットルを加える。
冷え固まったら、ブドウを入れ、型にバターを塗る。
2時間掛けてアイスクリームにする。

Faites une sauce de la manière suivante :
Préparez 8 jaunes d'œufs, 1 hecto de sucre et 3 décilitres de crème bouillie;
Faites lier sur le feu;
Retirez la sauce du feu et tournez pendant 3 minutes;
Passez à l'étamine et ajoutez 1 demi-décilitre de marasquin;
Mettez cette sauce dans la glace avec du sel, pour qu'elle soit très-froide sans être congelée;

以下の手順でソースを作る。
卵黄8個、砂糖100グラム、泡立てた生クリーム3デシリットルを用意する。
これらを火に掛ける。
火から下ろし、3分ほど掻き混ぜる。
濾し布に通し、マラスキーノ0.5デシリットルを加える。
氷と塩と一緒に置いておくと、凍らせずに冷やしておくことができる。

Démoulez le pudding sur une serviette;
Servez la sauce à part.

プディングを型から外し、ナプキンの上に出す。
ソースを添えて給仕する。

  "Le livre de cuisine : comprenant la cuisine de ménage et la grande cuisine", Jules Gouffé -749-50p.(拙訳)

 とても丁寧……! わかりやすくて良いですね。グーフェの高感度が上がりまくりです。

 

現代風・再現レシピ

 折角なので、例によって、実際に作ってみたいと思います。

厳格に19世紀の手順通りに再現したい方は、前述のレシピに忠実に試してみて下さい。

以下は、わたくしがやってみた、「ちょっとラクをしたい現代人の為のプチ再現レシピ」です。それではどうぞ。

 

1. 用意するもの

【スクープ5玉分くらい】

・栗 - 65g くらい。

・生クリーム - 170ml くらい。

・砂糖 - 15g くらい。

・タマゴ(卵黄) - 2個。

・バニラエッセンス - 数滴。

・ブドウ - 5-8粒くらい。

・マラスキーノ - 20ml くらい。

↑ ソース分のタマゴとクリームが映っていませんが、大体こんな感じで。

 

 栗を湯がいて剥くのは、不可能ではないものの、大層面倒臭い。そんな時、日本人には馴染み深い、大変心強い味方がいます。そう、例のアレです。

↑ 色々な社が似たものを取り扱っていますが、取り敢えず一番名の売れているこれを貼っておきます。

今回は例のアレを用いるので、栗を湯がいて剥いてシロップと絡める工程は全スルー。なんと便利な世の中なんだ、21世紀……。

あくまでも「再現」を目指したい方は、前掲のレシピに沿って挑戦してみてください。

 

2. クリームの用意

 栗をマッシャーでよく潰し、可能な限り粉状にします。

卵黄1つ、生クリーム 20ml 、砂糖 5g を小鍋で熱し、潰した栗と、バニラエッセンスを数滴加えてよく混ぜます。

火から下ろし、濾し器に掛け、マロンペーストを作ります。

生クリーム 100ml をよく泡立て、そこにマラスキーノ 10ml とマロンペーストを加えて混ぜます。

↑ この工程が全て完了した状態のもの。マロンペーストは努力しても全く「映え」なかったので自主規制(お察し下さい)。

 

 フードプロセッサーなどを用いず、手動で栗を潰す場合はどうしても粗くなります。

従って、濾し器は、選べるならば目が粗めのものだと筋肉痛にならずに済みます。口当たりを極限までよくしたい方は細かめのものを使いましょう。

 

 ちなみに、これは現代人にしか関係が無い話ですが、冷凍庫でアイスクリームを凍らせる場合、生クリームをよ~く泡立てておかないと失敗する確率が上がるそうです。頑張って混ぜましょう。

 

3. ブドウの用意

 種有りブドウの場合は種を取り除き、必要であれば皮を剥き、食べやすい大きさに切ります。

小鍋に入れ、少量の水と砂糖 5g を加え、時折混ぜながら水分が飛ぶまで加熱します。

 今回、わたくしは種なしの皮ごと食べられる赤葡萄を使ってみました。煮汁がピンク色になってちょっとキュート。

フランス語では、ブドウそのもののことを raisin (レーズン)と言うので、レシピ原本だと、生のものと乾燥させたもの、どちらを指しているのか不明瞭です。ブドウが季節外れで入手困難であれば、乾燥させた、日本語で言うところの「レーズン」を使っても良いと思います。

 わたくしは5粒をそれぞれ四等分していますが、作り終えた後にもう少し多くても良かったかな、と感じたので、一粒のサイズ感にもよりますが、もう数粒増やしても良さそう。

 

4. 固める

 クリームを冷凍可能な容器に入れ、粗熱を取った(冷やすと尚良い)ブドウを加え、文明の利器・冷凍庫に入れます。

ご家庭の冷凍庫の強度にもよりますが、30分程度経過したら(半分固形・半分液体くらいが目安)、一度スプーンで混ぜ、もう一度冷凍庫に戻し、全て固まりきるまで待ちます。

 

 21世紀って便利(二回目)。

 

5. ソースを作る

 クリームを固めている間にソースを用意します。

生クリーム 50ml を泡立て、卵黄1つ、砂糖 5g と共に小鍋に入れて、弱~中火で加熱します。

混ぜながら加熱していると、数分で質感が変わり、もったり・ふつふつとしてくるので、そうなったら火を止め、ボールに移し替えます。

マラスキーノ 10ml を加え、よく混ぜ、文明の利器・冷蔵庫で冷やします。

 マラスキーノを加熱してしまうと、アルコールと香りが飛んでしまうので、最後に加えるのがポイント。

 

 クリーム、ソースが双方冷えたら準備完了です。

 

6. 盛り付け

 なんかいい感じに盛り付けます(※一番難しい)。

↑ お洒落の概念わかんなくなってきました。教えて下さい。

Bon appétit! / Приятного аппетита!

 

食レポ

 栗のアイスですよ、めちゃ美味いですよ

アイス自体は甘さ控えめで、あっさりしています。

しかし、砂糖を絡めた葡萄と一緒に口に運ぶと、甘酸っぱさ・味の濃さの加減が完璧になります。計算されている……。

 あっさりめとはいえ、栗は古代日本では主食として食されていたような、お腹にたまる食べ物です。そこに、瑞々しい葡萄が加わることによって、重たさが相殺され、どんどんスプーンが進みます。危険だ!

 わたくしは個人的にレーズンが苦手なので、今回生の葡萄を用いてみましたが、これは大正解ですね。レーズン派の方々も一回生の葡萄でチャレンジしてみて欲しいです。皮付きの赤葡萄だと、彩りもお洒落です。

 また、マラスキーノを加えたことによって、全体的に気持ち大人味に。

 

 「アイスクリームに必ずしもソースは必要じゃないし……、本当に要るの?」と、ぶっちゃけ半信半疑で作っていたソースですが、確実にあった方が良いです。

 材料が、生クリーム・砂糖・卵黄・マラスキーノのみなので、実質マラスキーノ味のこってりソース。

あっさりめのアイスに、こってり系のソースの相性が抜群。コクがあるというか、味わいが多層的になって、大変深みが出ます。

 結構遠慮なくドバッと掛けてしまっても大丈夫だと思います。レシピだと、「別々に(添えて)」という指定だったので、お皿に引いてみましたが、味的には上から掛けちゃってもいいかもしれないですね。

 他のお酒で代用してもよいかもしれませんが、名うてのシェフが「マラスキーノ」と指定していることにはきちんとした意味があるな……と感じました。栗とサクランボって合うんだなあ……。葡萄とも喧嘩しないし……。

 

 文明の利器、冷蔵庫・冷凍庫(・あればハンドミキサーも)を持つ21世紀の民にとっては、材料も揃えやすく、とても簡単に作れるので、是非ともチャレンジしてみてください!

 

最後に

 通読ありがとうございました! 9000字ほど。

 

 大寒波襲来中にアイスクリームを作りました。季節感とは……?

しかし、そう! 季節を全く気にせずにお料理ができること、これも21世紀ならではなのである! 21世紀万歳! 暖房万歳! 食糧輸入万歳!(※自給率も上げましょう)。

19世紀について調べるのが大好きですが、21世紀を知る我々としては、この時代の住み心地は然程よさそうには思えませんのでね……。

 

 他にも、19世紀のレシピ本など色々ひっくり返して遊び始めたので、ぼちぼちお料理考証も進められたらよいなと思っております!

わたくしの興味範囲に沿い、原則的にロシア~フランスものです。英語圏やドイツ語圏などを専門とする方と仲良くなって情報交換をしたいといつも思っています。

 

 それでは、今回はここでお開きと致します。また次の記事でもお目に掛かれれば幸いです!