こんばんは、茅野です。
作業をしていたら、長年使っていたパソコンのマウスが急に故障してしまい、10年ぶりくらいにマウスを新調しました。殆ど同じ型ですが、少しサイズダウンしたのと、クリック音が静かになったこと、汚れの溜まりやすいゴム塗装が無くなったことなどが変更点で、より快適にパソコンで遊べそうです。
さて、今回も続けましてレビュー執筆マラソン。第三回は、東京フィルハーモニー交響楽団さんのオペラ『ファルスタッフ』です。その雑感をば。10月20日の回です。
チョン・ミョンフン氏×東フィルのコラボレーションは熱が高く、外れがありません。今回もパッショネスな名演を堪能しました!
それでは、お付き合いの程よろしくお願い致します。
キャスト
フォード:須藤慎吾
フェントン:小堀勇介
カイウス:清水徹太郎
バルドルフォ:大槻孝志
ピストーラ:加藤宏隆
アリーチェ:砂川涼子
ナンネッタ:三宅理恵
クイックリー:中島郁子
メグ:向野由美子
指揮・演出:チョン・ミョンフン
合唱:新国立劇場合唱団
雑感
以前は、『カルメン』などでお邪魔しましたが、本日も絶好調です。
力強く、何と申しますか、士気が高いとでも申しますか。喜劇ですけれども。
演奏会形式ということで、元から音が飛びやすいのに加えて、音の掴みが鋭く、歯切れが良い。マエストロは本当にオペラ指揮者として卒が無いですね。
ただ、冒頭の男性陣の場では、完全に声を掻き消してしまい、「歌っているのか?」というくらい全然聞こえず、歌手たちは大変かもなあと思ったり……。今回は「オーケストラをメインに楽しむ回」ということでは、バッチリです。
歌手陣は、粒揃いなんですけれども、とても大事なことですが、タイトルロールが特に良いです。主人公にはいつだって頑張って頂きたいですが、キャラクターの名前が付いた作品では、特に踏ん張って欲しいところです。
響きが豊かで、笑いどころの掴みもバッチリ。
女性陣では、クイックリー夫人とナンネッタが光ります。クイックリー夫人のような役どころが安定していると、舞台全体が引き締まってよいですよね、という話を『オネーギン』のフィリピエヴナの時などでも毎回している気がします。芸が無いレビュー。
ナンネッタの三宅理恵さんは、新国の『オルフェオとエウリディーチェ』の時にはあまり心に響くところがなく、「あれ……? 調子が悪い……?」と思ったものですが、今回は絶好調で何よりです。愛らしく、「コロラトゥーラとは斯く在るべき!」を体現されておりました。
爆音オケも、女性陣の後方では多少お慈悲が。歌も舞台も楽しめました。
今回の特徴は、演奏会形式でありながら、演出も凝っている点。
マエストロ直々の仕込みのようで、彼自らがガーター亭の主人に扮したり、演技も細やか。愛嬌ある仕草が可愛いです。ノリノリ。
指揮台に「開店」「閉店」などの看板が掛かっているのも楽しいですね。演奏会形式でありながら、名演出。
第二幕でフォルスタッフが入れられる大きな籠にはちょっと見覚えが。かなり前の新国立の演出でも殆ど同じ籠を使っていたような気が……。合唱は新国ですし、もしや同じもの?
今シーズンのラインナップには『ファルスタッフ』が入っております。見較べるのもよいかも? また三宅さんのナンネッタが浴びられますよ!
この間、National Theatre Live で演劇の『ヘンリー五世』を拝見したので、一応シェイクスピアの原作の同題や、前作『ヘンリー四世』を読んでいました。
↑ こちらが雑感記事。こちらでもファルスタッフは登場しています。
オペラ『ファルスタッフ』といえば、「陽気な喜劇!」というイメージですが、原作の一部となる歴史劇の方は、全然そんな調子ではなく。
『ウィンザーの陽気な女房たち』のみならず、『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』にもファルスタッフは登場しますが、『五世』ではその悲惨な死が描かれますし、『四世』の方では、遺体を刺すという、「死体蹴り」ならぬ「死体刺し」を披露しており、割と本気で引いてしまいました。なんだか、「愛嬌あるキャラクター」として全然受容できない……。
↑ かなり衝撃的な内容。
それを、「ふてぶてしいけれども、どこか憎めない」キャラクターと描き直したヴェルディはいつも通り良い仕事をするなあと改めて感じましたね。
かなり脱線しますが、『ファルスタッフ』といえば、かなり前に、『不破留寿之太夫(ふぁるすのたいふ)』なる文楽を拝見したのを覚えています。
↑ 日経のレビュー記事。
タイトルからして、そんなメチャクチャな……と思いますが、意外と上手いこと纏まっていて、笑えた記憶。流石、愛される題材ですね。
アンコールでは、終曲を再び披露。アンコールまでやって下さるとは~! 手厚すぎる……。
終曲では主要登場人物が全員参加しているので、カーテンコール後でもやりやすいのでしょうね。死人が出るオペラではこうは参りません。
幸福な気持ちに包まれる幕切れとなりました。
相変わらずキレッキレで情熱的なマエストロ・チョン・ミョンフンの棒が炸裂した名演です。
最後に
通読ありがとうございました。簡単に2500字ほど。
非常にどうでもよいのですが、わたくしは文章を書くことを愛好し、趣味としているというのに、いやだからこそ酷使しすぎているのか、相棒たるノートパソコンのキーが不調。
特に「f」や「h」の調子が悪く、強く連打しないと打ち込まれないので、『ファルスタッフ』という「f」或いは「h」が三個も出て来るタイトルには理不尽な怒りさえ覚えます。
マウスのみならず、パソコンもそろそろ替え時なのかもしれません……。データの移行面倒臭いなぁ~イヤだなぁ~。悩ましいです……。
そんなパソコンで執筆をしておりますが、レビューマラソンはまだまだ続きます。引き続きお付き合いを頂ければ幸いです。
それでは、今回はここでお開きと致します。また別の記事でお目に掛かれれば幸いです。