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世界観警察

架空の世界を護るために

歌詞翻訳 - Everybody's Gone to the Rapture考察2

 こんばんは、茅野です。

ダイアログを打ち出したところで、Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失- には、参考になりそうなデータがまだまだ沢山あります。観測所に閉じこもるケイトさながら、我々はデータの山に埋もれる必要があるのです。

ではまず何からやりましょう、というと、尤も身近で考えやすいのは、やはり歌詞ではないでしょうか。

 

 歌詞をそのままブログに載っけるのは著作権などの問題があるので、この記事では、データとして役に立つかはわかりませんが、拙訳や、出来る限り歌詞に関連していそうな情報を掲載ようかと思います。

歌詞からの考察を真剣に取り組みたい方はサウンドトラックをお買い求めください。(ダイレクトマーケティング)

www.amazon.co.jp

当記事では、こちらのサウンドトラック内封の冊子の順番に進めていきます。

誤訳、掲載上の問題などありましたら指摘してくださると有難いです。

 

 

ALL THE EARTH

 「この地球のすべて」。

 All the Earthは、オープニングで流れている楽曲です。

ソプラノ歌手Elin Manahan Thomas氏の美しい声と、後盤からのコーラスが対象的で美しい一曲。

歌詞は、旧約聖書詩篇(Psalm)からの引用になっています。

バージョンは欽定訳聖書として名高い、英国のジェイムズ王訳(King James Version)

引用箇所は、前半のソロ部分が19:4後半のコーラス部分が13:1です。

旧約聖書であれば、沢山邦訳もあるだろうということで、2種掲載したいと思います。

抜粋引用なので、何か問題がありましたら削除致しますのでご一報ください。(岩波文庫のものは購入しています)。

 

言葉もなく、語ることもなく

その声もきこえないのに

その響きは全地にゆきわたり

その語りかけは地の果てまで及ぶ。

彼は陽のために海に幕屋をもうけられた。

           - 19:4

ヤハウェよ、いつまで!

あなたは永久にわたしを忘れ給うのですか、

いつまでみ顔をわたしから隠し給うのですか。

           - 13:1

              *1

 

その響きは全地にあまねく

その言葉は世界のはてにまで及ぶ。

神は日のために幕屋を天に設けられた。

           - 19:4

主よ、いつまでなのですか。

とこしえにわたしをお忘れになるのですか。

いつまで、み顔をわたしに隠されるのですか。

           - 13:1

              *2

 

 また、著作権侵害を防ぐため、基本的に歌詞は伏せようと思いますが、実はAll the Earthの歌詞は、実はジェレミーが消失する際に口にしています。

Jeremy: Their line

              is gone out through all the earth

              And their words to the end of the world.

              In them

              hath he set a tabernacle for the sun.

ジェレミー:その響きは

      全地に…

      その言葉は… 世界の果てに向かう

      そこに…

      神は太陽の幕屋を設けられた

これが公式の訳のようです。(尤も、ダイアログを打っていて、公式の誤訳らしきところも結構見つけてしまったのですが……)。

 

 全ての訳に共通する、「その響き」ってなんぞや、と言いますと、恐らく、前行(19:2,3)の

Day unto day uttereth speech, and night unto night sheweth knowledge.

There is no speech nor language, where their voice is not heard.

             *3

もろもろの天は神の栄光を語り

大空はそのみ手の業を示す。

一日は他の日に言葉を伝え

一夜は他の夜に知識を伝える。

              *4

この日は言葉をかの日につたえ、この夜は知識をかの夜につげる。

話すことなく、語ることなく、その声も聞えないのに、

             *5

 ……の辺りを指すのではないかと思われます。

私はクリスチャンではないので、これ以上はお近くの教会をお訪ねください。

 この曲が一番最初に流れることや、同じ内容を消失する直前のジェレミーが呟くことなど、かなり意味深ではないでしょうか。滾りますよね。

 

 

FINDING THE PATTARN

 「パターンを探す」。

ヴァイオリンとチェロの交錯が美しい2曲目。

中間部にそっくりそのままAll the Earthが使われています。なので、勿論歌詞も同じです。

 

 

THE SLEEP OF DEATH

 「死の眠り」。

こちらも最初のソプラノソロからのコーラスへの変異、ヴァイオリンの副題が魅力的です。

歌詞は、All the Earthで使われた旧約聖書詩篇(Psalm) 13:1、そしてその続きになっています。

早速、先ほど使わせて頂いた2種の訳からお届け致します。

 ヤハウェよ、いつまで!

あなたは永久にわたしを忘れ給うのですか、

いつまでみ顔をわたしから隠し給うのですか。

いつまでわたしは魂に憂いを懐き

日々心に痛みを覚え

いつまでわが敵がわたしに勝とうとするのでしょう。

見て下さい、わたしに答えて下さい、

ヤハウェ、わたしの神よ。

わが眼を明らかにして下さい。

わたしが死の眠りにつくことのないように。

         *6

主よ、いつまでなのですか。

とこしえにわたしをお忘れになるのですか。

いつまで、み顔をわたしに隠されるのですか。

いつまで、わたしは魂に痛みを負い、ひねもす心に悲しみをいだかなければならないのですか。

いつまで敵はわたしの上にあがめられるのですか。

わが神、主よ、みそなわして、わたしに答え、わたしの目を明らかにしてください。

さもないと、わたしは死の眠りに陥り、わたしの敵は「わたしは敵に勝った」と言い、わたしのあだは、わたしの動かされることによって喜ぶでしょう。

            *7

 

 

FOR EVER

 「永遠」。

ジェレミー神父が消失する際に流れているのがFor Everです。

ア・カペラの混声四部編成の合唱曲になっていますが、曲や歌詞はThe Sleep of Deathと同じです。

前半部が短調になっていることで悲壮感や神々しさが増しています。夜の教会というロケーションも一役買っていますよね。

 歌詞を見ると、ジェレミー神父は神に助けを求めているのですよね。しかし、原題から見るに、光になることは「携挙(the Rapture)」であるらしいので、なんとも皮肉です。

携挙に関しては、長くなりますのでまた別記事で詳しくお伝えしようと思いますが、一言で言うと、神と共になることをいうようです。

 

 

THE MOURNING TREE

 Everybody's Gone to the Raptureの楽曲の中でも人気の高い一曲ですね。この前私がTwitterで宣伝したところ、「この曲のためにサウンドトラックを購入した」という方が結構いらっしゃって、ゲームの内容を知らずとも人々の心を惹きつける美しさを改めて感じました。

 さて、この曲は恐らくウェンディーのことを歌っています。ウェンディーエリアに突入する際に流れる曲ですしね。

阿呆なので、最初The Morning Treeだと思っていたのですが、正しくはThe Mourning Treeです。お間違え無きよう。

とすると、タイトルは「喪章の木」とか、そんな感じでしょうか。恐らくはエディーの、墓標代わりの木を指しているのだと思われます。

折角ですので、僭越ながら、拙訳を掲載してみようと思います。誤訳などありましたらご指摘願います。信用於けない方はサウンドトラックを(2回目)。

 

喪章の木の元で一日を過ごす

深い悲しみの川が流れる場所

そして鳥たちが一斉に

私の周りに巣くった

 

鳥たちの歌声の中からあなたの歌が聞こえた

爆弾が落ちた音も

鳥たちと揺れる小麦のそばで

あなたが帰ってきたことを知る

 

ああ 愛しい人 どこへ飛んでいったの

私の元へ戻ってきた後

夜鷹のように私を離れ

喪章の木の巣へと

 

 空軍のパイロットである夫エディー(エドワード)と、彼の死後世話している鳥たちを上手くかけた歌詞になっています。

夫の喪章の木に巣を作った鳥たちがいたなら、それを甲斐甲斐しく世話しようとするウェンディーの心理も頷けますね。

 翻訳に際しまして、knot氏、輝澄七瀬氏にご協力を賜りました。ありがとうございました。

 

 

ALL OF MY BIRDS

全ての私の鳥たち」。

The Mourning Treeをアレンジした一曲です。

ウェンディーが消失する際に流れている曲でもあります。この旋律、歌詞がウェンディーエリアのテーマというわけですね。

歌詞はThe Mourning Treeのものを少し入れ替えた形になっています。

 

 ああ 愛しい人 どこへ飛んでいったの

私の元へ戻ってきた後

夜鷹のように私を離れ

喪章の木の巣へと

あなたが帰ってきたことを知る

 

所謂サビの後に、サビ前の一文が来ただけなのですが、そうです、飛び立ったエディー(或いは鳥)が帰ってくる、という歌詞に変わってしまっています。

The Mourning Treeを訳していたとき、「行ったり来たりしすぎだろ!」って突っ込んでしまったのですが、これはとても上手い仕掛けだと思いませんか。

流石Dan Pinchbeck氏!(作詞した方です)。

 

 

A BEAUTIFUL MORNING

 「美しい朝」。

こちらもよく仕組まれた曲で、途中まではFor Everの旋律と歌詞なのに、いつのまにかCarry me back to her armsに変わっている……という、不思議な曲です。

 

主よ、永久に私を思い起こしてくれないのですか

永久にそのみ顔を私から隠してしまわれるのですか

いつまで私は魂に悲しみを負い続けなければならないのでしょう

いつまで敵が私を圧倒するでしょう

そして私に死が訪れるまで、私は放浪し続ける

彼女の腕の中に還してほしい

 

 

CARRY ME BACK TO HER ARMS

 「彼女の腕に還して」。

男声のコーラスが特徴的な一曲。フランクエリアに突入すると流れますね。

先ほどのA Beautiful Morningでちょっとだけネタバレがありましたね。w

 

最愛の人と私は畑を歩く

黄金色の小麦とトウモロコシに囲まれて

死が鎌と刻を持ち出した頃

私は真実の愛を遠ざけた

 

夜鷹が彼女のベッドに帰るのを追った

彼女の心音を辿った

畑や谷を越えて、それらが飛び立つのを待っていた

そして、永遠に分かたれる

 

そして私はもう一度自分の畑を彷徨う

小麦やトウモロコシが風に揺れる音を聞きながら

死が訪れるのを待っている

彼女の腕の中に還してほしい 

 

 恐らく「私」というのはフランクのことで、「最愛の人」というのはメアリーのことでしょう。(そういう風に意訳しても良かったのですが、私個人の解釈で余計な混乱を招かぬよう、なるべく直訳しました)。

夜鷹とメアリーの命をかけているんですね。相変わらずうまい……。

こうやって見ると、随分悲壮感漂う歌詞ですね。泣ける……。

 

 

A STORM OVER YAUGHTON

 「嵐がヨートンを越えて」。

シリアスさ漂うストリングスの調べ。不穏な匂いが見え隠れします。リジーエリアの雨天によく似合う一曲です。

 この曲の前半部(コーラス部)は、レイチェルが消失時に歌っているものと同じものです。

 

Rachel: Sleeping baby, darling child.

           Clouds and starlight, starlight, starlight.

           When you wake, you will be mine.

レイチェル:おやすみ赤ちゃん かわいい子

      雲と星明かり キラキラ 星明かり

      あなたが起きたら あなたは私のもの

 

公式訳はこんな感じ。

そして後半部(ソプラノ・ソロ部)はThe End of All Thingsにも出てくる一文です。

 

そして私たちの目から残り火が照らし出された 

 

中々に意味深な一文です。

 

 

AURORA

 「オーロラ」。

リジーエリアで流れる短い曲です。

早速訳してしまいましょう。

 

しかし失われたものは誰かの記憶に残るだろう

太陽はその輝きを失うことはない

 

前回の記事で解析し、訳したホフスタッターの言葉に近いですね。

coronaがsunに変わっているくらいでしょうか。

sylphes.hatenablog.com

↑前回の記事

 

 

CLOUDS AND STARLIGHT

 「雲と星明かり」。

リジーエリアの終末で流れている曲ですね。レイチェルの歌っているものと近いですが、少し違います。

ですので、オリジナル部分は拙訳で、レイチェルの歌っているものは公式邦訳から取ってみようと思います。

 

翼の上で眠る赤ちゃん

雲と星明かり キラキラ 星明かり

夢と朝の終わりへ飛んでいく

星明かり 眠って愛しい子

 

おやすみ赤ちゃん 闇の中

雲と星明かり ほんの少しの星明かり

星に呼ばれた時行きましょう

星明かりの中へ 眠って 愛しい子

 

赤字の部分が公式邦訳から取ったものです。

 

 

THE MANIFESTATION

 「顕現」。

スティーブンエリアでの一曲。イントロのヴァイオリンソロが素敵です。

 

 蝶の園の下に

全ての私の過去を埋めた

それは私たちを全ての終わりへと結びつける

 

蝶の園(butterfly gardens)とはなにか?(ヨートンのこと?)

「私」とは誰か?(恐らくスティーブンかケイト)

謎は深まるばかりです。

 

 

PRIMARY CONDUIT

 「主導体」。

この曲、歌詞カードには一行しか記されていないのですが、明らかに他のことを前半部で歌っています

制作陣がわざと濁しているのか、果たして……。曲調もこんな感じですし、歌のディクテーションはあまりにも難易度が高く、私には不可能でしたので、もし聞き取れた方がいらっしゃいましたらご報告下さい。「こうじゃないかな?」というのでも全然大歓迎です。一緒に考えましょう。

そして歌詞カードにある一文とはこういったものです。

 

そして光が到来する 

 

いよいよクライマックスへと……!といったところでしょうか。

 

 

THE END OF ALL THINGS

 「全ての終わり」。

スティーブンが消失する際に流れるもので、光になった瞬間に音楽も盛り上がっていくというとても印象的な演出に一役買っています。

この曲の歌詞は真ん中の一行を除き、今までの曲の歌詞を繋ぎ合わせたものになっています。

 

 蝶の園の下に

全ての私の過去を埋めた

それは私たちを全ての終わりへと結びつける

しかし失われたものは誰かの記憶に残るだろう

太陽はその輝きを失うことはない

そして星たちが私たちの周りに墜ちて

私たちの目から残り火が照らし出された

そして光が到来する

 

紫字がThe Manifestation青字がAurora緑字がA Storm Over Yaughtonオレンジ字がPrimary Conduitの歌詞です。

色々な曲から歌詞を取ってきたのに、繋げるとちゃんと意味が通るのが不思議ですね。

なにかが"オーロラ"として"顕現"し、ヨートンに嵐が訪れ導いていく

 

 

THE LIGHT WE CAST

 エンディングで流れている曲です。

この"Cast"をどう訳すか大分悩んだのですが、公式邦訳のケイトのセリフから、「私たちが照らす光」が適切かと判断します。

 

全てが休息についた今

終焉が訪れる 私は怖くない

私たちは新しい始まりに向けて旅をする

ここを後にする けれど私たちは恐れない

 

私たちは別々に生まれて 水が私たちを運んできた

遙か彼方の銀河の中の 終わりのない闇

私たちが照らす光が架け橋をつくる

そして道を示す 時代を超え、深く 深くへ

 

全てが見える それらが踊っているのが見える

終わりのない光の中で

私は浜辺であなたを愛し、

静かな光の内側であなたを愛し、

パターンの蝶の中であなたを愛している

 

そして今 全ては休息につく

終焉が訪れる 私は怖くない

私たちは新しい始まりに向けて旅をする

ここを後にする けれど私たちは恐れない

 

 

最後に

長くなってしまいました。通読お疲れ様でございました。

旧約聖書のバージョン違いを調べたり、普段やらないようなことが出来て大変楽しかったです。ただ、英語力もないのに出過ぎた真似をしたかなぁとも思います。重ねて、サウンドトラックの購入を推奨します。Everybody's Gone to the Raptureの曲はとっても綺麗ですよね。私は大好きです。

 しかし、歌までも完全ローカライズするとなったら、これを原曲に合うように文字数まで調整して訳すわけですよね。なんたる苦行! 翻訳家というのは頭おかしいですね(最大級の賛辞)。

 前半部でお世話になった岩波文庫詩篇のリンクを一応貼っておきます。ここから旧約聖書など、多方に興味を持って貰えたら何よりです。

Amazon CAPTCHA

 このEverybody's Gone to the Raptureは、私がこれまで扱ってきた作品の中でも特に難易度が高く、必要とする作品内情報、作品外情報も多いです。とってもやり甲斐があります!しかしとても疲れる

 沢山の人と協力し、議論し、色々な説を考案できたら、と願っています。その為にも当ブログ:世界観警察のダイアログ、上記歌詞翻訳などをご自由に使い倒してください!

 7000字を越えてしまいましたので、これにて締めようと思います。

それでは、あなたの旅に光の導きのあらんことを。

*1:旧約聖書 詩篇 関根正雄訳 岩波文庫

*2:日本聖書教会 口語訳

*3:King James Version

*4:旧約聖書 詩篇 関根正雄訳 岩波文庫

*5:日本聖書教会 口語訳

*6:旧約聖書 詩篇 関根正雄訳 岩波文庫

*7:日本聖書教会 口語訳