こんばんは、茅野です。
先日、後輩と共にMETライブビューイングの『エフゲニー・オネーギン』を鑑賞して参りました。
この2007年のプロダクションは、当然、丸っきり同じ物をBlu-rayで持っていて、何度も見ているのですが、やはり大画面で見たいじゃないですか!!!!
そして、「追悼 ディミトリー・ホヴォロストフスキー」とか付けられたら行かざるを得なくなるじゃないですか? 勘弁してくださいよ~。
当ブログで触れたことはありませんでしたが、オネーギンファンでディーマを嫌いな人間がいると思いますか? 好きに決まっているじゃないですか? やはり世界で一番のオネーギンですよ彼は!(主観です)
初見ではないので、長々と逐一書くことはしませんが、備忘も兼ねて書いてゆくのでお付き合いお願い致します。
気がついたこと
ディーマの死後、オネーギンを封印したファンはかなり多いのではないでしょうか。
わたしも当初はその一人で、一ヶ月くらいは鬱々と封印していたんですけど、結局、大好きなので逆に我慢ならなくなって解いてしまいました。
でも流石に映像は見る気が起きず、最近は暫く見ていなかったので、改めて気付いたことが複数ありました。
例えば、オネーギンはミハイロフスコエ(第一幕、第二幕)では手の甲にキスしたりする、所謂ロシア式の挨拶をするのに対して、ペテルブルグ(第三幕)ではフランス式(ペテルブルグ式)のBiseをするんだなぁ~とか、タチヤーナの結婚指輪はちゃんと右手にしている(ロシアでは左手ではなく右手の薬指に結婚指輪をはめる)んだなぁとか……。
このプロダクションはわたしが二番目に見たオネーギンなので、当時はまだハマりたてで何もわからず見ていたので、今改めて見ると初見の時とはまた違った感想を抱いたりして、面白いですね。
某フェイクニュース
ディーマの訃報といえば、凄い一幕がありましたよね。昨日のことのように覚えています。
未だに彼の死を信じられない当方は、完全にネタとして、彼がUSSR生まれなのに掛けて「ディーマの死は西側のデマ」とか言って茶化して平常心を保とうとしているのですが()、どちらかといえば「東側のデマ」の方が正しいという……。
某П紙が彼の死を報じたのですが、まさかのフェイクニュース。えっ、訃報にフェイクニュースとかあるんですか、聞いたことないんですけど……と当時凄く動揺した記憶があります。
数日後、フェイクがプラウダ(真実)になってしまい、一喜一憂とはまさにこのこと。
ファンの気持ちを弄ぶなと、怒りやら悲しいやら信じられなくて呆然とするやら、複雑な心境でおりました。
それからもう、9ヶ月も経とうとしているなんて、なんと時間の残酷なことか。
当方は只のファンなので、体感として実感することは残念ながらあまりないのですが、更新されなくなったSNS等などを見て、ときたま溜息を吐いております。
改めて、感想
ディーマといえばやはりオネーギンが筆頭に来ますが、当方はロドリーゴや、実演はあまりありませんがスカルピアやイーゴリ公といった役も好きです。(CD『Heros & Villains』はいいぞ~~!!!)
……ですがやっぱりオネーギンだよな~!という気持ちは凄くわかります!!
カッコいいし、声的にもはまり役ですが、なによりも役に説得力が生まれることが大きな魅力かなと思っています。
オペラ初見の後輩を(布教するべく)同伴したのですが、この日の為に頼んでもいないのに原作を読んできてくれていて、「原作でオリガが一緒に少し踊った程度で、長年の婚約者であるレンスキーの目の前でオネーギンに転ぶのはどうなのか、そんなことが有り得るのか、と思っていたのですが、これはなんというか、しょうがないですね、納得しました」と言っていて、めちゃくちゃに共感しました。
又、このプロダクションの大きな特徴は、なんといっても二幕~三幕を繋ぐことじゃないでしょうか。
二幕二場でレンスキーを殺害した後、すぐにポロネーズに移行するのですが、その間にまさかの生着替え。
舞台上で着替える演出なんてなかなかない(わたしはこれ以外に見たことがない)ですし、その潔い演出や、最初(決闘後)に”手を洗う”ところから始めるなど、抽象的にストーリーを表しているところなど、とても興味深いですよね!
ただ、問題は、折角の人気曲ポロネーズに全く集中できないことですね。指揮はあのゲルギエフですし、名曲なのに、舞台を凝視してしまっていては……。
しかし、ディーマは筋骨隆々だからよいですけど、なかなか人を選びますよね、これ。お腹がぷにぷにだったら無理ですよ。ディーマ専用演出なんですかね……?
演出は、かなりモダンで、木の葉の舞う第一幕、椅子で囲まれた空間を使ってキャラクターの心情を表す第二幕一場と荒涼とした第二場、簡素ながら衣装で魅せる第三幕となっています。
これ見る度に思うんですけど、第一幕第二場でフィリピエヴナが地面から登場するの毎回笑うんですよね、その空間なんなんだよっていうww
個人的な好みですが、最初はもっとちゃんとセット組んで欲しいなぁ~とか思っていたのですが、これはこれでいいなぁ~と最近はこの良さがわかってきた気がします。
タチヤーナ役のルネ・フレミングは難しい一幕と三幕の演じ分けも華麗にこなしますし、手紙の場は圧巻です。流石。
レンスキー役のラモン・ヴァルガスは舞台裏でロシア人には見えないことを気にしているのがちょっと可愛くて面白かったですねww 見せ場の多いレンスキーを伸びやかな声で歌っていてよいです。
オリガ役のエレナ・ザレンバは、別のプロダクションではラーリナ夫人を演じていますし、この演目に対する愛が感じられてまたよいですよね~。
指揮はヴァレリー・ゲルギエフ。来日公演で生音でゲルギエフのオネーギンを聴く機会があったのですが、本当にゲルギエフのオネーギンは至高です。舞台裏の指示を飛ばしている映像を見て、こうやってあの音が作られているんだなぁと感動しますね。わたしは特に第一幕第二場のイントロダクションが滅法好きなのですが、空間、奥行きを感じる音の膨らみ、テクスチャ、チャイコフスキーのロシア・ロマン主義を最大に生かす演奏で、本当に大好きです。
さて、オネーギン役のディーマですが、これはもう今更、何も言わなくてよいですよね? 皆様ご存じの通りです。好きです。(告白)(語彙ゼロ)
客の入りは上場で、満席ではありませんでしたが、かなり多かった印象です。又、オネーギンが初見の方も結構多かったのかな、と思いました。わたしは初見の後輩を同伴していたので、すっかり劇場によくいる蘊蓄語りおじさんになっていたのですが、明らかにわたしの話を聞いている方も居てちょっと面白かったです。
あとは、Twitterで見かけていた写真パネルですね!
↑撮ってきた。
やっぱりオネーギンが手前に来て、写真も多かったです。
最後に
通読お疲れ様で御座いました。
やっぱり、ディーマ@オネーギンが好きだな~~!!と改めて思った上映でした。
追悼ということでの上映でしたが、ディーマは沢山映像や録音を残しているので、それに感謝し、これからも聞き込んでいきたいですね。ご冥福をお祈りします。(でもやはり実感は沸かないです……)
それでは、よい観劇ライフをお過ごし下さい。見逃してしまった方は、Blu-rayをお買い求めください。