世界観警察

架空の世界を護るために

新国立劇場『エウゲニ・オネーギン』オペラトークについて

 こんにちは、茅野です。

新国オネーギンが迫ってきております! いや、嘘だぁってかんじなんですけど。まだ三ヶ月くらい後だと思ってましたもん。でもやるみたいです。劇場に行くとめちゃめちゃポスター掛かってます。わたしも一枚欲しいのでください。

 

 チケットは、取り敢えず千秋楽以外押さえてます。流石に五回目ということもあり、金銭的危機・耳だけで楽しみたいなどの観点から、千秋楽はZ席チャレンジをやってみようとおもっています。無理だったらふつうに当日券買うかも(脳筋

東京でオネーギンやるのに行かないわけには参らぬ、といって全日通うのがオタクなのだった……。諸事情ありまして、中には入れませんがゲネプロの日も一応劇場にはいる予定となっております()。漏れ聴こえないだろうか。聞こえる、夜の愛の歌声が? 聞こえた、朝に葦笛の調べが?……(冒頭歌詞と掛けてます)。 全6回。興奮しちゃって頭おかしくなりそうですね。

 

 というわけで、今回は新国立劇場『エウゲニ・オネーギン』のオペラトークにお邪魔してきました。行かない理由がないんですよねっていうか行かなかったらオタクの名が廃りますよ。今回はそのレポート記事になります。お付き合いのほど宜しくお願い致します。

 

 あまり講演内容をべらべら喋るのも宜しくないことは心得ているので、要点と気になった点のみ記させて頂きます。

まず、何って、一柳富美子先生の解説が濃い。この一言に尽きます。濃いのです。

こういった講演会って、基本的にはまだ本編を観たことのない初心者に向けた最初の一歩、みたいなスタイルが多いとおもわれるのですが、ガッッッツリ解説して頂けました。わたしが求めていたのはこれなんだ。チケット代を三倍にしてほしかったし、欲を言えば公演時間も三倍くらいにして欲しかったです。課金額が足りない……(オタク特有の感情:貢ぎたい)。

 

 先日は「ドストエーフスキイの会」にお邪魔させて頂いたりしていて、そこでもおもったのですが、露文を専門にしてらっしゃる方はオネーギンというキャラクターに好意的(?)なんですよね。色々なご縁があって、露文以外の方とオネーギンのお話をする機会もそこそこあるのですが、もうなんか根本から反応が違う、ということに気がつきました。今日もそれを感じて、いいな~~とおもって……特にオペラ・バレエしか知らない方はオネーギンというキャラクターが苦手だったり、変な勘違いをしている方が多いので……。

今回は、特に年齢の観点から、オネーギンの振る舞いについての解釈がありました。出ました年齢です。みんなの、というかわたしのトラウマ年齢論争。

闘 い の 記 録 に つ い て は こ ち ら を ご 覧 く だ さ い ↓

sylphes.hatenablog.com

まあ……細かいことはさておき(目を逸らしながら)、オネーギンが第一幕・第二幕の主要人物を "子供扱い" していて、 "大人の紳士的対応" をしている、という解釈はわたくしも正にその通りだと思っています。

決闘時の殺意の解釈も非常に納得がゆくものです。いつかそこについてしっかり纏めてみるのもよいかもしれません。

 

 又、今回実は、さっくりわたしが結構前々から抱いていた疑問が解決してしまいまして。

タチヤーナのアリアで、一部アウフタクトで始まらないところがあるんですよ。

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↑主にここ

同じ旋律なのに変更されている箇所があって、なんでなんだろうな~~~って長いこと考えていたんですけど、それは、つまり、「タチヤーナの手紙が四脚14行の詩型をしていないから」!

てんさいだ……(一柳先生とチャイコフスキーが)。なるほど! 物凄く納得。なるほど……な、なるほど……(それしか言えない)。

他にも、「苺摘みの歌」とレンスキーのアリアがこういうトリッキーな形をしているそうです。う~~~ん楽譜研究しなくては。べんきょうします。楽しみ!

 

 後は、まさかの「資料結構間違ってる」宣言。今出回っている解説書はかなり出鱈目とのことで(わたしもたまにミス見つけますが)、独学勢死亡のお知らせです。つまりわたしのことなんですが。

ということで、何を思ったのか終了後に先生を捕まえ、冗談めかして「弟子入りしたいくらいです!!!」なる妄言をかまし、先生を困らせてしまいました。どうもすみませんでしたわたしの制御しきれないオタク魂が……。

 

 資料繋がりで、演出について。

新国オネーギン、「時代考証バッチリ」とのことです。やった~~~!!

「世界観警察」としては、そういうところ手が込んでると否応なしに惚れてしまうし、一旦時代考証ミスが気になるとそわそわしちゃうタイプなので、時代考証バッチリは本当に嬉しいですね。

又、演技を凄く細かく作り込んでいるそうで、ベルトマン氏曰く「映画感覚で観て欲しい」とのこと。解釈も、従来のオペラ演出ではなく原作寄りらしく、原作至上主義気味の考察班としてはこちらも嬉しい。裏設定まで作り込んであるとかで、「笑って泣ける、歌とドラマ」に仕上がっているそう。なんということでしょう。いやそんなの更に楽しみにならないわけが……。

「そんな細かい演技、一回で全部拾えるかな?」と不安なあなた。大丈夫です! 公演は5回あります! わたしと一緒に全部行きましょう! これで解決!(脳筋

 

 次にベルトマン氏の解説があったのですが、28分間ゲリコン・オペラについてで、残りの2分でオネーギンについてでした()。時間配分()。話し足りなそうな雰囲気が凄かったので、彼に二時間くらい差し上げて下さい。

 ちょっと気になったのが、シラクについての言及があったことです。ゲリコン・オペラとジャック・シラクの関係性は無学にして存じ上げなかったのですが、実はジャック・シラクとオネーギンには関係があるのですよね。シラクは若き日にオネーギンを仏訳したことがあるそうです。フランス語学科としてはすっっごく気になるのですが、不出来とのことで公表されておりません()。なんでだよ~。不出来でも良いから読みたいですよね。出版社さん、頼みました(丸投げ)。

 どうでもいいですが、わたしが所属している国際政治サークルの全国大会でわたしが昨年担当したのがシラク政権でした。これもご縁と言うべきでしょうか。

 

 最後に、カヴァーキャストによる歌唱がありました。タチヤーナの橋爪ゆか氏による「手紙の場」、レンスキーの内山信吾氏による「レンスキーのアリア」です。

ここでオネーギンが出てこないところが! オネーギンなんだよなあ。そうなんですよ。なんか独りで納得しまいました。魅せ場が少ないタイトルロール。しかし! 一柳先生が仰っているように、主人公はあくまでオネーギンなのです。ここ大事。テストに出ます。

 会場がホワイエということもあって、響きが劇場とは違う中で聴くのは非常に新鮮でした。

「手紙の場」の方は、演技も丁寧で、ラストスパートの盛り上がりが非常に美しかったです。ちなみに二回目の「вот он」は下げる派。

レンスキーの方は、レンスキーらしい少し明るい印象の声だったかとおもいます。発音が丁寧で凄く聞き取りやすいのが特徴です。

 

 アンケートを長々と書いて投函し、前述のように一柳先生にダル絡みをしてしまい(大変失礼致しました)、本日のところはおしまいです。ちなみに当記事はそのまま初台の喫茶店で執筆しております。PC持参です。感想・レビューのアップロードが早いところだけが当ブログの好ましい点であります。

 

 お話伺って気になったところは今後も要検証・勉強を重ねていきたいと考えています。そして、当たり前ですが公演が更に楽しみになりました。今日行かれなかった方は時間を巻き戻してやり直しましょうってくらいよかったですほんとに。

10月、生きていかれるか逆の意味で不安。がんばります(?)。

さて、細かく書かないつもりが何故か3000字を越えているのでここらへんで切り上げようとおもいます。それでは新国オネーギン成功を願って!