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架空の世界を護るために

ペテルブルクからのレポート3 -ロシア聖地巡礼の旅-

 こんばんは、茅野です。

引き続きペテルブルクの旅をお送りします。

 旅の前半戦、モスクワからのレポートはこちらから。↓

ペテルブルク一日目のレポートはこちらから。↓

 

 

9/19 (月)

 ペテルブルクの聖地巡礼を開始。夜はあのマリインスキー劇場でオペラを見ます。

 

朝食

 昨日写真を取り損ねたホテルの朝食どころ。泊まっている部屋から数歩の距離にあります。超便利。

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↑簡素なようで、結構量があります。

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↑THE・朝食。トーストに塗ったローズ&アプリコットのジャムが上品で美味です。

 

プーシキン

 モスクワからのレポートでお伝えしたように、ロシアには銅像レリーフの類いが非常に多く、特にプーシキンは一、二を争う多さなので、一々写真を撮ることすら躊躇いが出るレベルなのですが、ペテルブルグで初めてお目に掛かったプーシキン像なので掲載します。

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↑鳥使いの詩人

 

劇場、美術館、博物館に囲まれた広場にあったもので、本国に於けるプーシキンの地位の高さを再認識させられます。

 

パサージュ百貨店

 ネフスキー大通りにある超巨大な百貨店へ。

開店時間をよく確認せずに行ったので、着いたときは多くの店が閉まっていたのですが、そのおかげでとても素敵な景色を見ることができました。

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無限回廊

 

 こちらの建物はとても広く、日用品から、お土産品、洋服、香水や宝石の類いから楽器、トレーニング用品など、取り敢えずなんでもあります。

9月のロシアの寒さを舐めきっていたので、簡単な上着があれば……と思っていたのですが、桁の狂った黒い毛皮の大仰なものばかりで、ロシアを感じましたね。

薄灰の軍服風のコートとか可愛かったのですが、サイズがなく、残念。ちょっとグルシニツキーの兵隊外套を思い出したりして。

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↑ドラマ版「現代の英雄」より。左のペチョーリンの将校外套の方がかっこいい(主観)

 

……さて、ビーバーの襟を探しますか。(アルザマスのオネーギンのテスト参照)

↑こちらです。

 

サンクトペテルブルクフィルハーモニー

 さて、百貨店を出て、聖地巡礼の旅を続けます。

ネフスキー通り沿いに歩くと目を引くのが鮮やかな水色の建物。

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こちらはサンクトペテルブルクフィルハーモニーの小劇場です。何か観劇するのか、というと、そうじゃあありません。

なんと、この建物、我らがレールモントフが戯曲『仮面舞踏会』のモデルにした場所なんです!

元々は社交のダンスホールで、改装されてサンクトペテルブルクフィルハーモニーの小劇場になったのです。

文献によりますと、レールモントフはあまり踊らず、端の方に座って参加者を眺め、ふと何か思い立ったかのように出て行ってこの『仮面舞踏会』を書き上げたとか。この舞踏会にはなんと皇族も参加しており、ここで彼が妃と会話したことでも知られています。妃はたちまち彼のファンになってしまったとか。その気持ち、わかります。

さて、レールモントフの『仮面舞踏会』ですが、聖地巡礼を決行する熱烈なオタクである当方は当然既読ですが、日本では残念ながら一般的には知られていません。

ストーリーは帝政ロシアシェイクスピアの『オテロ』と言えばわかりやすいでしょうか。社交界の欺瞞を鮮明に描き出したことから検閲に通らず、レールモントフは何度も修正を加えたと言われています。

しかし、皆様はこちらならご存じなのではないでしょうか?

↑2010年度冬期オリンピックの浅田真央選手の演技

 

この頃、日本はフィギュア・スケートに沸いており、彼女も絶好調だったので、この暴力的なメロディラインが暫く耳に残ったことと思います。

この演技では、アラム・ハチャトゥリアン作曲の『仮面舞踏会』を使用しています。

そうなのです。この「仮面舞踏会」は、レールモントフの『仮面舞踏会』に着想を得て作曲されたものなのです。

ということは、この音楽が流れるような舞踏会が、このホールの中で行われていたということです。なんという胸熱!

ある意味、日本人なら知っておいた方がよい情報かもしれませんね。

 

貴族の街の工事事情

 次の目的地に向け散策していると、凄い現場に遭遇してしまいました。

ガラガラという何か硬い物が落ちる音がするので見てみると……

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↑豪奢だがペテルブルク的には何の変哲もない建物。最上階に注目!

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なんと、トンカチで建物を叩いて壊しているではありませんか!!!!

え、なんですかその超手間が掛かりそうでアナログな感じの手法は……。

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↑地上の様子

しかも、叩いて壊した破片をそのまま地上にボタボタと落としています。いや、それ、危なくないか!?

うーん、他になにか良い方法はなかったのだろうか……。

 

ロシア国立図書館

 そのまま道なりに歩いていると出くわしたのがロシア国立図書館です。

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特に聖地というわけではありませんが、あまりの雰囲気に撮ってしまいました。

この、歴史を感じさせる木扉の黒ずみ、石壁……。ハ○ー・ポ○ターかなにかに出てきそうではないですか?

勿論わたしは入れないのですが、かなり人の出入りは激しかったです。

……やはりロシア国籍を取るしかないのでは……。

 

イカ

 さて、しばらく歩を進めます。

……実はこの日、プーシキンの家博物館(モスクワにも同名のものがあり、見学しましたが、プーシキンサンクトペテルブルクにも屋敷を構えている)に行く予定だったのですが、まさかの休館日!

今日は開館時間だの休館日だののチェックを怠ったのが見事に失敗しました。

でもここに行かない訳には参らぬので、今日は諦めて別所を歩くこととします。

プーシキンの家博物館がある通りを流れているのがモイカ河です。

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これはあのネヴァ河の支流で、細い背に小さな舟を乗せゆっくりと流れていく様は、ヴェネチアかオランダのよう。

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↑ちなみに奥の黄色い建物がプーシキンの家。豪奢!どうせ借金で建てたものなのだが!

 

 また、この雰囲気、なるほど恋を呼ぶみたいで、橋の上で「寒いので手を繋ぐか、恥ずかしいから繋がないか」で揉めている同性カップルに遭遇しました。可愛いかよ……(尊むオタクの顔)

 

エルミタージュ美術館

 モイカ河に沿って進み、ネヴァ河側に折れると見えるのが一際豪奢な建物。そう、エルミタージュ美術館です。

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↑裏口からもう凄い

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↑大きすぎてとても写りきらない

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↑遠景。伝わるだろうか、このデカさ?

 

中が広すぎる上、中国の団体ツアー客が尋常ではない待ち列を作っていることから、中に入ることはしませんでしたが(元々特に入る気もなかった)、エルミタージュ美術館は元々、帝政ロシア時代の「冬宮殿」ですから、少し入ってみたかった気もします。しかし、何日あったら全ての展示を見ることが出来るのだろうか……。

 

ネヴァ河

 私は愛する
大海にも似た河の満々たる水を

                    (「祖国」レールモントフ

 レールモントフが愛した景色、頻繁に氾濫し栄華の首都を水害に陥れた河、西欧への扉、そう、それはネヴァ河……!

その御姿がこれなのです!

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↑青が鮮やか

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↑橋の下からの情景

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↑橋の上は衝撃吸収用にこのような隙間があります。ちょっと怖い!

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↑こうやって見ると、ミニチュアみたい。

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↑こんなに波の近くまで行くことができます!

 

海と繋がっていることから、ほんのり潮の香りがします。

なるほど大海に似て川幅は広く、川沿いを歩いているだけで心が安らぎます。

一言で言うと、絶景です。

 

ロシア海軍

 ネヴァ河沿いにある、エルミタージュのお隣のこれまた豪奢な建物がロシア海軍省です。

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↑旗がなびき、威圧感ある風貌は権威の象徴か。

つよそう(小学生並みの感想)

 

結婚式との邂逅

 ネヴァ河を暫く散策していると、幸せそうな場面に遭遇しました。

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この後、ただの観光客の当方に二人で笑顔で手を振ってくれました。お幸せに!

それにしても、ネヴァ河の畔のウェディングドレス、絵になりますね。

 

剥がれる幻想

 ネヴァ河沿いを離れ、次の目的地に向け歩き始めます。

その道すがら、見てしまいました。

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↑剥がれ落ちる幻想。

モスクワは本当に本当に綺麗に整備されているので、間違ってもこのような景色には出くわしません。

老いた幻想都市の姿。歴史を感じさせて、これはこれで味があると思います。

 

サンクトペテルブルク音楽院

 次の目的地、サンクト・ペテルブルク音楽院へ着きます。

しかし、残念ながら工事中! ツイてない……。

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サンクトペテルブルク音楽院は、第一期生にチャイコフスキーを迎え、プロコフィエフショスタコーヴィチらを輩出したロシアを代表する音楽院です。

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↑教鞭を執った大音楽家リムスキー・コルサコフ

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↑奥にはロシア人からの人気ナンバーワン作曲家ミハイル・グリンカ

 

レールモントフ大通り

 さて、お次の目的地はすぐそこ。

実はこの日の夜は、あのマリインスキー劇場の席を取ってあるので、その方面に向けて夕刻までに進み、時間までにはやめの夕食を摂る心積もりでした。

よって、マリインスキー劇場の近くになにかいい場所はないかな~と地図をめくっていると……。

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↑あれ、劇場のすぐ傍に愛する名前がないか……???

 デカブリスト通りやリムスキー・コルサコフ大通り、グリボエードフ運河も気になりますが……。

いや、これは行くしかないだろう!と、劇場に行く前に必ず行こうと決意しました。

そして、これがレールモントフ大通りというわけです!

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レールモントフスキープロスペクト。

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↑通りの雰囲気。落ち着いた感じ。

いや~~「住所お願いします」って言われてこの通りを書きたいですよね。住所に推しの名前が入るのは流石にヤバくないですか。ちょっとそれは、凄すぎますよ。

とか思いながら、大興奮でこの通りを疾走していました。

 

夕食

夕ご飯はこの通りで適当な店に入ろうと決めていたので、探します。

お肉料理の看板が美味しそうだったので、吸い寄せられます。

店内に入ると、時間的な問題もあってかすいています。

メニューを一瞥し、手渡してくれた店員さんの顔を見て苦笑い。それだけでこちらの言いたいことが伝わったらしく、英語で話してくれます。

このメニュー、ロシア語しかないんですね。

逆に今までが凄くて、今まで入ってきた店は全てメニューが英語併記でした。今回は観光地でもない、ガイドブックにも載っていないような地元の店に入ってしまったので、英語メニューがないのでした。

ただ店員のお兄さんがまたいい人で、「あーーー……ロシア語がわからないんだね。ちょっと待って、英語メニューは出せないんだけど、僕がお勧めを言っていくから、好きなの言ってよ」と。斬新なメニュー決めでしたが、店員さんの優しさに救われました。

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↑付け合わせのパンが焼きたてでやたらめったら美味しい。お変わり自由とのことでしたが、デカすぎて絶対無理。

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↑スープ。紅茶はトルコ風

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↑THE・肉

いや、お肉やスープも美味でしたけど、パンが異常に美味しかったので英語メニューなくても行ける人は是非行って頂きたいお店ですね。

隣に男性二人組がいたのですが、二人とももくもくとこのパンを何個も何個も食べていて、胃袋どうなってんだ……と驚愕しつつ、でもその気持ちはわかると心の中で共感していました。

 

いざ、マリインスキー劇場

 店を出て、また暫くレールモントフ通りを歩いた後、マリインスキー劇場へ!

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↑ミントグリーンの外装。

刮目せよ!これがマリインスキー第二ホールである!

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琥珀色のエントランス

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↑階段ひとつでこのお洒落さ。

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↑お洒落な階段その2。

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↑オケピ

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↑客席

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↑4階席からの眺め。ふお~~近代的で素敵!

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↑自席からの眺め。S席ですが、めちゃくちゃ安いです。大丈夫か?いいのか?

 

演目は黄金のプーシキンチャイコフスキーコンビのオペラ「スペードの女王」。オネーギンが見られずとも、スペードくらいは目に耳に収めて帰るぞ!ということです。

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↑開演前から舞台上にはトランプが……。

 

結論、ものすごくよかったです!!!!流石の世界最高峰・マリインスキー!

劇場の響き、歌手、オケ、合唱、演出……どれも素晴らしかった!

特に演出がとってもよかったですね。現実/幻想の切り替えが上手く伝わるんです。

いや、ペテルブルクで「ペテルブルクもの」を観る―――なんと素晴らしいことか!

ある意味、オネーギンよりもスペードでよかったかもしれませんね。

 

ロシアの劇場の幕間休憩時間は30分。軽食どころか、ガッツリご飯を食べる人もいるくらいです。

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↑休憩時の紅茶とエクレア

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↑めちゃくちゃ雰囲気がよい!

 

また、ショップも素敵ですよ。もういい加減語彙力がないです。

面白かったのはクローク。もう寒いロシアの九月、皆外套を預けるわけです。

終わり次第、勿論観客は殺到。せわしなく動く係員たち、終いには人様のコートを投げる、投げる!

仰天していると、係員さんと目が合い、「見られちゃった☆」とばかりに微笑まれました。なるほど、見かけは雑だがかなり効率がよい……(?)

 

夜のペテルブルク

 夜にふらふらと出歩くのはよくないというのはわかっているのですが、ホテルまでの帰り道はどうしても歩きたかった!

というわけで、夜のペテルブルクです。

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↑夜だとまた趣が違うマリインスキー劇場。次は第一ホールにも入りたい!

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↑川沿い。限りなく素敵な夜。

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↑血の皇帝ニコライ一世像。我らが黄金の時代の詩人達を数多葬ってきました。

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↑まあ、なんと豪奢な建物!劇場かな?大使館かな??

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↑SUBW○Y!???!!

ロシアあるある、豪奢な建物実はよくあるチェーン店事件です。ホテルの向かいの近代的で豪奢な建物も実は洋服店のZ○RAでした……。

 

マリインスキー劇場からホテルまで歩いて30分程度。ニコライ一世像を見に寄り道もしたので、もっと掛かったかもしれません。

この日の歩数は過去最大の2万7000歩。ひぇ~~。

疲れ果て、ベッドにダイブして三日目を終えました。

明日も聖地巡礼を続行! 悪趣味なほどキンキラキンのあの場所へ……!? お楽しみに!

 

↑続きの記事が仕上がりました。こちらからどうぞ。