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ZEN MASTER 2 - 『ABZÛ』考察

 こんばんは、茅野です。

夏と言えば、そう、『ABZU』ですね!!(弊ブログ定番の書き出し)。というわけで、今回の記事は久々の『ABZU』の検証記事になります。

↑ これまでの『ABZU』関連記事はこちらから

 

 今回は、お恥ずかしながら3年も放置していた「ZEN MASTER」シリーズの第二Chapter 2 に登場する海洋生物を見てゆきます。「ZEN MASTER」シリーズは、各エリアの海洋生物を全て確認し、そこから分布図を作成するというものです。

↑ 第一弾はこちらから。

 何故こんなにもお待たせしてしまったのかと言えば、実は検証自体は既に終わらせていたのですが、不慮の事故でデータを紛失してしまい、一からやり直すことに……。モチベーションが死滅したため放置していました。従って、今回は検証を一からやり直しました。久々に『ABZU』に触れられて癒やされたので、特に苦も無く再走することができて嬉しく思っております。『ABZU』はいいぞ。

 又、わたしは『ABZU』を日本語版が発売される前、原語版(北米版)発売直後に購入していたので前回の時点では英語表記だったのですが、驚くべきことにいつの間にか自動アップデートがされて日本語になっていました。従って、今回からは表記が日本語になっています。そして、一度登場した海洋生物は省略しています。ご了承下さいませ。

 それでは参りましょう、お付き合い宜しくお願い致します。

 

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1st Area

メガネモチノウオ

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 英名Humphead wrasse。インパクトのある外見です。おでこに特徴があり、「ナポレオンフィッシュ」として知られていますね。熱帯に生息。

 

 

ハタタテダイ

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 英名Pennant coralfish。映画『ファインディング・ニモ』でお馴染みのツノダシ(ギル)と酷似しますが、別種です。

 

イブロダイ

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 英名Bicolour parrotfish。鮮やかな色が特徴的ですが、それはオスだけで、メスは地味な色をしているそうな。

 

タテジマキンチャクダイ

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 英名Emperor angelfish。綺麗な横縞ですが、幼魚のときにはぐるぐるした目が回りそうな柄です。

 

スジアラ

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 英名Leopard coralgrouper。沖縄では高級魚として食されるそうです。

 

ブルーサージョンフィッシュ

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 英名Powder blue tang。モルディヴ共和国近海でよく見られることで有名です。

 

キンギョハナダイ

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 英名Sea goldie。なんとも愛らしい和名ですが、成長すると性転換するという、人間にとってはなんとも浪漫のある種です。

 

マイルカ

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 英名Common dolphin。如何にも泳ぐのが速そうな、スタイリッシュなデザインの体躯。英名からも和名からもわかるように、最も普遍的な種のイルカですが、学名Delphinus Delphisはこのエリアの躍動的で美しいBGMのタイトルにもなっています。

 

ルリスズメダイ

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 英名blue damselfish。Sapphire devilとも呼ばれるそうな、すんごい名前ですね。名前の通り、冗談みたいなブルーカラーです。

 

★オグロメジロザメ

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 英名Grey reef shark。珊瑚礁など浅瀬の海に多いそうですが、人間に対し威嚇行動をするなど攻撃的な種です。それでも Hidden pool から解放しましょう。

 

★コガシラネズミイルカ

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 英名 Vaquita。『ABZU』ではガッツガツ小魚を襲っていますが、つぶらな瞳(というかパンダのように目の周りが黒い)の可愛いフォルムです。

 

分布図

 さて、これらの生息域から、Chapter 2, 1st Area の海域を割り出します。1st Area では、珊瑚礁に住む熱帯魚が多く観測できます。水深40m以浅で生きる魚が多く、浅く温暖な海であることがわかります。又、太平洋及びインド洋に生息する魚が多いです。

 最も生息域が狭いのがコガシラネズミイルカで、この種はカリフォルニア湾でしか確認されていません。従って、Chapter 2, 1st Area の海域はカリフォルニア湾で決まり! ……といいたいところなのですが、メガネモチノウオの生息域が大幅に離れており、確定することは叶いません。

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↑ 青: コガシラネズミイルカの生息域、赤: メガネモチノウオの生息域。

 

神殿エリア

ラクーダ

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 英名Barracuda。和名はご存じカマスです。獰猛ですが、食用にもされます。

 

パウダーブルータン

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 こちら、ゲームでは「パウダーブルータン」となっていますが、形状を見るに「ブルータン」であると思われます。英名Blue tang。「パウダーブルータン」は 1st Area に登場した「ブルーサージョンフィッシュ」の異名で、同種です。一方、こちらの特徴的な黒い柄は「ブルータン」に特有のものなので、誤訳を疑っています(インディーズゲームの翻訳はいい加減なものが多いので)(だからこそ原語版を購入したというのに……)。

 さて、そのブルータンは和名ナンヨウハギで、『ファインディング・ニモ』及び『ファインディング・ドリー』でお馴染みの魚です。

 

アオウミガメ

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 英名Green sea turtle。最も一般的なウミガメです。絶滅危惧種で、扱いには注意が必要。


シャチ

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 英名Orca。ゲームでは、背びれの後ろの特徴的なイチョウ形の模様が確認できないのですが、そういう種もいるのでしょうか。

 どうでもいいですが、筆者は個人的にオルカが好きで、突発的に会いに行ったりしました。かわいいですよね……。

↑ 邂逅の記録です。

 

分布図

 さて、分布図を重ね合わせて見ましょう。ブルータンの生息域がメキシコ湾近海に限られるのですが、シャチがメキシコ湾の内部まで入り込まないため、重なり合う場所はフロリダ近海に限られます

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↑ 即ち、恐らくこの辺り!

 

三角体エリア

ザトウクジラ

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 英名Humpback Whale。「バブルフィーディング」という泡を用いた賢い狩りをします。又、たいていの場合フジツボが付着しています。

 

マカジキ

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 英名Striped marlin。ネイビーにホワイトの縞が涼しげです。このエリアでは、ロウニンアジの群れを積極的に狙っています。

 

シイラ

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 英名(というかハワイ名)Mahi-mahi。釣りではお馴染みのお魚なんだとか。

 

ヨゴレザメ

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 英名Oceanic whitetip shark。「ヨゴレ」とありますが、英名からもわかるように背びれの先だけが白いことから来た名前であり、身体も生き様も汚くはございません。ちなみにお写真で下に伴っているのは同エリアでもお目にかかれるブリモドキ

 

ウバザメ

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 英名Basking shark。余りに衝撃的なお顔立ちですが、穏やかな性格で人を襲うことはないそうです。サカナは見た目によらない。

 

オナガザメ

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 英名Thresher shark。長すぎる尻尾は、獲物に叩き付けて気絶させる為に使うんだとか。オルカも似たような狩りをしますね。

 

分布図

 さて、分布図を確認します。

三角体エリアに登場する海洋生物は生息域が非常に広いものが多いですが(ザトウクジラなんかはほぼどこにでもいます)、マカジキが大西洋に生息しないことから範囲が絞られます。一方、ウバザメが赤道付近に生息しないことから、重なり合うところは南アフリカ近海に絞られます

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↑ つまり、恐らくこの辺り!

 

海流

 Chapter 2 に特徴的なのが海流です。1st Area から神殿エリアに掛けては、1st Area がインド・太平洋(メガネモチノウオの生息域)であっても、カリフォルニア湾(コガシラネズミイルカの生息域)であっても、フロリダ近海へ行くのは非常に困難です。インド・太平洋からは遠すぎますし、北アメリカ大陸南アメリカ大陸は陸路で繋がっているためです。

 又、神殿エリアから三角体エリアも非常に遠い道のりですが、フロリダ湾から北上する湾流(ガルフ・ストリーム)に乗り、そこから南下するブラジル海流に乗れば、南アフリカ近海まで行くことができます。双方暖流で、温暖な海を舞台にした Chapter 2 との総合性も一応は取れていると思います。ブラジル海流に乗って喜望峰へ向かうのは探検家ヴァスコ・ダ・ガマも用いたルートです。

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↑ 不可能では無いですが、主人公の体力(というか、機械なので動力とでも言うべきか?)凄すぎる。これが……アブズの力!

 

海溝

 又、三角体エリアでは、グッッと海が深くなります。1st Area では水深40m以浅であると考えられるのに対し、三角体エリアの水底は最早深海と言っても差し支え在りません。ちなみに、「深海」の定義は水深200m以深だそう。海底付近にいるオナガザメの潜水能力は水深約700mであるため、三角体エリアの水深は700m程度であると推測することができます。

 さて、南アフリカ近海の水深ですが、陸に非常に近いところでも水深6000mまで落ち込む地点が幾つかあります。三角体エリアはその途中のどこか……が最も近いでしょう。

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 ついでなので、南大西洋喜望峰に掛けての海溝も確認してみましょう。「海溝」の定義は水深6000m以深を指します。南大西洋の海溝は、主に南アメリカプレートと他のプレートの境になります。南大西洋で最も深い海溝がプエルトリコ海溝で、次点でサウスサンドウィッチ海溝です。大変面白い名前ですが、サウスサンドウィッチ島近海にあるためにこのような名前なのだそうな。

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 ちなみにサウスサンドウィッチ海溝には「メテオ海淵」という何やら厨二病な名前の海淵もあります。面白い名前に恵まれた海域です。

 

最後に

 通読お疲れ様で御座いました。4000字強。

こういう生息域のリサーチ楽しいですね……。リアル・ポケモン図鑑でも作っているような気分です。まだまだ続きます! 引き続き宜しくお願いします。

 次は Chapter 3 の記事でお目にかかれれば幸いです! それでは!

↑ 続きの記事があがりました。こちらからどうぞ。