世界観警察

架空の世界を護るために

小澤征爾音楽塾『こうもり』 - レビュー

 こんばんは、茅野です。

今週は観劇三昧ということで、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトの『こうもり』にお邪魔してきました! なんと、今週四回目の東京文化会館……。

↑ 三日間通ったもの。初日のレビュー記事です。

 

 折角なので、今回は、こちらの公演について簡単に書こうと思います。

お付き合いの程、宜しくお願い致します!

f:id:sylphes:20220325192152j:plain

↑ 過去の公演から。豪奢。

 

 

キャスト

ロザリンデ:エリー・ディーン

アイゼンシュタイン:アドリアン・エレート

アデーレ:アナ・クリスティー

ファルケ博士:エリオット・マドア

オルロフスキー公爵:エミリー・フォンズ

ルフレート:ジョン・テシエ

フランク:デール・トラヴィス

ブリント:ジャン=ポール・フーシェクール

イーダ:栗林瑛利子

フロッシュ:イッセー尾形

指揮:ディエゴ・マテウス

演出:デイヴィッド・ニース

 

雑感

 疫病、戦争、自然災害と、正しく世紀末の様相を呈している現在。『こうもり』は今一番求められている演目とも言えるでしょう。『こうもり』は、オーストリア帝国が斜陽に向かい始めた頃の作品であり、当時の暗い世情を鑑み、明るい物語となっている点からもそれは伺えます。

個人的にも、観ているだけで楽しくなれて、大好きな作品です。

 

 質には定評のある小澤征爾音楽塾。序曲はテンポも強弱もレンジが広く、特にわたしは前方の席だったこともあってダイレクトに音楽を浴びる感覚を味わえました。

 開演前や幕間に「ガチ練習」をしている方も多く、フライングで楽しめるお楽しみ付き。一階席でしたし、オケピの中までは見えませんでしたが、やはり体感的に上手側(金管、打楽器など?)の方が響いていた印象。

 オケに関しては全く危なげなく、申し分なかったです。最高。

 

 何故今回来たと言って、『こうもり』が好き、皆大好き小澤征爾音楽塾……というのも当然あれど、何って、アドリアン・エレート氏のアイゼンシュタインがめちゃくちゃ好きなのです。彼のアイゼンシュタインはほんと絶品ですよね。よく来日して演じて下さいますけど、マジで可愛いですね。何ならある意味現代のオペラ歌手でいちばん可愛いまである(?)。とにかく可愛いのである。是非体感して頂きたい。喜劇のイメージが強すぎて、レパートリーにワーグナーとか入っているのを見ると毎度「嘘ぉ~」と思ってしまいます。幅が広すぎる。

 今回は肩組んで踊ってませんでしたが、第一幕ではおんぶされてましたし(可愛い)、第二幕ではダンサーに混ざってグラン・バットマンしまくってて、相変わらず体力すんごいなあと……。あんなに連続でグラン・バットマンしたあと息切れせず歌える肺活量どうなってるんだ……。

 相変わらず日本語ネタも多くてニコニコしちゃいますね。喜劇的な演技が最高なのは言わずもがななのですが、勿論歌も良いです。アイゼンシュタインはあんまり魅せ場がないですが、個人的には第二幕の ≪ Ha, schon meldet sich die Liebe, Die das Herz ihr bang bewegt! ≫ がメチャメチャ好きですね……嫌いな人いないと思いますが……。

 エレート氏が今回もめちゃくちゃ可愛かったので個人的には大変満足致しました(そこ)。

 

 アルフレートは、冒頭、裏で歌っているときは声が震えすぎだと思いましたが、段々調子を取り戻したのか、良くなっていったのが特徴的でした。今回も他オペラネタ盛りだくさんです。『トゥーランドット』に関してはオケまで便乗して大盛り上がり。

 

 アデーレは、キャラクテールというか、歌に関しても少々演技の方に寄せすぎかと思いましたが、『こうもり』だし、これくらいでいいかもしれないですね! コケティッシュで面白くて可愛かった。また、ひっくり返ったり、抱きかかえられながらと、凄い体勢ながらに伸びやかな声で歌い出すので、心底感心してしまいます。何故その体勢で歌える……。

 

 ロザリンデはもう第一幕から衣装がお似合いでした。ほんとうにオーストリア帝国にいそう。低音が少々弱く、オケに消されてしまっていた印象を受けましたが、高音はよく伸びて美しかったです。

 

 フランクは特に第三幕の演技が魅せ場ですが、アデーレのクプレの時に太鼓に見立てたお腹を叩いているのがめっちゃめちゃ可愛かったです。今回のわたしおじさん可愛いしか言ってないですね……でも可愛いは正義なので主張しておきます。

 

 演出は見慣れたデイヴィッド・ニース演出。

実はこちらの記事でも紹介していました。

↑ 覇権ソーシャルゲーム、マニアックなオペラネタが満載で最高です。

最早クラシックというか、安定していて良いですね。王道で、豪奢ですし。

 

 また、パンフレットについて驚いたことが。ロシアのパヴロフスク駅について紹介されているのですが、なんと、実は公演の前日に投稿した記事に同駅についての解説を書いていまして……。

↑ そんなことある??

 実に個人的なことですが、非常に驚きました!

 

最後に

 通読ありがとうございました。2500字ほど。

ごく簡単にはなってしまいましたが、纏められてよかったです。結論としては、エレート氏が可愛かったです(n回目)。

 

 観たばかりですが、また『こうもり』観たいですね~。観るだけで仕合わせになれる数少ない演目です。また、小澤征爾氏と言えば、やっぱり『エヴゲーニー・オネーギン』ですよ。是非とも取り上げて頂きたい。サイトウキネンも最高だったので……。

 ところで、小澤征爾氏指揮の『オネーギン』のDVD、とんでもない値段が付いているのご存じですか? 流石にわたしも値段に驚いて入手していないのですが、やっぱり買ったほうが良いのですかね……。持っている方がいらしたら是非ともお話を伺いたい。

と、また自分の好きな演目の話ばかりしてしまいました。

 

 それでは、今回はこちらでお開きにしたいと思います。また別記事でお目に掛かれれば幸いです。