世界観警察

架空の世界を護るために

暗号解読 - Everybody's Gone to the Rapture考察1

 おはようございます、茅野です。

無事『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-のダイアログを日英とも書き切ることが出来て、心底ほっとしております。これで漸く考察の方を進められます。長い戦いでした……。

是非このダイアログを使って、情報整理をしたり、考察に挑んだりしてみてくださいね。

 

 さて、当記事では早速このゲームに関する考察と、検証結果を投下したいと思います。

この検証の為に始めてイヤホンを使ってプレイし、また2周ほど走り回ったのですが、イヤホンだと雑音が鮮明に聞こえて、かなりホラーテイストに感じました。

これは確かに、ホラーゲームだと錯覚する人が続出してもおかしくないなぁと思いましたね。

ラジオ、TV、PC を重点的に攻めたのですが、ノイズとケイトの声もちょっと不気味に感じました。

そんなわけで今回の議題は、「作中随所に出てくる数字暗号の解読」です。

 

 

暗号の解き方

 早速ですが、暗号を解いてしまいます!

この暗号ですが、難解なものではなく、誰でも簡単に解くことができます。

"暗号" とされているものが、こちら。↓

f:id:sylphes:20170122041733j:plain

エンドロールの最後に出てくる数列です。

最後の最後という重要な場面で、数列という暗号に変えて表示される……。

余りにも意味深です!

ここから読み取ったものがEverybody's Gone to the Raptureの主題である」とさえいってもよいのではないでしょうか。

 

解き方は至って簡単。

まず、このような図を用意します。

f:id:sylphes:20170323065804j:plain

1=A, 2=B, 3=C...というように、アルファベット順に数字を割り振ります

あとはこれを当てはめていくだけです! ね、簡単でしょう?

 

では実際にやってみるとどうなるのかというと……。

f:id:sylphes:20170323070008j:plain

f:id:sylphes:20170323070019j:plain

ちゃんと文章になる!!!

 

 In the wake of a human beings death what survives is a set of afterglows some brighter and some dimmer in the collective brains of those dearest to them there is in those who remain a collective corona that still glows douglas hofstadter

 

暗号を読み解くと、このような文章になります。

ただの数列が名言に書き換わっていくのは、ちょっとした感動がありました。やっていてとても楽しかったです。

 

 しかし、はてさて、この文章、一体どういう意味なのでしょう?

そもそもが英語ですし、たとえ英語が堪能な方でも、ちょっと戸惑うのではないでしょうか?

 これはダグラス・ホフスタッターという数学者の言なのですが、少し省略されていますので、原文を書き出してみましょう。

 

 In the wake of a human beings death, what survives is a set of afterglows, some brighter and some dimmer, in the collective brains of those who were dearest to them...

Though the primary brains has been eclipsed, there is, in those who remain... a collective corona that still glows.

                                                                                              - Douglas Hofstadter

 

赤字が新しく追記した箇所になります。

こうすると大分わかりやすくなったんじゃないでしょうか。

尤も、詩的で哲学的な言葉なので意味も取りづらいのですが……。

訳してみるとこんな感じでしょうか。

 

 人が死した後も、その輝きやほの暗さは、彼を愛した人々の脳の中で生き続ける。

生態系が絶滅しようとも、それは成長し続ける集合的な光となって残り続ける。

                       - ダグラス・ホフスタッター

 

 これは『Everybody's Gone to the Rapture』というゲームを的確に捉えた言葉ではないでしょうか!

この言葉から、光の実態なんかにも迫ることが出来そうですね。

 

 「ところでこのダグラス・ホフスタッターってだれ?」という疑問が湧くかと思いますので、軽く解説していこうと思います。

わたしはこのゲームの考察にあたって彼の本を2冊程読みましたが、とんでもないお人です。

数学者なのですが、他にも堪能なものが数理哲学、科学、物理学、比較言語学、文学、人工知能研究、音楽、絵画、宗教学、語学、心理学と、この人に出来ないものはないのではないかというラインナップ。

有名な著書は『Gödel, Escher, Bach: An Eternal Golden Braid (ゲーデルエッシャー、バッハーーーあるいは不思議の環)』や、『The Mind's I (マインズ・アイ―――コンピュータ時代の「心」と「私」などです。

……書いていて、改めて良いタイトルをつけるなぁと感心してしまいました。本の内でも、掛詞なんかが多く、翻訳が大変そうだなぁと思ったり。(実際、何度か翻訳を放棄して原文ままの箇所もあった)。

 先ほど語学も堪能と記しましたが、なんと彼、わたしの大好きな『エヴゲーニー・オネーギン』を英訳しています!!

運命を感じました。オネーギンについては↓から。

ゲーデルエッシャー、バッハという毛色が全く違う3人物を深く研究し、"三つ編み"なんて言って絡めて考え、論文にしちゃうような、何でも出来る超人……。それがダグラス・ホフスタッターという人です。

 又、彼の本から『Everybody's Gone to the Rapture』に関係していそうな部分が沢山見つかったので、それはまた別の記事で解説しようと思います。

 

電子機器から流れる数字

 メインの暗号が解けたところで、『Everybody's Gone to the Rapture』では、他にも数字を聞く機会がありますね。

そうです。ラジオ、TV、PCから、ケイトの声で流れるあの数字です。

Meg: Have you listened to the phones?

メグ:電話の音を聞きました?

Jeremy: No, I thought they were all dead.

ジェレミー:いや もう使えないと思って

Meg: There's strange kind of static now,

         I think I heard numbers in it. It sounded like the American woman.

メグ:奇妙な雑音が聞こえるんです

   アメリカ人の女性の声で数字が聞こえた気がして

Jeremy: Kate? She's still alive? No-one's seen her.

ジェレミー:ケイト…?

      まだ生きているのか

 作中でもこんな会話がありましたね。

あの数字がなんなのか、気になった方も多いのではないでしょうか。

 

というわけで、各ラジオ、TV、PCのケイトの数字を聞き取り、全てメモしてみました。

次に、「もしや……」と思い、同じことをもう一周繰り返しました。

何故そんなことをしたのかって?

結論から申し上げます。

あの数字は、ランダムです。

といっても、数字が完全なランダムでのではなく、いくつかの数列があり、どのラジオ、TV、PCからそれが流れるかがランダムのようです。

 というわけで、聞き取った数列を記載致します。

  • 数列は基本「2桁が5つの塊」で、1つだけ3つの塊のものがありました。
  • 2桁の数字の最大数は25であり、最小数が00でした。これは前述のエンドロールの数列とは異なります。ただ、26が00にそのまま置き換わっている可能性を考慮し、数字の下に先ほどの解読法のアルファベットを記載致します。
  • エンドロールの数列と違い、先ほどの解読法で出したこのアルファベットは全く意味を為しません。他に読み方があるのかもしれないし、全く意味の無い数列なのかもしれません。今のところこれが何であるのかは解明出来ていないので、是非各自で考察してみてください。

 

00 07 03 16 06

 Z   G  C   P  F

03 08 02 06 22

 C  H   B   F   V

16 14 15 17 25

 P  N   O  Q  Y 

12 06 12 12 11

 L   F   L   L  K

14 04 08 08 01

 N  D  H   H  A 

18 25 08 01 01

 R  Y   H   A   A

17 00 11 17 13

 Q   Z  K  Q   M

17 00 25 13 09

 Q  Z   Y    M   I

11 11 14

K   K   W

16 15 14 06 04

 P  O   N   F  D

00 11 22 07 24

 Z  K   V   G   X 

14 04 08 03 01

 N   D  H  C   A

 

以上になります。

ケイトの言うように、まさしくit makes no sense! です。

求ム考察勢。

 

ちなみに、TVとPCに映し出される白黒の映像はVALIS TOWER 6 です。

意味深ですね。

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最後に

 今回は以上になります。通読ありがとうございました。

ラジオ、TV、PCの数列が何を示しているのか分からず締めてしまうのは心苦しいのですが、わたしはこれは「全く意味の無い数列である」という説を推したいと思います。

この説を取る場合、悪魔の証明になってしまいますが……。

ケイトも「全く意味を為さない」と言っていますし(※ジェレミーエリア / バーの裏手のラジオ)、つまり、ケイトに分からない=物理学や天文学に関わる数字ではないことが読めてきます。

しかし、あの簡単な解読法を使っても判然としません。

であれば、交信を試みる「光」が吐き出した意味の無い数列……という説が一番しっくりくるのではないか、と思います。

折角2周掛けて検証したのに結果がこれではあまりに報われないので、もし何かあの数列についてわかったことがあれば是非とも気軽にコメントに残して頂ければと思います。

それでは、あなたの旅に光の導きのあらんことを。

 

考察記事第二弾が上がりました。こちらからどうぞ↓