世界観警察

架空の世界を護るために

THERE IS NO ESCAPE - 『HADES』レビュー

 こんばんは、茅野です。

連日ゲーム漬けです。恐ろしき Nintendo Switch

 

 先日、高校の頃からの愛すべき友人にゲームを一本頂きまして……。

今をときめく、脅威の受賞歴の名作『HADES』です。

ツイートからもわかるように、こんなにも今をときめいているのに、名前すら聞いたことがなく、完全にミリしら状態でした。我ながら何故情報が入ってこなかったのか不思議でなりません。

彼にはわたしがゲームを題材に考察記事を書くことが好きなことがバレているので、「これで一本書いて遊びなよ」とのこと。やるしかねえ!

 

 わたくしはハイパーシングルタスク人間なので、一度始めたら他のことが全く手に着かず、空いた日に睡眠時間返上で一日17時間くらいぶっ続けて進め(よい子の皆様は真似しないでください)、丁度2週間(2021/12/6~12/20)で真エンドまでクリア

かなりボリューミィで、「楽しいけど、これはいつ終わるんだ!?」と思っていたら、漸く終わりが見えてきました。それはそれで非常に寂しいものです。今ちょっとロス状態。のめり込みすぎました。心の穴埋めをしたいので、記事を書いていこうとおもいます!

 

 そんなわけで、今回は『HADES』のレビュー記事になります。前半は概要や総評を、後半はわたくしの旅路、一推しビルドなどのご紹介になりますので、後半はネタバレに注意

それではお付き合いの程宜しくお願い致します!

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概要

 『HADES』は、PC、Nintendo SwitchPS4、PS5、Xboxなど様々なプラットフォームでプレイ可能なアクションゲーム。わたくしは購入したての Nintendo Switch にてプレイ。

 開発元はアメリカのデヴェロッパー、『Supergiant Games』さん。同カンパニーのゲームを遊ぶのは始めてでしたが、他の作品も気になる所です。ちなみに、アメリカのカンパニーですが、『HADES』のディレクターのグレッグ・カサヴィン氏はソ連のご出身なんだとか。

 

 所謂「ローグライク」と呼ばれるシステムで、入る度にダンジョンの構造が変わり、死ねば最初からやり直し。個人的には『ポケモン 不思議のダンジョン』くらいしかご縁がなかったのですが、なるほど類似作品が出る理由がよくわかります。攻略に毎度のこと新鮮みがあるのはいいですね。

 

 難易度は調整可能で、上げることも下げることもできます。わたくしは標準モードでプレイしましたが、ほんとうに程よい難易度だなと感じましたね。最初は苦戦しても、数日後には「なんで苦戦していたんだろう?」になります。

ボスは体力が多く、火力も高くて強力ですが、使う攻撃は全て同エリアでモブ敵が使用してきた攻撃の総決算になっており、エリアを駆け抜けることに慣れてくる頃合いにボスが倒せるようになっています。レベルデザインが秀逸です。

 

 ストーリーは会話形式で進み、クリア回数に応じて適宜フレイヴァーテキストも追加されます。ギリシア神話をよく知っていると、ニヤニヤできるポイントが満載で、ちょっと言いたいこと書き切れませんの領域です。異説についてのフォローも極めて丁寧であり、同神話が大好きで己の解釈がしっかりと定まっている方でも、『HADES』の解釈を楽しむことは可能であると思います。

 

総評

 これ、面白いですね!!(直球)。なるほど、高評価なのもわかります。そりゃわたしも一日に17時間やる。

ただ、マニアックなネタ仕込みが非常に多いので、我々のようなマニアにも刺さるのは必然としても、世間的にもこれほどまでに評価が高いというのは、ある意味で意外ですね。各層へのフォローが手厚いということでしょうか。『ウマ娘』の時も同じようなこと言っていたような気がしますが……。

↑ マニア、唸る。最近はマニアへの配慮があるゲームが多くて嬉しいですね。

 わたくしは趣味で比較神話学をかじっていたので、勿論ギリシア神話も大好きですが、ギリシア神話を題材とした作品は数あれど、どうにも解釈違いを起こしたりだとか、掘り下げが足りず不満に思うことが多く、寧ろ敬遠していたくらいでした(※上記記事からもわかるように、わたくしはオペラ鑑賞も趣味ですが、オペラ『オルフェウスとエウリディーチェ』の結末をハッピーエンド(エウリディーチェが生還する)にされたことから、非常に憤慨して一時はオペラを嫌っていた過去があります)。

 従って、今作についてもミリしらだったことから「ギリシア神話か~。原典は好きなんだけどなあ」くらいの気持ちで、あまり乗り気せず始めたものの、冒頭からもう制作陣がギリシア神話ガチ勢オタクであることが伝わってきて平伏しました。こういうのを待っていたんだよ……。

 

1. ナラティヴとの融合

 今作の最大の特徴が、ナラティヴ(ストーリー)との融合です。メタ的なご都合を感じること無く、「何故主人公はゴールを目指すのか」「どうして最初からやり直しになるのか」ということがストーリーの根本にあります。クリア後も、その理由説明が非常に秀逸。このことが没入感を生んでいます。

 

 現在、ゲーム業界ではこの「ナラティヴとの融合」の研究が進んでいます。この『HADES』は、つい先日ヒューゴー賞を受賞したことでも話題になりました。

 ゲームに於けるナラティヴ研究は、何も『HADES』に始まったわけではありません。例えば、わたくしは『Dear Esther』『Everybody's Gone to the Rapture(幸福な消失)』などで知られるダン・ピンチベック氏を非常に尊敬しており、彼の手掛けたゲームを愛好していますが、彼はこのゲームに於けるナラティヴ研究の分野で、ポーツマス大学で博士号を取得しています。

この傾向から鑑みるに、同研究は今後急速に発展してゆくと目され、特にストーリーを重要視するプレイヤーにとっては朗報と言えるでしょう。わたくしもとても嬉しいです。

 

2. ストーリーについて

 それに、何よりも題材選びの妙です。ディレクターのカサヴィン氏本人が仰っているように、確かに一般常識と化しているギリシア神話の中でも、ザグレウスの存在を知る人は稀。

 わたくし、実は「冥界下り譚」の愛好家。今年は冥界と縁深い地を二カ所巡ったばかりです。

↑ 日本の冥界、黄泉国神話で知られる出雲編旅行記

↑ 死者蘇生! 「蘇りの地」として知られる熊野編旅行記

 だからこそ、この題材選びに無上の喜び、一抹の悔しさなどを覚えるわけです! 「できそうで、今まで誰もできなかった発想」に充ち満ちているのがこの『HADES』というゲーム。「既に死んだ英雄全員冥界にいるじゃん」という発想は、言われてみれば当然のような気もしますが、なかなかできる考えではありません。

 

 主人公が冥界の王子であり、大半のキャラクターが彼の父に仕える存在であることから、概ね皆主人公に好意的です。最初ツンツンしているメガイラやタナトスは、ザグレウスと喧嘩別れした後であったが故であることがわかりますし、父ハデスにしたって、不器用ですが息子への愛があることがわかります。

「冥界」という側面から、原典ではどうしても敵サイドになりがちだったこれらの神々を愛し愛され、好意的に捉えるというのは、それだけでなんだかスピンオフ作品のような趣きがあり、新鮮さ、そして程よい「ゆるさ」があります。

 血みどろになり、何度も死に戻りを繰り返して地上を目指す物語であり、しかも昏き冥界を舞台にしていますが、この「ゆるさ」と、他キャラクターからの好意、主人公ザグレウスの明るい性格などが相俟って、心理的に負担にならず、平和に楽しく進められるというのも本作の魅力です。

 

 そしてローカライズ、翻訳についてですが、インディーズゲームにしては珍しく()、よいですね! キャラクター毎に口調が大分特徴的ですが、非常に上手く反映されています。一人称とか口調の硬さとか、もう悉く解釈一致。音声が英語なので、意訳されているところは原語と翻訳を比べて、「一粒で二度美味しい」状態です。ただ、冥界の書など、ゲーム内で原語が確認できない部分についてはもう少し直訳してほしかった感。誤訳というか、翻訳者の解釈が出過ぎてしまっている気がします。

 

 不満があるとしたら、本記事の題にもしている «There is no escape»。これはザグレウスが死亡した際に必ず表記される一文であり、作中でも何度も出て来るキーワードです。日本語版ではこれを「なんぴとも逃れられぬ」としています。

折角カッコいい一文なのに、「ぴ」という半濁音がなんだか間の抜けた印象を与えるのが非常に勿体ない! 漢字にすると「何人」になってしまい、誤読を招くというのもわかるのですが。しかし、それにしたって、「何人(なんぴと)」という表現にも違和感が残ります。何故なら、ザグレウスは神であり、人ではないからです。そうするのであれば、単純に「誰も逃れられぬ」とした方がまだ美しかったのではないかと思ってしまうのです。確かに、「なんぴとも逃れられぬ」の方が発音した際の語感はよいのですが、音声は英語で、日本語は文字表記であることを考えると、「誰も」の方が適切であるように感じます。

 

3. レベルデザイン

 わたくしは一介の考察書きであり、ゲームで最重要視しているのはナラティヴです。しかし、アクションゲームの真髄はアクションにあり。勿論、プレイングも楽しいのです、このゲーム。

 

 ローグライクというシステムから、毎度違った遊び方ができます。使用可能な武器は6種、それぞれに4種の「態」があることから、24通りの武器を扱えることになります。功徳を授けてくれる神は10柱、それぞれ功徳を10近く持っており、二柱の神による「デュオ」功徳もヴァリエーション豊富。もちろん、組み合わせは自由です。持って入れるアイテム(賜物)は1エリアにつき1つだけ、25種類から選択できます。ここぞという時に助けてくれる友人の召還(冥友)も6種から選択可能。もうなんでもやり放題です。わたくしのオススメのビルドはネタバレゾーンにて。

 

 前述のように、ボスがエリアのモブ敵の使用してきた攻撃の強化版を使用してくることから、レベルデザインも秀逸。「なんだったんだ、今の……何もわからないまま死んだぞ……」となることはあまりありません(※但し強化ラスボスを除く)。

 

4. 音楽

 最近はゲーム音楽のピアノアレンジを YouTube に投稿するようになったわたくし。勿論音楽についても一筆やらせてください。

↑ はじめたての新参者です。宜しければ。

 

 作曲家はダレン・コルブ氏。なんと主人公ザグレウスやスケリーのボイスも担当されています。ザグレウス、イケボで演技も上手いのに、まさかの声優さんですらないという事態。しかも、ザグレウスの音声だけで6時間近くあるという。だ、大活躍すぎる……。

 原則的にロック系のミュージックに民族楽器を重ね合わせる形になっています。アメコミ風な画風に、ギリシア神話が題材という本作の特徴を上手く捉えた楽器構成です。

 

 しっかし、驚いたのは編曲者! ネタバレになるので伏せますが、某エリアの音楽のオーケストレーションを担当したのは、我らがオースティン・ウィントリー大先生!

 わたくし、このウィントリー先生のファンで、過去に考察を書かせて頂いた『ABZU』や『THE PATHLESS』では、先生のコメンタリーを全文翻訳するなど、いつもほんとうにお世話になっております。

↑ 翻訳記事2種。ゲームのことも、音楽のことも詳しく語ってくださるウィントリー先生、神にも等しき存在。あなたがミューズか。

 

 ウィントリー先生は他にも『JOURNEY(風ノ旅ビト)』や『Assassin's Creed Syndicate』の音楽も担当しており、特にインディーズの売れ線のゲームの作曲家といえば彼! というような存在です。そりゃあ『HADES』にだって関わっておられる。すごい。流石先生だ。

 

 勿論、先生は『HADES』のコメンタリーも投稿してくださっています。是非観て頂きたいのですが、背景がプレイ動画になっており、第1エンディングのネタバレを含むので、気になる方はプレイが終わってからお楽しみください!

↑ 先生……すきだ……これからも宜しくお願い致します。

 

わたしの旅路

 さて、ここからはネタバレ満載で、わたくしがどのように攻略を進めていったかのプレイ記になります。攻略に詰まった方や、1プレイヤーがどのように進めたか気になる方だけお楽しみください。

ビルドについて

 わたしの旅路、オススメのビルドをご紹介します。

色々試した結果、最も安定するビルドの例がこちらです。

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 武具は「永遠の長槍 ヴァラサ」。近距離・遠距離攻撃共に非常に優秀です。アキレウスパトロクロステセウス、ハデスと作中にも槍使いが多く、優遇されている武器です。

 態は最初期の「ザグレウスの態」を最大強化。リーチが+25%まで伸び、恐らく全武具最長距離を誇ります。画面外の敵にまで当たるので、知らない間に画面外で敵が死んでいることも。

 ここにダイダロスの武具強化で「チェーンスピア」か「ボムランチャー」を取ります。いずれも特殊攻撃が複数体に当たるように強化するものです。「チェーンスピア」の方が使いやすいので、できればこれを優先で取ります。1回の周回でどちらかは取れる確率は高いです。

 そして、アレス様の功徳「痛みの呪い」のレベルを上げられるだけ上げます。

 するとどうなるか。一回特殊攻撃をするだけで、遠いところにいる者も含めて、最大7体の敵が辛苦状態になります。「痛みの呪い」のレベルを上げておけば、モブ敵を一撃で仕留められることも少なくありません。わたくしは最大で Lv.13 まで上げたことがあります。これで安定してエリア中の敵を一掃できます。一番有り難いのはハデス戦に於いてです。ハデスを攻撃するだけで、投げられた頭蓋も共に一掃できるので、被弾率をかなり下げることができます。

 次いで優先して取りたいのがヘルメスの「敏速の大技」。これで特殊攻撃を打つスピードを上げることにより、更に安定します。

 

 加えて火力強化を目指すなら、同じくアレス様の「迫り来る不運」「大禍」を入れておくと、火力が嵩増しされます。アルテミスの「援護射撃」「弱点把握」もあると嬉しいですね。

 鏡で「特権」を取った後は、二種類の状態異常を重ね掛けすると更に火力が加算されるので、通常攻撃にディオニュソスの「酒精の一撃」を先に一撃食らわせておくのがオススメ。攻撃していない間もじわじわ敵の体力が減っていくので、余裕があれば。

 

 他には、「青銅の肌(アテナ)」「高嶺の花(アフロディテ)」「楽観(ディオニュソス)」「超回復(ヘルメス)」あたりを取って生存率を上げると安心です。回避を安定させるため、ヘルメスの移動速度を上げる功徳が一つあると更によいです。

 基本的に特殊攻撃を連打することになるので、「痛みの呪い」を取った後は他の功徳を取るよりも石榴を優先するといいです。ハデス戦の頭蓋は Lv. 6~7 くらいあると一撃で仕留められるはずです。

 

 このビルドを作るには可及的速やかに「痛みの呪い」と「チェーンスピア / ボムランチャー」を取る必要があるため、タルタロスでの持ち物はアレス様を強制的に呼び出す「血入りの小瓶」がオススメ。アスポデロス・エリュシオンでは「石榴の花」で功徳のレベルを上げたり、ヴァラサのリーチを信じて「遠い記憶」で火力を上げるのもいいですね。死にそうになったら「幸運の歯」に変えて生き残りを図りましょう。

 プレイヤースキルが育って安定してきたら、アレス様にはきっと会えると信じて、「蝶の標本」にするのもいいですね。このビルドは本当に強いので、慣れれば(そして集中力が続けば)タルタロス・アスポデロスくらいはノーダメージで抜けられますし、エレボス対策にもなります。そうすると攻撃力が+30%程度になるため、最終的には「遠い記憶」よりも使いやすくなります。ちなみに、「副業」や「煌めきの羽根」はスティクスの小部屋が一区画としてカウントされますが、「蝶の標本」は最後の大部屋しかカウントされないので注意。

 

 冥友はいずれも強力ですが、タナトスの火力が非常に高いのでモートがオススメ。「強硬措置」だと突破するのがキツいので、テセウス・アステリウス戦、ハデス戦で2回くらいは呼べるようにしておくといいですね。前者は一気に二人同時に体力半分、後者は冥王陛下に言い訳しつつも何だかんだガッツリ 1/4 くらい削って帰る必殺仕事人。

 但し、特に強化テセウスは動きが速いため、魔法陣の射程内から外れないように気をつけて下さい。強化前は戦闘始まってすぐ、強化後は反時計回りに動くので、動きを予測して呼びます。ハデス戦では、第二形態・第三形態でのビームを岩陰でやり過ごす暇な時間に呼ぶのが吉。この時間は暇なので、余裕を持って冥王陛下じきじきにお説教を食らうタナトスを観測できます。

 

 『HADES』の元となった原典ザグレウスの物語では、ザグレウスと関わりがあると目されるのがタナトス、ヘルメス、ハデス、アレスの四柱。彼らの助力があると、原作厨的なロールプレイも楽しい! 死者の旗印を持ち、モートを連れ、ヘルメスとアレスの功徳を積んで原典プレイをしましょう! 原典については、追々考察記事を書きたいと思っておりますので、暫しお待ちを。

 

ロマンスについて

 この『HADES』、アクションゲームと恋愛シミュレーションゲームが合体しているという非常に斬新な作品。前述のようにネタバレ無しの情報ゼロで始めたので、全然知らなくて非常に驚きました。たしかに、非常に相性がよい。何故今まで誰も気が付かなかったのであろうか。

普通の恋愛シミュレーションゲームには原則あまり心惹かれないのですが、「仲良くなると攻略を助けてくれる」と思うと非常にキャラクターに対する愛着が湧いてしまい(現金)、天才の発想か……と悔しくなりました。

 

 わたくしは非常に現金な人間であるため()、「自分を助けてくれる強い神が好き!」というプレイスタイルに。そりゃあ捧げ物・贈り物をするのなら、自分を援助してくれることに対する感謝とするのが良かろうというもの。

 前述のように、功徳はアレス様ばっかり引いていたので、手に入る傍からネクタルを捧げまくり、初手でアレス様の親愛度を最大にアフロディーテ様、すまないが、戦の神を巡って戦争だ!(※原典ギリシア神話ではアフロディーテ様とアレス様は恋仲)。

 原典では「顔の良さ」だけで美の女神を陥落させたイケメンとしても知られるアレス様。『HADES』では、スキンヘッドと白髪ウェーヴを同時に堪能できるデザインになっています。発想の勝利。低音ボイスで語られるイギリス英語もカッコいいのである。

 しかしここで、このゲーム、オリュンポスにおわす神との「遠距離恋愛」は禁止されていると気付きます。というわけで冥界の神を物色。

 

 「自分のことを助けてくれる神」。それはもうタナトス一択です。途中で、ザグレウスが Than と愛称形で呼んでいると気が付いたのですが、日本語にない発音なもので、どうにも表記しづらく、タンだと「焼き肉か何か?(tongue)」となるし、サンだと「息子(son)」や「太陽(sun)」に聞こえてしまうので、どうしたものかと考えていたところオリュンポスからの天啓が。「えっ……つまり…… "タナトスたん" ってコト……!?(※違います)」。

 初対面時は敵対的であったにも関わらず、最初期に謎のオタク的愛称を付けてしまったせいで、何だか妙に萌えキャラみたいな目で見てしまっていたのですが、間違っていませんでしたね。寧ろロマンスイベントを進める中で、「ほんとに萌えキャラだったじゃん!?」とビビり散らしておりましたとも。ツンデレ誘い受けの教科書に載って欲しい。『HADES』シナリオライターのカサヴィン氏、絶対ツンデレが好きなのだと確信しています(メガイラ、ハデスなども含め、多くの主要キャラがツンデレなので)。

 

 恋愛シミュレーション要素があるということを全く知らなかったので、非常に衝撃が大きく、一緒にラウンジ(酒場)に行くイベント辺りから雲行きの怪しさを感じ、以後は毎回イベント挟む毎に「いかん! このままだと乙女か腐女子にされてしまう! これ何!?」とかぎゃーぎゃー騒ぎながら遊び、それを見ていた友人らにも散々面白がられました。笑いを提供できてよかったです。オタク殺しの死神、ダメージ9999。

「愛しき伴侶」の破壊力に打ちのめされ、その後メガイラとデューサのロマンスイベントを進めることに抵抗感が生まれ、「これ『ときめきメモリアル』化しないよな……?」とか戦々恐々としながら進めていました。衝撃(笑撃)のラスト。STOP 職場恋愛。

 

 ストレート向け、ゲイ(腐)向け、人外萌え向けと様々な層が楽しめるように作ってあるのも配慮があっていいですね。キャラクターそれぞれがまた魅力的ですし。ハーレム状態になっても、「ゆうてギリシア神話だし……」で納得できてしまうのが凄い。

また、わたくしのような原則恋愛シミュレーションに興味がない層にとっても、アクション部分と連動させることによってやり込みを促し、それによってプレイヤーからの好感度も上がるという脅威のシステム。脱帽です。

 

最後に

 通読ありがとうございました。レビューにしては長くなってしまい、9000字超です。

それだけ楽しかったということで一つお許しを。贈ってくれた友人(通称: 論ぴ)には「『HADES』の面白さには自信があったが、まさかそんなにハマってくれるとはおもわなかった」と言われました。こちらとしても、「そんなにもわたしの好みを的確に把握しているきみが怖いよ……」という気持ちです。アンブロシアを貢ぎたい。

 

 ゲームは譲ってもらってしまったわけですが、これを機にしっかりギリシア神話再履し直そうと思い、資料を買い込んでしまいました。リサーチ走るの楽しみです!

自宅に既に幾つかザグレウス神話の資料を持ち合わせているので(だからこそ余計に「ザグレウスが主人公のゲーム」が出てきたことに謎の悔しさを覚えるのです)、考察もガッツリ書いていきたいと思っています! 期待しすぎずお待ち頂けると幸いです。

 考察記事上げました。こちらからどうぞ。↓

 それではお開きとさせて頂きます。考察記事でまたお目にかかれれば幸いです。