開けましておめでとうございます! 大晦日から熱を出していた茅野です!
当方は健康優良児であることが唯一の取り柄なので大変に焦りましたが、39.3度の熱を出したところでずっとTwitterばかりしているという強靱な熱耐性だけは変わらずという感じでございました。
そんなこんなしているうちにですね、我が「世界観警察」も一周年ですよ。祝ってください。
皆様のコメントやらリクエストやらでなんとかモチベーションが続いております。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
とか言っておきながらめちゃくちゃ空いてしましました、申し訳ないです。多忙で!!!!!!(言い訳) いや、だから熱出たわけなんですけれども。
言い訳御無用、というわけで早速始めましょうか!頭脳労働のお時間です。
議題は予告通り、ABZU考察の第2回目、「僚機、三角体、そして主人公は何者なのか」です。
ABZU考察において、一番ストーリーに踏み込んだ内容ではないかと思います。
勿論、ネタバレの山ですのでお気を付け下さい。
機械とABZU
前回の記事で、「ABZUとはなにか」ということを解説致しました。
未読の方は、是非そちらからご覧になってください。↓
簡単に復習すると、「生命を維持する原初の深淵の淡水」がABZUでしたね。
今回取り上げる、僚機、三角体、主人公、全てに共通するものはなんでしょうか。
まず、全てが機械的であることが挙げられるでしょう。高度な文明を用いて創られたのでしょうね。
そして、その原動力がABZUであること。この2点でしょう。
chapter 5にてそれらが判明します。
↑ 実験施設のようなセクションでアクションすると、設計図のようなものが表示されます。ここから、僚機、三角体、主人公の中心にはABZUがあることがわかります。
又、三角体が砕け散る際は明らかにABZUが出ていますから、これもソース足り得るでしょう。
ABZUは、シュメール神話によれば、上記のように「生命を維持させることができる」ミラクルウォーターですから、機械の原動力になるというのにも納得です。
機械だけではなく、物語後盤ではホオジロザメの命さえも蘇らせました。
ここから導き出せることが二つあります。
- この実験施設のようなものを創った人類と思わしき者達は、ABZUを入手することが出来た
- この実験施設のようなものを創った人類と思わしき者達は、機械的な高度文明を築きながら、ABZUをそれに組み込み、利用することが出来た。
chapter 5は考察勢に優しい、情報の宝庫ですね。
古代文明
それを古代文明と呼ぶべきなのかは怪しいですが、如何にも古代エジプトに近しい壁画等があるのでそう呼称致しましょう。
↑ 現実にあれば是非観光したくなるような遺跡
そこには三角体や主人公、ホオジロザメや神殿、そしてABZUが描かれています。これらが指し示すものは何でしょうか。
まず、古代からこれらが存在していたことが読み解けるでしょう。昔からの営みだったのですね。
恐らく、ABZUというゲームのテーマや、ストーリーにも直接的にも関わってきます。
生命を維持する原初の深淵の淡水ABZUの力は、海を豊かにするために古代から使われていたのでしょう。
そして人類と思わしき者たちがその力に目をつけ、制御し利用しようと目論む。
それ自体は悪いことではなかったのかもしれません。文明の発展には必要なことですから。
しかしそれがひいては海を汚してしまったと。
Chapter 1の終盤、ホオジロザメが僚機を噛み砕いてしまうシーンがありますよね。
そこで我々は自然の脅威を目の当たりにし、畏怖を覚えますが、視点を変えるとそうはなりません。
サメは、海の食物連鎖の頂点としてその役割を果たし続けていました。調べてみると、たとえば神殿にABZUを返したときに大きく美しく顕現するサンゴは、人間によるサメの乱獲によって数を大きく減らしているとか。
又、ホオジロザメのような大型のサメは、腐敗するのが著しく遅く海を汚す恐れのあるクジラの死骸を食すなど、海の環境保全に努めている種でもあります。
一方で我らがかわいい僚機は、主人公が修理する前、海底を黒く汚しています。
これに海の王が怒れりというのも納得です。
主人公は人工的に生み出された機械生命体ですが、壁画からもわかるとおり、ABZUを神殿に戻し、海の環境を整える役割を担っていたと考えることが出来ます。
とくにFloweryに顕著ですが、thatgame company、ひいてはMatt Nava氏のゲームでは「自然と汚染」というテーマが色濃く見えてきます。
この【ABZU】に於いてもそうですよね。ABZUで深く感動した皆様、海を守りましょう。
浮かぶ三角体の謎に迫れ!
突然ですが、皆さんは空に浮かぶ三角体にお気づきになったでしょうか。
わたしは初見の時全く気付かなくて、周回プレイ中に漸く気付きました。
↑ これはゲームを開始し、一番最初に目にする光景です。
晴れやかな空、どこまでも続く海!そして……。ん?
おわかり頂けただろうか……。
ラピ○タ……!?
なんと、空に三角体が浮いているのです!!
ABZUは、基本的に水中の冒険になりますから、気付かなかった人も多いのではないかと思います。
しかし何とも不思議ですよね。これは一体何であるのか。どこにあるのか。
追ってみました。
- 主人公の向いている方向が進行方向です。
- 見易くするため、三角体は赤丸で囲みました。
chapter 1の神殿のエリア。サンゴが伸び、マンタエイが姿を現す場所です。
海上に顔を覗かせると、三角体は若干右に移動していました。
このABZU、大海原で方角を指し示すものが何もないので右とか左とか頭悪そうな感じになってしまいますがご容赦。
主人公の頭がだいぶ小さいこのエリア、見えますでしょうか、中央です。
先ほどの神殿エリアのそのすぐ次、ホオジロザメに僚機を噛み砕かれるエリアの海上になります。
先ほどよりも少し近づいたのがおわかり頂けますでしょうか。
chapter 2、海流に流された後の桃色の海底と熱帯魚のエリアの海上です。
今まで少し右に寄っていたのが、進行方向まっすぐに移動しました。
chapter 2の神殿の真上からの一枚。重ねますが主人公の向いている方向が進行方向です。
目視的に近づいた感じはあまりしませんね……。
chapter 2の最終局面。トレーラーにもあった鰯の大群が美しい場所です。
ここに来るとなんと、三角体が真左へ!! ここまで大きな変化があると検証走り甲斐を感じます。
そしてこのエリアから白い海鳥たちが姿を現し始めます。鳥と雲の白、海と空の青のコントラストが美しいです。
chapter 3! 全体的に秋色に染まり、鎖や像のギミックがあるエリア。なんと三角体が左手前に!しかもこんなにくっきりと!
見れば見るほど不思議ですよね、これ。なんなんでしょうね。それを解説するのがこの記事の役目なのでは……
chapter 3の神殿の真上から。このエリアは他のエリアと違い、岩によってエリアが分断されています。(他エリアは海藻)
進行方向とはずれていますが、確実に接近しているのが見て取れると思います。
ちなみにchapter 4の神殿上から。
chapter 4以降は海上に出ることが叶わないため検証はここまでです。
最終盤、南極がある広大なエリアでは海上に出られますが、夜のため空には何も確認できませんでした。
これは憶測にすぎませんが、検証を重ねるうち、主人公の目的は上記ABZU返還もありますが、もしかしたらこの三角体なのではないかと思いました。
といいますのも、空中のものにせよ、海中のものにせよ、主人公はどんどんこの三角体に近づいており、それを目的としていると考えるのは合理的だからです。但し、主人公が三角体に近づき、何をしたかったのか? これは全く不明瞭です。
物語の結末から鑑みて、この三角体を破壊したかったのかも知れません。或いは、己も機械であることから、三角体、即ち故郷に戻りたかったのかも知れません。そして、機械とABZUの真実を知り、破壊に至ると。私は個人的に、後者を推したいと思います。
皆様はどう思われますか。
しかし、何故三角体が空に浮かんでいるのか? これは全くわかりません。ヒントゼロですもの。私が知りたいです。情報お持ちの方いらっしゃいましたら是非教えてください。
空にある三角体も原動力はABZUなのでしょうか……。
追記: この空に浮かぶ三角体こそが、Last Chapter の三角体ではないか、という指摘を頂きました。大幅に水位が上がることから考えても、それが正解かもしれません。ありがとうございます!
名と運命
今度は、主人公の目的について別の方向からアプローチをかけてみましょう。
エヌマ・エリシュ冒頭部にこのような文言があります。
故に名を持つ者もなく、運命も定められていなかった。
又、混沌の神ティアマトはこうも言います。
「自らが名付けた者を滅ぼすなんて」
この場合、「産んだ」の方が適切でしょうに、「名付けた」と言っています。
これはどういうことなのでしょうか。果たして本当に表現の揺れのみなのでしょうか。
つまり、主人公に名がない=定められた運命がないと考えることができます。
よって、目的すらも自ら生み出していくもの……と捉えることが可能なのです。
最後に
『ABZU』というゲームを考察する際、その性質上、何かを断定することはほぼ不可能です。しかし、ヒントとなる要素は十二分にあるので、これらのヒントをうまく繋いでプレイヤー一人一人の答えが出せればよいのだと思います。当ブログ「世界観警察」では、その手助けができればと願っております。
さて、次回でいよいよABZU考察も最終回。アジェンダは、「BGMの曲名に迫る」です。お楽しみに。
↑ 続きの記事が仕上がりました。こちらからどうぞ。